不動産売却に必要な書類とは?あれば役立つ書類も併せてご紹介!
不動産の売却までにはいくつかステップがあり、それぞれで必要な書類があります。また、物件種別によっても必要書類は違うため、事前に確認してスムーズに手配できるよう準備していきましょう。
なお、不動産査定の時点で必要な書類はありません。とりあえず金額が知りたいという方は、査定から始めてみるのもよいでしょう。
もくじ
不動産会社に申し込むまでに必要な書類
まずは査定をしたあと、不動産会社と媒介契約を交わすまでに必要な書類を紹介します。
媒介契約は不動産会社に正式に買手を見つけてもらうための契約です。このときに「本当に物件の所有者なのか」や「土地や建物の情報が正しいか」などを精査します。
項目 | 土地 | 一戸建て | マンション |
---|---|---|---|
登記済権利証・登記識別情報 | ◯ | ◯ | ◯ |
登記簿謄本・登記事項証明書 | ◯ | ◯ | ◯ |
固定資産税納税通知書・固定資産評価証明書 | ◯ | ◯ | ◯ |
地積測量図・境界確認書 | ◯ | ◯ | |
建築確認済証・検査済証 | ◯ | ◯ | |
図面・設備の仕様書 | ◯ | ◯ | |
マンションの管理規約、使用明細、維持費に関する書類 | ◯ | ||
売買契約書 | ◯ | ◯ | ◯ |
重要事項説明書 | ◯ | ◯ | ◯ |
ただし、実際には不動産会社からどの書類が必要かの指定があります。
登記済権利証・登記識別情報
不動産を売却する際に、必ず提出を求められる書類が登記済権利証(通称:権利証)です。登記済権利証は、不動産を取得したときに法務局が所有者に対して発行するもので、不動産の所有者であることを証明する役割があります。
2005年(平成17年)3月以降、不動産登記制度の改正によりオンライン申請が導入され、権利証の代わりに「登記識別情報」が交付されるようになりました。登記識別情報は、不動産を取得した際に法務局が交付する12桁の英数字の符号で、登記識別情報通知に記載されています。オンラインで登記した場合は、登記識別情報はオンラインで通知されます。
不動産の売却には、所有者の意思が必要です。そのため、登記済権利証によって、売主が不動産の所有者であることを証明する必要があります。
登記決済権利証・登記識別情報は、不動産会社の訪問査定や所有権を買主に移転する手続きで必要になるため、事前に準備しておきましょう。
紛失しても再発行ができない
登記済権利証・登記識別情報は、理由に関係なく再発行ができません。紛失などで書類を用意できない場合は、「事前通知」または「資格者代理人による本人確認情報の提供の制度」と呼ばれる制度を利用して確認する必要があります。
どちらの方法も、確認が取れるまで日数がかかるまで早めに申請をしておきましょう。
登記簿謄本・登記事項証明書
登記簿謄本・登記事項証明書は、不動産の所在地や面積、所有者の情報が記載された書類です。売主が不動産の所有者であることを証明するために必要です。
登記簿謄本と登記事項証明書には、同じ情報が記載されています。登記簿謄本は、登記事項について手書きで管理されている書類で、デジタルで管理されているものが登記事項証明書です。不動産の所在地を管轄する法務局の窓口で請求すれば即日発行できます。
登記・供託オンライン申請システムの「登記ねっと 供託ねっと」を利用すれば、窓口に行かなくても請求でき、郵送での交付も可能です。ただし、郵送の場合は手元に届くまで1週間程かかります。
登記簿謄本・登記事項証明書は、不動産会社の訪問査定で提出を求められるケースが多いため、当日までに取得しておきましょう。
固定資産税納税通知書・固定資産評価証明書
固定資産税納税通知書は、固定資産税の税額やその根拠などが記載された書類です。毎年1月1日時点で不動産を所有している人に送付されます。
不動産を売却するときは、固定資産税額を日割り計算(精算)して、売主と買主の双方が負担するのが一般的です。その際、正確な税額や納付状況を確認するために、固定資産税納税通知書の提出が求められます。
また、固定資産評価証明書は、不動産の評価額を証明する書類です。不動産の登記にかかる登録免許税は、不動産の価値に一定の税率を掛けて算出されます。
たとえば、不動産の売買では、不動産の評価に0.4%を掛けたものが登録免許税の納付額です。このときの不動産の評価が固定資産評価証明書に記載されている「固定資産税評価額」になります。
つまり、固定資産評価証明書がなければ登録免許税を算出できないため、不動産売却時に提出が必要になるのです。固定資産評価証明書は、不動産の所在地を管轄する役所の窓口で取得可能です。
地積測量図・境界確認書
一戸建てや土地の売却で必要な書類です。
特に、土地の売却では坪単価と面積で価格が決まるケースも多く、また境界線を明確にすることでどこまでが売却の対象となるかがわかります。
建築確認済証・検査済証
一戸建ての売却に必要です。売却する戸建てが建築基準法を満たしている建物かどうかを証明する書類です。
また、建築図面などは必ず提出する必要はありませんが、将来リフォームをする際などに買主の役に立つ書類のため、できるだけ用意しておくとよいでしょう。
売買契約書
物件購入時の売買契約書には、契約や引き渡しをした日付や売買金額、手付金の支払いや物件の状態が詳細に書かれています。
重要事項説明書
取引対象の物件についての登記や、物件を売買するにあたっての取引条件について記載されている書類です。買主に対して、宅地建物取引士が重要事項を説明する義務があり、その際に使用されます。
図面・設備の仕様書
不動産会社は、不動産の販売活動を行うときに、間取りや設備を掲載したチラシなどの販促物を作成します。その際、図面や設備の仕様書があると、より正確で詳細な情報を提供できます。
結果、購入希望者へのアピールポイントにつながり、査定額のアップやスムーズな売却につながる可能性が高いため、準備をしておきましょう。
マンションの管理規約、使用明細、維持費に関する書類
提出の義務はありませんが、マンションの売却時に用意しておくと非常に有用な書類です。
購入検討者はそのマンションにどういうルールがあるのか、どういった維持管理されているのかを把握できます。たとえば、ペットの飼育や楽器が可能なマンションかどうかなどは、購入検討者によっては大きなウェイトを占める場合があります。
売買契約や引渡しで必要になる書類
購入希望者と金額で合意すると、売買契約を交わします。このときに必要になるのは、売主の身分や住所などを確認するための書類です。
項目 | 土地 | 一戸建て | マンション |
---|---|---|---|
本人確認書類・実印・印鑑証明書 | ◯ | ◯ | ◯ |
住民票 | ◯ | ◯ | ◯ |
本人確認書類・印鑑証明書(実印)
不動産を売却する場合、売主が所有者本人であることを証明するための本人確認書類が必要です。本人確認書類として有効な書類は、以下のような住所・氏名・生年月日の確認できるものです。
- 運転免許証
- パスポート
- マイナンバーカード
- 健康保険証
また、不動産の売買契約書には実印を押しますが、印鑑が実印であることを証明するための印鑑証明書が必要です。印鑑証明書は、発行から3カ月経過すると有効にならないことがあります。取得が早すぎると再び取得することになるため注意しましょう。
なお、不動産が共有名義だった場合は、名義人全員分の本人確認書類と印鑑証明書が必要です。
住民票
売却する不動産の登記住所と売主の住所が異なる場合、発行から3カ月以内の住民票を用意する必要があります。
不動産売却での登記における必要書類は?
不動産売却では、所有権の移転や抵当権の抹消など、法務局で登記手続きをする必要があります。その際にも書類の準備が必要ですが、登記においては土地やマンション・戸建てなどの物件種別による違いはありません。
登記の概要を簡単に説明し、必要な書類を紹介します。
不動産売却の登記とは?
不動産売却の登記には、以下の4つがあります。
- 所有権移転登記
- 抵当権抹消登記
- 住所・氏名変更登記
- 相続登記
不動産売却では、特に不動産の所有者を売主から買主へと変えるためのる所有権移転登記が重要です。
登記に必要な書類一覧
不動産売却で重要な所有権移転登記の必要書類を紹介します。
所有権移転登記は、売主・買主・司法書士の三者に用意する書類があります。
売主が用意する必要書類
- 実印
- 印鑑証明書
- 登記済権利証
- 固定資産評価証明書
買主が用意する必要書類
- 住所を証明する書類(住民票の写し、戸籍の付票、印鑑証明書など)
司法書士が用意する必要書類
- 登記原因証明情報
- 委任状
必要になるかもしれない書類
- 裁判所の許可書
- 農地法上の許可書
- 取締役会議事録
不動産売却の確定申告での必要書類は?
毎年、2月の中旬から3月の中旬の1カ月間にかけて確定申告が行われます。
不動産売却後の確定申告は節税対策にもなるので効果的です。確定申告の期間は、原則2月16日から3月15日ですが、毎年変わるため確認しておきましょう。
確定申告で行う手続きと必要な書類を紹介します。
確定申告で行う手続きについて
確定申告を行う手続きは個人で行う場合と税理士に依頼する2つの方法があります。ここでは、個人で確定申告をする手続きを簡単にご説明します。
具体的には、以下の流れで行います。
- 必要な書類の準備
- 税金の計算
- 確定申告書の作成
- 税務署で申告書を提出
- 納税または還付を受ける
1:必要な書類の準備
確定申告には、税務署に提出する申告書と、不動産の取得費用や売却費用を証明する添付書類が必要です。
2:税金の計算
不動産売却で得られた譲渡所得を売却代金から不動産の購入価格、売却にかかった諸費用を引いて求めます。譲渡所得の額によって税金がかかるので、特例なども用いて税金の計算をします。
3:確定申告書の作成
計算した金額を申告書に記入します。国税庁の「確定申告書等作成コーナー」で、比較的簡単に申告書を作成できます。
4:税務署で申告書を提出
必要書類の準備ができたら所轄の税務署に申告書を持参します。それ以外に、郵送や電子申告e-taxなどでも申告できます。
5:納税または還付を受ける
確定申告後は自身で納税をします。還付を受ける場合は、銀行口座に振り込まれます。
確定申告の必要書類一覧
不動産売却の確定申告に必要な書類は、税務署で受け取るか、もしくはホームページからダウンロードできます。
税理士に確定申告を依頼する場合も、必要書類の準備は同じです。
不動産売却の確定申告に必要な書類
- 譲渡所得の内訳書(土地・建物用)
- 確定申告書Bの第一表・第二表
- 分離課税用の確定申告書(申告書第三表)
不動産売却の確定申告には契約の内容と、売却にかかった費用の証明書などの添付資料も必要です。費用の証明ができれば、節税対策ができるので不動産に関する金額の書類は大切に保管しておきましょう。
確定申告に必要な添付書類
- 不動産売買における各種契約書
- 売買にかかる費用の領収書
- 源泉徴収書
不動産売却に役立つ書類
ここまで紹介したのは、手続きを進めていく際に必要とされることが多い書類です。
しかし、必ずしも提出の必要がなくても、不動産会社との相談や買主の募集で活用できる書類もあります。
設計図書、工事記録書等
新築時の設計や工事の内容が確認できます。間取りだけでなく建築資材まで記載されているため、将来リフォームすることを検討している買主にも役立ちます。
耐震診断報告書・アスベスト使用調査報告書等
耐震やアスベストに関しては、耐震偽装やアスベスト問題が表面化したことで、重要事項説明にも含まれるほど重視されています。買主とのトラブルを避けるためにも用意しておくとよいでしょう。
銀行口座の通帳
売却代金が振り込まれるため、銀行通帳などを用意しておくとよいでしょう。
ローン残高証明書・ローン返済予定表
ローン返済中の場合、残債と返済額を知るために必要です。
物件のパンフレット
購入時のパンフレットは必要書類ではありませんが、買主にとっては物件を判断する材料になります。その不動産に関するあらゆる資料を用意して、売主と買主の双方が安心してできる不動産の取引を心がけましょう。
不動産売却活動の必要書類に関するよくある質問
- 不動産会社に査定を依頼するときに必要な書類はある?
- 査定依頼時に必要な書類はありません。媒介契約を結ぶときに、いくつか必要な書類があります。不動産会社からの説明や本記事を確認しましょう。
- 用意できると、高額売却につながる書類はある?
- あります。耐震、アスベストなどの住宅診断の診断書などがあると、住宅の安全性を担保する書類として、評価されやすいです。物件購入時のパンフレットも、住宅の魅力がわかりやすく紹介されているため、用意するとよいでしょう。
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2022年からリビンマッチのコラム記事の執筆・編集を担当しています。不動産の財産分与に関する記事執筆が得意です。住宅設備機器の専門商社に6年間従事した知識と経験を活かして、不動産に関する知りたかったこと、知っておいた方がいいことをわかりやすく伝えられるように心がけています。
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