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空き家売却の特例を基本から解説|利用する条件・方法・必要書類

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空き家売却の特例を基本から解説|利用する条件・方法・必要書類

空き家売却の特例を利用すれば、譲渡所得を控除し税金を抑えることが可能です。空き家とはいえ不動産ですから、思わぬ高値で売却できることがあります。そのため、高額の税金がかかってしまうことがあるのです。空き家の売却を検討している人は、あらかじめ空き家売却の特例を理解しておきましょう。

空き家売却の特例について、不動産の一括査定サイト「リビンマッチ」がわかりやすく、基本から解説します。

空き家売却の特例とは

空き家を売却して利益が出た=譲渡所得が生じたときは、譲渡所得に対して所得税および住民税がかかります。しかし、いくつかの条件を満たすと空き家売却の特例を利用でき、譲渡所得にかかる税金(所得税および住民税)を抑えることが可能です。空き家売却の特例を、わかりやすく解説します。

空き家を売却したときの特例

空き家の売却で利用できる特例は「被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除の特例」と呼ばれるもので、相続または遺贈で取得した被相続人の居住用家屋を売却した際に、譲渡所得が最大3,000万円まで控除されるというものです。

たとえば、相続した空き家を売却して譲渡所得が2,500万円だった場合、この特例を適用すると税金はゼロとなります。譲渡所得が3,500万円であれば、特例が適用された残りの500万円に対してのみ課税されることになります。

ただし、相続人が3人以上の場合は、それぞれの控除額は最大2,000万円です。

空き家売却の特例の適用要件

空き家売却の特例の対象になるのは、相続開始日から譲渡日にいたるまで、まったく利用されていない建物と敷地です。たとえ一時的であっても居住や貸付け、事業に利用していた場合は対象外となります。

また、売却価格が1億円を超える場合は、1億円を超える部分は特例の対象外となります。そのほか、建物・敷地のそれぞれに設けられた個別の適用要件も見ていきましょう。

建物の適用要件

建物の適用要件には次の3つがあり、すべてを満たしている必要があります。

  • 1981年(昭和56年)5月31日以前に建築されている
  • 新耐震基準を満たしている
  • 区分所有の建物ではない

1981年6月1日以降に建築された建物は、新耐震基準をもとにして建てられています。つまり、新耐震基準への対応を義務づけられていない時期に建てられた建物で、なおかつ新耐震基準を満たしていることが適用要件なのです。

特例適用のために、新耐震基準へ対応するリフォームが必要になるケースもあるでしょう。新耐震基準への対応は、空き家を売却した翌年の2月15日までです。年末に空き家を売却すると期限まで短くなるため、売買契約を年明けまで待つのもひとつの方法です。

区分所有建物とは所有者の異なる複数の部屋が独立して存在する建物のことで、分譲マンションがそれにあたります。つまり、特例を受けるには、戸建て住宅である必要があります。

敷地の適用要件

相続した空き家の敷地に複数の建物がある場合、家屋に対応する敷地部分だけが特例の対象になります。母屋と離れなどすべての建物が居住用でも、母屋以外の敷地には控除を適用できません。

次の式で求められた面積部分だけが、空き家特例の範囲となります。

空き家特例の範囲=敷地の総面積×被相続人居住用家屋の床面積÷全建物の総床面積

例:土地面積1,000㎡、家屋の床面積400㎡、倉庫の床面積100㎡の場合

1,000×400÷(400+100)
=800㎡

ただし、空き家特例が適用されない部分には、取得費加算などの特例が利用できます。

特例を利用するときの手続き方法

空き家の特例を利用するにあたっての手続きは、「被相続人居住用家屋等確認書」の交付と、その後の確定申告に分けられます。それぞれを詳しく解説します。

被相続人居住用家屋等確認書の交付を受ける

空き家の特例を利用するには、まず被相続人の最終住所地を管轄する市区町村役場で「被相続人居住用家屋等確認書」の交付を申請します。申請にあたっては、家屋が現在空き家になっていることの証明として、次の添付書類が必要です。

  • 相続人の住民票の写し+被相続人の住民票除票の写し
  • 売買契約書のコピーなど譲渡日や売却価格を確認できる書類
  • 登記事項証明書など相続による所有権移転がなされていることを確認できる書類
  • 水道・ガスの閉栓証明書など、家屋が相続日~譲渡日まで居住や事業に利用されていないことを示す書類
  • (被相続人が老人ホームなどに入所していた場合)要介護・要支援認定書類+「施設に入所していたことを証明する書類(施設入所時の契約書や施設が発行する入所証明書)

住民票系は市区町村役場、登記事項証明書は法務局でそれぞれ発行手続きが必要です。申請内容や添付書類に不備がなければ、申請から7~10日程度で確認書が郵送されます。

確定申告を行う

譲渡所得の確定申告は申告者本人の住所地を管轄する税務署で、空き家を売却した翌年の2月16日~3月15日に行います(年によって数日のズレがあります)。空き家の特例を利用する場合、確定申告に必要な書類は次のとおりです。

  • 確定申告書
  • 相続した空き家を売却した場合の特例チェックシート
  • 譲渡所得の内訳書
  • 被相続人居住用家屋等確認書
  • 登記事項証明書
  • 売買契約書のコピー
  • 耐震基準適合証明書

確定申告書や特例チェックシート、譲渡所得の内訳書は、国税庁のWebサイトから書式をダウンロードできます。基本的には書面の指示どおりに空欄を埋めるだけですが、譲渡所得の内訳書のうち建物の減価償却費だけは、次の式による計算が必要です。

減価償却費=居住用家屋の購入費×所有年数×0.9×償却率
非業務用建物の償却率(骨格材別)
区分 償却率
木造 0.031
木骨・モルタル 0.034
鉄骨・鉄筋コンクリート 0.015
軽量鉄骨(厚さ3mm以下) 0.036
軽量鉄骨(厚さ3mm超~4mm以下) 0.025
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耐震基準適合証明書は、事務所所属の建築士や国交省指定の評価機関に耐震診断を依頼したのち、1カ月ほどの期間を経て発行されます。売買契約の締結日までに取得していなければなりません。

過去に取得した証明書が手元にある場合でも、取得後に耐震性に影響する改修や災害などがあった場合には、耐震基準適合証明書の再取得が必要になることがあります。

特例を利用できないケース

空き家の3,000万円特別控除は便利な制度ですが、ひとりの被相続人につき、特例を適用できるのは一度だけです。さらに、同じ相続人が同じ被相続人から複数の空き家を相続しても、特例を利用できるのはひとつの物件に対して一度だけです。

ただし、複数の相続人が別々の物件を相続した場合は、それぞれの相続人がそれぞれの物件に対して特例を利用できます。

また、次のような場合にも特例を適用できません。

  • 売却相手が親族や内縁者などの身内
  • 相続開始から3年以内の売却価格の合計が1億円を超える

空き家の売却相手が親族や内縁者などの身内だと、控除の対象外となります。また、相続開始日から3年後の12月31日までに複数回に分けて売却する場合、売却代金の合計が1億円を超えると、1億円を超えた部分については特例の適用が受けられません。たとえば、敷地を分割して売却する場合、合計が1億円を超えると、1億円を超える部分については特例の適用外となります。

放置された空き家は深刻な問題

紹介した特例のように空き家の売却を優遇している背景には、少子高齢化にともなう深刻な空き家増加問題があります。総務省が実施している『住宅・土地統計調査』の2023年版によると、全国の空き家数は約900万戸、総住宅数に対して13.8%となっており、いずれも過去最高の数字です。

放置された空き家は老朽化により周辺環境を悪化させ、地域の安全や価値を脅かします。屋根の破損や雑草の繁茂、害虫の発生などで住環境が悪化すると、新たな利用者を見つけるのも困難になります。

空き家問題は1978年の統計開始以来、一度も改善していません。この状況を変えるには、所有者一人ひとりの適切な管理意識が不可欠です。空き家の3,000万円特別控除は、そうした意識改革を支援する重要な制度といえるでしょう

相続登記の義務化で空き家の放置が許されない

2024年から不動産の相続登記が義務化されました。これにより、空き家を放置しておくことが法律上できなくなりました。不動産を相続した人は、相続を知った日から3年以内に登記申請をしなければなりません。正当な理由なく登記を怠ると、10万円以下の過料が科せられます。

空き家をそのまま所有し続けると、維持管理費や固定資産税などの費用がかかるだけで、メリットはありません。相続した空き家をスムーズに処理するため、次のような対応を事前に検討しておくとよいでしょう。

  • 耐震補強をして売却する
  • 建物を取り壊して土地だけを売却する

相続登記の義務化は、空き家問題の解決に向けた重要な一歩です。この機会に、空き家の適切な処分方法を考えましょう。

空き家に利用できる制度を確認しよう

空き家売却に利用できる制度

空き家に関しては国だけでなく、各自治体もさまざまな助成制度で問題の解消を図っています。代表的な空き家に利用できる制度を見ていきましょう。

空き家バンク

空き家バンクとは、空き物件の情報を自治体が収集・提供し、空き家を売りたい人と住まいを探している人を結びつけるサービスです。全国ほぼすべての自治体が導入しており、空き家バンクへの登録を各種補助金の利用条件にしている自治体もあります。

空き家バンクの利用にあたって手数料はかからないため、とりあえず登録しておいて損はありません。ただし、空き家バンクでサポートされるのは売主と買主のマッチングまでで、その後の契約交渉などは各自で進める必要があります。

改修・リフォーム補助金

空き家を建物込みで売る場合、改修・リフォーム補助金は特にチェックしておきたい制度です。いくつもの自治体で実施しており、ここでは代表的なものを紹介します。

高知県四万十市:移住支援住宅小規模改修事業費補助金(売主向け)
主な適用要件 改修した空き家を移住者用に10年以上提供
補助金額 耐震改修110万円を上限に改修費用全額
リフォーム改修:270万円を上限に改修費用全額
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新耐震基準に適合済みの空き家は利用不可

愛知県豊橋市:空家利活用改修費補助金(買主向け)
主な適用要件 空き家バンク経由で物件を購入し、改修後3年以上の利活用
補助金額 新婚・子育て世帯:66万円を上限に改修費用の3分の2
その他世帯:50万円を上限に改修費用の2分の1
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1,000円未満切り捨て

空き家の改修リフォームは、助成制度の有無だけでなく、制度が売主と買主のどちらを対象としているかを必ずチェックしてください。

解体補助金

建物を取り壊して敷地だけを売る場合、解体補助金があればぜひ活用したいところです。自治体によっては、次のような制度を用意しています。

茨城県日立市:空き家解体補助金
主な適用要件
  • 1981年5月31日以前に建てられた延床面積50㎡以上の戸建て住宅
  • 解体日から1年以内に売却、または売却後6カ月以内に解体
  • 市内事業者による50万円以上の解体工事
補助金額 利活用型:50万円を上限に解体費用の3分の1
宅地再生創出型:30万円を上限に解体費用の3分の1
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神奈川県横浜市:住宅除却補助制度
主な適用要件
  • 1981年5月31日以前に建てられた2階建て以下の木造住宅
  • 市指定の耐震診断で、上部構造評点が1.0未満
補助金額 非課税世帯40万円、その他世帯20万円を上限に、以下のうち少額なほう

  • 建物の延面積(㎡)×1万3,500円×3分の1
  • 解体費用×3分の1
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解体補助金に関しては骨格材や延床面積など、建物の構造に関する要件を重点的にチェックしてから申請しましょう。

家財道具等処理補助金

空き家売却にあたり、故人が所有していた家財を搬出・処分する作業に対しても、多くの自治体が補助金を用意しています。

長野県飯田市:空き家バンクに登録した空き家の家財道具等搬出費用補助
主な適用要件
  • 空き家バンク経由で売買・賃貸契約が成立した物件
  • 市内事業者への委託により、契約日から1年以内に搬出を実施
補助金額 10万円を上限に搬出費用の2分の1
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岐阜県飛騨市:家財道具処分費等補助金
主な適用要件 空き家バンク登録済みかつ、3年超にわたって登録する見込みの物件
補助金額 家財道具処分費:10万円を上限に、搬出費用の2分の1
登録免許税の経費:2万円を上限に経費の10分の1
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空き家に関する補助金のなかでは要件が比較的シンプルな部類のため、該当する制度があれば気軽に活用しましょう。

自治体独自の助成制度も要チェック

空き家に関する補助金の代表例は以上ですが、実際には自治体によって、実に多種多様な助成制度が用意されています。

山口県下関市:空き家管理費用の一部補助
主な適用要件
  • 申請時点で売買契約、および不動産会社との媒介契約を結んでいない
  • 宅建取引事業者または不動産管理会社に依頼
補助金額
(毎月)
外観調査のみ:2,000円を上限に月額の2分の1
外観調査+内部換気:5,000円を上限に月額の2分の1
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外観調査は建材の腐朽具合や害虫などの発生状況に関する調査、内部換気は空き家の複数の窓を1時間以上開放する作業です。このように細かい作業を対象とする制度であっても、利用可能なものは申請しておくといいでしょう。

スムーズに空き家を売却する方法

空き家のスムーズな売却を目指すときは、売主自身の努力や工夫も欠かせません。主な施策として考えられるのは次の4つです。

  • 売り出し価格を少し安くする
  • 空き家をきれいにする
  • ホームインスペクションを実施する
  • 不動産買取で売却する

それぞれ見ていきましょう。

売り出し価格を少し安くする

中古物件を探す人の多くは、価格の安さを主な検討材料にしています。そのため、まずは地域での戸建ての中古市場価格を調べつつ、相場よりも多少安い価格で空き家を売り出すことがおすすめです。

そこから数カ月経っても売れないようなら、さらに少しずつ価格を下げていきましょう。売り出し時点から安く設定しすぎると、かえって買主の不信感を招くおそれもあるため注意してください。

空き家をきれいにする

空き家を売るときは価格だけでなく、建物の見栄えも重要です。そのため、買主が見つかるまでは、適切な維持管理が欠かせません。維持管理の主な作業には、屋内の清掃や庭の手入れ、雨漏りなど問題が生じている箇所の修繕があります。

多忙な場合や、空き家が遠方にある場合は、不動産管理会社などに空き家管理を依頼するといいでしょう。

ホームインスペクションを実施する

ホームインスペクションとは、住宅診断士が建物の劣化・不具合を調査するサービスです。外壁や内装など空き家の各部位を専門家が詳細にチェックすることで、売却前に必要な修繕箇所を特定できるうえ、買主に対しても建物の状態を漏れなく開示できます。

ホームインスペクションで物件情報の信頼性を高めることは、空き家の早期売却を目指すうえで大いに役立つことでしょう。

不動産買取で売却する

これらの取り組みを実践しても長期間買主が見つからない場合は、不動産会社に直接買い取ってもらう方法を検討してもよいでしょう。

不動産買取は早く売買できるものの、売却価格が安くなってしまうデメリットもあります。そのため、買い取ってもらうときは、複数の不動産会社の価格を比較検討することが重要です。

買い取り希望はここから申し込めます!

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空き家の売却なら一括査定サイトが便利!

空き家を売却するときは複数の不動産会社へ相談し、査定を依頼することが大切です。空き家はなかなか売れないことも多いため、地域に精通していたり、空き家売却のノウハウを持っていたりする不動産会社がよいでしょう。

複数の不動産会社に査定を依頼するなら、一括査定サイトのリビンマッチをご利用ください。空き家の情報を一度入力すれば、対応できる不動産会社へ一括して査定を依頼できます。空き家の売却で悩んでいる方は、ぜひご利用ください。

この記事の編集者

リビンマッチ編集部 リビンマッチ編集部

リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
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