空き家買取のデメリットとメリットとは?売却するならどの方法がいい?

空き家を売却する方法として、不動産買取は有力な選択肢のひとつです。仲介だと売れにくい物件でも、買取であれば売却できる可能性があります。また、売却にあたって片づけなどの手間を省けることも、買取のメリットです。しかし、メリットばかりでなく、デメリットがあることにも注意しましょう。
空き家を不動産買取で売却するときのデメリットについて、不動産の一括査定サイト「リビンマッチ」がていねいに解説します。メリット、デメリットを踏まえたうえで、空き家の売却を進めてください。
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空き家を買取で売る4つのデメリット
「買取」とは、不動産会社が物件を売主から直接買い取ることをいいます。一般的な売却(仲介)と異なり、買主を探す必要がなく、すぐに不動産を現金化できるメリットがあります。しかし、売却のスピードや手軽さと引き換えに、次のデメリットがあります。買取を検討の前に次のデメリットを理解しておきましょう。
- 買取価格は相場より安くなる
- 買取自体を拒否されることもある
- 買取に対応する不動産会社が少ない
- 売買契約で条件がつくことがある
買取を検討する前に、それぞれのデメリットを覚えておきましょう。
買取価格は相場より安くなる
買取は売却価格が、相場より安くなることがあります。買取をする不動産会社は、空き家を購入したあと、リフォームや建て替えなどで価値を高め、再販売を行います。自社の利益を確保するため、不動産会社は空き家を安く買い取る必要があるのです。
買取は一般的に相場価格の6~8割程度の金額になると言われています。たとえば、相場価格が1,000万円の空き家の場合、買取価格は600~800万円程度です。この価格差は、立地条件や建物の状態によってさらに広がることもあります。
買取自体を拒否されることもある
買取を希望しても、不動産会社から「買い取れない」と断られることもあります。これは、買い取っても再販売が難しい空き家は、利益を出せないためです。買取を拒否される不動産には、次のものがあります。
- 土地面積が少なく形状が極端に悪い
- 所有権以外の権利(借地権など)がある
- 土砂災害特別警戒区域など災害リスクが高い
買取を依頼する前に、空き家の状態や立地条件の客観的な見極めが大切です。不動産会社に無料査定を依頼し、プロの視点から物件の評価を受けてることでより客観的な価値を把握できます。
買取に対応する不動産会社が少ない
買取ができる不動産会社は、一般的な仲介を行う会社と比べて数が限られます。空き家の買取は、資金力が必要になる事業のためです。都市部なら10社以上に査定を依頼できても、郊外や地方では2~3社程度、場合によっては0社というケースもあります。
比較できる買取事業者が少ないと、適正な査定価格かどうか判断しにくい点が大きなデメリットです。選択肢が極端に少ない場合は、買取以外の方法も合わせて検討したほうがいいでしょう。
売買契約で条件がつくことがある
空き家の売買契約は、一見シンプルに思えても、実際にはさまざまな条件がつけられることもあります。不動産会社は買取によるリスクを最小限に抑えたいためです。よくある契約条件には、次のようなものがあります。
- 専門家による境界確定測量の実施
- 私道通行や掘削に関する承諾書の取得
- 連棟空き家の場合は切り離し承諾書の取得
なかでも境界確定測量には数十万単位の費用がかかり、土地の規模によっては数カ月の時間を要することもあります。これらの条件が成就しなければ契約解除になることもあるため、事前にしっかり内容を確認し、条件を十分に理解しておくことが重要です。
空き家を買取で売る7つのメリット
空き家を買取で売るときの、次の7つのメリットを詳しく解説します。
- 現金化のスピードが速い
- 売却活動をする必要がない
- 維持管理の手間から解放される
- 直接買取なら仲介手数料がかからない
- 契約不適合責任は免除されることが多い
- 解体費用をかけずに売却できる
- 荷物や不用品があっても売却できる
このように多くのメリットがあるため、「早く・確実に・手間なく」空き家を売却したい人にとっては、買取がよい選択肢になるでしょう。
現金化のスピードが速い
買取を選ぶ最大のメリットは、空き家の売却から現金化までのスピードの速さです。不動産会社が直接購入するため、買主を探す手間がなく、最短1カ月ほどで現金化が可能です。一方で、仲介による売却では、買主が見つかるまでに数カ月~1年以上かかることもあります。参考に買取にかかる時間を見てみましょう。
- 査定依頼から結果通知:約1週間
- 買取価格の交渉と合意:数日~1週間
- 契約から代金受け取りまで:約3~5週間
たとえば、遠方の空き家を早く処分したい場合など、時間的な制約がある状況では買取のスピードの速さが大きなメリットになります。急にまとまった資金が必要なときも、この速さが助けになるでしょう。
売却活動をする必要がない
買取では、面倒な売却活動がないこともメリットのひとつです。不動産会社が直接購入するため、買主を探す必要がないためです。
売却活動とは、一般の購入希望者に向けて広告や営業を行い、資料請求や内覧対応、価格交渉までを進める活動のことです。なかなか空き家が売れないときには、価格見直しの検討なども必要になるでしょう。買取ではこうした活動が不要で、価格に合意すれば即契約に進められます。
空き家を長期間売れないまま放置すると、さらに状態が悪化して価値が下がり続けるおそれがあります。そのような悪循環を避けられるのも、買取の大きなメリットといえるでしょう。
維持管理の手間から解放される
買取なら空き家所有に伴う、さまざまな維持管理の負担から解放されます。買取ではスピーディーな手続きで売却が成立するため、それ以降の管理責任がすべて不動産会社に移るためです。空き家の維持管理には、次のような負担があります。
- 空き家の防犯対策
- 定期的な見回りや清掃
- 建物の修繕や設備の点検
- 雑草の除去や庭木の手入れ
- 固定資産税や都市計画税の支払い
特に、遠方にある空き家の場合、これらの維持管理はさらに大きな負担となります。また、台風や地震など災害による倒壊のリスクも考えると、早めに手放せることの安心感は大きいでしょう。
買取なら仲介手数料がかからない
不動産会社による買取では、仲介手数料が発生しないことも大きなメリットです。買取は売主と不動産会社の直接取り引きで、仲介という行為が発生しないためです。一方、仲介による売却では、売却価格に応じて仲介手数料を支払う必要があります。
仲介手数料は、次の計算式で決まります(売却価格400万円超の場合)。
たとえば、1,000万円の空き家を仲介で売却する場合は次のとおりです。
消費税(10%)を加えると39.6万円
ただし、買取では価格が相場より安くなる点を踏まえて、トータルの金額で比較することを忘れないでおきましょう。ちなみに、買取ではなく、不動産会社に紹介された買取事業者へ売却する場合は、仲介手数料が発生します。
契約不適合責任は免除されることが多い
買取の場合、契約不適合責任(旧:瑕疵担保責任)は免除されることが多く、売主の負担やリスクが軽減されます。不動産会社はプロとして、空き家の状態を把握したうえで購入するため、その後の不具合についても自己責任で対応する前提があるのです。
契約不適合責任とは、引き渡した空き家について、契約の内容に適合しない箇所(不具合や欠陥、数量不足など)が見つかった場合に、売主が負う責任のことです。
たとえば、築年数が古い空き家の場合、知らないうちに雨漏りや白アリ被害が進行していることもあり、思わぬ不具合が発見されるリスクがあります。その点、買取ならその心配がなく、大きな安心材料となるでしょう。
解体費用をかけずに売却できる
たとえボロボロの空き家でも、買取なら解体費用をかけずに現状のままで売ることが可能です。不動産会社は現状を見たうえで、解体費用も含めた価格を提示するため、売主が事前に解体する必要がないためです。仲介売却の場合、老朽化した建物は買主が見つかりにくく、場合によっては解体して更地にすることも検討しなければなりません。
一般的な大きさの空き家でも解体には150~300万円ほどかかるため、先に支払いができない場合は買取が有効な選択肢になるでしょう。
荷物や不用品があっても売却できる
空き家の買取では、室内に荷物や不用品が残ったままでも売却できることが多いです。不動産会社は再販を前提としており、内部の片づけやクリーニングも業務の一環として対応できるケースが多いためです。
仲介売却では、引き渡し前にすべての荷物を片づけなくてはなりませんが、買取ならそのままでも大丈夫です。参考に、空き家の荷物処分には次の負担があります。
- 遺品整理や不用品の仕分け作業
- 粗大ゴミや不用品処分の費用
- 遠方からの往復交通費や宿泊費
特に親の家を相続したケースでは、思い出の品や大量の荷物が残されていることが多く、その整理は精神的にも大変な作業です。仕事や日常生活で忙しいときは、何度も足を運んでの片づけは現実的ではありません。このような状況で負担を省ける買取は、大きなメリットになるでしょう。
空き家売却は買取?仲介?選ぶポイント8選
空き家の売却方法には、主に「買取」と「仲介」のふたつがあります。買取は売買のスピードと手間の少なさ、仲介は高値での売却が期待できることが魅力です。
空き家の状況や優先したい条件によって、どちらが適しているかは変わってきます。ここでは買取か仲介か、適した売却方法を選ぶ8つのポイントを紹介します。
- 売りたい時期にこだわりがない
- 売却までの期限が決まっている
- 古い建物を解体する費用がない
- 再建築不可で建て替えできない
- 築20年以内でまだ新しい
- 家財道具が多く片づけられない
- 売却を周囲に知られたくない
それぞれのポイントをチェックして、自分に適した売却方法を選びましょう。
売りたい時期にこだわりがない
売却時期に余裕があるなら、仲介での売却が適しています。仲介なら自由な価格設定ができ、相場を意識した価格で売却できるためです。人気のある立地であれば、最初はチャレンジ価格で高く売り出す選択肢もあります。
ただし、物件によっては、買主が見つかるまでに1年以上かかることもあるため、十分な余裕が必要です。
売却までの期限が決まっている
期限が決まっている場合は、買取での売却が適しています。買取は最短1カ月半ほどで現金化できるため、急ぎの場合にも対応しやすいためです。また、どちらか決めかねている人には、買取保証という方法もあります。
買取保証とは、一定期間仲介で売却できなければ、不動産会社があらかじめ決めた価格で買い取ってくれるービスのことです。たとえば、「3カ月以内に相場の1,800万円で売れない場合は1,300万円で買い取ります」といった仲介と買取のメリットを併せもった方法です。
古い建物を解体する費用がない
老朽化した空き家などで、解体費用の支払いが困難な場合は買取が適しています。なぜなら、買取では現状のまま売却できるためです。仲介の場合、老朽化した建物は買主がつきにくく、解体して更地にする検討も必要ですが、買取なら解体費用を引いた価格で買い取ってもらえます。
再建築不可で建て替えできない
再建築不可の空き家は、買取での売却が適しています。再建築不可の物件は住宅ローンが組みにくいため、個人の買主を見つけることが難しいためです。不動産会社は現金または事業融資で購入するため、再建築不可の制限があっても価格が合えば買い取ってもらえます。
築20年以内でまだ新しい
比較的新しい築20年以内の空き家なら、仲介での売却が適しています。建物の価値が残った中古住宅として売却可能で、個人の買主が見つかりやすいためです。建物は築年数とともに価値が下がりますが、築20年以内なら仲介でも十分な需要があるため、立地によっては高く売れる可能性もあります。
家財道具が多く片づけられない
空き家の片づけが難しい場合は、買取が適しています。買取であれば、家財道具込みで現状のままの売却を相談できるためです。仲介では内見のために室内を片づけて、印象をよくする必要があります。買取は不動産会社が買い取るためその必要がなく、遺品整理や不用品処分などの負担からも解放されます。
売却を周囲に知られたくない
売却を近隣住民や知人に隠しておきたい場合は、買取での売却が適しています。買取は売却活動の過程がなく、広告や看板も出さないため、近隣に知られずに取り引きを進められるためです。一方の仲介では、物件情報がインターネットに掲載されたり、購入希望者が内覧に訪れたりするため、売却を周囲に知られるおそれがあります。
遠方で空き家の管理ができない
遠方にあるなどの理由から、空き家管理が難しい場合は買取が適しています。買取価格に合意すればすぐ売却できるため、維持管理の責任を早めに手放せます。仲介では売却期間中も定期的な管理、場合によっては内見の立ち会いが必要になりますが、買取ならそうした負担がありません。
空き家買取の優良業者を見極める方法6つ
空き家を買取で売ると決めたら「優良な不動産会社を選ぶこと」が何より重要です。不動産会社の対応の良し悪しが、その後のトラブル発生にも影響します。デメリットを最小限に抑え、メリットを最大化するためにも、信頼できる買取事業者を見つけましょう。
優良業者を見極める方法には、次の6つがあります。
- 複数の不動産会社に査定を依頼する
- 中小の不動産会社も比較に加える
- 査定価格の根拠をしっかり聞く
- 過去の評判や口コミを確認する
- 買取実績が豊富かどうか確認する
- 現地調査の対応がていねいか確認する
それぞれの方法を詳しく解説します。
複数の不動産会社に査定を依頼する
空き家の買取では、できるだけ多くの不動産会社に査定を依頼することが大切です。買取価格は会社によって大きく異なり、地域の得意、不得意などを理由に、2倍近い差が出ることもあるためです。一般的に3社以上の査定をおすすめしますが、可能であれば5~6社に依頼するとより適正な相場観がつかめます。
いまはネットの一括査定を使えば、1回の入力でまとめて査定依頼ができるためとても便利です。このとき、買取価格だけで判断するのではなく、対応のていねいさや信頼性なども含めて総合的に判断することが大事です。
中小の不動産会社も比較に加える
大手だけでなく、地域密着型の中小不動産会社も比較に入れましょう。会社の規模によって買取価格に明確な違いはなく、むしろ地域に精通した中小企業のほうが高値をつけるケースもあるのです。大手は資金力があって安心感がある一方、地域の中小企業には次のような強みもあります。
- その地域の市場を熟知している
- 意思決定が速くて交渉の余地が大きい
大手と中小、両方の特徴を比較しながら、空き家に最適な買取事業者を見つけましょう。
査定価格の根拠をしっかり聞く
価格がどのような根拠で算出されたのか、詳しく説明を求めることが重要です。査定価格の根拠が不明確だと、あとから「実はこれは概算価格でした」といわれたり、「思ったより不具合が多かった」と条件を変更されたりするリスクがあるためです。
加えて、「相場がこれくらいだから」というあいまいな説明しかできない会社や、質問に対して具体的な回答ができない会社も、不動産会社としての信頼性に欠くため避けるべきです。
過去の評判や口コミを確認する
不動産会社の過去の評判や口コミを確認することも大切です。実際に取り引きした人の声は、その会社の信頼性や対応の質を知る重要な手がかりになるからです。評判を調べる方法には、SNS、個人ブログ、口コミサイト、不動産ポータルサイトなどインターネットが主になります。
口コミの内容も「対応が早かった」「ていねいだった」といった漠然としたものより、「具体的にどのような対応だったか」が書かれているものを重視するとよいでしょう。なかでも、トラブルが発生した際の対応についての口コミは、その会社の誠実さを測る重要な指標となります。
もし知り合いに不動産関連の仕事をしている人がいたら、業界内での評判も聞いてみると、より具体的な見極めができます。
買取実績が豊富かどうか確認する
その不動産会社の買取実績を確認することも重要です。実績が豊富な会社は、取り引きの流れがスムーズで、予期せぬトラブルへの対応力も高いためです。買取実績を確認する際のポイントは次のとおりです。
- 年間の買取件数
- 長期間にわたって買取事業を継続しているか
- 買取後の活用方法(建て替え、リノベーション、賃貸など)
- 所有する空き家と似た条件の買取実績(地域、築年数、状態など)
優良な買取事業者は自社の実績に自信をもっており、具体的な事例を交えながら説明してくれるはずです。
現地調査の対応がていねいか確認する
現地の査定調査の段階から確認しておくことも大切です。営業担当者の対応から、その会社の信頼性や専門性を判断できます。現地調査でのていねいな対応は、次のとおりです。
- 十分な時間をかけて隅々まで調査する
- 外観内装や設備を詳細にチェックする
- 専門的な知識にもとづいた説明をする
- 必要に応じて測量器具や専門機器を使用する
- あなたの話をしっかり聞いて質問にていねいに答える
反対に、数分で調査を終えてしまったり、外観だけをさっと見て帰ったりするような不動産会社は要注意です。現地調査が不十分だと、あとから「想定外の不具合が見つかった」などを理由に、買取価格の引き下げを要求されることもあります。
リビンマッチなら空き家の売却がスムーズ!
建物が古かったり、劣化していたりと、空き家の売却にはさまざまな課題があります。そういった課題を、まとめて解決できるのが不動産買取です。一括査定サイトの「リビンマッチ」では複数の不動産会社へ買取の査定を依頼できるため、スムーズに空き家の売却を進められます。
高値で売却できる可能性があるため、時間があるならまず仲介で査定・売却を依頼することをおすすめします。思うように売却できなければ、改めて買取を依頼すればよいのです。まずは一括査定をお申し込みください。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
誤字脱字や事実誤認などございましたら、ぜひともご指摘ください。
運営会社:リビン・テクノロジーズ株式会社(東京証券取引所グロース市場)
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