その不動産、資産になる?ならない?見極め方と現金化に適した時期を解説

不動産は有益な「資産」として考えられることが多いですが、本当に価値のある資産なのでしょうか。立地や市場動向によっては、思ったより資産価値が低かったり、逆に大きな利益を生んだりする可能性もあります。
- この不動産は売るべきか、それとも持ち続けるべきか
- 資産としての価値をどう判断すればいいのか
本記事では不動産が資産になるかどうかの見極め方と、現金化に適したタイミングを解説します。あなたの不動産が“本当の資産”なのか、一緒に確認していきましょう。
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その不動産、資産になる?ならない?簡単な見極め方
不動産の価値を見極めるためには、不動産の一括査定サイトを利用し、相場感をつかむのがおすすめです。
一括査定サイトであれば、1回の登録で複数の不動産会社に査定をしてもらえ、その中から実際に売却活動を依頼する不動産会社を選ぶこともできます。
不動産会社を選ぶ際には、査定額の高さだけではなく、査定額に妥当性があること、担当者の対応が丁寧であることも重要です。
複数の不動産会社を比較検討して、最も信頼できる不動産会社を選びましょう。
資産になる不動産の特徴
不動産の相場をつかむには、資産になる不動産の特徴を理解することが重要です。
資産価値の高い不動産の主な特徴は以下のとおりです。
- 立地が良い
- 管理状態が良い
- エリアに合った間取りや設備がある
各要素について詳しく紹介します。
立地が良い
不動産の資産価値を決める最も重要な要素は立地ですので、売却する前に以下の条件を満たしているか確認しておきましょう。
- 最寄り駅まで近い
- 主要エリアへのアクセスが良い
- 周辺に商業施設や病院、学校などの施設が充実している
- 治安が良い
- 線路沿いや繁華街から遠く、閑静
- 再開発や大阪万博などのイベントがあり、地価の上昇が見込める
以上のような不動産は居住用としても投資用としても高い需要があるため、資産価値が安定しやすいといえます。
管理状態が良い
管理状態の良さも不動産価値を決める要素のひとつです。同じ築年数の不動産でも、管理の質によって状態が大きく変わります。
マンションのオーナーであれば必ず管理組合に加入し、マンションの管理や運営に携わらなくてはなりません。しかし、基本的には管理組合が委託した管理会社が実際の業務を行います。
管理会社の質が悪いとマンションの汚損が激しくなり、資産価値が下がってしまいかねません。マンションの管理状態を確かめるには、以下の部分をチェックすることが重要です。
- エントランス
- 共用廊下
- エレベーター
- 消火設備や避難経路
- 駐車場・駐輪場
- ゴミ置き場
玄関の清掃は行き届いているか、エレベーターなどの設備はメンテナンスされているかを確認しましょう。
また、マンションの管理会社が作成した「重要事項調査報告書」や管理組合総会の議事録などを確認することで、マンションの管理状況や現在抱えている課題を把握できます。
エリアに合った間取りや設備がある
エリアに合った間取りや設備がある不動産は安定した需要が望めるため、高い資産価値を維持できます。
たとえば、一人暮らしが多いエリアではワンルームや1K、1DK、1LDKの需要が高いです。設備としては不在時に荷物を受け取れる宅配ボックスや、テレワークに便利な無料インターネットが好まれます。
一方、ファミリー層が多いエリアでは、2LDKや3LDKなどの広い間取りで、ウォークインクローゼットや床下収納といった収納設備が好まれます。
不動産の資産価値を知るには、入居者の年齢や属性を把握したうえで、人気のある間取りや設備を把握することが重要です。
負債になる不動産の特徴
需要の低い不動産は資産になるどころか、所有するだけでリスクがある「負動産」になる場合があります。入居者が現れず家賃が回収できないと、管理費や修繕積立金、固定資産税といった経費がかさんでしまうためです。
特に以下のような特徴を持つ不動産は注意が必要です。
- 空室リスクが高い
- 維持費・管理費・修繕費が高すぎる
- 地震リスクが高い
それぞれの項目について、以下に詳しく紹介しましょう。
空室リスクが高い
空室リスクが高い不動産は資産価値が低く、負債を生む要因になります。特に以下のような物件は空室リスクが高いため注意が必要です。
- 駅まで遠い、周辺にお店や病院がないなど立地が悪い
- 建物の老朽化が進んでいる
- 近隣トラブルが多い
- 近隣に魅力的な競合物件がある
- エリアの人口が少ない
物件に問題がある場合は、リフォームや設備交換を行うことで入居者を獲得できる可能性があります。しかし、エリア自体に魅力がないのであれば、空室リスクの改善は難しいでしょう。
維持費・管理費・修繕費が高すぎる
維持費・管理費・修繕費といった経費が高すぎる不動産を所有していると、キャッシュフローが悪化し負債につながるおそれがあります。
経費が高くなる不動産の特徴は以下のとおりです。
(修繕積立金を少人数で負担するため、1人当たりの支払額が高くなる)
令和5年度に国土交通省が行った「マンション総合調査」によると、マンションの管理費の月額は平均で約1万7,000円/戸となっています。建物の規模や築年数、状態によって管理費は大きく異なりますが、ひとつの参考にすると良いでしょう。
参考:国土交通省「マンション総合調査」
地震リスクが高い
地震リスクが高い不動産は負債になりやすいため注意が必要です。特に耐震基準を満たしていない不動産は、汚損や倒壊による資産価値急落のリスクがあります。
なかでも地震は津波や火災といった二次被害を引き起こし、大きな損害になるおそれがあるため、特に注意が必要です。
以下の2点に注目して、不動産の地震リスクを把握しましょう。
建物の耐震性が低い
耐震性の低い建物は地震リスクが高いため、負債になる危険性があります。建物の耐震性を測る指標としては、以下の2点があります。
名称 | 詳細 | 確認方法 |
---|---|---|
耐震等級 |
|
|
耐震基準 |
|
|
なお、法改正により、旧耐震基準(1981年以前の建築物)を改修する際の基準が厳格化される可能性もあります。
立地の地震リスクが高い
不動産の地震リスクを理解するには、立地にも目を向けることが重要です。地震や二次災害として起こる津波、土砂災害、地盤沈下のリスクが高い土地は、地震が発生した際に大きな被害を受けるおそれがあります。
ハザードマップを確認し、不動産のあるエリアの地震や二次災害のリスクを把握しましょう。国土交通省も「ハザードマップポータルサイト」を公開していますので、参考にしてください。
資産が負債になる前に!不動産現金化のベストタイミング
不動産は状態や立地が良ければ、家賃収入(インカムゲイン)を生み出す重要な資産になります。しかし、現物資産である以上、経年によって資産価値が低下します。
資産価値の低い不動産をそのまま所有しているとキャッシュフローが悪化し、負債が生じかねません。
不動産を所有することによる負債を回避するには、タイミングを見計らって売却し、現金化する必要があります。不動産を現金化するのに良いタイミングは以下のとおりです。
- 支出や税負担が変化するとき
- ライフスタイルが変化するとき
- 不動産を相続したとき
- 不動産の需要が上がっているとき
それぞれのタイミングについて、詳しく紹介しましょう。
支出や税負担が変化するとき
不動産は所有しているだけで運営費や税金といった経費が発生します。経費が加算される直前や、下がった直後に売却することで、売却益を多く手元に残せます。
特に重要なのは以下のタイミングです。
大規模修繕前
大規模修繕とは、マンションやアパートにおいて12~16年に1回程度実施される、主要構造部(壁、柱、床、屋根、階段など)の修繕工事のことです。
工事費用に充てられるのは、マンションの区分所有者(オーナー)が管理組合に毎月支払う修繕積立金です。
しかし、修繕積立金だけでは工事費用が不足する場合、臨時で一時金を徴収される場合があります。一時金の額は不動産の規模や状態によっても異なりますが、数百万円に及ぶこともあります。
大規模修繕前に不動産を売却することは、費用負担を回避できる有効な手段といえるでしょう。
所有期間が5年を超えた時
不動産売却を検討する際は、所有期間に注意しなくてはなりません。不動産の売却益にかかる「譲渡所得税」は、所有期間5年を境に大きく変わるためです。
譲渡所得税の別 | 所有期間※1 | 税率 | |||
---|---|---|---|---|---|
所得税 | 住民税 | 復興特別所得税※2 | 計 | ||
短期譲渡所得税 | 5年以下 | 30% | 9% | 0.63% | 39.63% |
長期譲渡所得税 | 5年超 | 15% | 5% | 0.315% | 20.315% |
※1 所有期間:売却した年の1月1日時点での経過年数
※2 復興特別所得税:復興のために必要な財源の確保を目的とした所得税。平成25年から令和19年まで申告・納付する。
このように、短期譲渡所得税は長期譲渡所得税の約2倍にもなります。課税額を抑えて売却益を多く残すには、所有から5年超経過してから売却する必要があります。
減価償却が終了する前
一般的に、収益不動産は減価償却が終了する前に売るのがベストです。減価償却は法定耐用年数に応じて分割し、低下する資産価値を経費として計上する仕組みです。減価償却費は、不動産の構造ごとに定められた法定耐用年数の期間内に限り計上可能です。
耐用年数が過ぎると減価償却費は計上できなくなり、課税所得が増えて税金が高くなることがあります。しかし、減価償却の終了後は売却時に譲渡所得税が発生するため、トータルで利益が出るタイミングを見極めることが重要です。
ライフスタイルが変化するとき
ライフスタイルが変化するときに不動産を売却するのもひとつの選択肢です。不動産は現物資産であり、管理に手間がかかります。基本的な管理は管理会社に任せられるとはいえ、定期的なチェックや収支管理、確定申告など、オーナー自身がしなければならない業務は少なくありません。
結婚や出産、引っ越しなどにより不動産の維持が難しくなった場合は、売却することで管理の手間から解放されます。また、売却益を生活費や引っ越し代に充てられるのもメリットです。
不動産を相続したとき
相続により不動産を取得した場合、すぐに売却して現金化するか、所有し続けるか悩むところです。
具体的な活用法がなく、物件を持て余してしまうのであれば、売却したほうが良い場合もあります。特に、相続人が複数いる場合は不動産を売却、現金化することで分配しやすくなります。
相続した不動産を早期(3年10カ月以内)に売却すると、「相続税の取得費加算」が適用され、相続税・譲渡所得税の税負担が軽減される場合がある点もメリットです。
先ほど紹介した資産になる不動産、負債になる不動産の特徴も踏まえつつ、所有し続けるか、売却して現金化するかを検討すると良いでしょう。
※相続税の取得費加算の詳細や条件については、国税庁の「No.3267 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」をご覧ください。
不動産需要が上がっているとき
不動産の需要が上がっているときも売却の好機です。通常より早期に、また高く売却できる可能性が高まるためです。
最もわかりやすいタイミングは「金利の低下」です。金利が低いとローンが組みやすくなるため、不動産購入の動きが活発になります。
また、所有している不動産のあるエリアの地価が上昇したときも、絶好の売却タイミングです。投資用不動産としての需要が高まるため、高値で売れる可能性があります。
不動産需要の変化をいち早くつかむためには、相場を把握することが重要です。基準地価や公示地価、路線価などの指標や、物件のあるエリアの情報、不動産市場の動向などをこまめにチェックしましょう。
自分一人で情報収集が難しい場合は、不動産会社に相談して有益な情報を教えてもらうのがおすすめです。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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