実家の空き家を売却する手順を解説!費用、税金、トラブル対策がポイント
実家が空き家になって活用する予定もなければ、早めの売却がおすすめです。実家を放置して劣化すると売れにくくなるため、早めの判断が重要になります。スムーズに実家の空き家を売却するために、知っておきたい手順や費用、税金などをわかりやすく解説します。ポイントを押さえておけば難しくはないので、ぜひひと通りチェックしておきましょう。
もくじ
実家の空き家売却で準備すること
空き家になった実家の売却は、売却のタイミングによって準備することが異なります。
- 親の相続が発生する前に売却する
- 相続後に売却する
ここでは、タイミングごとに必要な準備を詳しく解説します。
親の相続が発生する前に売却する
親が高齢者用施設に入所するなどの理由で空き家になった実家を売却するときは、まだ親の相続が発生していません。そのため、相続後の売却とは異なる準備が必要です。主な準備は次のとおりです。
- 代理契約であることを不動産会社に伝える
- 委任状を作成する
- 司法書士と親の面談をする
- 不用なものを親に確認しておく
項目ごとに詳しく見ていきましょう。
代理契約であることを不動産会社に伝える
高齢者施設等に入所していたり、体調などの理由で外出できなかったりして、親が自分で契約できない場合、子どもが代理人として売買契約を締結できます。仲介を依頼する不動産会社には、代理契約であることを前もって伝えておきましょう。
不動産会社によっては、媒介契約を締結するにあたって、実家の名義人である親と面談を行います。親が実家の売却を了承しているのか、意思を確認するためです。まれに子どもが親に相談せず独断で売却を進めてしまい、トラブルに発展するケースがあるのです。
また、親が売買契約や決済に同席できないと、売買契約や決済ができないことがあります。トラブルを回避してスムーズに売却を進めるために、不動産会社に事情を説明しておくことが重要です。
委任状を作成する
子どもが親の代わりに契約を行うには、親が直筆で署名した委任状が必要です。遅くとも売買契約を締結するまでに、委任状を作成しましょう。親が施設や病院などにいると、必要なときにすぐ委任状を書いてもらえないかもしれません。日数に余裕を持って用意しておけば、契約日が近くなって慌てずに済みます。どのような文面でいつまでに用意するのか、不動産会社と相談しながら準備しましょう。
司法書士と親の面談が必要である
決済時に不動産の所有権移転登記をする際、登記手続きを司法書士へ依頼するのが一般的です。決済に名義人である親が立ち会えなければ、司法書士立ち会いのもと、委任状により子どもが代理で決済手続きを行えます。
ただし、司法書士は登記手続きを行うにあたって、名義人である親と面談しなければなりません。親が自分の意思で売却を進めていることを直接確認するためです。親が施設や病院にいたり遠方に住んでいたりする場合は、司法書士と面談できるように取り計らう必要があります。
不用なものを親に確認しておく
空き家を売却するときにかかる手間や費用として、不用品の処分があります。物件の見学に来た購入希望者に好印象を持ってもらうには、室内をきれいに片付けておく必要があるのです。ところが、実家に残されているものを親が健在のうちに処分しようとすると、揉めてしまうケースが少なくありません。
長い間住んでいた家ですから、思い入れの強いものがあるのです。勝手に処分するのではなく、親と相談して本当に不要なものだけを処分するようにしましょう。
相続して売却する場合
実家を相続により取得したあとに売却する場合、次のポイントをあらかじめ確認しておくとスムーズに売却を進められます。
- 相続内容を確認する
- 相続人はできればひとりにする
- 相続登記を忘れずに済ませる
以下に詳しく解説します。
相続内容を確認する
相続が発生したら、まず相続人の数と相続財産の内容を確認します。すべてを把握するのが難しい場合は、司法書士に依頼するのがおすすめです。誰がどの財産を相続するのかを決めるには、遺言書の有無を確認しなければなりません。遺言書がある場合は、記載のとおりに分割するのが一般的です。
遺言書がないときは、相続人で話し合いを行い、遺産分割協議書を作成します。遺産分割協議書には、すべての相続財産を明記し、相続人全員の署名捺印が必要です。遺産分割協議書が作成できたら、実家の販売活動を始められます。
相続人はできればひとりにする
相続人が複数いる場合、不動産も共有して相続割合に従った持分を持ちたいと考えるかもしれません。しかし、不動産はできればひとりが相続することをおすすめします。不動産を複数人で共有すると、売却などの手続きが必要になったときに全員の合意が必要になるのです。
売買契約や決済など相続人全員で立ち会う必要があるときに、遠方に住んでいたり高齢で外出できなかったりする人がいると、手続きがスムーズに進まないことがあります。また、複数いる名義人のうち誰かと連絡が取れなくなれば、売却そのものができません。そのため、不動産は相談人のうちひとりが相続しましょう。ほかの相続人は預貯金などほかの財産で相続するか、売却した実家の売却益を分配するなどで、相続分を受け取るとよいでしょう。
相続登記を忘れずに済ませる
実家を相続したら、できるだけ早く相続登記を済ませておきましょう。令和6年4月より相続登記が義務化され、一定期間内に相続登記を行わないと罰金が科せられるようになりました。相続した実家を売却するには、売買契約までに相続登記を完了させる必要があります。また、相続税の特例を受けるのにも、相続登記が必要です。うっかり忘れてしまうことのないように、相続したらすぐに相続登記の手続きを始めましょう。
実家の空き家を売却する手順
家を売却する手順をあらかじめ知っておくと、スムーズに準備や手続きを進められます。売却の手順は、次のとおりです。
- 不動産会社に査定を依頼する
- 売り出し価格を決める
- 媒介契約を不動産会社と結ぶ
- 販売活動を始める
- 内覧、価格交渉の対応をする
- 買主と売買契約を結ぶ
- 決済・引き渡しを行う
順番に、詳しく解説します。
①不動産会社に査定を依頼する
不動産会社に査定を依頼して、実家がいくらで売却できるのかを把握します。査定方法は主に次の2種類があります。
- 机上査定
- 公的な機関が公表している地価や周辺で売却された事例、相場などをもとに、おおよその売却価格を提示する。あくまでも概算のため、実際の売却価格とは差が生じることがある
- 訪問査定
- 実際に物件を訪問して立地や土地の形状、建物の状態などを確認し、査定額を算出する。机上査定よりも、実際の売却価格に近い金額を提示できる
売りに出す前の参考にいくらで売れるか知りたいのであれば、机上査定でこと足ります。しかし、具体的に売却を進めたい場合は、訪問査定が必要です。
売却可能な価格の設定や物件の評価の差などにより、査定価格は不動産会社によって異なるのが一般的です。査定価格が相場より低いと、早期に売却できる一方で損をしてしまうおそれがあります。しかし、相場より高ければ高額で売れるかもしれませんが、売却まで時間がかかってしまうことがあります。適正な価格を見極めるためにも、複数の不動産会社に査定を依頼することをおすすめします。
②売り出し価格を決める
査定価格がわかれば、実際に売却できそうな価格の目安がわかります。その目安をもとに、売り出し価格を決めます。売り出し価格は、成約できると想定される価格より少し高めにするのが一般的です。なぜなら、購入希望者が価格交渉をして来た場合に備えて、金額に余裕を持たせたいと考えるケースが多いためです。
また、不動産の売却には費用がかかることがあるため、不動産会社と相談しながら利益と出費のバランスを取って売り出し価格を決めることが大切です。
③媒介契約を不動産会社と結ぶ
売り出し価格が決まったら、不動産会社と媒介契約を結びます。媒介契約とは、不動産取引の仲介を不動産会社に依頼する契約のことです。不動産の売買は個人でも可能ですが専門的な知識が必要で、トラブルを避けるために不動産会社へ依頼するのが一般的です。
媒介契約を結ぶと、不動産会社は売り出しから引き渡しまでの手続きを売主の代わりに行います。たとえば、物件を宣伝する広告などの販売活動、購入希望者があらわれたときの内見申し込み、売買契約の手続き、決済と引き渡しの手続きなどです。
媒介契約には「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類があります。それぞれの違いを次の表にまとめました。
一般媒介契約 | 専任媒介契約 | 専属専任媒介契約 | |
---|---|---|---|
契約できる不動産会社の数 | 複数可 | 1社 | 1社 |
自分で買主を見つけられるか | 可 | 可 | 不可 |
レインズへの登録義務の有無 | なし | 1週間以内 | 3日以内 |
活動報告の義務の有無 | なし | 2週間に一度 | 1週間に1度 |
レインズへの掲載義務の有無、販売活動の報告義務の有無など、締結する媒介契約の種類によって不動産会社の対応が異なります。どの媒介契約を選ぶかは売主の自由です。それぞれにメリットとデメリットがあるため、内容をしっかりと理解して選ぶことが大切です。
④販売活動を始める
不動産会社と媒介契約を結んだら、不動産会社は販売活動を始めます。不動産ポータルサイトや自社のWebサイトに物件を掲載したり、チラシなどで宣伝したりして購入希望者を探します。不動産会社によってどのような宣伝をするのか異なるため、媒介契約を結ぶときに確認しておきましょう。宣伝方法に希望があれば、担当の営業に相談してみましょう。どの広告媒体を使っているのかも、不動産会社を選ぶ基準になります。
専属専任媒介か専任媒介で媒介契約を結んでいる場合、レインズという不動産会社だけが見られるネットサービスへの登録が義務づけられています。レインズへ登録することにより、媒介契約を結んだ不動産会社以外の会社からも購入希望者を紹介してもらえます。
⑤内覧、価格交渉の対応をする
購入希望者から問合せがあれば、物件の内覧を行います。内覧とは購入希望者を物件へ案内して、室内や周辺を見せて詳細を説明することです。価格交渉があれば、希望を聞いて売主に相談します。ただし、売主は必ずしも価格交渉に応じる必要はありません。値下げすれば売れるかもと迷うかもしれませんが、どれくらいの価格まで交渉に応じられるかを決めておくと、迷わずに対応できるでしょう。
最初の内覧で契約が決まることもありますが、一般的には数件の内覧を経て決まることが多いです。期待し過ぎずに待つ姿勢も大切です。
⑥買主と売買契約を結ぶ
購入希望者と売買条件で合意したら、売買契約を結びます。売買契約では、売主と買主が契約条件に合意したことを証明するために、売買契約書を結んで署名捺印を行います。売主と買主がはじめて顔を合わせるのが、この契約の場です。売買契約を締結したら売主と買主は引き渡しに向けて、解体、測量、残置物の撤去、現金の準備、住宅ローンの手続きなどを行います。所有権移転登記や抵当権抹消登記に必要な書類があれば、役所などで取得します。住宅ローンの残債がある場合は、金融機関への連絡が必要です。
なお、売買契約時には、買主が売主に一定額の手付金を支払います。手付金は通常引き渡し時に売買代金に充当します。不動産会社へ仲介手数料の半額を支払う場合もあるため、前もって確認しておきましょう。
⑦決済・引き渡しを行う
引き渡しとは買主が残金を支払い、売主が物件を買主に引き渡すことです。買主は売主に残金を支払い、売主は鍵を買主に引き渡します。同時に所有権移転登記を行いますが、司法書士が決済の場で買主と売主の双方から署名捺印を取り、必要書類とともに法務局へ持ち込んで登記の手続きを行うのが一般的です。固定資産税の精算や、司法書士への手数料の支払い、不動産会社への仲介手数料の支払いなども引き渡し時に行います。物件の引き渡しを持って、取引は完了となります。
実家の空き家の売却でかかる費用
実家の空き家を売却するときにかかる、主な費用は次のとおりです。
仲介手数料 | 仲介した不動産会社へ支払う手数料 |
---|---|
測量・境界確定費用 | 土地の測量や境界設置が必要な場合に、土地家屋調査士に支払う費用 |
解体費用 | 建物の解体が必要な場合、解体業者に支払う費用 |
司法書士への報酬 | 相続、住所変更、抵当権抹消などの登記について司法書士へ支払う報酬 |
残置物の処分費用 | 実家の室内に不用品がある場合の処分費用 |
家や庭の清掃費用 | 室内や庭などにクリーニングが必要な場合の費用 |
ホームインスペクション費用 | 建物のインスペクションを行う場合の費用 |
それぞれの費用について解説します。
仲介手数料
仲介手数料とは、媒介契約を結んだ不動産会社に支払い手数料のことです。仲介手数料の上限は法律で決められており、この金額を超えて受け取ることは禁じられています。
仲介手数料=物件価格×3%+6万円+消費税
仲介手数料は、不動産会社によって支払うタイミングが異なります。引き渡し時に全額を支払う場合と、契約時と引き渡し時の2回に分けて支払う場合です。引き渡し時に支払う場合は、買主から受け取った残代金から支払えます。しかし、契約時に半額を支払う場合は自分で現金を用意する必要があるため、あらかじめ支払いのタイミングを確認しておきましょう。
測量・境界確定費用
実家を古家付き土地や更地として売却する場合、引き渡し前に売主が測量を行ってほしいと、買主から求められる場合があります。測量は通常土地家屋調査士に依頼します。中古の戸建てを売却する場合、法務局に測量図が備えつけられていれば、改めて測量を行わずに引き渡すケースは少なくありません。ただし、隣地との境界に境界標がないと、のちにトラブルになるおそれがあるため、買主から境界標の設置を求められることもあります。その場合は、土地家屋調査士に依頼して、境界標を設置してもらうことが可能です。
解体費用
建物が古い場合など、売主が解体せずに古家付き土地として売り出しても、買主から解体してほしいと求められる場合があります。価格交渉の材料とされるケースも少なくありません。解体は解体業者に依頼しますが、建物の構造、大きさなどにより費用が異なるため、見積もりを取って確認する必要があります。
解体業者のなかには、解体するときに室内の残置物を一緒に処分してくれる業者もいます。見積もりを取って比較・検討することで、解体費用と残置物費用を節約できるかもしれません。また、解体作業中に地価から井戸や建物の基礎などが見つかった場合、費用が高額になることがあるため注意しましょう。
司法書士の報酬
不動産の売買に必要な登記は自分でもできますが、専門知識が必要だったり書類が複雑だったりするため司法書士に依頼することが一般的です。報酬額は司法書士によって異なります。知人の司法書士がいれば依頼してもかまいませんが、不動産会社に依頼するケースが多いです。代理契約などで、遠方にいる親の面談へ行った場合など、交通費や出張費を請求される場合もあります。
残置物の処分費用
室内に不用品が残っている場合は、処分が必要です。自治体のゴミ処理場に自分で持ち込んでも処分できます。自分で処分が難しいものは業者に依頼すると手間をかけずに処分できます。どの方法で処分するのがお得か、よく調べてみるとよいでしょう。
家や庭の清掃費用
中古の戸建てとして売却する場合、室内がきれいだと早期に売却できる傾向があります。ハウスクリーニングはプロの業者に依頼するのもひとつの方法です。庭の雑草の草刈りなどもまめに行うとよいでしょう。
ホームインスペクションの費用
中古の戸建ての場合、近年はインスペクションを求める買主が増えてきました。ホームインスペクションは雨漏りやシロアリ、傾きなど、中古の戸建ての状態を専門の資格を持つ人が調査することです。ホームインスペクションを行うことにより、買主は安心して中古戸建てを購入できます。
ただし、ホームインスペクションは、必ずやらなければ売却できないわけではありません。ホームインスペクションには費用がかかるため、売却金額やそのほかにかかる費用と合わせてよく検討することが大切です。
実家の空き家売却にかかる税金の種類
実家の空き家を売却するときは、税金がかかります。空き家の売却でかかる主な税金は次のとおりです。
- 印紙税
- 登録免許税
- 譲渡所得税
- 相続税
ひとつずつ見ていきましょう。
印紙税
印紙税は、売買契約書に貼付して納付する税金です。税額は、契約書に記載される売買代金によって異なります。不動産の譲渡に係わる契約書の印紙税は軽減措置があります。
売買代金 | 印紙税額(軽減税率適用後) |
---|---|
500万円を超え1,000万円以下のもの | 1万円(5,000円) |
1,000万円を超え5,000万円以下のもの | 2万円(1万円) |
5,000万円を超え1億円以下のもの | 6万円(3万円) |
1億円を超え5億円以下のもの | 10万円(6万円) |
印紙税は、契約書の作成者が支払います。つまり、売主と買主がそれぞれ1部ずつ原本を保有する場合は、記載された売買代金に該当する税額をそれぞれが負担します。ただし、コピーを保有する場合は印紙税が課税されないため、支払う必要はありません。
登録免許税
登録免許税は登記にかかる税金です。相続、住所変更、所有権移転、抵当権抹消など、登記をすると登録免許税が課税されます。登録免許税の税額は、登記の内容によって異なります。決済時に司法書士の報酬と一緒に司法書士に支払い、司法書士が登記手続きのときに納めるのが一般的です。
譲渡所得税
譲渡所得税は、不動産を売却して売却益が出た場合にかかる税金です。売買代金から実家の取得費や諸費用などを差し引いたのが譲渡益で、当然ですが利益が出なければ課税されません。譲渡所得税は、不動産を所有していた期間により税率が異なります。また、特例が適用されれば、節税も可能です。高額で売却できたときには、譲渡所得税が高額になることがあるため注意が必要です。
相続税
相続税は、相続した財産に課税される税金です。不動産だけでなく、被相続人のすべての財産に対してかかります。控除などが適用される場合もあるため、相続が発生する前に売却するか相続が発生してから売却するかは、よく検討する必要があります。
実家の売却に利用できる税金の特例
実家を売却したときには、次のような税金の特例を受けられる場合があります。
- 居住用財産を譲渡した場合の3000万円の特別控除の特例(マイホーム特例)
- 住まなくなってから3年を過ぎる年の12月31日までに、居住していた不動産を売却した場合に、譲渡所得から3,000万円の控除が受けられる特例
- 被相続人の居住用財産(空き家)に係る譲渡所得の特別控除
- 相続して空き家となった実家を相続したあとに、3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却した場合に、要件に合えば譲渡所得から最高3,000万円控除できる特例
- 取得費加算の特例
- 要件に合えば譲渡所得を計算する際に、相続税額を取得費に加算できる特例
- 小規模宅地等の特例
- 実家の敷地が330㎡以下の場合、相続税を計算する基準となる土地の評価額を最大8割まで減額できる特例
それぞれに特例を受けられる要件があるため、しっかり確認しなければなりません。実家の相続や売却は、課税される税金が高額になるおそれがあります。上手に節税するために、要件をしっかり確認し、特例を受けられるように売却することが大切です。
実家の空き家売却で起こるトラブル4選
実家を売却すると、悪気がなくてもトラブルになることがあります。起こりやすいトラブルを前もって把握しておけば、スムーズに対応できるでしょう。実家の売却で考えられるトラブルは、次のとおりです。
- 隣地との境界がはっきりしない
- 兄弟や親族に売却を反対される
- 相続手続きに時間がかかる
- シロアリ、雨漏りなどで損傷している
項目ごとに詳しく解説します。
隣地との境界がはっきりしない
古い戸建ての場合、隣地との境界に境界標がなかったり、法務局に測量図がなかったりして、隣地との境界がはっきりしないことがあります。隣地の所有者にヒアリングしても、記憶があいまいではっきりしないことも多いです。測量図があれば測量を行わなくても売買は可能です。しかし、測量図がない場合は、測量を行って境界標を設置する必要があります。費用はかかりますが、そうすることで将来的なトラブルを回避できるでしょう。
兄弟や親族に売却を反対される
実家には思い出が多く、思い入れが強いものです。ひとりが売りたいと思っても、ほかの兄弟や親族が反対することも少なくありません。相続人である兄弟が売却に反対していれば、そもそも売却できません。相続人でない親族でも、反対を無視するわけにもいかないでしょう。兄弟や親族の反対にあって売却を断念する人も多いです。
思い入れのある実家を売りたくないという気持ちもわかります。時間をかけて話し合い、説得し、お互いが納得して売却できるようにしましょう。
相続手続きに時間がかかる
相続人が複数いる場合、連絡先がわからないために相続手続きが滞ってしまうケースが少なくありません。また、連絡先がわかっても、遠方にいたり多忙だったりして、相続財産の分割協議がなかなか進まないこともあります。相続手続きに時間がかかれば、販売活動を進められず、実家は空き家のまま長期間放置されてしまうでしょう。
それでも、手続きを進める行動をすることが大切です。連絡先が不明の場合でも諦めずに、司法書士などに依頼してみましょう。
シロアリ、雨漏りなどで損傷している
建物がシロアリや雨漏りなどで損傷していると、そのままでは売れない場合があります。わずかな損傷なら、修理やリフォームをして売却することも可能です。しかし、古い建物の場合、修理に高額な費用がかかり、売っても損をしてしまうかもしれません。修繕できないときは、古家付き土地で売却することをおすすめします。最終的には更地にして土地として売ることも視野に入れておくと、柔軟に対応できるでしょう。
空き家の実家が売れないときの対処法
実家を売り出してもなかなか売れないときは、どのような対処法があるのでしょうか。主に次のような売却方法を検討してみましょう。
- 隣家へ売却を相談する
- 家はそのままで古家付き土地として売却する
- 解体して土地として売却する
- 賃貸に出してオーナーチェンジとして売却する
- 不動産会社に買い取ってもらう
ひとつずつ詳しく解説します。
隣家へ売却を相談する
一般の不動産市場では売りにくい物件の場合、隣家へ買い取らないかと相談を持ちかけるのはよくあることです。隣家は隣地を買い取ることにより、敷地を広くできます。庭や駐車場を広くしたり増築したりと便利に使えますし、土地が広くなるため将来的に高額での売却を見込めます。価格次第で買い取ってくれるかもしれないため、相談してみるのもひとつの方法です。
家はそのままで古家付き土地として売却する
建物が古いと中古戸建てとして売り出しても、売却できないことがあります。耐震などに不安があったり、家の購入費用に加えてリフォーム費用がかかったりすると、購入希望者から敬遠されてしまうでしょう。そういった場合、家はそのままで古家付き土地として売り出せば、売却できる可能性が高くなります。
古家付き土地は土地として売るため、建物の古さがマイナスポイントにならず、中古戸建てより売りやすくなるでしょう。ただし、価格交渉の手段として、解体を求められることもあります。手元に残る金額をしっかり計算して、売却条件をよく検討しましょう。
解体して土地として売却する
建物が古くて使えない場合は、解体して土地として売却すると売りやすくなります。解体費用がかかりますが、早期に売却できる可能性が高くなるのがメリットです。また、更地は購入後すぐに建築できるため、購入希望者へのアピールポイントになります。解体費用をかけても、古家付き土地と比べて更地にしたほうが結果として高額で売れるチャンスがあるでしょう。
賃貸に出してオーナーチェンジとして売却する
空き家のまま中古戸建てとして売り出しても、リフォーム代がかかるなど不安材料があるために、なかなか売れない可能性があります。そのような場合は、賃貸物件として募集を行い、賃借人に貸し出してから、オーナーチェンジとして投資家に売るのも選択肢のひとつです。利回りがよければ、投資家にとって魅力的な物件になります。空き家より高額で売れることもあります。
不動産会社に買い取ってもらう
どうしても売れない場合は、不動産会社の買い取りを検討しましょう。買い取りは一般の個人ではなく、不動産会社が買主となって買い取る方法です。不動産会社の買い取りでは、残置物処分や解体、測量など面倒な手間をかけずに、そのままの状態で売却できるのがメリットです。また、売却代金に折り合いがつけば、時間をかけずに現金で買ってもらえます。ただし、仲介で売るときの売却価格よりの6~8割程度の価格になってしまうのが一般的です。
買い取りは一般の市場で売れ残ってしまうより、多少安くても早く売りたい場合におすすめです。面倒な手続きもなく、余計な費用をかけず、早期に現金で売れるため、メリットを感じる売主もいるでしょう。
実家の空き家を売るなら信頼できる不動産会社に
大切な実家の売却を託すのであれば、信頼できる不動産会社を選びたいところです。大手の不動産会社のほうが信頼できるように思えるかもしれませんが、実際には担当者個人に大きく左右されます。そのため、実家を査定してもらうときは、できるだけ多くの不動産会社に依頼しましょう。
複数の不動産会社へ査定を依頼するときは、一括査定サイトの「リビンマッチ」を利用しましょう。物件情報をいとど入力すれば、複数の不動産会社へまとめて査定を依頼できます。各社と相談すれば、信頼できる不動産会社の担当者を見つけられるでしょう。
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