土地売却で3000万円特別控除を利用するには?条件と手続きを解説
居住する不動産を売却したときには、3000万円の特別控除を利用できます。3000万円の特別控除は、住居を売却した際に利用するのが一般的ですが、一定の条件を満たせば住居を取り壊したあとの土地を売却した場合にも利用可能です。土地売却で3000万円の特別控除を利用する方法を解説します。
もくじ
土地売却でも3000万円の特別控除が利用できる
3000万円の特別控除とはマイホームを売ったときの特例のことで、正式名称は「居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例」といいます。3000万円の特別控除は「居住用財産」という名称のとおり、基本的には住宅を売却したときに利用できる控除です。しかし、一定の条件を満たす場合は、住宅を取り壊したあとに土地を売却したときでも、3000万円の特別控除を利用できます。
参照:国税庁「No.3302 マイホームを売ったときの特例」
3000万円の特別控除とは
3000万円の特別控除は一定の条件を満たす場合に、譲渡所得から最大3000万円の控除を受けられる制度です。譲渡所得は不動産の売却で得た所得のことで、次の計算式で算出できます。
課税譲渡所得金額=売却価格-(取得費+譲渡費用)-特別控除額
売却価格とは不動産を売却したときの金額のことです。取得費はその不動産を取得したときにかかった費用、譲渡費用は譲渡手続きのときにかかった費用のことで、簡単にいうと経費を指します。特別控除は譲渡所得全体から差し引かれるものなので、特別控除を利用すると譲渡所得にかかる税金を抑えられます。
参照:国税庁「No.1440 譲渡所得(土地や建物を譲渡したとき)」
土地売却で特別控除を利用する条件
3000万円の特別控除は住宅を売却したときに利用できる控除ですが、条件を満たす場合には土地の売却でも利用できます。条件を満たす場合は、土地の売却でも特別控除で譲渡所得を低く抑えることが可能です。土地売却で特別控除を利用する条件を詳しく解説します。
特別控除を利用する条件
土地売却で3000万円の特別控除を利用する条件を解説する前提として、3000万円の特別控除を利用する条件を紹介します。主な条件は次のとおりです。
- 自分がいま住んでいる住居か、住まなくなってから3年目の12月31日までに譲渡した住居であること
- 売った年、その前年および前々年(直近3年)に3000万円の特別控除、マイホームの買換えや交換の特例などの適用を受けていない(特例を利用できるのは3年に1回だけ)
- 売った家屋や敷地などが収用等の場合の特別控除などほかの特例の適用を受けていない(ほかの特例との併用はできない)
- 住居の売主と買主が、親子や夫婦などの特別な関係でない
自分が住まなくなった住居を売却するときは、3年の期間制限があること、基本的に特例の併用ができない点を特に注意してください。
土地売却で特別控除を利用できる条件
土地売却で3000万円の特別控除を利用するために、満たす必要のある条件は次のとおりです。
- 家屋を取り壊した日から1年以内にその敷地を売る契約をしている
- 家屋に住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに譲渡する
- 家屋を取り壊してから、敷地を売る契約をした日まで、貸付けそのほかの用に使用していない
たとえば、令和4年4月1日までに住んでいた住宅を令和5年4月1日に取り壊した場合、令和6年3月31日までに土地を売却する契約を締結する必要があります。また、取り壊しから1年以内に土地を売却する契約をしていても、住宅に住まなくなってから3年を経過する令和7年3月31日が属する同年12月31日までに譲渡しないときには、特別控除を利用できません。
参照:国税庁「No.3320 マイホームを取り壊した後に敷地を売ったとき」
土地売却で特別控除を利用できないケース
土地売却で特別控除を利用できる条件を前提に、利用できないケースとしては次のようなものが考えられます。
- 一時的でも駐車場として貸し出した
- 家屋の解体から1年以上が経過してしまった
併用できない特例も注意
3000万円の特別控除と併用できない特例には、次のものがあります。
- 住宅ローン控除
- マイホームの買換え特例
- マイホームの譲渡損失についての損益通算及び繰越控除の特例
なかでも特に問題になるのが、住宅ローン控除です。住宅ローン控除は、住宅ローンで自宅を購入したときに、一定期間所得税の控除を受けられる制度です。3000万円の特別控除と住宅ローン控除のどちらが得であるかは、ケースによって異なります。どちらを利用すべきか判断が難しいときには、不動産会社など専門家に相談することをおすすめします。
土地売却で3000万円の特別控除を利用する手続き
土地売却で3000万円の特別控除を利用するための手続きを解説します。
特別控除の利用には確定申告が必要
3000万円の特別控除を利用するには、土地を売却した次の年に確定申告を行う必要があります。確定申告の期間は、毎年2月16日から3月15日までです。特別控除を利用する条件を満たしている場合でも、確定申告での申請なしでは特別控除が適用されません。申請なしに確定申告の期限を過ぎたときは、特別控除を利用できなくなるおそれがあるため、申請期限には十分に注意してください。
確定申告は特別控除の利用によって、譲渡所得が0円になる場合にも必要です。たとえば、特別控除を利用する前の譲渡所得が2,000万円のケースでは、特別控除を利用すると譲渡所得が0円になります。この場合に確定申告をせずにいると特別控除が適用されず、2,000万円の譲渡所得に対する税金を負担することになってしまいます。なお、会社員で給与所得の年末調整をしている場合でも、特別控除を利用するには確定申告の手続きが必要です。
確定申告で必要になる書類
土地売却で特別控除を利用するときの確定申告では、次の書類が必要になります。
- 確定申告書
- 譲渡所得の内訳書
- 戸籍の附票
- 売却した土地の全部事項証明書
- 売買契約書の写し
- 土地を取得した費用がわかる書類の写し
- 譲渡費用にかかわる書類の写し
- 住民票の写し
確定申告のときには、土地を取得した費用がわかる書類の写しが必要です。取得費がわからなければ、譲渡所得の計算で売却価格から取得費を差し引けず、譲渡所得の額が高く計算されてしまいます。相続で取得した土地など取得費の算出が難しい場合は、税理士に相談してください。
確定申告で必要な手続き
確定申告の手続きは、税務署の窓口もしくはe-Taxによる電子申告で行います。譲渡所得の確定申告は、添付書類が多くなります。税理士に依頼せず自分で手続きをする場合は、電子申告ではなく、窓口で職員に相談して提出すると間違いを防げるでしょう。
3000万円の特別控除の計算シミュレーション
土地売却で3000万円の特別控除を利用したときの、計算をシミュレーションしてみましょう。
- 事例
- 令和5年1月1日まで住んでいた住宅を解体して、同年6月1日に敷地を売却した。住宅の解体から敷地を売却するまでの間、敷地は何にも利用していなかった
土地の所有期間 | 8年間 |
---|---|
土地の売却価格 | 6,000万円 |
土地の取得費 | 2,000万円 |
譲渡費用 | 500万円 |
この事例での譲渡所得は、次のとおりです。
6,000万円-(2000万円+500万円)=3,500万円
8年間所有していた土地を譲渡した場合には、「長期譲渡所得」の税率(20.315%)が適用されます。3,500万円の譲渡所得にかかる税金は、711万250円です。これに、3000万円の特別控除を適用した場合、譲渡所得は500万円になります。
500万円の譲渡所得にかかる税金は、101万5,750円です。このように、3000万円の特別控除が適用されるか否かで、譲渡所得にかかる税金には大きな差が生じます。土地を売却するときは、3000万円の特別控除が利用できるかどうか、よく確認しておきましょう。
土地の売却は不動産会社選びが大事
土地の売却で3000万円の特別控除を利用したいときは、サポートのしっかりした不動産会社を選びましょう。不動産会社によって得意な分野が異なるため、土地売却を得意としている会社がおすすめです。そのため、複数の不動産会社を比較して、売主に親身になってくれる会社を見つけてください。
不動産会社を比較するなら、一括査定サイトの「リビンマッチ」を利用してみましょう。土地の情報を一度入力するだけで、複数の不動産会社へ査定を依頼できます。それぞれの不動産会社の対応を比べて信頼できる会社と媒介契約を結べば、スムーズに土地の売却を進められるでしょう。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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