土地の時価とは?評価のポイントと価格を簡単に調べる方法
土地の価格が上昇している、下落しているといったニュースを耳にすると、所有している土地がいまいくらになっているのか気になるかもしれません。ところが、土地の価格にはいくつもの種類があり、どれを確認すればよいのかわかりにくいのが実情です。土地の時価を知るには、どうすればよいのでしょうか。いまの土地の価格を知る方法を紹介します。
もくじ
土地の時価とは実勢価格のこと
土地の「時価」とは、実際に売買が成立した価格(成約価格)のことで「実勢価格」とほぼ同義です。時価は売主の事情や社会情勢、需要の有無などの影響を受けて変動するため、必ずしも時価=相場価格とは限りません。
土地の査定をするときは、類似する土地の時価(成約価格)を参考にすることがありますが、極端に高いもしくは安い価格(成約事例)は参考程度にとどめます。取引事例が少ない場合は相場価格とかけ離れた価格である可能性が高いためです。土地の価格について、もう少し詳しく解説します。
土地の価格は4種類!
土地の価格には以下の4種類があります。
- 実勢価格
- 公示地価
- 固定資産税評価額
- 相続税路線価
ひとつの土地に4つの価格があることから「一物四価」と呼ばれています。それぞれの価格は、視点や評価基準が違い、用途も異なります。
土地の時価を決める評価のポイント
土地の時価(実勢価格)には、さまざまな要素が影響します。同じ生活圏内であっても、土地の特徴や状況・条件によって土地の価格は異なります。代表的ともいえる要素について解説します。
立地
土地の価格は最寄り駅や、商業施設からの距離が影響します。利便性のよい立地は需要が高く、土地の価格も相対的に高くなるためです。また、駅やスーパーだけでなく、小中学校や病院、公共施設などが近くにあることもプラス評価となります。
形状
土地は正方形や長方形など、整形地がもっとも評価が高くなります。プランどおり建築しやすく駐車スペースも確保しやすいため、無駄なスペースが生まれにくいのもメリットです。逆に三角形の土地や細長い土地、間口が狭く奥が広い旗竿地は、面積のわりに利用価値が低く、その分評価が低くなります。
用途地域
土地は定められた用途地域によって、建ぺい率や容積率や建物の用途が制限されます。全部で13の用途地域があり、大きくは住居系、商業系、工業系に分類できます。閑静な住宅地を希望する人には、高層ビルや大規模商業施設が建てられない住宅系の用途地域がおすすめです。しかし、土地の評価という面でいえば、高層の建物が建てられる商業系や、住居系でも中高層の建物が建築できる用途地域のほうが評価は高くなる傾向があります。
参考:国土交通省近畿地方整備局「用途地域」
周辺環境
土地の評価は、周辺環境が影響します。都市部でも大きな公園が近くにある環境は人気があり、需要の高さが価格に反映されます。一方でゴミの焼却施設や下水処理場、墓地、高圧線の鉄塔など、いわゆる嫌悪施設が近くにあることで、土地の評価が低くなる傾向があります。
近隣取引価格
土地の売り出し価格を決めるとき、通常は不動産会社に査定を依頼します。査定価格は近隣の取引価格を参考にすることが多く、近隣の成約事例が土地の評価に影響します。
社会情勢・経済状況
不動産価格は社会情勢や経済状況の影響を受けやすく、需要の高まりによっても価格が上昇することがあります。売却するタイミングによっては土地の価格が変動することもあるため、売り出す時期の見極めも重要です。
土地の広さ
同じような立地であったとしても、土地の広さが価格に影響します。比較的手ごろなサイズはニーズが高く、坪単価が割高に評価されることが多いです。逆に広すぎる土地は坪単価が安くても総額が高くなるため、一般消費者への売却が難しくなるでしょう。建売業者や賃貸マンション用地として不動産会社へ売却するケースが多く、坪単価が比較的安く評価されることもあります。
角地・道路づけ
角地の土地は日当たりや通風がよいため土地の条件として希望する人が多く、土地の評価が高くなります。また、角地に限らず、日当たりのよい南道路も人気があり、北道路に比べて高く評されます。ほかにも建物プランの自由度が高い、広い間口もプラスの要因として挙げられます。
土地の価値がわかる4つの評価
実勢価格のほかに、公示地価、固定資産税評価額、相続税路線価があります。それぞれどのような価格なのか解説します。
実勢価格
実勢価格とは、実際に不動産が取引された価格のことで、時価と呼ぶこともあります。売主の事情によって売り出し価格が設定されることも多く、早期に売却したいときは、相場よりも低めに設定されることがあります。土地ごとにそれぞれ条件が違うこともあり、相場価格と大きく異なることもあります。
公示地価
公示地価とは地価公示法に基づいて国土交通省の土地鑑定委員会が公示する価格のことです。毎年1月1日時点における標準地の価格を3月に公表しています。公示地価は一般消費者にとって土地取引の指標となり、不動産鑑定士による不動産鑑定の基準にもなります。また、公共事業用地を取得するときの価格や、固定資産税評価の基準ともなる価格です。
公示地価(地価公示)は、国土交通省の「不動産ライブラリ 国土交通省地価公示・都道府県地価調査の検索」で調べられます。
固定資産税評価額
固定資産税評価額とは、固定資産税を課税する際に基準となる価格のことです。3年に1度価格の見直し(評価替え)が行われます。固定資産税評価額は、公示価格の70%程度で設定されています。正確な価格(評価額)は、毎年4~6月に市町村(東京23区は都税事務所)から送られてくる固定資産税納税通知書や、市区町村に保管されている固定資産課税台帳で確認できます。
相続税評価額
相続税評価額とは、相続税や贈与税を算出する際に基準となる価格です。毎年1月1日時点の価格を、国税庁が7月に公表しています。公示価格の80%で設定されおり、相続税の計算方法には路線価方式と倍率方式があります。路線価が定められている地域は「路線価×補正率×地積」で計算し、路線価が定められていない地域は、地域ごとに定められた倍率を利用し「固定資産税評価額×倍率」で計算します。路線価や倍率は、国税庁のWebサイト「財産標準基準書 路線価図・評価倍率表」で調べられます。
土地の時価を自分で調べる方法
土地の時価を知りたい場合、どのような調べ方があるのでしょうか。最後に土地の時価を調べる方法を解説します。それぞれのメリットとデメリットも合わせて紹介するので、時価を知りたい人はぜひ参考にしてください。
インターネットで調べる
土地の価格は、比較的簡単にインターネットでも調べられます。24時間365日いつでも検索でき、個人情報を入力する必要もないため、とりあえず土地がどのくらいの価格で売れるのか知りたい人におすすめです。たとえば、不動産ポータルサイトで土地情報を検索し、類似物件と比較することで、ある程度土地の時価を想定できます。しかし、実際に成約にいたった価格までは調べることはできません。
実際に取引された価格(成約価格)を調べるのであれば、次のWebサイトをご利用ください。
- REINS Market Information
- 国土交通省が指定する不動産流通機構(レインズ)が管理・運営しているWebサイト。実際に取引された不動産の価格を一般消費者へ提供する
- 不動産情報ライブラリ
- 国土交通省が不動産に関する情報を提供しているWebサイト。不動産の取引価格のほか、公示価格や都市計画情報など、不動産に関する情報も調べられる
メリット
- 類似する土地の成約価格を把握できる
- 会員登録の必要がなく、個人情報が流出する心配がない
デメリット
- 土地の条件によっては類似物件が少ない
- 自分で調べなければならず、時価の想定が難しい
不動産鑑定士に依頼する
時価を正しく調べる方法として、不動産鑑定士に不動産鑑定を依頼する方法があります。不動産鑑定とは不動産鑑定士が不動産の適正価格を算定することを意味し、国家資格を持つ不動産鑑定士の独占業務です。
不動産鑑定には公的な証明力があり、公示地価の算定にも利用されています。土地の広さや条件、依頼先によって異なりますが、不動産鑑定を依頼するのに通常20~50万円かかります。正確な時価を知るには有効な手段といえますが、高額な費用がかかるため、よく検討したうえで依頼しましょう。
メリット
- 信頼できる時価がわかる
- 公的証明力があり、裁判資料として利用できる
デメリット
- 比較的高額な費用がかかる
- 不動産鑑定書を手にするまでに時間がかかる
不動産会社に査定を依頼する
土地の時価を知りたいのであれば、不動産会社へ不動産査定を依頼しましょう。無料で査定を依頼でき、必ずしも売却する必要はありません。まだ売却するかどうか迷っている人も、安心して依頼できます。不動産会社の査定には「匿名査定・AI査定」「机上査定」「訪問査定」の3つがあり、希望や条件に合わせて査定方法を選べます。
匿名査定・AI査定
匿名査定やAI査定は個人情報を伝える必要がなく、査定価格の算出に時間がかからないため、とりあえず簡単に時価を知りたいときに便利です。
メリット
- 個人情報を伝える必要がない
- 比較的早く査定価格がわかる
デメリット
- 机上査定や訪問査定に比べて精度が低い
机上査定
不動産会社の担当者が、番地や面積など土地の情報だけで査定する方法です。現地調査を必要としないため、なるべく早く査定価格を知りたい人に向いています。
メリット
- 現地調査が不要で早く査定価格がわかる
- 匿名査定やAI査定に比べて精度が高い
デメリット
- 訪問査定に比べて精度が低い
- 売却する場合は訪問査定が必要になるため、二度手間になる
訪問査定
不動産会社の担当者が実際に現地を調査し、立地や条件だけでなく、周辺環境も含めて調査する方法です。匿名査定や机上調査に比べて時間がかかるものの、より精度が高い査定になります。不動産を売却する場合は、訪問査定をおすすめします。
メリット
- 匿名査定・AI査定、机上査定に比べて精度が高い
- 周辺環境なども含めて査定してもらえる
デメリット
- ほかの査定に比べて査定価格を知るまでに時間がかかる
- 現地調査を行うため、場合によっては立会いが必要になる
複数の不動産会社に査定してもらう
不動産会社に査定を受けたとしても、査定価格はその不動産会社が想定している価格に過ぎません。そのため、ほかの不動産会社にも査定を依頼すると、大きく査定価格が異なることがあります。不動産市場の需要の高さ、土地のある地域の評価など、不動産会社によって判断が分かれるためです。
正確な土地の時価を知るのであれば、複数の不動産会社に査定を依頼しましょう。複数社に査定を依頼するときは、一括査定サイト「リビンマッチ」が便利です。土地の情報を一度入力するだけで、複数の不動産会社へ査定を依頼できます。所有する土地の時間を知り、売却を検討するのであれば、リビンマッチをご利用ください。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
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運営会社:リビン・テクノロジーズ株式会社(東京証券取引所グロース市場)
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