ハザードマップに載っている土地は売れない?それでも成功する土地売却の方法
土地を売りたいものの、ハザードマップの浸水想定区域に含まれていると、売れないかも、安く買いたたかれるかも、と不安に思う人もいるでしょう。しかし、実際にはハザードマップで浸水想定区域に指定されていたとしても、それほど価格には影響しません。土地の売却を成功させるために、ハザードマップと土地価格の関係などをわかりやすく解説します。
もくじ
ハザードマップの浸水想定区域に含まれても土地は売れる
ハザードマップの浸水想定区域に含まれている土地でも、売ることが可能です。災害の危険性があることを理由に土地の評価が下がることはなく、問題なく売却できます。とはいえ、ハザードマップの浸水想定区域に含まれていることで、注意しなければならない点もあります。ハザードマップの意味を正しく理解したうえで、売却を進めていく必要があります。
ハザードマップに載っている土地が売れる理由
土地がハザードマップの浸水想定区域に含まれていても、売却できるのはなぜでしょうか。ここでは、ハザードマップの影響を受けずに、土地を売却できる理由を詳しく解説します。売却できる理由を理解することが、ハザードマップで災害の危険性がある土地の売却の成功へとつながるでしょう。
土地の評価にハザードマップは影響しない
そもそも土地がハザードマップの浸水想定区域に含まれていても、土地の価格には影響しません。土地の価格を決める基準は、路線価や地価公示など公的な機関から公表された価格と、周辺で過去に成約した土地の価格です。公的な機関から公表される価格は、不動産鑑定士という資格を持つ人が検討しており、災害のリスクも想定したうえで価格を決めています。その価格に、土地の形状や広さ、立地、利便性などを加味して、実際に売却する価格を決めます。
そのため、売り出す土地の価格を決めるときに、ハザードマップは影響しません。不動産会社に査定を依頼する場合も、ハザードマップの浸水想定区域に含まれているからといって、査定価格は下がらないのです。ハザードマップを気にして、土地が売れないと心配する必要はないといえるでしょう。
そもそも災害に遭わない土地はない
日本国内で災害に遭わない土地はないといえるほど、日本は災害が多い国です。浸水、洪水、土砂崩れなどを避けられても、いずれ地震や台風など別の被害に遭うリスクがあります。日本国内で災害に遭わない土地を探すのは困難でしょう。そのため、いまハザードマップで浸水想定区域に入っていなくても、将来的に含まれる場合があります。
買主は日本で土地を探すなら、災害に遭うリスクがゼロではないことを理解したうえで土地を購入しなければなりません。ハザードマップに掲載されていたとしても、土地を売却するにあたってハザードマップがあることを過度に気にする必要はありません。
ただし買主次第で価格が変動することもある
ハザードマップで浸水想定区域だったとしても必ず土地の価格が変わらない、評価にまったく影響しないとはいえません。なぜなら、土地の売却価格は、最終的には買主と売主の合意で決まるためです。不安要素があれば、買主が値下げの交渉をしてくることも考えられます。土地の評価自体は下がらなくても、実際の売却価格が下がることがあるのです。
ハザードマップを気にしすぎる必要はありませんが、売却するときの心構えとして、買主次第で価格が下がることがあると理解しておく必要があります。
ハザードマップとは?
そもそもハザードマップとは、被災が想定される区域や避難場所・避難経路など、防災関連の施設を示した地図のことです。ハザードマップは市区町村ごとに作成され、洪水や土砂災害などの被害に遭うと想定される区域が、ひと目でわかるように色づけされています。ハザードマップにはいくつかの種類があり、市町村のWebサイトやハザードマップポータルサイトで簡単に見られます。
ハザードマップの種類
ハザードマップは災害の種類ごとに分けて作成されています。ハザードマップの主な種類は、次のとおりです。
- 洪水ハザードマップ
- 内水(雨水出水)ハザードマップ
- 高潮ハザードマップ
- 津波ハザードマップ
- 土砂災害ハザードマップ
- 地震(ゆれやすさ)ハザードマップ
- 火山ハザードマップ
- 宅地ハザードマップ
これら以外にも、市町村が独自にシミュレーションしたハザードマップを作成していることもあります。
ハザードマップの調べ方
近年、ハザードマップはインターネットで簡単に調べられるようになりました。たとえば、多くの市町村のWebサイトには、ハザードマップを見られるリンクが貼られています。市町村が作成しているハザードマップを、リンクをクリックするだけで簡単に見られるのです。
国土交通省と国土地理院が提供している「ハザードマップポータルサイト」は、全国のハザードマップを検索して調べられるサイトです。インターネット環境とパソコンやスマートフォンがあれば誰でも簡単に見られるので、自身が所有している土地がハザードマップの想定浸水区域に含まれているかどうかを自分で調べられます。
ハザードマップで知っておきたい注意点
近年はハザードマップが身近になってきており、誰でも簡単に調べられるようになりました。ただし、ハザードマップを調べる際には、知っておくべき注意点を把握することが大切です。不動産を売買するうえで、ハザードマップで注意すべき点は、主に次のとおりです。
- 不動産売買ではハザードマップの説明義務がある
- 自然災害による売主の賠償責任はない
- ハザードマップは変更・更新される
それぞれ詳しく見ていきましょう。
不動産売買ではハザードマップの説明義務がある
近年の自然災害の増加により、令和2年7月に宅地建物取引業法の一部が改正されました。不動産の売買契約時に交付される重要事項説明書には、水防法に基づく水害ハザードマップの有無と対象物件の位置を記載することが義務づけられ、令和2年8月28日に施行されています。そのため、買おうとしている土地がハザードマップの浸水想定区域に含まれているかいないかを知らずに、売買されることはありません。
水防法に基づくハザードマップの注意点
ハザードマップの重要事項説明において、気をつけるべきなのは水防法です。洪水・内水(雨水出水)・高潮の「水害ハザードマップ」には、水防法に基づいて作成されたものとそうでないものがあります。
- 水防法に基づいた水害ハザードマップ
- 水防法に基づいて都道府県知事が作成した浸水想定区域に、市町村が水防法で規定する避難経路や避難場所などの情報を加えたもの
- 水防法に基づかない水害ハザードマップ
- 都道府県知事が作成した浸水想定区域だけで、市町村が避難場所や避難経路などの情報がないもの、都道府県知事の浸水想定区域の指定がない地域のもの、市町村が独自のシミュレーションに基づいて作成したもの
重要事項説明が義務づけられているのは、水防法に基づくハザードマップです。水防法に基づかないハザードマップは、説明の義務がありません。しかし、水防法に基づかない水害ハザードマップしか作成されていない地域でも、重要事項説明時にハザードマップを添付して説明することで、ハザードマップへの理解を深め、買主が安心して土地を購入する手助けになります。ハザードマップは水防法に基づいていなくても、買主に提示して説明するとよいでしょう。
自然災害による売主の賠償責任はない
売買した不動産に期待したように使えないほどの欠陥があり、売主に過失があった場合に、売主が責任を負うことを契約不適合責任といいます。しかし、もし自然災害があったとしても、そこに売主の責任はなく、契約不適合責任には問われません。自然災害は誰にも予測できないため、売主に過失があるとはいえないためです。たとえば「地震が発生したために売買契約を締結していた土地を引き渡せなくなった」という場合などが該当します。
ハザードマップは変更・更新される
ハザードマップは、一度できあがったら完成というはありません。自然災害は常に発生するリスクがあり、発生するたびに想定外の被害が起こり得ます。災害があれば、その結果を反映してハザードマップは変更・更新されます。最新の情報に更新されていくことで、ハザードマップが防災の役割を果たせるのです。
そのため、重要事項説明時にハザードマップの浸水想定区域に含まれていなくても、将来的に含まれることがあります。いま浸水地域に含まれていないから将来にわたって安心、ということでないことを理解しておきましょう。
ハザードマップに掲載された土地売却を成功させるには
ハザードマップの想定浸水区域に含まれていても、土地は問題なく売却できます。ただし、近年災害がクローズアップされる機会が増えたことにより、不動産の購入にあたってハザードマップを気にする買主が増えてきました。そのために、売却できるまでに時間がかかったり価格を下げなければならなかったりすることがあります。
そのため、ハザードマップで想定浸水区域内に含まれている土地の売却を成功させるには、ポイントを押さえて買主の気持ちを理解する必要があります。土地売却で押さえておきたいポイントを見ていきましょう。
過去の浸水被害は正直に告知する
水防法に基づく水害ハザードマップは、売買契約時の重要事項説明が義務づけられています。とはいえ、それ以外のことを説明しなくてもよいというわけではありません。特に、過去に実際に浸水被害があった場合は、正直に告知することが重要です。売却する土地だけでなく、近隣に被害があった場合でも、そのように伝えましょう。
浸水被害があったと知ると、買主が不安に感じるかもしれません。しかし、知ることにより対策を立てて、今後の災害に備えることが可能になります。そして、正直に伝えておかなければ、将来的にトラブルになるおそれもあります。過去の浸水被害は、周辺の被害も含め、ありのままを伝えましょう。
災害に遭った土地は売れにくいことも
とはいえ、災害に遭った土地だと売却しにくいのも事実です。特に災害に遭ってから年数が経っていないと、災害の記憶も新しく、買主が購入をためらうかもしれません。だからといって、災害に遭った土地が必ずしも価格が下がるとはいえません。実際に、多摩川の氾濫があっても地価が下がらず、むしろ上がったという例もあります。災害に遭ったことにより、自治体の防災対策が進み、将来的に再び被害に遭う危険が少なくなったと思われたためです。
売却価格は買主と売主の意思により決まります。災害に遭ったために売れにくいとしても、市場の反応を見ながら、売却活動を進めていくことがポイントです。
もし売れなければ不動産買取も視野に
一般の不動産市場でどうしても売れなかった場合には、買取という方法があります。買取とは個人の買主ではなく、不動産会社に土地を買い取ってもらうことです。買主を探さずに不動産会社に買ってもらうことで、スピーディに手放すことが可能です。売却価格は個人の買主に売却するよりも安くなりますが、時間と手間をかけずに売却できるメリットがあります。ハザードマップの浸水想定区域に含まれていても、それをわかったうえで買い取ってもらえるので、売れ残りを心配する必要がありません。
長い期間買主が見つからないと、物件情報が市場に出たまま時間が経ち、売れ残っている印象を与えてしまうおそれもあります。早めに買取を検討することで、スムーズに売却できるでしょう。
一括査定サイトで不動産会社を比較する
1社にだけ土地の売却を相談していても、その不動産会社の意見が正しいとは限りません。不動産はさまざまな視点から見る必要があるため、別の不動産会社の意見を参考にすることも大切なのです。ハザードマップで浸水想定区域だったとしても人気エリアであったら、気にせずに販売活動を進めたほうがよいという判断もあるでしょう。
複数の不動産会社に相談するなら、一括査定サイトの「リビンマッチ」を利用しましょう。一度の入力で複数の不動産会社から査定を受けられるため、各社の評価を聞くことが可能です。土地の売却で悩んでいるなら、まずはリビンマッチを利用して不動産会社に相談してください。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
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