土地の所有者は無料で調べられる?調べ方と注意点をわかりやすく解説!
さまざまな理由から、土地の所有者に連絡を取りたいことがあります。土地を購入したい、境界を確定したい、ゴミが放置されていて迷惑を受けているなど、人によって理由はさまざまです。
まずは土地の所有者を無料で知りたいところですが、そんな方法があるのでしょうか。土地の所有者を調べる方法を、無料と有料を合わせて紹介します。
もくじ
土地の所有者を無料で調べられる?
土地の所有者を正確に調べられるのは、公式な方法以外にありません。公式な方法とは、次のふたつです。
- 法務局で登記事項証明書を取得する
- インターネットで登記情報提供サービスを利用する
ただし、これらの公式な方法には費用がかかります。つまり、土地の所有者は無料で調べられないことになります。
たとえば、その土地の近隣の人へ尋ねれば、費用はかかりません。しかし、あくまでご近所さんの話であり、私見や記憶違いがある場合もあります。正確な情報かどうかは不明なため、最終的には公式な方法を利用し、費用をかけて正確な情報を調べなければなりません。
土地の所有者を調べるのにかかる費用
土地所有者を調べる公式な方法として登記事項証明書の取得があり、これには費用がかかります。登記事項証明書を取得する方法によって、次のようにかかる費用が異なります。
窓口で請求する | 600円 |
---|---|
オンラインで請求して郵送で受け取る | 500円 |
オンラインで請求して窓口で受け取る | 480円 |
窓口で閲覧する | 450円 |
参考:法務省「登記手数料について」
全部事項証明書 | 331円 |
---|---|
所有者事項の情報 | 141円 |
参考:登記情報提供サービス「サービス概要/料金について」
たとえば、土地1筆と建物1棟からなる一戸建ての登記事項証明書を取得する場合にかかる費用は、次の計算のとおりです。
窓口で請求する | 土地600円+建物600円=1,200円 |
---|---|
オンライン請求で郵送受取を利用する | 土地500円+建物500円=1,000円 |
オンライン請求で窓口受取を利用する | 土地480円+建物480円=960円 |
登記情報提供サービスで全部事項証明書を取得する | 土地331円+建物331円=662円 |
登記情報提供サービスで所有者事項を取得する | 土地141円+建物141円=282円 |
このように、公式な方法で土地の所有者を調べるには、数百円から数千円の費用がかかります。取得方法によって費用が異なるため、近隣に法務局があるか、インターネットを利用できる環境があるかなどから自身に合った方法で取得しましょう。
土地の所有者を調べる方法
土地の所有者を調べるにはいくつかの方法があります。土地所有者を調べる主な方法は、次のとおりです。
- 法務局で登記事項証明書を取得する
- 登記情報提供サービスを利用する
- 近所の人に聞く
- 不動産会社に依頼する
- 司法書士に依頼する
それぞれを詳しく解説します。
登記事項証明書を取得する
登記事項証明書とは、土地や建物が登記されている内容を証明する書類のことです。土地なら1筆、建物なら1棟ごとに1通の証明書が発行され、法務局で申請すると取得できます。書面で受け取るのではなく、閲覧のみも可能です。
登記事項証明書には、次の事項が記載されています。
- 土地の所在地や面積、地目など
- 建物の所在や構造、逐年月日、面積など
- 所有者の氏名と住所
- 抵当権など土地や建物に設定されている権利の内容など
登記事項証明書はその土地や建物に権利関係がない他人でも、取得や閲覧が可能です。そのため、誰でも土地の所有者の氏名や住所を知ることが可能です。
登記事項証明書を取得するには、次の3つの方法があります。
- 法務局の窓口で請求する(書面請求)
- オンラインで請求して郵送で受け取る(オンライン請求・送付)
- オンラインで請求して窓口で受け取る(オンライン請求・窓口交付)
窓口で取得する場合は、法務局へ出向く必要があります。オンライン請求の場合は、登記・供託オンライン申請システムのWebサイトから必要事項を入力して請求できるので自宅からでも申請が可能です。いずれの方法も、調べたい土地の所在地(市区町村、丁目、地番、家屋番号)を記入して申請します。内容は同じなので、自身が取得しやすい方法を選ぶとよいでしょう。
必要なもの
登記事項証明書の取得に必要なものは、調べたい土地の地番と取得費用です。印鑑などは必要ありません。
かかる費用
登記事項証明書の取得には費用がかかります。取得費用と支払方法をまとめると、次の表のとおりです。
取得方法 | 取得費用(円) | 支払方法 |
---|---|---|
窓口で請求する | 600 | 法務局で取得費用分の印紙を購入し、申請書に貼付する |
オンラインで請求して郵送で受け取る | 500 |
|
オンラインで請求して窓口で受け取る | 480 |
|
窓口で閲覧する | 450 | 法務局で取得費用分の印紙を購入し、申請書に貼付する |
参考:法務省「オンラインによる登記事項証明書等の交付請求(不動産登記関係)について」
取得方法により費用と支払方法が異なりますので、申請するときは注意しましょう。
登記情報提供サービスを利用する
登記情報提供サービスは法務局が保有する登記情報を、インターネットを利用して確認できるサービスです。法務局で取得できる登記事項証明書と同じ内容を、法務局に行かなくてもパソコンの画面上で確認できます。PDFでダウンロードできるため、パソコンに保存したり印刷したりも可能です。
ただし、登記事項証明書のように、公的な証明書としての利用はできません。証明書として利用したい場合は、法務局で登記事項証明書を取得する必要があります。登記情報提供サービスでも土地所有者の氏名や住所はわかりますので、所有者を知りたいだけなら登記情報提供サービスで事足りるでしょう。
必要なもの
登記情報提供サービスはインターネットで利用するため、インターネットの利用できる環境とパソコン、および料金を支払うクレジットカードが必要です。
かかる費用
登記情報提供サービスで登記情報を取得するには、取得費用がかかります。支払方法はクレジットカードによる引き落としです。
取得方法 | 取得費用(円) | 支払方法 |
---|---|---|
全部事項証明書 | 331 | クレジットカードによる引き落とし |
所有者事項の情報 | 141 | クレジットカードによる引き落とし |
参考:登記情報提供サービス「サービス概要/料金について」
登記情報提供サービスを個人で利用する場合、登録した日のみ利用できる「一次利用」と、継続的に何度も利用できる「個人利用」があります。個人利用の場合は、事前に利用申込が必要となり、登録時に330円の登録料が必要です。一度だけの利用であれば、一次利用でよいでしょう。
近隣の人に聞く
無料で土地所有者を調べるには、近隣の居住者に聞く方法があります。土地所有者が居住中に近所づきあいをしていた人がいれば、所有者の情報を教えてもらえるかもしれません。
しかし、所有者が引っ越してから年数が経っていたり、引っ越し先を知らなかったりして、正確な情報を知らないことも多いです。知っていても教えてくれない人もいます。近隣で聞き込みをしている噂から誤解が生じて、土地所有者とのトラブルに発展するおそれもあるため注意しましょう。
不動産会社に依頼する
土地所有者の調べ方として、不動産会社に依頼するのもひとつの方法です。不動産会社へ依頼するときは費用がかかるか確認が必要なものの、不動産のプロですから法務局やインターネット、近隣の聞き込みなどで、土地所有者の正確な情報を調べてくれます。土地の購入を前提として調査を依頼すれば、契約が成立するまでは手数料がかからない場合もあります。
ただし、土地所有者がわかったとしても、連絡を取るのは不動産会社であり、所有者の氏名や住所を教えてもらえないおそれがあります。土地の購入を個人的に持ちかけたいのであれば、不動産会社に依頼するより自分で法務局に行くほうが簡単に調べられるでしょう。
司法書士に依頼する
「親から土地を相続したけれど、実際の名義が誰なのかはっきりしない」など、土地の登記に関係して所有者を確認したい場合は、司法書士に依頼できます。司法書士は登記のプロであり、所有者の確認から登記手続きまでを一貫して行なってくれます。
ただし、司法書士に依頼すると、報酬の支払が発生します。司法書士の報酬は自分で法務局に行くよりも高額な場合が多いため、土地所有者の情報を知りたいだけなら、司法書士に依頼する必要はありません。
土地の所有者と連絡を取るには
土地の所有者が明らかになったら、どのように連絡を取ればよいのでしょうか。土地を購入したいケースとそれ以外のケースで、連絡方法は異なります。それぞれのケースごとに解説します。
土地を購入したいケース
土地を購入したいケースでは「不動産会社に依頼する」方法と「自分で手紙を出す」方法があります。それぞれを詳しく見ていきましょう。
不動産会社などに依頼する
土地を購入したい場合は、不動産会社に依頼するのがおすすめです。土地所有者に連絡がとれても、売却の意思があるかわかりません。不動産会社なら専門の知識と豊富な経験があり、売却に向けた交渉にも長けています。
また、土地の売買には専門的な知識が必要です。購入後のトラブルを避けるためにも、売買契約を結ぶときには不動産会社に仲介してもらうことをおすすめします。土地所有者との交渉から契約、引き渡しまで、一貫して不動産会社に依頼すれば、スムーズに話を進められるでしょう。
手紙を出す
土地所有者に直接連絡を取りたい場合は、手紙を出すのが手間のかからない方法です。土地所有者の氏名や住所がわかっても、電話番号がわからないことは多いため、土地を購入したい理由などを書いて手紙を出しましょう。
ただし、土地所有者と直接連絡を取ると、感情が入ってトラブルになるリスクもあります。たとえば、売却の意思がないのにいままでに何度も売って欲しいと連絡がきていてうんざりしているなど、知らない人から連絡が来るだけで嫌がる人もいます。手紙を送っても読んでもらえないことがあることを理解しておくことが大切です。
それ以外のケース
土地を購入したい場合以外にも、土地の所有者に連絡を取りたいケースがあります。たとえば、隣接する土地の管理が悪くて対応をお願いしたい場合などです。土地がどのような用途に使われているかによって、依頼先は異なります。
駐車場として利用されている土地なら管理会社に連絡すると対応してもらえます。空き地で「管理地」と看板が立っていれば、看板に書いてある管理先の不動産会社などが連絡先です。ゴミがあふれているなど周辺環境に悪影響がある場合は、役所に相談するのも方法のひとつです。
土地の価格を調べる方法
土地の購入を前提に土地所有者を調べるときは、土地の価格を前もって知っておくことが大切です。連絡が取れたあとの交渉の材料としても役立ちます。土地の価格を調べるには、主に次の方法があります。
- 不動産ポータルサイトで調べる
- 不動産会社に相談する
それぞれを詳しく見ていきましょう。
不動産ポータルサイトで調べる
不動産のポータルサイトには、現在販売中の物件の情報が掲載されています。調べたい土地の近隣の土地が現在いくらで売り出されているのかを検索すれば、おおよその目安がわかるでしょう。
また、ポータルサイトのなかには、土地の相場や過去の売却事例を検索できるサービスを提供しているサイトもあります。そのようなサービスを利用すれば、実際に売却可能な金額やおおよその相場を把握できます。料金をかけずに手軽に調べられるのもメリットです。
不動産会社に相談する
不動産会社に相談すれば、より正確で詳しい価格がわかります。「購入するとすれば、いくらくらいの価格になりますか?」と尋ねれば、過去の成約事例や相場などから、おおよその価格を算出してもらえるでしょう。
所有者と連絡がとれたあと、実際に売却の交渉をするときの材料としても、不動産会社で算出してもらった土地価格は役に立ちます。購入したいと話をもちかけても、相場とかけ離れた金額を提示すれば話を聞いてすらもらえないかもしれません。現実的な金額を提示することにより、売却を具体的に検討してもらえる可能性が出てきます。交渉を進めるうえで、売却可能な金額を把握できていることが重要です。
土地の所有者を調べるときの注意点
土地の所有者を調べるときに注意すべきポイントには、次のものがあります。
- 正確な地番情報を把握する必要がある
- 土地の所有者が最新情報とは限らない
- 登記情報には住所しか載っていない
- 複数人で所有していることがある
- 土地と建物の所有者が異なる場合がある
- 住宅地図の氏名は所有者とは限らない
- 近所に聞くとトラブルになるおそれがある
それぞれ詳しく見ていきましょう。
正確な地番情報を把握する必要がある
登記情報を取得するには、土地の正確な地番が必要です。郵便を出すときに使用している住居表示ではありません。地方公共団体(自治体)によって地番と住居表示が同じ地域もありますが、異なる地域がほとんどです。登記情報を調べる前に、まずは地番を調べましょう。
土地の地番は、次の方法で調べられます。
- ブルーマップを法務局で閲覧する
- 登記情報提供サービスの地番検索サービスを利用する
- 法務局に電話で問い合わせる
法務局には冊子のブルーマップ※が備え付けられていますので、そこで地番を調べられます。コピーは取れないため、メモ用紙と筆記用具を持参しましょう。
登記情報提供サービスにある「地番検索サービス」でも地番を調べられます。登記情報を取得する際に地番も検索できるため、もっとも手軽に調べられる方法でしょう。ただし、利用するには「一次利用」または「個人利用」の登録が必要です。
また、法務局に電話で問い合わせる方法もあります。ただし、法務局によっては、マンションの家屋番号は教えてくれても、土地の地番は教えてくれないこともあります。また、近隣に目印がない土地の場合、場所を電話で正確に説明するのも難しいかもしれません。
土地の所有者が最新情報とは限らない
土地の登記情報を調べても、記載されている所有者の情報が最新だとは限りません。よく見られるのは、登記後に引っ越したのに住所変更の登記をしていないケースです。登記には費用がかかるため、売買がなければ住所変更をしないケースは珍しくありません。
相続したのに相続登記をしていないケースも多いです。近年空き家が問題になり、令和6年4月1日から相続登記が義務化されましたが、何年も前に相続が発生したのに相続登記をしないままになっている土地はいまでも多数あります。登記情報の所有者情報が古い場合、それ以上新しい情報を個人で調べる方法はなく、所有者を特定するのは困難です。
登記情報には住所しか載っていない
法務局の登記情報には、所有者の氏名と住所が記載されています。しかし、電話番号の記載はないので、連絡を取るには手紙を出すしか方法がありません。まれに所有者が事業をしている場合など、インターネットで氏名や住所を検索してみると見つかる場合がありますが、個人で電話番号を調べるのは難しいでしょう。
住所変更登記がされておらず、手紙を出しても届かずに返送されてしまうような場合は、所有者に連絡を取れないことが多いです。
複数人で所有していることがある
土地や建物は、複数人で所有しているケースが珍しくありません。共有名義の場合、そのなかのひとりにすべてを任せっきりにしていて、ほかの共有者は詳細を知らないことがあります。また、購入を検討している場合は、共有者全員の承諾を得なければなりません。共有者一人ひとりに連絡を取るのは時間も手間もかかるでしょう。
土地と建物の所有者が異なる場合がある
土地に建物がある場合、土地と建物の所有者が同じであることを確認しましょう。親が所有している土地に子ども名義の建物を建てていたり、地主が所有する土地に借地人が建物を建てていたりして、土地と建物の所有者が異なるケースがあります。建物が建っている場合は、土地だけを調べるのではなく、必ず建物の所有者も調べなければなりません。
住宅地図の氏名は所有者とは限らない
法務局にあるブルーマップなどの住宅地図には、建物ごとに氏名が記載されています。ただし、この氏名は、建物の表札をもとに記載していることがほとんどです。そのため、登記上の所有者ではなく、住宅地図を作製した時点でその建物に居住していた人の氏名である場合があります。住宅地図にある氏名宛てに連絡をとっても、所有者でなければ対応できないため、法務局や登記情報提供サービスで正しい所有者を調べることが必要です。
近所に聞くとトラブルになるおそれがある
近隣の人と土地の所有者が親しく、連絡を取り合う仲なら「連絡先を聞かれた」と近隣の人が所有者に連絡をする場合があります。個人情報を調べられて嫌がる人も少なくないため、怖がられたり警戒されたりするおそれがあります。しつこく聞くとトラブルになることもあるため、注意しなければなりません。
また、購入したくても、所有者が交渉に乗ってくれるとは限りません。空き地や空き家になったままで使用していなくても、思い入れのある土地や建物で手放す気がない人もいます。土地の情報を調べるときは、所有者への配慮も必要です。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
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運営会社:リビン・テクノロジーズ株式会社(東京証券取引所グロース市場)
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