土地売買契約のマナーって?菓子折りは必要?気をつけたい3つの注意点
土地の売買契約は、多くの人にとって一生に一度の大きな取引です。そのため、契約時にどのようなマナーが求められるのか、不安を感じる方も多いでしょう。「菓子折りは準備すべき?」「どんな挨拶をしたらいいの?」といった細かな点も気になってしまいます。
そこで、幾度もの土地売買契約に立ち会ったプロとして、「土地売買契約時に押さえておくべきマナー」を紹介します。初めてでも自信を持って契約の場に臨めるよう、一緒に確認していきましょう。
土地売買契約で気をつけるべきマナー
土地の売買契約は、買主と売主の信頼関係にもとづいて行われる重要な取引です。そのため、そこには守らなければならない最低限のマナーが存在します。
ここでは不動産会社やハウスメーカーの担当者も教えてくれない、土地売買契約において気をつけるべきマナーについて解説します。
時間に遅れない
不動産取引は、売主と買主の信頼関係にもとづいて行われます。そのため、約束の時間を守ることは良好な信頼関係を築くための基本です。
「契約の時間を守れない人が不動産契約の約束をちゃんと守ってくれるのだろうか」と心配をされてしまうと、後々の交渉がスムーズに進まなくなるおそれがあります。
どうしても遅れてしまう場合は、必ず事前に連絡をするようにしましょう。
清潔感のある身だしなみで
土地の売買契約時には、清潔感のある身だしなみを心がけることが大切です。売主も買主と同様に「どんな人が買うのだろう?」と不安に思って契約に立ち会います。
そのときに買主がだらしない服装をしていると「この人に売って大丈夫かな?」と不安を与えてしまうおそれがあります。
特に正装をする必要はありませんが、Tシャツや短パン、サンダルなどのラフな服装は避け、襟付きのシャツや長ズボンを選ぶとよいでしょう。
契約書や重要事項説明書は事前に目を通しておく
契約書や重要事項説明書を事前に受け取った際は、必ず目を通しておきましょう。
不明点や不安な点があればメモしておき、質問内容を事前に準備することをおすすめします。
契約時は緊張しやすく、説明を聞いているうちに質問を忘れてしまうこともあります。
事前に書類を確認しメモを取っておけば、質問を忘れることなく、契約もスムーズに進められます。
事前連絡なしの同伴者はいてもいい?
契約当日に誰が同席するかを事前に伝えておくことは重要です。
連絡なしに同伴者を連れて行くと、読み合わせ用の書類が不足したり、接客スペースが狭くて席が足りなかったりすることがあります。
買主の家族が同席されるのは一般的ですが、家族ではない第三者を事前の連絡なしに同席させると、売主に警戒をされてしまうおそれもあります。
また、小さなお子さんの同席はなるべく避けましょう。
仕方なく小さなお子さんを同席させる場合は、長時間の契約に飽きないように本やおもちゃ、お菓子などを用意しておくとよいでしょう。
菓子折りは必要?
基本的に、土地の契約時に菓子折りを準備する必要はありません。また、菓子折りを持って行かなくてもマナー違反にはなりません。
私の経験では、菓子折りを持参する方は約1割です。しかし、大切な土地を売ってくれる売主に感謝の気持ちを伝えることは重要ですので、感謝の気持ちを表すために菓子折りを持参するのはよいことだと思います。
特に値引きや買主の条件に応じてもらった売主に対して「値引きしていただきありがとうございます」とお伝えして菓子折りを渡せば、売主も気持ちよく土地を売却できるでしょう。
用意するなら何がいい?
土地の契約時に菓子折りを用意する場合、高価なものは控えましょう。
あまりに高価なものだと、売主に逆に気を使わせてしまうので、3,000〜5,000円程度の菓子類が無難です。
また、自宅に持って帰るのが大変になりそうな大きく重たいものは避けましょう。
売主が不動産会社の場合は、その事務所にいる社員さんたちで分けられるようなものを選ぶと喜ばれます。
土地売買契約時の持ち物一覧
以下に、土地売買契約時の持ち物の一覧を紹介しますので、参考にしてください。
持ち物 | 詳細 |
---|---|
印鑑 | 契約書の印鑑は認印・実印どちらでも法的な効果は変わりません。 売主側から実印の指定があれば実印を持参してください。 しかし、スタンプ式の印鑑はNGです |
身分証明書 | 運転免許証、パスポート、マイナンバーカードなど、顔写真の付いた身分証明書が好ましいです |
手付金 | 手付金を現金で受け渡す場合はおつりが出ないように現金を持参してください。 振込で行う場合は確実に振込ができるようにキャッシュカード、銀行通帳、銀行印などを用意してください |
印紙(印紙代) | 土地の売買契約書には印紙を貼付する必要があります。売買価格によってその金額は異なります(例:売買価格が1,000万〜5,000万円の場合、1万円)。 不動産会社が仲介する場合、印紙自体は用意されていますので、その費用だけ現金で用意してください |
仲介手数料 | 不動産会社に仲介を依頼して、仲介手数料を支払う必要がある場合は、仲介手数料の半金を用意してください(決済時に一括で支払う場合もあります) |
事前にもらっていた契約書・重要事項説明書 | 実際に交付される契約書・重要事項説明書の内容が変わらないかどうかを確認するために、事前にもらっていた契約書・重要事項説明書を持参してください |
質問のメモ | 質問したいことが事前にあれば、忘れないようにメモをして持参してください |
土地売買契約の流れ
ここでは不動産売買契約当日の流れを解説します。
土地売買契約は不動産会社の事務所で行われるのが一般的で、約1〜2時間で終了します。
1.買主、売主、不動産会社の担当者と顔合わせ
契約の前に買主、売主、不動産会社の担当者の顔合わせを行います。
売主側に仲介の不動産会社がいる場合や、不動産会社が売主の場合もあります。また、売主が高齢の方の場合などは代理人の方が同席されていることもあります。
2.不動産会社の担当者または売主から土地の説明
売買契約の前に、不動産会社の宅地建物取引士から重要事項説明が行われます。不動産会社が仲介または売主の場合は、必ず重要事項説明があります。
これから契約する土地がどのような土地なのか、また契約内容で特に重要な事項について説明されます。
また、売主に確認したい点などは、直接売主から説明を受けられます。
3.土地売買契約書の読み合わせ
重要事項説明が終わり、内容について理解できれば、売買契約書の読み合わせを行います。
不動産売買は大きな金額が絡むので、契約書に記載されている内容を売主、買主がしっかり理解することが重要で、間違いがあってはいけません。
そのため、契約書のすべてを読み合わせます。ただし、重要事項説明と内容が重複する箇所の読み合わせは省略することもあります。
4.署名捺印
売買契約書の読み合わせが終わり、売主と買主の双方に問題がなければ、署名と捺印を行います。
売買契約書に利用する印鑑は実印でも認印でも問題ありませんが、スタンプ式の印鑑は利用できません。
土地の売買契約では署名捺印する書類が多いため、効率よく進めるために、署名捺印はまとめて行うことが一般的です。
5.手付金を渡す
書類がすべて整ったら、手付金を支払います。手付金の支払い方法には、現金での受け渡しと振込があります。
原則として、手付金の支払いは売買契約締結と同時に行いますが、振込の場合は事前または後日になることもあります。
また、不動産会社に仲介手数料(半金)を支払う場合も、このタイミングで同時に行います。
6. 今後の流れについて説明を受ける
書類が整い、手付金の支払いが完了すれば、土地の売買契約は無事に終了します。
契約終了後は不動産会社の担当者から残代金の決済までの流れや、建物の建築契約や住宅ローンの手続きについての説明が行われます。
売主への説明が終わった時点で、売主が先に退席されるケースがほとんどです。
土地売買契約時に気をつけるべき3つの注意点
土地売買契約は非常に重要な手続きですので、失敗は避けたいものです。
ここでは、土地売買契約時に気をつけるべき3つの注意点について解説します。
質問で相手の時間を奪いすぎない
買主にとって土地の売買契約は大きな買い物で、心配な点が多く、たくさんの質問が出るのは仕方ありません。
心配な点をなるべくクリアにして売買契約を行うのは、当然のことです。しかし、売買契約の場は無限に時間があるわけではありません。
そのため、事前に契約書や重要事項説明書の内容をしっかり確認し、不明点や質問をまとめておくことが大切です。
事前に不動産会社の担当者に確認することで、契約時の質問を減らせます。
売買契約時にあまりにも質問などが多すぎると、売主が「そんなに心配なら買わなくていい!」と感じてしまうおそれもあります。
スムーズな契約を進めるためにも、事前準備をしっかり行いましょう。
派手すぎ・ラフすぎる服装で相手の印象を下げない
土地は一般的な商品と異なり、売主が代々受け継いできた土地や、そこで生まれ育った特別な思い出が詰まった土地であることが多いです。
そのため、多くの売主は次の買主にもその土地を大切に使ってもらいたいと考えています。
こうした売主の気持ちを尊重し、安心してもらうためにも、買主が清潔感のある身だしなみを心がけ、丁寧な言葉遣いをすることが重要です。
見た目だけがすべてではありませんが、派手でラフすぎる服装で売主の印象を悪くし「この人には売りたくない」と思われてしまうリスクもあります。
せっかく見つけたよい土地を購入するためにも、売主によい印象を持ってもらうことが大切です。
子どもの同伴は避ける
土地の売買契約は通常1〜2時間かかります。小さなお子さんがその間、静かに待っているのは難しいでしょう。
また、買主もお子さんに気を取られてしまい、説明に集中できなくなることがあります。
そのため、土地の売買契約の際は、できるだけお子さんの同伴を避け、親御さんや友人に預けておくことをおすすめします。
契約に集中できることで、契約がスムーズに進み、重要な説明をしっかりと理解できます。
土地売買契約でトラブルが生じたら
土地の売買契約には、トラブルを防ぐための細かい決まりごとが記載されていますが、すべてを事前に決めておくことは難しく、トラブルが発生してしまうこともあります。
よくあるトラブルとしては、土地の境界や地下埋設物、残置物(ざんちぶつ)に関するものです。しかし、土地契約の多くのトラブルは事前に確認しておけば防げるものが多く、土地売買の実績が豊富な不動産会社であれば、事前にトラブルを防げます。
また、万が一トラブルが発生しても、不動産会社を介してトラブルに対応できます。
そのため、事前にトラブルを防ぎ、万が一トラブルが発生してもスムーズに解決するために、土地の購入時には不動産会社に依頼することをおすすめします。
不動産会社を介すると仲介手数料が発生してしまいますが、トラブルが発生するとそれ以上の被害を受けることもありますので、トラブル防止のための費用だと考えれば、決して高い費用ではないでしょう。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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