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不動産取得税のかからないマンションとは?軽減措置と手続き、計算方法も解説

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不動産取得税のかからないマンションとは?軽減措置と手続き、計算方法も解説

マンションなどの不動産を手に入れると、不動産取得税という税金がかかります。新たに不動産を取得したときにかかる税金なので、どんな物件であろうと不動産取得税は支払わなくてはなりません。しかし、なかには例外的に、不動産取得税がかからないこともあります。マンションを取得しても、不動産取得税がかからないケースを見ていきましょう。

不動産取得税がかからないマンションとは

マンションを取得した経緯によっては、不動産取得税がかからない場合があります。不動産取得税の課税対象外となる、不動産を取得したケースは次のとおりです。

  • 相続によってマンションを取得した
    (生前贈与や相続人以外への特定遺贈の場合を除く)
  • 法人の合併、または政令で定める分割によって不動産を取得した
  • 土地改良事業や土地区画整理事業の施行にともなって換地を取得した
  • 公共の用に供する道路などの用地を取得した
  • 学校法人や宗教法人などが事業に用いるための不動産を取得した
  • 譲渡担保によって不動産を取得した
    (債権の消滅によって、譲渡担保設定後2年以内に旧所有者に戻した場合のみ)

つまり、個人がマンションを取得した場合、相続を除いたほとんどのケースで不動産取得税がかかることになります。

不動産取得税とは

不動産取得税とは、新たに不動産を取得したときに1度だけ課される税金です。不動産取得税は地方税に分類され、取得した不動産の所在する都道府県に納める必要があります。戸建てやマンションは、次のケースが新たに不動産を取得したとみなされ、不動産取得税が課税されます。

  • 新築
  • 購入
  • 買い替え
  • 建て替え
  • 増改築
  • 贈与された

このように取得方法を問わず、不動産を取得したときに課せられる税金が不動産取得税です。

土地と建物のどちらも課税される

マンションを取得したときは、建物と土地のそれぞれが不動産取得税の課税対象になります。すでに取得している土地に戸建てを建てた場合は、新規に取得した不動産は建物のみとなるため、不動産取得税は建物にだけ課せられます。マンションの場合、マンション全体の面積に対して自分が取得した住宅の専有面積の割合分が課税対象です。土地も同じくマンション全体の敷地面積のうち専有面積が課税対象となり、敷地権に対して課税されます。

マンション内の専有面積が等しければ、全戸の課税額も同額になるのが基本です。ただし、次のようなケースでは、建物の階数が課税標準額に反映されます。

  • 高さ60mを超える新築タワーマンション
    (平成30年4月1日以降に引き渡し)
  • 課税標準額が1,200万円を超える住戸

このためタワーマンションでは、上層階の住戸の税額が下層階に比べて高くなります。

不動産取得税の納税方法

不動産を取得した際は、所在する都道府県の税事務所へ申告が必要です。申告の期限は都道府県ごとに異なるため、事前に確認しておきましょう。たとえば、東京都では取得から30日以内、大阪府では取得から20日以内です。申告から数カ月後に届く不動産取得税納税通知書の記載に従い、納税の手続きを行います。税務署や銀行、郵便局の窓口で納められるほか、都道府県によってはコンビニエンスストアやATMなどでの支払いも可能です。

納付期限は納付書に記載されているため、期限を確認し、遅れないようにしましょう。納付期限を過ぎると追徴課税が生じるほか、そのまま支払わなければ最終的に差し押さえの処分が下されるおそれがあります。

不動産取得税が軽減されるケース

不動産取得税は一定の条件を満たすと、軽減措置を受けられます。ここではその条件や軽減率を解説しますので、ぜひ参考にしてください。

2024年3月31日までに不動産を取得した【延長決定】

不動産取得税の税率は原則4%と定められていますが、税率の特例措置によって現在3%に引き下げられています。特例措置によって、建物にかかる不動産取得税額は、次のようになります。

建物購入時の不動産取得税額=建物の課税標準額×3%(税率)

土地にかかる不動産取得税も税率が3%に引き下げられ、さらに土地の固定資産評価額が2分の1に減額されます。これによって、土地にかかる不動産取得税額は次の式のようになります。

土地購入時の不動産取得税額=土地の課税標準額×1/2×3%(税率)

この特例装置は、当初2024年3月31日までに取得した不動産に対して適用されるものでした。しかし2023年に公表された「2024年度税制改正大綱」によって、不動産取得税にかかる軽減措置の適用期間が2027年3月31日まで延長されました。

対象になるマンションを購入した

軽減措置の対象であるマンションを購入した場合、不動産取得税が減額されます。不動産取得税は、固定資産税評価額に税率をかけた金額です。建物の評価額は、建物が建てられた日に応じて一定額が控除されます。つまり控除が受けられれば固定資産税評価額が減額されるため、納める不動産取得税の額が少なくなるのです。控除額は、次のとおりです。

建物の評価額からの控除額
建築された日 控除額
1997年4月1日以降 1,200万円
1989年4月1日~1997年3月31日 1,000万円
1985年7月1日~1989年3月31日 450万円
1981年7月1日~1985年6月30日 420万円
1976年1月1日~1981年6月30日 350万円
1973年1月1日~1975年12月31日 230万円
1964年1月1日~1972年12月31日 150万円
1954年7月1日~1963年12月31日 100万円

ただし軽減措置を受けるには、次の要件を満たす必要があります。

  • 延べ床面積50㎡以上、240㎡以下であること
  • 新築マンションの場合、新築1年以内に購入していること
  • 中古マンションの場合は次の2点に適応していること
    • 個人が自らの居住用に取得した建物であること
    • 1982年1月1日以降に建築された建物、もしくは新耐震基準を満たした建物であること(住宅の取得日前2年以内に調査をして証明されている必要がある)

専有面積50㎡未満でも軽減措置を受けられるケース

要件のひとつである「延べ床面積50㎡以上、240㎡以下であること」について、もう少し詳しく説明します。マンションの場合、この床面積は登記上の床面積ではなく課税床面積で計算されます。課税床面積とは、登記上の床面積に階段や廊下、駐車場など共有スペースの面積を登記上の床面積で按分した面積が加算されたものです。そのため、登記上の床面積が50㎡未満であっても、課税床面積が50㎡以上であれば軽減措置の要件を満たします。同じように登記上の床面積が240㎡以下であっても、課税床面積が240㎡を超える場合は軽減措置を受けられません。

新築なら控除額が増える可能性がある

長期優良住宅認定制度の基準を満たした新築の建物は、控除額が増えます。長期優良住宅とは、長期的かつ快適に住めることを目的とした住宅を指します。環境や災害対策、省エネ対策、劣化対策などの国が定めた複数の基準にクリアした住宅が長期優良住宅として認められます。一般住宅だと控除額は1,200万円ですが、長期優良住宅なら100万円が上乗せされ1,300万円の控除を受けられます。

この特例措置も、当初は2024年3月31日までに取得した不動産に対して適用されるものでした。しかし、2023年に公表された「2024年度税制改正大綱」によって、軽減措置の適用期間が2026年3月31日まで延長されています。

軽減措置の対象のマンションなら土地も対象になることも

建物への軽減措置が適用されるマンションでは、その土地の不動産取得税も軽減措置の条件を満たしている場合がほとんどです。土地における不動産取得税の軽減措置は、次の(a)(b)のいずれか高い金額が税額から控除される制度です。

(a)4万5,000円
(b)土地1㎡あたりの評価額×床面積の2倍(上限200㎡)×持分×税率

土地への控除も必ず適用し、節税に役立てましょう。

マンションで不動産取得税の軽減措置を受ける手続き

軽減措置を受ける手続きや申請に必要な書類は、都道府県によって異なります。東京都を例に、軽減措置を受けるまでの手続きを解説します。

新築マンションを取得したケース

新築マンションを取得した際には、不動産取得税申告書の提出が必要です。申告書の提出時には、軽減措置を受けるために必要な書類を揃えて申告します。必要な書類は次のとおりです。

  • 全部登記事項証明書
  • 平面図
  • 長期優良住宅認定通知書 など

全部登記事項証明書と平面図は、法務局で入手可能です。長期優良住宅認定通知書は、所管行政庁に申請して発行してもらいます。所管行政庁は地域によって異なりますので、一般社団法人である住宅性能評価・表示協会のWebサイトで検索してください。

中古マンションを取得したケース

中古マンションを取得した場合、軽減措置を受けるために必要な書類は次のとおりです。

  • 住民票
  • 1981年以前に新築されたマンションの場合は、次の3つのうち1点
    • 耐震基準適合証明書
    • 建設住宅性能評価書
    • 既存住宅売買瑕疵担保責任保険契約が締結されていることを証する書類

不動産取得税申告書の提出時に、必要な書類を揃えて申告します。

納税通知書が届いたら

軽減措置によって控除額が固定資産税評価額を上回った場合、納税額がなくなるため納税通知書は送付されません。この場合、軽減措置の手続きは完了しています。納税金額がある場合は、控除された額の納付が必要です。送付される納税通知書の指示に従って期日までに納税しましょう。また、軽減措置の申請を行わずに不動産取得税の申告を行った場合でも、軽減措置を適用した納税通知書が送られてくることがあります。都道府県によって対応がさまざまですので、事前に確認したい人は地域の税事務所や不動産会社に尋ねてみましょう。

マンションの不動産取得税の計算方法

不動産取得税がどの程度の金額になるか試算する方法を紹介します。シミュレーションとあわせて、参考にしてください。

本則の計算式

不動産取得税における本則の計算式は、次のとおりです。

土地の不動産取得税=(土地の課税標準額-控除額)×4%
建物の不動産取得税=(建物の課税標準額-控除額)×3%

課税標準額とは、税額を算出する際の基礎となる金額のことです。課税標準額に税率をかけることで、固定資産税額を算出します。基本的に課税標準額は、固定資産税評価額と同じ金額です。ただし、特例措置や調整措置が適用される場合などに、課税標準額が固定資産税評価額より低くなることがあるため、試算して確認しておきましょう。また、税率は本来4%ですが、2027年(令和9年)3月31日までに住宅として購入した建物は3%の軽減税率が適用されます。

不動産取得税のシミュレーション

ここからは、次の条件で不動産取得税のシミュレーションを行います。

購入するマンションの想定データ
専有面積 100㎡
土地面積 80㎡
取得日 2023年12月1日
建物評価額 2,000万円
土地評価額 1,000万円

建物における不動産取得税率は、取得日が2023年12月1日のため特例措置で税率は3%になります。また、このマンションは一般住宅に分類されるため、控除額は1,200万円です。よって建物における不動産取得税は、次のとおりです。

建物の不動産取得税=(2,000万円-1,200万円)×3%=24万円

土地における不動産取得税率は、取得日が2023年12月1日であるため特例措置によって税率は3%となり、土地の固定資産評価額は2分の1になります。また、土地における不動産取得税の軽減措置は、次の(a)(b)のいずれかの高い金額が税額から控除されます。

(a)4万5,000円
(b)土地1㎡あたりの評価額×床面積の2倍(上限200㎡)×持分×税率

今回の想定では、(b)は以下の金額になります。

(b)=(1,000万円 ÷ 80㎡×1/2)×(100㎡×2)×3%=37万5,000円

(a)より(b)の方が高いため(b)が適用されます。よって土地における不動産取得税は、以下のようになります。

土地の不動産取得税=1,000万円 ×1/2×3%-37万5,000円=-22万5,000円

よって土地における不動産取得税はかからず、全体の不動産取得税は24万円と算出できます。

この記事の編集者

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