地中埋設物とは?調査方法と撤去費用を解説!土地売却でも契約不適合責任に注意
地中埋設物とは地下に埋まっている障害物などのことです。土地を売却するときは、地中埋設物が残ったままだとトラブルになるおそれがあり、事前に対処しなくてはなりません。地中埋設物の有無を確認する方法、撤去する方法など、土地を売るときに知っておくべき知識をわかりやすく解説します。
もくじ
地中埋設物とは
地中埋設物とは、土地の地下に埋められている障害物や構造物のことです。埋設物があると、土地を売却するときに購入希望者とトラブルになるおそれがあります。地中埋設物がある土地の売却で、想定されるトラブルについて解説します。
地中埋設物は地中の障害物のこと
地中埋設物には地中障害物の一種で、井戸、浄化槽、ゴミ、廃棄物など、さまざまなものがあります。なかには産業廃棄物にあたる、地中埋設物もあります。地中埋設物は土地の瑕疵とみなされる、土地売却のマイナス要因です。地中埋設物があると住宅やビルの建設時に支障が生じるおそれがあるため、撤去や処理に高額な出費がかかるためです。
地中埋設物は土地売却のトラブルの原因
土地を売却したあとに地中埋設物が見つかると、処理をする費用を請求されるなどトラブルに発展するおそれがあります。地中埋設物を調査せず、あるいは知っていながら放置して土地を売却すると、売主は契約不適合責任(瑕疵担保責任)を問われるおそれがあるためです。契約不適合責任は、住宅だけが対象とは限りません。地中埋設物の撤去義務は売主にあるため、土地を売却する前に確認する必要があります。
地中埋設物の種類
地中埋設物の種類は井戸や浄化槽のほか、ビル解体時に出る建設廃材などさまざまです。これらは適切に撤去をすることが求められます。
建設廃材
建築廃材は主にコンクリートや鉄骨、瓦屋根などです。建物を解体するとき取り残されたケースが考えられます。本来は解体会社が撤去して搬出するものなのですが、適切に撤去をせず埋めてしまったり放置したりするケースがあります。
井戸や浄化槽など
井戸は掘り出して撤去することが難しく、専門的な知識を持った会社による工事が必要です。そのため、井戸や浄化槽を見つけても、放置されてしまうケースがあります。撤去をするときは地盤の安定や環境への影響を抑える必要があるため、信頼できる会社に依頼しましょう。浄化槽は汚水などを処理する設備で一般家庭にも取りつけられています。撤去するときは掘り起こし工事が必要です。重機を使用するため、大がかりな工事になります。
そのほか
地中埋設物には、そのほかにもさまざまなものがあります。たとえば、医療廃棄物が地中に埋まっていることがあります。注射器や医薬品の容器などの医療廃棄物は、適切に処理しなければ感染症のリスクがあるため注意が必要です。ほかにも、衣服やタイヤなどが埋められているケースがあります。これらの埋設物は建築の妨げになるだけでなく、衣服やタイヤに含まれる化学物質が環境に悪影響を及ぼすおそれもあります。
撤去しなくてもよい、あるいはできない地中埋設物
地中埋設物には、撤去しなくてもよいもの、あるいはできないものがあります。自然物はそのひとつです。岩盤や天然の地下水源などは撤去できませんが、工法の変更や地盤強化対策が必要になる場合があります。事前に把握できているときは、契約不適合責任を問われないように、免責特約をつけたほうがよいでしょう。また、遺跡や文化財などの歴史的な価値を持つ埋設物は法律で保護されており、勝手に撤去できません。見つかった場合は直ちに工事を中止し、自治体に報告しましょう。
埋設物の調査方法
埋設物の調査方法は一般的に、次の3つに大別されます。
- 地歴調査
- 非破壊検査
- ボーリング調査
それぞれ特徴や精度に違いがあり、求められる条件に応じて調査方法を選択、あるいは組み合わせます。
地歴調査
地歴調査は、過去にどのような建物や構造物がその土地にあったのかを調べる手法です。地歴調査には、地図や地質図、地形図、地理図、登記簿、航空写真などの資料が使用されます。これらの資料を見ることで、土地の利用履歴や変遷を把握可能です。たとえば、以前にガソリンスタンドとして使用されていた土地の場合、土壌汚染の危険性があります。このようなケースでは、非破壊検査やボーリング調査を実施しましょう。
非破壊検査
非破壊検査は地中レーダーを使用して、地中の埋設物を発見する方法です。地中レーダー探査とも呼ばれます。地面を掘らずに地中の構造を把握でき、効率的な埋設物の検出が可能です。同時に表層の重金属や土壌ガスを調べる表層調査も行い、土壌の汚染状況を評価します。これによって、環境への影響を最小限に抑えつつ、土地の安全性を確認できます。非破壊検査は掘削を伴わないため、安全で迅速に地中情報を収集できることが特徴です。
ボーリング調査
ボーリング調査は地面に穴を掘り、地層や埋設物の状況を直接確認します。地中埋設物の調査方法で、もっとも信頼性が高いといえるでしょう。ボーリング調査は地中の詳細な構造を把握できるだけでなく、地下水の調査で土壌汚染の状況を確認可能です。特に、埋設物の存在が疑われる場合や土壌汚染のリスクがある土地では、ボーリング調査が推奨されます。ボーリング調査は、基本的に地歴調査、非破壊検査を経て埋設物の可能性が高い場合に実施されます。
地中埋設物の調査・撤去にかかる費用の目安
解体事業者に、調査・撤去を依頼するとかかる費用を解説します。調査の方法や撤去する埋設物によって、費用が変化するためあらかじめ確認しておきましょう。
調査にかかる費用
地中埋設物の調査方法は、大きく机上調査、非破壊検査、掘削調査の3つに分類されます。
机上調査
図面や地歴を調べるだけで現地を直接調べるわけではないため、あまり精度が高くない調査方法です。図面調査や地歴調査などにかかる費用は、5万~20万円が相場です。
非破壊検査
地歴を確認して、埋設物が存在する可能性が高いときに用いられる調査方法です。専用の機械で電磁波を照射し、コンクリートの構造物や埋設物などを調べます。この調査は資格を所有する専門会社しか行うことができません。費用は10万~15万円程度です。
掘削調査
埋設物が存在する可能性が高いときに、機械で土地に穴を空けて奥深くまで調査する方法です。ボーリング調査や試堀調査とも言われ、地面を掘って調査を行うため、精度が高く埋設物のほかにも土壌汚染や地盤などの調査も行えます。費用は20万~50万円程度です。
撤去にかかる費用
撤去費用は、埋設されているものによって金額が異なります。代表的な埋設物の種類と、撤去にかかる費用の目安は、次の表のとおりです。
埋設物の種類 | 費用の目安(1㎡あたり) |
---|---|
コンクリート | 1万2,000円〜 |
瓦 | 2万円〜 |
タイル | 2万5,000円〜 |
カーペット | 1万5,000円〜 |
浄化槽 | 10万円〜 |
古井戸(埋め戻し) | 10万円〜 |
埋設物の量や、埋まっている深さによっても費用は変わります。撤去した埋設物は搬出作業を伴うため、この費用のほかに、搬送費もかかります。
土地売却で地中埋設物に関するトラブルを回避する方法
地中埋設物に関するトラブルは、売却後の思わぬ出費につながるおそれがあります。トラブルなく土地を売却するには、あらかじめ準備をしておくことが大切です。土地を売却するときに地中埋設物のトラブルを回避する方法を解説します。
重要事項説明書に記載する
重要事項説明書とは、土地や建物の売買契約締結前に取引内容の詳細を買主へ説明するための書面です。売主は売買契約時に土地の状況を、可能な限り正確な情報を伝える必要があります。撤去していない地中埋設物がある場合、重要事項説明書に詳細を記載しましょう。調査をしても確認できなかったときも、重要事項説明書に記載しましょう。口頭だけの説明では、あとで地中埋設物が見つかったときにトラブルになりかねないため、重要事項説明書に明記することが大切です。
免責特約をつける
売主が個人のときは、契約不適合責任の免責特約をつけて契約を締結できます。地中埋設物の有無が不明なときは、口頭で説明したうえで免責特約を盛り込んだ売買契約を結ぶとよいでしょう。このときの免責特約は、地中埋設物の存在が不明のため責任を負えないことを買主と合意することを意味します。ただし、故意に地中埋設物の存在を明らかにしなかったり、意図的に不利な条件を隠したりしたまま契約を締結してはいけません。あとでその事実が発覚したときは、免責特約は無効になります。
信頼できる会社に調査を頼む
地中埋設物の調査と撤去は、解体事業者に依頼することが一般的です。しかし、解体事業者には、ほかから持ってきた廃材にもかかわらず埋設物があったといったり、勝手に撤去したあとで高額な撤去費用を請求したりする悪徳業者が存在します。地中埋設物の調査や撤去は、信頼できる事業者に依頼することが重要です。信頼できる解体事業者を選ぶには、次のポイントに注目しましょう。
- 地中埋設物が見つかった場合の対処や撤去費用を細かく説明してくれる
- 見積もりの各項目の金額が明確になっている
- 地中レーダーや3Dマップなどの専門機器や技術を持っている
地中埋設物の調査と撤去は、解体事業者のWebサイトを確認したうえで複数の会社から見積もりを取って比較・検討をしましょう。
不動産会社に相談しながら進める
地中埋設物のある土地売却では、まず不動産会社へ相談しましょう。地中埋設物のおそれのある土地の売却は、トラブルに発展することも考えられるため、自分だけの判断だけで進めるのはリスクがあります。何をすればよいのかを不動産会社と相談しながら進めることで、トラブルのリスクを抑えた土地売却ができるでしょう。
しかし、地中埋設物の知識のある不動産会社ばかりではありません。そういったときは、不動産の一括査定サービスを利用することをおすすめします。複数の不動産会社へ査定を依頼できるため、地中埋設物の知識が豊富な会社を見つけられるでしょう。
一括査定サイトの「リビンマッチ」では、戸建てやマンション、土地など幅広い不動産売却に対応しています。土地の売却を思い立ったら、まずリビンマッチを利用して相談してみましょう。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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