マンションを買うときの手付金とは?金額の相場はいくら?キャンセルで戻ってくる?
マンションを購入するときは、手付金を支払う必要があります。どうして手付金が必要になるのか、手付金の役割などについて解説します。手付金の相場やキャンセル時の取り扱いなども解説しますので、マンションの購入を検討するときの参考にしてください。
マンション購入時の手付金とは
マンション購入の売買契約を締結するとき、買主が売主に対して支払うお金を手付金といいます。手付金には売買に合意したことを示す意味と、解約された場合の損害に備える意味があります。手付金は一般的に現金で支払います。
原則的として手付金は売買代金に含みませんが、実際は売買代金の一部に充てることを契約書に明記することが一般的です。また、売主が売却代金の20%を超える手付金を受け取ることは、法律で禁じられています。
手付金はなぜ必要?
手付金の目的は「購入する意思を示すため」と「解約や違約があった場合の損害に備えるため」の2つです。手付金には「証約手付」「解約手付」「違約手付」の3種類があり、不動産契約の手付金は一般的に「解約手付」の意味合いが強いとされています。各手付金の意味は、次のとおりです。
証約手付 | 売買契約成立を証明する |
---|---|
解約手付 | 売買契約で解約権を保証する |
違約手付 | 契約違反があった場合を保証する |
仮に買主が解約を申し出た場合、手付金は解約金として売主に支払われます。
申込金と手付金の違い
申込金の正式名称は「申込証拠金」です。予約金と呼ばれることもあります。手付金が売買契約時であるのに対し、申込金は売買契約を結ぶ前に意思表示のために支払うお金です。契約を交わすまでの間に買主が自身を優先的に扱ってもらう目的で、10万円程度までの少額を支払います。
申込金は契約前のキャンセルが可能で、キャンセルした場合は返金されます。契約に至ったら、申込金はそのまま手付金に充てられるのが一般的です。
頭金と手付金の違い
頭金は購入代金の一部として、売買契約後に支払うお金です。売買価格の10〜20%が一般的で、手付金と頭金の両方を支払っても構いません。手付金と異なり、頭金には法律上の支払い義務がありません。ただし一般的に、金融機関でローンを組むときは、頭金を支払うことが前提になっています。頭金なしで全額をローンで借りることもできますが、金利が高くなることがあります。
手付金を支払うタイミング
手付金は、契約書に記名・押印したあとに支払うことが一般的です。現金で支払うことが一般的なので、手付金のためにあらかじめ用意しておきましょう。手付金を現金で預ける理由は、売主の都合で解約するときに手付金が戻らないことを防ぐためです。
手付金が高額だと、現金での支払いに不安を覚えるかもしれません。そうした場合は、銀行振込で支払うことも可能です。手付金は売買契約と同時に支払うのが原則のため、銀行振込が可能な平日に契約をしましょう。
マンションを購入したときの手付金の相場
マンション購入時の手付金は物件価格の5〜10%といわれていますが、具体的な金額は交渉で決められます。また、契約が破棄になったにもかかわらず、手付金が戻ってこないときに備えた制度があります。手付金の相場とあわせて紹介しますので、いざというときのために知っておきましょう。
手付金の下限額
手付金の下限は決まっていません。しかし、不動産会社(宅地建物取引業者)が売買価格の20%以上を受け取ることは禁じられているため、手付金の上限は20%に制限されます。
手付金が10%を超えると保全措置の対象になるため、手付金は5〜10%にしましょう。
10%を超えなければ保全措置の対象にならないため、不動産会社が金融機関と契約を結ぶ手続きを省けます。したがって手付金の下限額は、おおむね売買価格の5%と考えておくとよいでしょう。
手付金の保全措置
「手付金の保全措置」は宅建業法に基づいて設けられた制度で、不動産会社が倒産した場合に買主が手付金を金融機関から取り戻せる措置です。不動産会社(宅地建物取引業者)と金融機関の間で保証委託契約を結び、保全措置を講じます。
手付金がマンション代金の10%、あるいは1,000万円を超える場合に保全措置が講じられます。たとえば、マンション代金が5,000万円の場合、手付金が500万円を超えれば保全措置の対象です。
手付金の保証制度
「手付金保証制度」は全国宅地建物取引業保証協会が設けている制度で、売主が宅地建物取引業者以外の場合に利用できます。売買契約の効力が失われているにもかかわらず売主から手付金を取り戻せない場合、保証協会が保証料なしで元本を保証します。
対象となるのは、次の条件を満たす取引です。
- 売主・買主ともに一般消費者
- 物件が指定流通機構に登録されている
- 媒介する不動産会社が保証協会の会員
保証される限度額は売買価格の20%以内で、1,000万円が上限とされています。
マンション購入時の手付金が戻るケース
ここではマンション購入で売買契約書を交わしたあとに、手付金が戻るケースを紹介します。買主に購入の意思があるにもかかわらず、結果的に購入できなかった場合は、手付金が戻る可能性があると考えてよいでしょう。
住宅ローンの審査に通らなかったとき
マンション購入のために住宅ローンを申し込んだものの、金融機関の審査に通らなかった場合も手付金が戻ります。ただし、これは売買契約書に住宅ローン特約(ローン条項)が設けられているときだけ有効な方法です。
住宅ローンの本審査は売買契約締結後に行われるため、契約後に審査に通らないことがあります。住宅ローン特約を契約書に記載しておけば、契約締結後でも手付金の返還が可能です。
売主がキャンセルしたとき(売主の手付倍返し)
売買契約締結後に、売主の都合で契約解除をすることがあります。売る意向がなくなったり、ほかに高く購入する買主が見つかったりなどが、その理由です。こうしたときに売主は違約金を支払う必要があり、手付金の2倍が買主に返還されます。
契約を解除できる期限は、契約が履行されるまでです。そのため、売主による移転登記や、買主による引っ越し業者との契約があった場合は解除できなくなります。
特約が設定されているとき
住宅ローン特約に加えて、売主と買主の間で取り決めた特約を契約書に記載できます。これにより、特定の事情に応じて契約を撤回できるのです。住宅ローン特約は、買主の事情に配慮する特約です。一方、売主の事情を考慮した特約も設定できます。たとえば「売主が新居を見つけられたら売却する」や「抵当権が抹消できなければ売却しない」などのケースです。
こうしたケースで契約が白紙撤回されたときは、預けている手付金は買主に戻ります。
マンション購入時の手付金が戻らないケース
マンション購入時に支払った手付金が戻らないケースもあります。どういったときに手付金が戻らないのか、見ていきましょう。
買主がキャンセルした(買主の手付流し)
買主の都合で売買契約を解除したときは、手付金は違約金(または解約金)として売主に支払われるため戻りません。こうしたケースは、手付金を放棄してしまうことから「手付流し」と呼ばれます。ローン特約を設定せずに審査で落ちた場合や、単に購入する気持ちがなくなった場合が手付流しになるケースです。
手付金は解約手付の意味合いで支払っているため、手付流しを行えば買主がそれ以上のペナルティを負う必要はありません。ただし、売主がキャンセルする場合と同様に、契約解除は契約履行の着手前までに行う必要があります。
キャンセル期間を過ぎて解約した
キャンセル期間は正式にいうと「手付解除期日」という意味です。民法では「契約の履行に着手するタイミング」を事実上の手付解除としていますが、売主・買主の間でその状態を互いに確認し合うことは難しい面があります。そこで特約として、売主・買主の合意によって、手付解除期日を定めて売買契約書に明記することが一般的です。
買主が手付解除期日を過ぎて解約したときは、手付金は違約金として売主に支払われるため戻りません。
マンション手付金のよくある質問
手付金に関するよくある質問を取り上げて解説します。手付金が不足していても契約できるのか、手付金を住宅ローンで支払う方法はないか、そんな悩みを抱えている人はぜひ参考にしてください。
手付金なしでも契約可能?
手付金は不動産の購入の初期費用として、必要なものです。解約手付の意味合いがあるため、手付金なしでは契約できません。ただし、交渉によって減額は可能です。手付金が十分に用意できないときは、手付金が少なくても契約できる不動産会社を探しましょう。
また、両親や祖父母から贈与を受けて、それを手付金に充てる方法があります。これら直系尊属からの贈与は、住宅を購入するときは500万円まで、さらにその住宅が省エネ住宅の場合は1,000万円まで非課税です。
手付金を住宅ローンで払える?
手付金を支払うタイミングは住宅ローンの借入が始まる前のため、住宅ローンから手付金を支払うことはできません。またフリーローンやカードローンなどを組んで手付金を支払うと、住宅ローンの審査に影響するためおすすめできません。
なお、仲介手数料や印紙税など、マンション購入にかかる手数料も含めた費用を借入する「フルローン」であれば、手付金まで借りられます。ただし、フルローンは住宅ローンよりも審査が厳しく、銀行口座の残高が少ない場合は審査に通らないおそれがあります。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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