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マンションを「オーナーチェンジ物件」として売却!査定額は何割減?

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マンションを「オーナーチェンジ物件」として売却!査定額は何割減?

マンションを「オーナーチェンジ物件」として売却する際、同じ物件を住居用として売却するよりも査定額が通常より10〜20%低くなることをご存じでしょうか。

プロの不動産営業担当者がオーナーチェンジ物件と通常のマンション売却の違いや、オーナーチェンジ物件特有の売却テクニックを紹介します。

オーナーチェンジ物件の査定額は何割減?

賃借人が入居している物件のことを「オーナーチェンジ物件」といいます。オーナーチェンジ物件は売却が難しいと考えている方も多いですが、売却は可能です。

ただし、同じ分譲マンション内の住居用の物件と比べて一般的には価格が低くなる傾向があります。

ざっくりとした数字でいえば、オーナーチェンジと空室の物件を比較すると、10〜20%程度の価格差が生じることがあります。

オーナーチェンジと空室の物件の価格差
マンション 空室価格(坪単価) オーナーチェンジ価格(坪単価) 価格差(坪単価)
東京都江戸川区、73.24㎡ 4,980万円(234万円) 4,300万円(194万円) -17%
神奈川県横浜市神奈川区、75.05㎡ 6,600万円(290万円) 7,950万円(338万円) -14%
千葉県船橋市、57.40㎡ 1,930万円(89万円) 1,550万円(103万円) -13%
千葉県千葉市美浜区、75.41㎡ 3,600万円(157万円) 2,670万円(117万円) -25%

参考元:不動産会社の会員のみ閲覧可能な「レインズ」より、オーナーチェンジのマンションの成約事例を個別に調査

実際のマンションで空室とオーナーチェンジの成約事例を見てみると、オーナーチェンジ物件のほうが10%以上安いことがわかります。

同じ物件でも、オーナーチェンジのほうが安くなるのは、その査定方法が異なることに原因があります。

オーナーチェンジ物件の査定方法

オーナーチェンジ物件の査定方法は、住居用として売却する場合と査定方法が異なります。

不動産売却の査定には主に3つの方法があります。

原価法
土地の価格と建物について現時点で新築した場合の価格から、築年数に応じた減価修正を行って価格を求める方法
取引事例比較法
対象物件と似た条件の物件の立地・広さ・築年数などを比較して価格を求める方法
収益還元法
将来物件が生み出すであろう収益から価格を求める方法

このうち、居住用のマンションの場合は「取引事例比較法」を主に使って査定し、オーナーチェンジ物件の場合は「収益還元法」を主に使って査定します。

収益還元法:将来の利益を現在価値に換算する計算式

収益還元法は、不動産の価格を将来の収益にもとづいて査定する方法です。この方法には2つの主要なアプローチがあります。

直接還元法
1年間の収益を利回り(還元利回り)で割る方法です。具体的には、物件の価格で期待される1年間の純利益を割って利回りを求めます。
DCF法 (Discounted Cash Flow法)
一定の投資期間から得られる収益と、一定期間後の物件価格を予測して合計する方法です。

区分マンションのオーナーチェンジ物件の査定では、主に「直接還元法」が使われます。

利回り(還元利回り)は、物件を所有することにより期待される1年間の純利益を、その物件の価格で割って求める率で、不動産の収益性を表します。

還元利回りの求め方は以下のとおりです。

還元利回り=(1年間の純収益÷不動産価格)×100

たとえば、年間120万円の家賃収入のある不動産の価格が1,800万円である場合、還元利回りは次のように計算されます。

還元利回り=(120万円÷1,800万円)×100 = 6.67%

還元利回りの数字が大きいほうが、収益性が高い物件といえます。

オーナーチェンジ物件の売却と通常のマンション売却の違い

オーナーチェンジ物件の売却と通常のマンションの売却には、査定方法だけではなく、対象となる購入者が「投資家」と「入居者」と異なるため、売却方法やアピールポイントも異なります。

オーナーチェンジ物件と空室のマンションの違い
違い 空室のマンション オーナーチェンジマンション
買主層 実需 投資家・賃借人
アピールポイント 使いやすさ・住み心地 収益性・空室リスク
価格設定の基準 取引事例比較法 収益還元法
物件情報の提示方法 住まい探しの不動産サイト 不動産投資専門サイト
税制面のアプローチ 優遇制度あり 優遇制度なし
内覧対応 必要 不可
売却のタイミング 1~4月の繁忙期 特になし

対象となる買主層

通常のマンションでは、購入者はその物件に住みたい方(実需)です。一方、オーナーチェンジ物件は、投資を目的とした投資家や不動産オーナーが購入者になります。

また、その物件を借りている賃借人も購入者の対象になる場合もあります。賃借人にとっては、住み慣れた部屋を一般的な空室よりも安く購入できるメリットがあるためです。

アピールポイント

オーナーチェンジ物件と空室の物件の買主層の目的が異なるため、売却時のアピールポイントも異なります。

空室の場合は、生活のしやすい環境や間取りの使いやすさなどがアピールポイントになります。

オーナーチェンジ物件の場合は、収益性や貸しやすさが重視されるため、利回りや賃貸需要が高い立地が重要なアピールポイントです。

価格設定の基準

空室の場合は周辺の物件との比較で価格を決めますので、ほかの物件にない魅力(間取・設備・内装仕様)などが価格に反映されます。

オーナーチェンジ物件の場合は収益性が重視されるので、現況の賃料や契約内容が価格に反映されます。

物件情報の宣伝広告方法

空室の売却の場合はスーモ、アットホーム、ホームズなどの住宅を探す方向けの不動産ポータルサイトで宣伝広告を行います。

しかし、オーナーチェンジ物件の買主は不動産投資家になるので、住まい探しの不動産サイトには広告は載せずに、不動産投資専門のサイトに広告掲載をする場合が多いです。

税制面のアプローチ

住宅ローン減税」「売却時の3000万円の特別控除」「登録免許税の軽減」などマイホームの購入の際には、さまざまな税優遇が存在します。

しかし、投資用の不動産購入の場合は税制面での優遇はほとんどありません。優遇される税金もありますが、金額はごくわずかです。

内覧対応

空室のマンションの場合、購入希望者のほとんどの方が購入前に実際の部屋を内覧します。

しかし、オーナーチェンジの場合は入居者が住んでいて、ほとんどの場合、買主は内覧をしない(できない)で購入します。

売主も室内の状況がどうなっているか知らない場合も多くあるので、過去の修繕の履歴などをもとに購入判断をしてもらいます。

売却のタイミング

空室のマンションの場合は、一番需要が高まる1〜4月に売却するのがベストとされています。

需要が高い時期に売り出すことで、その他の時期よりも高くできたり、早く売却できたりするからです。

しかし、オーナーチェンジ物件の場合、需要が高まる時期というのはありません

オーナーチェンジ物件として売却するメリットとデメリット

オーナーチェンジ物件の売却の特徴を説明してきましたが、そのメリットとデメリットはどのようなものがあるのでしょうか。

オーナーチェンジ物件は買主にとっては、購入後すぐに家賃収入が入ってくるので、売りやすくなるメリットがあります。

しかし、空室のマンションと比較すると10%以上安くなってしまい、高く売りたい場合は空室になるまで待たなければならないのがオーナーチェンジ物件のデメリットです。

メリット

オーナーチェンジ物件として売却する主なメリットは、次のとおりです。

  • 空室になるまで待たなくても売れる
  • 買主は不動産に詳しいプロやセミプロ
  • 買主にとっては家賃収入がすぐに入る

空室になるまで待たなくても売れる

賃貸中の場合は売れないと思っている方も多くいますが、賃貸中のオーナーチェンジの状態でも売却は可能で、空室になるまで待つ必要はありません。

買主は不動産に詳しいプロやセミプロ

オーナーチェンジ物件を購入する方は投資家で不動産に詳しいプロやセミプロです。

そのため、住まいとして購入する不動産の知識のない方に売却するよりもスムーズに契約できて、売却後のトラブルも少なくて済みます。

買主にとっては家賃収入がすぐに入る

投資用の不動産でも、賃借人が入っていない物件の場合は、新しい賃借人が入居するまで収入のない期間があるので、空室の間にもローンの返済をしなければならないリスクがあります。

しかし、オーナーチェンジの場合はすでに賃貸が付いていて、購入後すぐに収入があるので、買主も安心して物件を購入できます。

そのため、オーナーチェンジ物件は空室の投資用物件よりも「売りやすい」といえます。

デメリット

オーナーチェンジ物件として売却する主なデメリットは、次のとおりです。

  • 空室で売却するよりも安くなる場合が多い
  • 高く売りたい場合は入居者の追い出しが必要

空室で売却するよりも安くなる場合が多い

オーナーチェンジ物件は空室の物件に比べると、10〜20%程度安くなる傾向があります。

安くなる理由は不動産の査定方法が異なり、空室の物件は「取引事例法」、オーナーチェンジ物件は「収益還元法」を用いて価格査定をするためです。

高く売りたい場合は入居者の追い出しが必要

空室にしてなるべく高く売りたい方は、空室になるまで待つ必要があります。入居者の追い出しは現実的には困難で、多大な費用と時間が必要です。

高く売るには基本的には空室になるまで待つ必要があり、空室になる時期はいつになるかわかりません。

オーナーチェンジ物件特有の売却テクニック

オーナーチェンジ物件は空室の物件とは異なる特徴があり、特有の売却テクニックが必要です。

投資家の心をつかむ物件のアピール方法や、入居者や買取業者に売却するのも高く売るコツになります。

そして何よりも不動産投資物件の売却は、豊富な実績のある不動産会社に依頼する必要があります。

賃借人に売却

オーナーチェンジ物件の買主候補に、その物件を借りている賃借人がいます。

賃借人への販売活動を行わない不動産会社も多いのですが、ある程度の確率で購入してくれます

物件のことを売主よりも知っている入居者が購入してくれるのは売主にとっても安心ですし、入居者も住み慣れたマンションに住み続けられるのは良いことですので、売主買主双方にとって良い取引になるでしょう。

法人契約や優良な入居者のアピール

空室の売却の際は、いかに物件が優れているのかをアピールするのがポイントです。

オーナーチェンジ物件の場合は入居者がどんな人なのか、どのような賃貸契約の内容かも重要なポイントです。

また、入居者が大手の法人だったり、属性の良い入居者だったりした場合は、買主の購入意欲を高めるポイントにもなります。

所有期間が5年以下の場合は所得税が高いので注意

物件の購入費用よりも高く売却できて「売却益(譲渡所得)」が出る場合は、その利益に対して税金がかかります。

その税率は、物件の所有期間が5年を超えるかどうかで大きく異なり、5年を超える場合は20.39%(所得税・市民税)、5年以下の場合は39.63%と約2倍の税率になってしまいます。

売却益が出そうで、所有期間が短い場合は税金が多くとられてしまうので売却時期には注意が必要です。

不動産会社の買取も高額な場合がある

空室のマンションの売却の場合、不動産会社に買い取ってもらうと市場価格の5〜7割程度の価格になってしまいます。

不動産会社は再販して利益を得るため、相場よりも安くなってしまいます。

しかし、オーナーチェンジ物件の場合、買取業者は保有目的で購入することもあり、買取でも高額な場合もあります。

実績豊富な不動産会社に依頼する

オーナーチェンジ物件の売却を依頼する会社は、不動産投資専門の不動産会社や、豊富な実績を持っている不動産会社に依頼してください。

買主は投資家で、オーナーチェンジ物件の売却には不動産投資の知識が必要です。

住宅としての売却の取り扱いしかない不動産会社や、賃貸管理だけの会社は不動産投資物件の売却には十分な知識や顧客がいないリスクがあります。

また、価格査定は必ず複数社に依頼しましょう。

不動産投資を専門にしているような不動産会社の場合、多くの投資家顧客を有している場合が多く、一般に売り出す前に購入希望者が現れることもあります。

そのため、査定依頼の時点で多くの不動産会社に依頼することがオーナーチェンジ物件特有の売却方法でもあります。


この記事の編集者

リビンマッチ編集部 リビンマッチ編集部

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