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地震で倒壊しやすいマンションは何階?助かりやすい階は?階数別に紹介

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地震で倒壊しやすいマンションは何階?助かりやすい階は?階数別に紹介

強い揺れに見舞われたとき、マンションのどの階に住んでいれば1番安全なのか、考えたことはありますか。実際の地震では、同じ耐震性能でも被害に大きな差が出ることがあります。

最上階と1階では揺れ方がまったく違う。中層階(3階~5階または6~10階)は本当に安全なのか。倒壊のリスクが高いのはどの階なのか。

このあと、マンションの階数別地震リスクと、より安全な物件を選ぶポイントをわかりやすく解説します。

地震で倒壊しやすい階は1階

マンションの階数によって、地震への強さはどのように変わるのでしょうか。結論として、もっとも倒壊しやすいのは1階部分です。

まずは、1階の倒壊リスクについて確認していきましょう。

1階が弱い理由

マンションの1階部分が地震に弱いのは、構造的な要因によるところが大きいです。土地と直接接触している1階は、地震のエネルギーをじかに受けます

1階は入口や共有スペースなどを備えているケースが多く、構造的に脆弱になっている箇所があるかもしれません。

また、地震が発生すると建物全体に大きな揺れが生じ、揺れによる上層階(6階以上または11~15階)の部屋や家財などの荷重が1階へ集中します。

このように、1階部分の構造や地震から受けるエネルギーの強さ上層階からの荷重など複数の要因により1階部分の倒壊リスクは高くなっています。

1階の被害例

具体的な被害例として、地震により1階部分が地面に沈み込むケースがあります。

いわゆる「液状化現象」と呼ばれるもので、地震の揺れにより地下の水分を含んだ土が液状化し、建物の基礎が沈下します。

特に海や河川などを埋め立てて作られた土地に建つマンションは、地盤が弱くなっているおそれがあり、液状化するリスクが高いでしょう。

このほか、昔の建築基準で作られた耐震性の弱いマンションでは、1階部分がつぶれてしまうおそれがあります。

耐震性の弱さから倒壊につながり、ガラスや設備が壊れてケガをする、といった被害も起きやすくなるでしょう。

1階で地震に遭ったときの対処法

地震の揺れが落ち着いたら、多くのマンションでは構造的に安全な避難場所が定められているため、まずは避難場所へ移動しましょう。

避難場所が指定されていない場合、マンション内にとどまらず、地域の一次避難場所や広域避難場所へ移動するのが望ましいです。

マンション内にいると、揺れが落ち着いたあとも余震により上層階からガラスや家財などが落ちてくるおそれがあります。

避難場所は、広い公園や小中学校の施設などに設けられているケースが多いです。行政で指定された避難所には通常、水や食料、生活必需品が備蓄がされています。

大地震では上にいくほど揺れやすい

上層階には高層ならではのリスクもあります。

ここからは、上層階での地震リスクについて確認していきましょう。

揺れによって室内の被害は甚大に

上層階は、地面からの揺れの影響がもっとも大きいです。

地震による揺れは、地上から上に向かうときに高さに応じて左右への遠心力を発生させます。マンションの高層になるほど、風による影響もあります。

そのため、上層階になるほど揺れがより長く強く感じられるでしょう。

最上階はヘリでの救助が期待できる

上層階に住んでいる場合、日常的に利用しているエレベーターが停電などの影響で使えなくなるケースがあります。

階段を利用しての避難は時間がかかり、煙の充満や避難経路が閉ざされるリスクもあるでしょう。

最上階であれば、甚大な被害が生じた場合はヘリによる救助も期待できるかもしれません。

ただし、地域によってはヘリの出動が難しい場合もあるため、上層階の物件購入を検討するときは、災害時の避難ルートを事前に確認しておいたほうがよいでしょう。

上層階の揺れ対策

地震の揺れが強くなると、「食器棚やクローゼットが倒れる」「上に置いてある物が落下する」といった危険があります。

揺れによる力が加わることにより、窓ガラスが割れるケースもあるでしょう。

このような危険に備えるには、天井への突っ張り棒で家具を固定する、窓ガラスに飛散防止フィルムを貼るなどの対策が有効です。

助かりやすい階:おすすめは3階以上の中階層

1階と上層階はメリットもありますが、地震対策の観点からはそれぞれリスクがあります。

特に以下のようなリスクの観点から、おすすめは3階以上の中階層です。

津波リスクの観点から

地震により津波が発生すると、1~2階は押し寄せた海水によって浸水してしまうリスクがあります。

津波以外でも、周辺に大きな川がある場合は堤防が決壊した場合に浸水リスクがあるでしょう。

このような状況を考慮すると、3階以上の中階層が津波リスクの観点からおすすめです。その理由として、以下の点が挙げられます。

  • 浸水リスクの大幅な低減:3階以上の階層は、多くの場合、津波の直接的な影響を受けにくく、1階や2階と比べて浸水の危険性が低くなります。
  • 建物の構造的安定性:中階層は一般的に建物の構造上、低層階(1階~2階または建物の1/3の高さ)よりも安定していることが多く、津波の衝撃に対してより高い耐性を持つ可能性があります。
  • 復旧の容易さ:万が一の浸水時でも、3階以上であれば被害が比較的軽微で済む可能性が高く、復旧作業も容易になります。

火災リスクの観点から

上層階に住んでいる場合、火災が発生すると避難経路に煙が充満し、逃げ遅れてしまうおそれがあります。

停電すると、エレベーターだけでなく建物内の照明も消えてしまうおそれがあり、脱出が困難です。

火災時にマンションの外に避難するまでの時間がかかると、火が燃え広がり、一酸化炭素中毒などのリスクも高くなるでしょう。

一方、1~2階は不審者による放火や延焼のリスクが高くなります

3階以上の中階層の場合は、以下のような理由から避難のしやすさと安全性のバランスが取れた選択肢といえます。

  • 上層階より避難が容易
  • 非常階段を使用しての避難がしやすい
  • 消防隊の救助活動が行いやすい
  • 煙の影響が上層階より少ない
  • 低層階の火災リスクと上層階の避難困難リスクのバランスが取れている

倒壊リスクの観点から

1階部分は構造的な面などから、倒壊リスクが高くなります。

3階以上の中階層であれば、地震のエネルギーを地面からじかに受けず、上層階からの重量も少なくなるため、1階部分よりも倒壊するリスクは少なくなるでしょう。

地震で倒壊しにくいマンションを購入するポイント

階数以外にも、地震で倒壊しにくいマンションを購入するポイントは複数あります。

まずは倒壊しにくい「場所」か確認

収益性などの観点から地域によっては、自然災害のリスクが高い場所にも関わらず、マンションが建設されていることがあります。

同じ構造のマンションでも立地によって倒壊リスクは大きく変わります。マンションだけでなく、立地についても調べておくようにしましょう。

たとえば東京都であれば、東京都不燃化ポータルサイトの「地域危険度一覧表」より、災害時の危険度を客観視できます。

建物倒壊危険度」「火災危険度」「災害時活動困難係数」「総合危険度」を確認できるので、ぜひ購入前の参考にしてください。

地盤の強さと液状化リスク

埋め立て地などに建設したマンションは液状化リスクが高く、倒壊の危険もあります。

ただし、もともと地盤が弱い立地であっても液状化対策工事によって強化している場合もあるので、不動産会社に確認しておくとよいでしょう。

地域ごとの災害リスク

通常、地方公共団体(自治体)は地域ごとに地震や洪水、土砂崩れなどの災害リスクを調査し、ハザードマップを作成しています。

ハザードマップ」を参照すれば、物件の立地が災害リスクの高い場所なのかどうかが確認できます。

各地方公共団体のホームページなどで公開しているケースが多くありますので、ハザードマップで候補となる物件付近の情報を確認しておきましょう。

こんな構造は要注意!壊れにくい構造を選ぼう

建物は構造によって地震への強さが大きく変わります。

なかには注意したほうがよい構造もあるため、ここで確認しておきましょう。

正方形や長方形以外の形状

正方形や長方形以外の形状のマンション例

正方形や長方形以外の形状のマンション例

立地によっては、L字型やコの字型になっているマンションがあります。

このようなマンションは、正方形や長方形と比べて建物の形状が不規則であるため、地震の際には一部の箇所にダメージが集中するおそれがあります。

一方、正方形や長方形の形状のマンションは地震のダメージが全体に分散されるのが特徴です。

安全性を重視するなら、マンションの形状にも着目するとよいでしょう。

1階に部屋がないピロティ形式

1階に部屋がないピロティ形式のマンション例

1階に部屋がないピロティ形式のマンション例

ピロティ形式とは、1階部分がほとんど壁のない駐車場など、柱のみになっている構造のことです。都市部などで限られた土地を有効活用するために利用される形式です。

利便性がある一方で、2階以上が柱のみで支えられているため耐震強度は低く、大きな地震の際には1階部分が倒壊するリスクがあります。

RC造とSRC造など、ミックス型

1つの建物にRC(鉄筋コンクリート)造とSRC(鉄骨鉄筋コンクリート)造などがミックスしている構造形式を、「混用構造」といいます。

建物には、縦の力(主に重力)と横の力(地震による揺れや風の力)が加わりますが、それをうまく地面に伝えることで建物への負荷を減らしています。

混用構造の場合、たとえば1階部分と2階部分で力の受け方が異なり、うまく力が地面に逃げないため、建物への負荷が増して倒壊リスクが高まるおそれがあります。

細長い形状

建物が縦長横長など細長い形状をしている場合も注意が必要です。

このような建物は、細い形状になっている部分が地震の揺れに対して弱くなり、ダメージが大きくなる傾向にあります。

特にマンションの場合、上に細長い形状では建物の下部と上部でひずみが大きくなり、弱い部分の損傷がひどくなることがあります。

参考:東京都耐震ポータルサイト「1.分譲マンションの耐震化

耐震等級2以上のマンション(長期優良住宅)を選ぶ

建物の耐震性能を示す指標として、「耐震等級」という基準があります。

耐震等級には3段階のランクがあり、その基準は以下のとおりです。

耐震等級別の違い
等級 基準
耐震等級1
  • 震度5では軽微なひび程度、震度6強でも即時に倒壊しない
  • 震度7の倒壊確率28%
  • 一般住宅に最低限求められる耐震性能
耐震等級2
  • 耐震等級1の1.25倍の耐震性
  • 震度7の倒壊確率7.9%
  • 長期優良住宅の要件
  • 病院や学校など避難所となる建物に求められる耐震性能
耐震等級3
  • 耐震等級1の1.5倍の耐震性
  • 震度7の倒壊確率3.5%
  • 長期優良住宅の要件
  • 消防署や警察署など防災拠点となる建物に求められる耐震性能

近年の戸建ては、耐震等級3を満たすものが一般的になっています。一方、マンションの耐震等級は建築コストや住環境などの観点から、耐震等級1が多くなっています

安全性を求めるなら耐震等級2以上の基準を満たすものが望ましいため、住宅性能評価書などで購入前に確認しておきましょう。

マンションと戸建ての耐震性能の違い

過去の震災から、建物の構造や建築年代には耐震性の違いがあらわれるものの、マンションと戸建てのどちらの耐震性が高いかは一概にいえません。

マンションか戸建てかの違いより、「耐震等級を基準として選ぶとよい」でしょう。

戸建てより割合は少なくなりますが、マンションにも耐震等級2〜3を満たす物件は多くあります。

まとめ:階数別の地震リスクと対策

階数による地震リスクと対策をまとめると、下表のとおりです。

階数による地震リスクと対策
階数 主なリスク 対策
上層階(6階以上または11~15階)
  • 火災発生時の逃げ遅れ
  • 揺れによる家具などの横転や落下
  • 窓ガラスの飛散
  • 避難経路を確認しておく
  • 家具を固定する
  • 窓ガラスに飛散防止フィルムを貼る
中階層(3階~5階または6~10階)
  • 揺れが強い場合は家具の横転や落下、火災時のリスクもあり
  • 避難経路を確認しておく
  • 家具を固定する
低階層(1階~2階または建物の1/3の高さ)
  • もっとも倒壊しやすい
  • 液状化による地面の沈下
  • 地域の避難場所を確認しておく

中階層は、低階層と上層階にあるそれぞれの地震リスクが少なくなるため、安全性の観点からおすすめできます。

もちろん、マンションの魅力として低階層と上層階にもそれぞれのメリットがありますし、地震リスクを軽減している物件もあります。

マンションの購入を検討するときは、階数による地震リスクも観点のひとつとして考慮しておくとよいでしょう。


この記事の編集者

リビンマッチ編集部 リビンマッチ編集部

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