土地を貸すメリットがよくわかる!地代相場とリスクを大公開
「土地を貸すって、一体どうなの?」そんな疑問を抱いたことはありませんか。実は、土地活用の選択肢として注目を集めているんです。
相続などで土地を取得した場合、主な活用方法として以下があります。
- 所有者やその親族が家を建てて住む
- 仲介業者に依頼して売却する
- 人に貸して地代をもらう
- 所有者がその土地を利用して事業を行う
この中で「人に貸して地代をもらう」方法は、長期的に安定した収入を求める方に適しています。しかし、「本当に儲かるの?」「トラブルは避けられるの?」といった不安も出てくるでしょう。
この記事では、土地所有者の皆さまへ向けて、実際の地代相場やリスク、メリット、注意点などを徹底解説します。
土地を貸す4つのメリット
土地を貸すメリットは主に次のような点にあります。
- 持て余した土地を有効活用できる
- 手放すより心理的負担が少ない
- 節税につながる可能性がある
- 消費税負担がゼロ
それぞれの内容を確認していきましょう。
持て余した土地を有効活用できる
土地は維持管理を継続しなければ時間の経過とともに荒れ果ててしまい、評価額が下がってしまうおそれがあります。
また、使用していない場合でも、固定資産税などの税金は支払い続けなければなりません。
人に貸すことで契約などの手間やトラブルが発生するリスクはあるものの、持て余した土地を有効活用できるのはメリットといえるでしょう。
手放すより心理的負担が少ない
人に土地を貸すと、借主が自らの利用目的のために維持管理をしてくれます。賃貸をスタートさせるまでは、必要となる手続きや手間が多いかもしれません。
しかし、土地の賃貸が始まり、時間がたつにつれて借主との信頼関係が構築できたあとは、むしろ心理的負担が少ないまま安定収入を得られる可能性が高いでしょう。
節税につながる可能性がある
借地が「宅地」(住居などの敷地)として利用される場合、相続税を軽減できます。
宅地は相続税の評価で「貸宅地」という扱いになり、所有者の利用が制限される分、土地の評価額も大幅に下がるからです。
土地の評価額が下がると、評価額に応じて課税される相続税も低くなります。
ただし、駐車場のように更地のまま人に貸す場合、自らが利用する「自用地」としてみなされるため、相続税は軽減できません。
消費税負担がゼロ
土地の賃貸借は、法律で非課税と規定されているため原則として消費税はかかりません。
賃貸借は、物品などの消費とは異なり「資産の移動」にすぎないためです。
ただし、例外として1カ月未満の短期賃貸借には消費税がかかります。
1カ月未満という短期の場合、資産の移動ではなく「一時的なサービスの提供」であると考えられるからです。
土地を貸すとどれくらい儲かる?地代相場を解説
土地を借りる目的はさまざまですが、通常は借りたあとに建物を建て、居住または事業目的で利用するのが一般的でしょう。
まずは、地代相場について確認していきます。
借地権の種類と地代相場
「建物の所有を目的として、第三者へ地代を払って土地を借りる権利」を借地権といいます。
契約期間や使用目的によって主に4種類にわかれます。地代の相場はこの借地権の種類と土地の評価額によって決まり、おおよその地代相場は次のとおりです。
種類 | 地代相場 | 契約期間 |
---|---|---|
普通借地権 | 土地価格×1%未満 | 30年以上 |
一般定期借地権 | 土地価格×2〜3% | 50年以上 |
事業用定期借地権 | 土地価格×4〜5% | 10年~50年未満 |
建物譲渡特約付借地権 | 土地価格×2%ほど | 30年以上 |
普通借地権
普通借地権は、借主が長期間にわたって使用することを前提とした権利です。
契約期間は30年以上で、初回更新後が20年以上、2回目以降更新後が10年以上となります。
注意点として、所有者は土地を返してもらうための正当事由がないと、借主の契約更新を拒否できません。
地代相場は「土地価格×1%未満(固定資産税の3倍ほど)」が目安となっています。
一般定期借地権
一般定期借地権は、土地に建てる建物の利用目的に制限はないものの、一般的には居住用として利用される借地権です。
契約期間が50年以上で、原則として契約の更新はなく、契約期間満了後は土地を更地にして所有者に返す義務があります。
地代相場は「土地価格×2〜3%ほど」です。
事業用定期借地権
事業用定期借地権は店舗や工場など、法人が事業目的で土地を借りるときに利用されます。
借主に資力があるため通常の地代相場は、「土地価格×4〜5%」と、ほかよりも高めになるのが一般的です。
契約終了時は、一般定期借地権と同様に土地所有者は正当事由がなくても契約期間満了後の更新を拒否できます。
契約満了後、借主が建物などを撤去し、更地にして所有者に土地を返す義務があります。
建物譲渡特約付借地権
建物譲渡特約付借地権は、契約期間の満了後に土地所有者が建物を買い取る特約をあらかじめ定めておく契約です。
契約期間は30年以上ですが、土地所有者が建物を買い取った時点で契約が終了します。
借主は土地を更地にする必要がなく、土地所有者は建物を買い取ることで土地と建物、両方の所有権を持ちます。
地代相場は「土地価格×2%ほど」です。
あまり儲からない。土地を「手放したい」人にはおすすめ
たとえば地代が「土地価格×2%」の場合、価格1,000万円の土地の地代は年間20万円ほどです。
アパートを建てて家賃収入を得るなど、通常は土地を活用して事業を行う場合と比べると大きな収益は見込めないでしょう。
そのため「土地を積極的に活用して収益をあげたい」という人よりも、「土地を利用する予定がなく、持て余してしまうくらいなら人に貸して安定収入を得たい」という人のほうが適しているといえます。
収入は低いが安定はしている
大きな収益は見込めないものの、借地権は契約期間が数十年にわたり、通常は撤退リスクも低いため、長期に安定した地代を得られます。
大きな収益を得るために事業を始めても、高額な初期投資が必要となる場合や、事業が軌道に乗らず損失を出してしまう場合もあります。
人に貸した場合、基本的に維持管理の手間もかからないため、長期的な安定収入に魅力を感じる方もいるでしょう。
土地を貸すときの注意点
土地を貸す場合、次のような点に注意しましょう。
- 解約時は更地にして返してもらう
- 住居以外の利用は特例措置による減税を受けられない
- 借地権があると売却しにくくなる
それぞれの内容を確認していきます。
解約時は更地にして返してもらう
借地関係の終了事由と土地上にある建物の取り扱いは、借地権の種類によって次のように異なります。
種類 | 借地関係の終了事由 | 契約終了後の建物 |
---|---|---|
普通借地権 | 契約期間満了(法定更新) | 借主が建物買取請求権を行使できる |
一般定期借地権 | 契約期間満了 (原則、更新なし) |
借主が更地にして返却 |
事業用定期借地権 | 契約期間満了 (原則、更新なし) |
借主が更地にして返却 |
建物譲渡特約付借地権 | 建物の譲渡 | 建物の所有権が土地所有者に移転する |
もし建物の撤去費用が土地所有者の負担となる場合、建物の解体には一般的に数百万円ほどの費用がかかります。
建物が工場だったときなどは、土壌が汚染されているおそれがあり、土壌改良費用も必要となるかもしれません。
「 一般定期借地権」と「事業用定期借地権」は、借主が費用を負担して更地とし返却するよう定められています。
「普通借地権」は借主が更地とする義務はありませんが、契約書の特約で定めることは可能です。
たとえば、「借主は期間満了時に契約更新をしないとき、建物を撤去して土地を返還する」といった返還条項を定めておくとよいでしょう。
住居以外の利用は特例措置による減税を受けられない
土地を貸した場合でも、固定資産税や都市計画税は土地の所有者が負担します。
税負担を軽減する措置として、土地に住居(アパート、戸建て住宅など)を建てた場合、「住宅用地の特例」が適用されます。住居を建てるのは、土地所有者でなく借主の場合でも問題ありません。
住宅用地の区分と税負担が軽減される割合は、次のとおりです。
区分 | 固定資産税 | 都市計画税 |
---|---|---|
小規模住宅用地 (面積が200㎡以下の部分) |
課税標準価格の1/6 | 課税標準価格の1/3 |
一般住宅用地 (面積が200㎡を超える部分) |
課税標準価格の1/3 | 課税標準価格の2/3 |
なお、借主が事業用の店舗を建てる場合などは、この特例を受けられません。
借地権があると売却しにくくなる
借地権のある土地は、一般的に通常の土地と比べて売却が困難になります。土地の所有者となっても、契約期間中は所有者が自由に活用できないからです。
長期的に安定した地代を得られるというメリットはあるものの、次のようなデメリットがあるため買い手が見つからないことがあります。
- 固定資産税や都市計画税などの税金がかかる
- 借主と土地の利用や返却などをめぐって、トラブルになるおそれがある
- 購入する場合、銀行からの融資が受けにくい
土地を貸す最大のリスク!取られるって本当?
土地を貸したときの典型的なトラブルとして、契約期間が満了しても借主が土地を返してくれないというケースがあります。
普通借地権と定期借地権の場合でそれぞれ内容を確認していきましょう。
普通借地権の場合、土地は返ってこないと思って貸す
普通借地権の場合、土地所有者は正当事由がなければ借主の契約更新を拒否できません。
正当事由がある場合でも、借主が土地に居座ったまま返してくれないケースもあります。土地を返してくれない場合、最終的には裁判で土地の明け渡し訴訟を提起します。
日本では自力救済(法的な手続きによらず、本人の実力行使で権利を実現すること)は禁止されているため、たとえ借主が明らかな違反行為をしている場合でも、明け渡しには裁判上の手続きが必要です。
ただし、裁判にかかる費用や建物を取り壊す費用などは原則として訴訟を提起した所有者が負担しなければなりません。
費用だけでなく、時間や精神的な負荷もかかるため、「返してくれないと非常に困るような土地は貸さないほうがよい」といえるでしょう。
定期借地権の場合、土地は(買取以外なら)必ず返ってくる
定期借地権(一般定期借地権、事業用定期借地権、建物譲渡特約付借地権)は、正当事由がなくても契約更新を拒否できる契約です。
所有者が希望する場合、契約期間の満了によりほぼ確実に土地を取り戻せます。
土地の返却について、借主とのトラブルを避けられる可能性が高い点は定期借地権の大きなメリットです。
売却したい場合、借地として人に貸す前に売却するようにしましょう。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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