マンションから戸建てに住み替えるメリットとデメリット|流れとタイミングも解説
マンションは防犯性に優れているほか、立地がよくて高齢者が生活しやすいなどのメリットがあります。一方で、戸建てにあこがれ、機会があれば戸建てに住み替えたいと望む人も少なくありません。この記事では、マンションから戸建てに住み替える流れやタイミング、さらにそのメリットとデメリットを解説します。
もくじ
マンションから戸建てに住み替える7つのメリット
マンション暮らしにはさまざまなメリットがあるものの、戸建てでの生活にも多くのメリットがあります。マンションから戸建てへ住み替える、価値のあるメリットにはどんなものがあるのでしょうか。マンションから戸建てに住み替えるメリットを7つ紹介します。
土地が自分だけのものになる
マンションから戸建てに住み替える大きなメリットは、土地を独占的に利用できる点です。
マンションは他の区分所有者と敷地を共有しますが、戸建ては土地を自由に使えます。また、土地は建物より資産価値が下がりにくく、建物を取り壊して再建築することも可能です。
相続財産として次世代にわたって利用できるため、長期的に見て土地は重要な資産といえます。
自由にリフォームできる
マンションから戸建てに住み替えると、建て替えやリフォームが自由にできる点もメリットです。
マンションは、区分所有者の8割以上が賛成して初めて建て替えられます。リフォームも管理規約の制限があるため一定の手続きが必要です。しかし、戸建てであれば、ライフステージの変化に応じて自由にリフォームや建て替えができます。
使用する建材や素材も自分で決められますし、隣室への騒音を気にせず大規模なリフォームができます。ペットの飼育、ガーデニング、DIYなどを自由に楽しめることも戸建ての魅力のひとつでしょう。
近所付き合いが楽になる
マンションから戸建てに住み替えると、振動や騒音のストレスが減少します。
マンションは足音や楽器などの騒音がトラブルにつながりますが、戸建てはある程度音を出しても気にする必要はありません。とりわけお子さんがいる家庭は、走り回ったとしても隣人への迷惑を気にせずに済みます。
もちろん過度な騒音は戸建てでも注意すべきですが、マンションよりは快適に過ごせるでしょう。
管理費や修繕積立金が不要になる
戸建てはマンションと異なり、管理費や修繕積立金などの支払いが不要です。これにより、毎月の固定費を大幅に減らせます。
国土交通省による平成30年度の調査では、マンションにおける管理費と修繕積立金の合計額は平均で月23,130円、年間277,560円です。自家用車をお持ちの方は駐車場代も加わるため、これらの費用が発生しない戸建てだと維持費を節約できます。
駐車場代や駐輪場代もかからない
マンションは、駐車場代や駐輪場代が毎月発生します。
駐車場代は周辺月極駐車場の7〜8割程度、駐輪場代は毎月数百円程度が一般的です。一方、戸建てに住み替えると自分の土地に車や自転車を置けるため、これらの費用は必要ありません。
駐車場付きの戸建てを選ぶことで駐車場代や駐輪場代の支出を削減でき、経済的な負担を軽減できます。
災害時の避難が楽になる
災害時に避難しやすい点も、戸建てのメリットです。
たとえば、タワーマンションは停電時にエレベーターが使えなくなると、高層階からの避難に階段を使わねばなりません。その点、戸建ては低層のため、避難に時間がかからないのが利点です。
子育てがしやすい
戸建て住宅は部屋数に余裕があるため、子どもに個室を与えられます。
広い延床面積を確保できるため成長に応じて部屋割りを変えられ、子どもがそれぞれの部屋で生活することで騒音トラブルも少なくなります。庭がある戸建てなら、家族でバーベキューやガーデニングを楽しめるでしょう。
さらにマンションの高層階に比べてベランダからの転落リスクが減り、子どもの安全性も確保できます。
マンションから戸建てへ住み替える4つのデメリット
マンションから戸建てへ住み替えるとさまざまなメリットがありますが、気をつけたい点もあります。ここでは、マンションから戸建てへ住み替えるデメリットを4つ紹介します。
修繕にかかる費用は自分で用意する
戸建ては、修繕費の計画的な準備が必要です。マンションのような毎月支払う管理費や修繕積立金がないため、故障や劣化を自分でメンテナンスしなければなりません。
修繕資金を貯めるだけでなく、火災保険や地震保険への加入、建物の管理方法や修繕に関する知識を持つことも重要です。
光熱費が高くなりやすい
戸建てはマンションより、光熱費が高くなる傾向があります。
鉄筋コンクリート製のマンションは熱が外部へ逃げにくいため、光熱費を抑えられます。しかし、戸建ては屋根や壁から熱が上へ逃げやすく、光熱費がかさみやすいのです。
特に木造の戸建ては、鉄筋コンクリート造のマンションに比べて気密性や断熱性が低いため、光熱費が高くなる傾向があります。
防犯対策は自分でする
マンションから戸建てへ住み替えた場合、セキュリティを強化する必要があります。新しいマンションには監視カメラやオートロックが導入されていますが、一般的な建売の戸建てにはそうした防犯設備がないことが多いです。また、戸建ては侵入経路が多く管理人もいないため、防犯意識を高め、防犯設備を整えることが重要です。
防犯カメラやオートロックなどを設置し、窓に補助錠をつけるなど、効果的な防犯対策を講じましょう。
住む人や年齢によっては住みにくさを感じる
マンションは基本的にワンフロアなので、間取りの動線はシンプルです。しかし、戸建ては2階建てや3階建てが多く、上下階の移動を必要とします。そのため生活動線が長くなり、特に高齢者や子どもにとっては移動が負担になるでしょう。また、独身や夫婦二人暮らしの場合、部屋を持て余すこともあります。
したがって、年齢や家族構成によっては、戸建てに住みにくさを感じるかもしれません。
マンションから戸建てに住み替える流れ
マンションから戸建てに住み替える際、どのような手順で進めるかを解説します。
- 住み替えたい戸建てを考える
- 購入を依頼する不動産会社を探す
- マンションを手放す方法を考える
- 売り先行と買い先行を決める
- 売却の仲介を依頼する不動産会社を探す
- 不動産会社と媒介契約を結ぶ
- 内覧・売買契約を進める
- マンションを引き渡す
- 戸建ての購入にかかる費用を払う
- 引っ越しをする
住み替えの流れを見ていきましょう。
①住み替えたい戸建てを考える
戸建てには、「新築建売」「注文住宅」「中古住宅」の3種類があります。それぞれのメリットとデメリットを比較し、購入する戸建てを決めましょう。
新築建売は手間が少なく、すぐに入居できます。注文住宅は設計を自由にできることが魅力です。中古住宅は、費用を抑えられる利点があります。
また、マンションの売買と並行して戸建てを購入するか、売買完了後に物件探しをするかについても検討が必要です。スムーズな住み替えを実現するために、信頼できる不動産会社と相談しながら進めましょう。
②購入を依頼する不動産会社を探す
住み替えの際、売却と購入のタイミングを一致させることが重要です。理想は「売り・買い同時」ですが実現は難しいため、タイミングのずれを最小限に抑えることが大切です。
不動産会社の担当者が住み替え案件に慣れていれば、安心して任せられます。売却と購入を同じ会社に依頼するとスムーズですが、マンション売却とは別に、戸建てに強い不動産会社を選ぶ方法もあります。
信頼できる不動産会社と担当者を選ぶことが、住み替えを成功させるために重要です。
③マンションを手放す方法を考える
マンションを手放すにあたって、売却するか賃貸に出すかを検討しましょう。
売却だと一括で現金が手に入り新居の資金に充てやすい一方、賃貸は継続した収入が得られます。それぞれのメリットとデメリットを考慮し、最適な方法を選びましょう。
また、方法に応じて適切な不動産会社を探すことも重要です。売却なら売買に強い会社、賃貸なら管理がしっかりしている会社を選ぶことでスムーズな手続きと安心感を得られます。
④売り先行と買い先行を決める
いま住んでいるマンションを先に売却し、戸建てを購入する方法が売り先行です。売り先行のメリットとデメリットは、次の表のとおりです。
売り先行のメリット
- 売却してから購入するため、ローンの返済や新居の購入費などの資金繰りが楽になる
- 2つの物件を同時保有せずに済むため、維持費が少なくなる
売り先行のデメリット
- 住みながら売却するため、内覧のたびに掃除などが必要。プライバシーの確保も難しい
- 仮住まいが必要になりやすい。引っ越しなど仮住まいの費用と手間がかかる
戸建てを購入してからいま住んでいるマンションを売却する方法は、買い先行といいます。買い先行のメリットとデメリットは次のとおりです。
買い先行のメリット
- 仮住まいが発生しないため、引っ越しが1回で済む
- 新居探しに時間をかけられる
- 空き家にしてから売却するため、生活感のない写真を撮影でき、買い手に好印象を与えられる
買い先行のデメリット
- 売却する物件と購入する物件の双方に維持費が発生する
- 売却する物件に住宅ローンが残っていると、二重ローンが発生する
- 二重にローンを組むときは融資の審査が厳しく、利用できる金融機関が限られる
それぞれのメリットとデメリットを吟味し、どちらが適しているかを検討しましょう。
⑤売却の仲介を依頼する不動産会社を探す
マンションを売却に出す際は、信頼できる不動産会社を探すことが大切です。実績や評判を調べ、売却の仲介に強い会社を選びましょう。一括査定サイトを利用し、複数の不動産会社から査定を受けるのも有効な方法です。
売却に適した不動産会社が見つかれば、媒介契約を結び、手続きを進めます。信頼できる会社に依頼することで手続きがスムーズに進み、満足できる結果を得られるでしょう。
⑥不動産会社と媒介契約を結ぶ
マンションの売却を進めるには、不動産会社との媒介契約が必要です。
媒介契約には、専任媒介、専属専任媒介、一般媒介の3種類があります。売却の仲介を1社の不動産会社に限定する契約が専任媒介と専属専任媒介で、複数社に売却の仲介を依頼できる契約が一般媒介です。専任媒介と専属専任媒介の違いは、売主自ら買主を探せるかどうかです。専属専任媒介契約を結ぶと、売主が買主を探すことはできません。
媒介契約の期間は、専任媒介と専属専任媒介は最長で3カ月と宅地建物取引業法に定められています。一般媒介だとそうした決まりはありませんが、同様に契約期間を3カ月とすることが一般的です。契約が終了すると、他社への切り替えもできます。
不動産会社との契約時には媒介契約の種類を検討し、広告や宣伝方法なども相談しながら進めていきましょう。
⑦内覧・売買契約を進める
売却活動は不動産会社が物件情報の広告を出し、内覧の希望者を募ります。
住みながらマンションを売却するときは、購入希望者が訪れるたびに掃除や片付けをする必要があります。一方で空き家にすると内覧の対応がしやすくなる反面、仮住まいが必要で引っ越し費用がかさみます。
買主が見つかって条件が折り合えば、売買契約を交わします。売買契約では、次のものが必要です。
- 登記済証か登記識別情報通知書
- 実印と印鑑証明書
- 本人確認書類
売買契約書や付帯設備表は、不動産会社が用意することが一般的です。
⑧マンションを引き渡す
住宅ローンを完済していれば、抵当権の抹消が可能です。住宅ローンで購入した家屋には、金融機関によって抵当権が設定されています。住宅ローン完済後も抵当権は設定されたままのため、売主が費用を負担し司法書士に抵当権抹消の登記を依頼することが一般的です。
引き渡しの当日には、売却代金を振り込んでもらう銀行口座の情報や印鑑証明書、管理規約などの書類が必要です。不動産会社に確認し、用意する書類に漏れがないようにしましょう。
⑨戸建ての購入にかかる費用を払う
戸建ての購入にかかる費用は、新築建売、注文住宅、中古住宅で異なります。
新築建売の場合、土地・建物の代金以外に建物の所有権保存登記と土地の所有権移転登記、および登記を司法書士に依頼する依頼料がかかります。
注文住宅では登記にかかる費用に加え、一般的に建売より建物の価格が高額です。中古住宅では建物と土地の所有権移転登記に加え、以前の所有者が納めた固定資産税を引き渡し以降の日割りで所有者に支払います。
ローンを利用して購入したときは、融資手数料や保証料を金融機関に支払う必要があります。
⑩引っ越しをする
マンション売却と戸建て購入のタイミングが合わない場合は、仮住まいの手配が必要です。仮住まいをするときは新居と合わせて2回の引っ越しが必要になり、費用と作業の負担が増えます。
住み替えにかかる費用
マンションから戸建てに住み替えるときは、さまざまな費用がかかります。住み替えにかかる主な費用を紹介します。
戸建ての購入費用
一般的に、家の購入予算は年収から算出します。おおよそ年収の7~8倍程度が無理のない予算設定といわれています。
現実的なラインとしては、ひと月に返済できる返済額から予算を決める方法がおすすめです。年収に対する住宅ローン返済額の割合が、25%以内であれば無理なく返済できるでしょう。
住み替えの場合、マンションの売却利益を予算に組み込めます。売却利益を頭金に当てることで、その後のローン返済が楽になるでしょう。
マンションの売却時にかかる手数料
マンション売却時にかかる費用は、主に以下のとおりです。
- 不動産会社に支払う仲介手数料
- 譲渡所得税(マンション売却によって利益が生じた場合)
- 印紙税
- 抵当権抹消登録免許税
仲介手数料は、法律によって上限が決められています。上限を求める計算式は以下のとおりです。
マンションの売却価格が400万円以下、あるいは200万円以下の場合は上限を求める計算式が異なります。
譲渡所得とは、不動産を売却した価格からその不動産を購入した価格と購入・売却にかかった経費を引いた利益のことです。売却するマンションの所有期間が5年を超えているか、いないかで税率が変わります。
仲介手数料の上限やかかる税金について詳しくは、次の記事を参照してください。
仮住まいの費用
住み替えるタイミングによっては、仮住まいが必要になることがあります。仮住まいとなる住宅を借りるときでも敷金・礼金や家賃、引っ越し費用も最低2回かかります。仮住まいの費用も含めて、住み替えの予算を立てましょう。荷物が多い場合は、トランクルームを利用するのもよいでしょう。
仮住まいにかかる費用は、決して安くはありません。売り先行を選ぶときは、仮住まいの場所と予算を確保しておきましょう。
戸建ての購入にかかる手数料
戸建ての購入にかかる費用は購入代金以外に、仲介手数料や住宅ローンの手続きに伴う手数料があります。
前述したように、仲介手数料には上限が設定されています。計算方法は売却時と同じです。住宅ローンの手続きには、金融機関に支払う融資事務手数料、保証会社に支払うローン保証料などが必要です。
これらの手数料に加え、不動産取得税、登録免許税、印紙税などの税金もかかります。特に印紙税は購入契約時と住宅ローン契約時の両方で納付する機会があります。
マンションのローンが残っているときの住み替え方法
マンションのローンがまだ残っていたとしても、戸建てに住み替えることは可能です。ここでは、マンションのローンが残った状態で、戸建てに住み替える方法を紹介します。
マンションの売却益で返済する
マンションのローンが残っている場合、住み替え時に売却代金で返済するのがひとつの方法です。売却額がローンの残債を上回るアンダーローンであれば、売却代金で完済できます。
売却額がローンの残債を下回るオーバーローンの場合、不足分を自己資金などで補う必要があります。もし、自己資金などがなくてローンの残債を完済できない場合は、ほかの方法で不足分を補う必要があります。
住み替えローンを活用する
売却代金でローンを完済できない場合は、住み替えローンの活用を検討しましょう。
住み替えローンとは、いま住んでいる家の返済が終わっていないローン分と新しく購入する家の購入資金を一括で借り入れられるローンです。ダブルローンにならない分だけ返済する金額を減らせますが、ローンの審査が厳しくなる傾向があります。
返済する額が多くなりますので、利用を検討する際は返済計画をきちんと立てましょう。また、審査に通らなかったときの対応を決めておく必要があります。
マンションから戸建てに住み替えるタイミング
住み替えは、生活に大きな影響を及ぼします。適切なタイミングで住み替えなければ、家族に悪影響があったり、不要な出費が発生したりします。ここでは住み替えの代表的なタイミングを紹介しますので、これを参考に最適なタイミングを見つけましょう。
家族構成が変化するとき
家族構成の変化は、住み替えを考える一般的なタイミングのひとつです。夫婦2人きりだった生活に子どもが増えれば、子育てに向いている間取りや環境が必要になります。また、親世代との同居が始まれば、生活スタイルも含めた見直しが必要になるでしょう。
反対に、子どもが成長して独立すれば、家のダウンサイジングが必要です。家族構成の変化に合わせ、収入に見合った住み替えをしましょう。
遠方への引っ越しが必要なとき
たとえば、転勤で勤務先が遠方となり、家族も一緒に引っ越しをするときは、住み替えが必要です。特に通学する子どもと一緒に引っ越す場合は影響が大きいため、余裕を持った住み替えのスケジュールが求められます。
収入が増えたとき
収入が増えて生活水準を上げたいと考えたときは、住み替えのタイミングといえます。家の価格は年収の7~8倍程度です。理想的な生活を目指して、予算範囲内で住み替えを行いましょう。
また、このケースでは住み替えを急ぐ必要がないため、住宅ローンが低金利な時期やいま住んでいる地域の地価が上がった時期など、より有利なタイミングで住み替えを行えます。
一括査定を利用するならリビンマッチ
マンションを売却するときは、できるだけ多くの不動産会社に査定をしてもらいましょう。マンションの価値を判断するポイントは不動産会社によって異なり、それが査定価格に影響します。少なくとも2~3社は査定を依頼し、マンションにどれくらいの価値があるのかを調べてください。
一括査定サイトの「リビンマッチ」には多くの不動産会社が参加しているため、さまざまな地域のマンションの査定に対応できます。近所の不動産会社にだけでなく、リビンマッチを利用して多くの不動産会社の査定を受けてみましょう。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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