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法人の土地売却で発生する6つの税金|特例や節税対策を紹介

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法人の土地売却で発生する6つの税金|特例や節税対策を紹介

法人が所有する土地を売却する際、税金の問題は避けて通れません。適切な対策を講じなければ、思わぬ高額の税金が発生し、経営に大きな影響を及ぼすおそれがあります。

しかし、正しい知識と戦略があれば税負担を軽減し、企業の財務をより効率的に管理できます。

本記事では、法人の土地売却時に発生する6つの主要な税金を詳しく解説するとともに、活用可能な特例制度や効果的な節税対策を紹介します。これらの情報は、土地売却の意思決定や税務計画を立てるうえで必須の知識です。

法人の土地売却を検討されている方、また将来的な可能性を見据えて準備したい方は、ぜひ参考にしてください。

法人名義の土地売却で発生する税金は6つ

法人が土地を売却した際、発生する可能性がある主な税金は下記のとおりです。

  • 法人税
  • 地方法人税
  • 法人住民税
  • 法人事業税
  • 消費税
  • 印紙税

それぞれどのような税金なのかを、順に説明します。

法人税

法人税は、法人の事業によって得られる所得に対して課される税金を指します。

収益(益金)から、原材料費や人件費などの損金を差し引いた課税所得が対象です。土地を売却して得られた利益も、法人税の課税対象です。

法人税は、以下のように算出します。

法人税=課税所得(益金-損金)×法人税率

法人税率は、法人の種類や資本金に応じて決まります。令和4(2022)年4月1日以後に開業した法人である場合、税率は以下のとおりです。

令和4(2022)年4月1日以後に開業した法人の税率
区分 所得 税率(%)
資本金1億円以下の法人など 年800万円以下の部分 15
年800万円超の部分 19
上記以外の普通法人 23.20%

参考:国税庁「No.5759 法人税の税率

地方法人税

地方法人税は法人税と同じく、事業所得に対し課される税金です。地方格差を抑える役割である地方交付税の財源確保を目的として、設けられています。

法人税と異なる点は、算出方法です。以下のように、法人税の額に対し地方法人税の税率をかけて算出します。

地方法人税=法人税額×税率(10.3%)

地方法人税の税率は、全国で一律10.3%です。

法人住民税

法人住民税は、法人が事務所や事業所を構えている都道府県や市区町村に納める税金です。法人税や地方法人税は国に納める国税であるのに対し、法人住民税は法人の所在がある地方公共団体(自治体)に納める地方税に該当します。

法人住民税は、法人税割均等割の合計が納付する税額です。法人税額に地方公共団体ごとの税率をかけて算出する税金が法人税割であり、従業員数や資本金の額に応じて一律の金額が課税される税金が均等割です。

法人税割の税率は、各地方公共団体が独自に設定できます。国が目安とした標準税率は都道府県に納める都道府県民税率が1.0%、市区町村に納める市町村民税率は6.0%です。都道府県民税と市町村民税の合計が、法人税割として納める税額です。

なお、法人住民税は収益がなかったり損益が出たりした場合も納める必要があります。

法人事業税

法人事業税は、法人税のように事業で得た所得に対して課される地方税です。

法人が事業を行うにあたり、道路や街灯などの公共施設やサービスの恩恵を受けているため、その経費を一部負担させる目的で課せられます。法人住民税と異なり、収益が赤字であった年度や収益がない事業者に納税義務は発生しません

法人事業税は、以下のように算出します。

法人事業税額=課税所得×法人事業税率

法人事業税は法人の種類や開始年度、課税所得額によって異なります。

例として、以下の法人を想定します。

  • 都道府県:東京都
  • 法人の種類:普通法人(特別法人と外形標準課税法人は除く)
  • 事業年度:令和4(2022)年4月1日

この場合の法人事業税率は以下のとおりです。

東京都の法人事業税率
所得等の区分 標準税率(%) 超過税率(%)
年400万円以下 3.5 3.75
年400万円超、年800万円以下 5.3 5.665
年800万円超または軽減税率不適用法人 7.0 7.48

参考:東京都主税局「法人事業税・法人都民税

資本金の額または出資金の額が1億円を超える法人などは、超過税率が適用されます。

また、法人事業税とは別に、特別法人事業税があります。法人事業税と異なり国税に属しますが、納付先は法人事業税と同様に地方公共団体です。特別法人事業税の納付額を求める計算式は、以下のとおりです。

特別法人事業税額=法人事業税額×税率

税率は納付先である地方公共団体や、法人の種類によって異なります。

消費税

土地は消費税の課税対象外のため、土地のみを売却する場合であれば消費税は課せられません。ただし土地と建物を売却した場合は、建物に対して消費税が課されます

印紙税

印紙税は、契約書や領収書などの文書に対して課される税金です。

以下の条件を満たしていれば、軽減措置の対象に該当します。

  • 文書が平成26年4月1日から令和6年3月31日までの間に作成されたもの
  • 契約金額が10万円を超える不動産譲渡契約書

印紙税の税率と軽減税率は、以下のとおりです。

印紙税の税率と軽減税率
契約金額 通常の税率(円) 軽減税率
(円)
10万円超~50万円以下 400 200
50万円超~100万円以下 1,000 500
100万円超~500万円以下 2,000 1,000
500万円超~1,000万円以下 1万 5,000
1,000万円超~5,000万円以下 2万 1万
5,000万円超~1億円以下 6万 3万
1億円超~5億円以下 10万 6万
5億円超~10億円以下 20万 16万
10億円超~50億円以下 40万 32万
50億円超 60万 48万

参考:国税庁「不動産売買契約書の印紙税の軽減措置

法人の土地売却で発生する税金のシミュレーション

法人の土地売却で発生するおおよその税額をシミュレーションしてみましょう。

以下の法人を想定して算出します。

  • 資本金:1,000万円
  • 事業利益:1,000万円
  • 土地売買による譲渡益:300万円

土地売却で発生する税金は、課税所得に対して表面税率を乗じることで算出できます。
表面税率は、以下のように算出されます。

表面税率=法人税率 ×(1+地方法人税率+法人住民税率)+法人事業税率×(1+特別法人事業税率)

法人住民税率を標準税率の7%、法人事業税率を7%、特別法人事業税率を37%とすると、表面税率は以下のとおりです。

表面税率=23.2%×(1+0.103+0.07)+7%×(1+0.37)=36.8%

したがって、おおよその税金は以下のように計算されます。

(1,000万円+300万円)×36.80%=478万4,000円

ただし、法人事業税は損金として計上できるため、実際の金額はもう少し抑えられます

法人名義の土地売却で利用できる制度

法人名義の土地売却で利用できる特例や特別控除などの制度について、以下の3つを例に挙げて詳しく解説します。

  • 平成21年・平成22年に土地等を取得した場合の特例制度
  • 収用換地等によって得た保証金に対する特別控除
  • 特定事業等のために土地等を譲渡した場合における特別控除

平成21年・22年に土地等を取得した場合

特定の長期所有土地等の所得の特別控除によって、一定の条件を満たすと特例制度が受けられます。

平成21(2009)年および平成22(2010)年中に取得した国内の土地を売却する際、売却年の1月1日時点で所有期間が5年を超えている場合に、譲渡所得金額から最大1,000万円まで控除が可能です。

譲渡所得とは、土地の売却価格からその土地を購入したときの価格と売却にかかった経費を引いた金額のことです。

参考:国税庁「No.5451 平成21年及び平成22年に取得した長期所有土地等の1,000万円特別控除

収用等があった場合

収用とは、国や地方公共団体などが公共事業のために土地を取得することです。所有目的が公共事業の土地を売却した場合、条件を満たせば2つの特例を受けられます。

  • 対価補償金等で他の土地建物に買い換えたときは譲渡がなかったものとする特例
  • 譲渡所得から最高5,000万円までの特別控除を差し引く特例

参考:国税庁「No.3552 収用等により土地建物を売ったときの特例

対価補償金等で他の土地建物に買い換えたときは譲渡がなかったものとする特例

補償金を用いて売却した土地の代替に土地を購入したときに、売却金額より購入金額が多い場合は譲渡所得がないものとして計上できる特例です。

譲渡所得から最高5,000万円までの特別控除を差し引く特例

譲渡益額から最高5,000万円までの特別控除を差し引ける特例です。売却した土地が棚卸資産ではない・施行者からの譲渡申出から6カ月以内に譲渡が行われたなど一定の要件を満たす必要があります。

国や地方公共団体等に公共施設や宅地事業等のために提供した場合

国や地方公共団体などが行う都市計画に伴う区画整理のために土地を売却した場合、譲渡所得に特別控除が受けられる特例です。

特定土地区画整理事業のために土地を売却した場合は、一定の要件を満たせば最高2,000万円の特別控除が適用されます。また特定住宅地造成事業のために土地を売却した場合は、一定の要件を満たせば最高1,500万円の特別控除が適用されます。

法人名義の土地売却で利用できる節税対策

法人名義で土地を売却する際は、個人で売却する場合とは異なる節税対策があります。ここでは節税対策の方法を3つ紹介しますので、参考にしてください。

ほかの土地も購入する

土地の売却で発生した収益をもとに別の土地を購入することで、課税所得を減らすことが可能です。仲介手数料などを経費として計上できるため、節税対策として有効です。

購入した土地を事業所の拡大や新事業の創出などに利用すれば、節税だけでなく利益を得ることも可能でしょう。

また、土地だけでなく建物も購入する場合は、償却年数の観点から築年数が古い木造建築物を選ぶと節税効果は高くなります。ただし、築年数の古い建物はそのままだと活用しにくく、リフォームやリノベーション、建て替えなどが必要です。

設備に投資する

設備を見直し、必要なものがあれば購入を検討しましょう。設備投資は経費として計上可能なため、課税所得を減らせます。

具体例として、社用車やパソコンの買い替え、事業所のリフォームなどが挙げられます。

また、設備投資の際に特別償却や税額控除が受けられる「中小企業投資促進税制」を利用可能か検討するとよいでしょう。

社員へ還元する

法人では、役員報酬を損金として扱うことが認められています。そのため、役員報酬を一時的に増額する・賞与を支払うなどの方法で損金を増やし、課税所得を減らすことが可能です。

ただし、役員報酬を増やすとそれに伴って社会保険料も増額します。合計納税額を計算し、本当に節税につながるのかを検討する必要があります。

法人名義の土地売却の注意点

法人名義の土地売却は、個人で売却するときと異なる点が多くあります。間違った認識で取引を進めた場合、予期せぬ不利益を被るリスクがあるため以下の注意点を確認しましょう。

申告日は選べる(引き渡し日または契約日)

不動産売却日の決め方が個人と法人とでは異なります。

通常であれば不動産の引き渡し日が不動産売却日になりますが、法人の不動産取引は不動産売却の契約を締結した日に変更可能です。

契約書の作成日と引き渡し日の年度が異なる場合、どちらを不動産売却日と指定し申告するかで、それぞれの年度の収益や納付する税額を変更できます

低額譲渡とみなされない価格を設定する

低額譲渡とは、時価よりも著しく低い価格で売却することです。なお法人が絡む土地の売買の場合、公示価格や固定資産税路線価の2分の1未満だと「著しく低い」とみなされるリスクが高いでしょう。

法人が個人や法人相手に低額譲渡を行うと、時価と売却価格との差額が買主である個人や法人の収入とみなされます。この収入に対して個人の場合は所得税が、法人の場合は法人税が課されるのです。

結果として通常の値引き価格の範囲内で売却するより、買主の納税額が上がるおそれがあります。

営業利益を低くするために土地の売却価格を下げて利益が発生しないようにするのは節税の一手段ですが、そのために買主の納税額が上がるのは望ましくありません。土地の価格は低額譲渡とみなされない額に設定しましょう。

収益や経費を正しく処理する

個人が土地の売却によって所得を得た場合、ほかの所得金額と合計せずに土地単独で税額を計算する分離課税方式をとります。一方、法人が土地の売却によって得た収益は、本業で得た収益と合わせて計上されます。

そのため、土地の売却で生じた利益は、会社全体の損益と相殺可能です。

また、税率も個人と法人で異なります。

個人の場合、譲渡所得は売却した土地の所有期間によって長期譲渡所得と短期譲渡所得に分かれます。長期譲渡所得にかかる税率は20.315%短期譲渡所得にかかる税率は39.63%です。

一方、法人の場合は所有期間による税率の変化はありません。

法人が不動産を売却したときにかかる税金と個人で売却したときとの違いについては、以下の記事を参照してください。

まとめ

法人が土地を売却し発生した利益は、法人税や法人事業税などの課税対象です。

法人は会社全体の損益と合算して税額を算出するため、紹介した節税対策や特別控除制度などを利用すると、課税所得を減らせます。

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この記事の編集者

リビンマッチ編集部 リビンマッチ編集部

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