【親の有無別】実家売却に向けた賢い片付け術!気をつけたいNG事例とは
実家の売却に向けた片付けは大がかりな作業ですが、賢く進めることで手間を省けます。
本記事では、親の有無に応じた実家の片付け術を紹介します。親がいる場合とない場合では、注意すべき点が異なります。適切な方法でスムーズに片付けを行えば、売却活動もスピーディに進められるはずです。
一方で、NG事例にもしっかりと目を向ける必要があります。間違った片付け方をすれば、トラブルに発展するおそれも。実例から学び、リスクを回避する賢い対処法を心得ましょう。
【前提】売却するなら実家の片づけは必須?
大切な実家をなるべく高く売却するなら、片付けをしておきましょう。室内外が整理整頓されていると、不動産会社や内見した人の印象が大きく変わるためです。
しかし、実家を売却するときは、次のどちらの売却方法を選ぶかによっても片付けの必要度合いは変わります。
- 不動産会社に買い手を見つけてもらう「仲介」
- 直接、不動産会社に買い取ってもらう「買取」
ここでは、2つのケースについてそれぞれ詳しくみていきます。
仲介で売るなら必須
不動産会社による「仲介」で実家を売却するなら、片付けは必須です。仲介は、不動産会社が実家の買い手を広告や紹介により探します。
買い手が見つからなければなかなか売却できませんが、買い手が了承した金額で売れるため高値で売れる可能性があります。
片付けがされていない状態だと、購入希望者が内見に来たときに狭く感じたり、実際よりも古く傷んで見えたりします。
内見の印象が悪ければ買い手がなかなか見つからないうえに、実際の価値よりも低く見積もられてしまうおそれもあります。また、不用品の処分費用として査定価格からマイナスされた売却価格となってしまうため、自身で片付けをしておくのがよいでしょう。
買取ならしなくても大丈夫だが
不動産会社による「買取」で実家を売却する場合、片付けは必須ではありませんが、片付けておくのがベターです。
買取の場合は、買い手が見つからない状態でも、不動産会社が売却価格を査定してすぐに買い取ってくれます。不動産会社は必ず買い手が見つかる安全な査定価格を出すため、仲介に比べると売却価格は低くなりがちです。
しかし、いち早く売却して実家を手放せることがメリットです。
買取では、一般の人が内見に来る場合と違い、不動産会社がプロの目で片付いた状態を見越して査定価格を出すため、片付けは必須ではありません。
しかし、買取後に不動産会社が業者を手配するなどして実家の片付けをおこなうため、査定時に業者に依頼する金額を見積もって差し引きます。
そのため、自身で業者を手配して片付ければ30万円で済んだとしても、不動産会社の見積もりで50万円など高めに見積もられるリスクもあります。
また、不動産会社が片付ける場合は、すべて不用品として処分します。不用品のなかには宝飾品などの貴重品や、タンス預金などの財産、重要な書類が含まれている可能性もあります。
買取で実家を売却するときは不動産会社に一任するのが楽ですが、損をしてしまう危険性も考慮しましょう。
親が亡くなっている場合に気をつけたい片付けNG事例
実家の片付けをするときに、親の状態によって気をつけるべきことも変わります。
まずは、親がすでに他界して不在の場合についての片付けNG事例を3つ紹介します。
親族に相談しないで片づけ始める
親族間で相談せずに、誰かが勝手に片付け始めてしまうのはトラブルのもとです。勝手にどんどん片付けを進めてものを処分していくと、ほかの親族が引き取りたかったものなども処分してしまうかもしれません。
また、「必要な書類がなくなった」「勝手に引き取ったものがあるのではないか」と疑われるなどして、親族間でもめてしまうおそれがあります。
なお、親が亡くなったあとの片付けは「遺品整理」となります。遺品整理は必ず相続人だけでおこないましょう。万が一、相続放棄をしたい相続人が遺品に触れてしまうと、相続放棄が認められなくなってしまいます。
勝手に売る、自分のものにする
片付けをしているうちに、畳の下や戸棚の中など思わぬ場所から金品が出てくる可能性もあります。しかし、ほかの相続人に相談せずに勝手に貴金属や骨董品を売ったり、出てきた現金を自分のものにしたりするとトラブルの原因になります。
事前に「片付けで出てきたものは見つけた人のもの」などと約束していても、金品が出てきたときには相続人に知らせて相談しましょう。親が亡くなっている場合は、金品は相続財産となるため、相続税の申告漏れや過少申告となり罰則対象となるリスクもあります。
参考:国税庁「相続税、贈与税の過少申告加算税及び無申告加算税の取扱いについて(事務運営指針)」
中身をしっかり確認しないで判断する
片付けのときに、中身をしっかり確認せずに捨てる判断をしてしまいトラブルになるケースもあります。
すべてのものをとっておくことはできませんが、次のようなものは残しておかなければ、あとから再度取得する手間がかかったりトラブルに発展したりするリスクがあります。
- 遺言書やエンディングノート
- 鍵
- 親の書いた手紙など
- 現金の入った封筒
- 通帳・キャッシュカード
- 印鑑
- 土地の権利書
- 身分証(運転免許証・保険証・マイナンバーカードなど)
- 有価証券
- 保険証券
有価証券や保険証券はデジタル化が進み、手元になくても手続きなどは可能です。しかし、証券を紛失してしまうと、どの保険会社や証券会社の、どの商品について問い合わせればよいかを改めて調べる必要があります。
遺言書は片付け前に探しておくことが多いですが、エンディングノートは正式な遺言ではないため、遺品の中にまぎれてしまうリスクもあるでしょう。
しかし、エンディングノートは故人の希望や想いがつづられている大切なものです。処分するかどうかの判断に迷う場合は、あとから見返すための保留箱を用意して分けておくなどの対応がおすすめです。
施設入居など親がいる場合に気をつけたい片付けNG事例
親が存命でも、施設入居などで今後実家に住む予定がなく、売却を検討しているケースもよくあります。つづいては親がまだいる場合の、片付けNG事例を3つ紹介します。
親の居住地に持っていくものを考慮しない
親が施設入居や、アクセスのよいアパートやマンションに住み替えた場合などは、親の居住地に持っていくものを考慮して片付けを進めましょう。これまで使用していた衣服や調理器具などを捨ててしまうと、買い直す必要があります。
さらに、親の愛着のあるものを勝手に捨ててしまうと、反感を買って片付けに反対されてしまうリスクがあるため、慎重な判断が必要です。まずは、今後絶対に使用しないもののみを片付けるなど配慮しましょう。
片付けを親に知らせない
親に無断で実家の片付けを進めることは避けましょう。トラブルを防ぐためにも、事前に相談して理解を得ることが重要です。親がこれまで片付けられずにものが増えていったのは、次のような理由が考えられます。
- もったいなくて捨てられない
- 思い入れがあって捨てられない
そのため親に知らせずに勝手に片付けや処分をすると、親の価値観を否定し傷つけてしまいます。
勝手に片付けたことが万が一親に知られれば、親子間の信頼関係が崩れてコミュニケーションを取れなくなるおそれもあります。実家の片付けは必ず親の了承を得て、できれば一緒に進めるのがおすすめです。
親の意見を尊重しすぎ、しなさすぎる
親の意見を無視して勝手に片付けを進めるのは、その後の親との関係を悪くしてしまうため避けたいものです。
一緒に片付けをする場合でも、親が「捨てたくない」「取っておきたい」と思っているものを、「こんなものいらないでしょう」と一方的に捨ててしまうと、片付けを辞めたいと意固地になってしまう親もいるでしょう。
一方で、親の意見を尊重しすぎると何も処分できず、片付けが進まない結果となってしまいます。単に「もったいない」という思いで捨てられないものも多いため、ただ捨てるのではなく、リサイクルや寄付という形で処分するのもおすすめです。
また、次のように親の尊厳を傷つけないような声かけをしてみてください。
- 火災などの災害時、すぐに逃げられないと危険だから廊下から片付けよう
- 今後使う予定のない子ども部屋から片付けるね
- 戻ってきたときにすぐ使えるようにキッチンから片付けよう
このとき思い出の品は最後に片付けたり、判断に迷ったりするものは保留箱に置いておき、無理やり処分しないことが大切です。
実家売却に向けた賢い片付け術
実家の売却では、仲介でも買取でも内見のときの印象をよくしたり、不用品の処分費用を軽減したりするため、片付けをしておくのがおすすめです。
しかし、親が長年暮らしてきた実家を片付けるのは思った以上に労力を使います。
ここでは、実家売却に向けて片付けるときのコツを3つ紹介します。
消耗品など、片づけやすいものから片付け始める
食品や洗剤類などの消耗品は、消費期限や使用期限があるため片付けを始めやすいでしょう。特に食品は期限が切れていれば捨てる、間近であればすぐに消費する、など判断がつきやすいためおすすめです。
すでに親が住んでいないのであれば、消耗品が今後増えることもないため、消耗品類をしまっていた棚や箱も関連して処分できます。
さらに処分すると決めたものは、なるべく早くごみに出したりリサイクルに出したりすることが大切です。家の中のものが少しずつ減る実感がわくため、片付けを続けるモチベーションになります。
周囲の協力を得る
実家は親が長年生活してきたため、家財道具だけでなく生活用品や思い出の品も多いことでしょう。
親が大切にしてきた物や思い出の品を整理し、処分の判断をするのは一朝一夕ではできず、多くの時間と労力がかかります。
東洋経済の調査によると、実家の片付けには3カ月以上かかることが多いようです。なかには1年以上の長期にわたるとの回答もありました。
そのため、自分ひとりだけで片付け作業を担うのは、時間的にも身体的にもかなりの負担となってしまいます。
また、「大切にしていた◯◯を勝手に捨てられた」など、家族間のトラブルになるリスクもあるため、なるべく家族や親族みんなで片付けに取り組むのがよいでしょう。
判断に迷う思い出の品は写真に撮って捨てるか、売るか、ゆずる
片付けのときにもっとも処分しにくいのは、次のような思い出の品です。
- 手紙
- 旅行のお土産
- プレゼント
- 子どもが小さい頃の衣類など
- 子どもの作品
楽しかったできごとを思い起こさせるものは捨てにくいものです。納得が行かないまま無理に捨てることはおすすめしませんが、雑貨や食器、子どもが小さい頃の衣類や作品などのようにかさばるものは、写真に撮って処分するのもひとつの方法です。
特に実家で保管している食器類は、普段使用しないブランド食器であることも多く、売れる可能性があります。どこかで誰かのお気に入りになるかもしれないと思うと、処分もしやすいでしょう。
また、はやり廃りが少なく、劣化しにくい着物などの高級品は子や孫に引き継いでいくこともできます。大切な思い出の品は「写真で見返せる」「どこかで誰かが大切にしてくれている」と考えれば、処分しやすくなります。
親がいる場合は、親に引き取ってもらう
親自身の思い出の品で勝手に処分できないときは、親が存命であれば親に引き取ってもらうのもよいでしょう。
施設や高齢者住宅などに住み替えても、思い出の品を身近に感じられます。また、現在の住まいに持ち込めるものの量は限られるため、本当に処分したくない大切なものを見極められます。
ただし、親が亡くなったあとは自身で捨てたり、売ったりと処分する必要があります。あくまで「一時的な対応」であることを、念頭に置いておきましょう。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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