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共有名義の不動産売却。税金はいくら?単独名義との違いや計算手順を解説

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共有名義の不動産売却。税金はいくら?単独名義との違いや計算手順を解説

不動産を共有名義で所有しているケースでは、単独名義に比べて売却にかかる手間が多くなる傾向があります。また、売却方法や税額について疑問に思っている方も多いでしょう。

この記事では共有名義で所有している不動産を売却した際の税金について、詳しく解説します。

共有名義と単独名義の不動産売却時の税金の違い

名義の種類に関係なく、基本的に不動産売却時にかかる税金の種類は同じです。

しかし、共有名義の不動産を売却するときは、単独名義よりも手続きが複雑になります。

「全員の同意を得ること」や「印鑑証明書や実印は共有者全員のもの」が必要など、単独名義と比べさまざまな違いがあります。

【一覧表付き】共有名義の不動産売却で課される主な税金

共有名義でも単独名義でも、売却時にかかる税金の種類は基本的に同じです。共有名義で課される主な税金は、次のとおりです。

共有名義の不動産売却で課される主な税金とその概要
税金の種類 概要
譲渡所得税

譲渡所得税は、不動産売却時に利益が生じた場合に課せられる税金。共有名義の不動産売却においても同様の計算を行う。

譲渡所得(課税対象額)=売却価格-(取得費+売却時にかかった費用)-特別控除

譲渡所得税=譲渡所得×税率

譲渡所得がゼロもしくはマイナスの場合は非課税

登録免許税
  • 登録免許税は、不動産の名義変更登記を行う際にかかる税金。単独名義の場合の登録免許税=固定資産税評価額×税率
  • 共有名義の場合の登録免許税は登録免許税=固定資産税評価額×税率×持分割合
印紙税 売却時に交わす売買契約書に収入印紙を貼付して納税する。印紙税額は売買の価格により変化する。
消費税(仲介手数料など) 個人が所有する不動産を売却しても消費税の課税対象にはならない。仲介手数料や司法書士に依頼したときの報酬は消費税の課税対象になる。

売却で利益が出たときにかかる譲渡所得税

譲渡所得税は、譲渡所得すなわち不動産の売却価格から購入価格と売却にかかった経費を引いた利益に対して、支払いの義務が課されます。

譲渡所得税とは、譲渡所得にかかる所得税と住民税のことです。

共有名義の不動産を売却する場合は、共有者全員で譲渡所得を持分割合に応じて案分し、その金額に課税されます。

たとえば、以下のようなケースで考えます。

  • 共有者4名(持分割合は25%ずつ)
  • 譲渡所得は1億円
  • 不動産の所有期間は3年

このケースでの共有者それぞれの譲渡所得は2,500万円です。一切の控除がないと仮定すると、次のような計算で譲渡所得税が求められます。

所得税=譲渡所得2,500万円 × 短期譲渡所得の税率30%=750万円

復興特別税=750万円 × 2.1%=15万7,500円

住民税=2,500万円 × 9%=225万円

譲渡所得税=750万円+15万7,500円+225万円=990万7,500円

譲渡損失が出た場合

譲渡所得税は、不動産の売却に際して利益が出た場合にのみ課税される税金です。購入費用よりも売却費用のほうが安くなるなどの譲渡損失が出たケースでは、譲渡所得税がかかる対象がなくなり、確定申告は必要ありません。

ただし、繰越控除や損益通算などを利用して節税する場合は確定申告が必要です。

名義変更手続きに必要な登録免許税

登録免許税は売却や相続、贈与などで不動産の名義を変更する際にかかる税金です。登録免許税を決める際にはルールがあり、そのルールは次のとおりです。

  1. 登録免許税=不動産評価額×0.02
  2. 不動産評価額の下3桁は切り捨て
  3. 計算の結果、出た金額の下2桁は切り捨て
  4. 計算の結果、1,000円未満だった場合の登録免許税は1,000円

たとえば、不動産評価額が3,111万1,111円の建物であった場合は、下3桁を切り捨てて3,111万1,000円で計算します。

登録免許税は、3,111万1,000円の2%である62万2,220円の下2桁を切り捨てて62万2,200円です。

売買契約書にかかる印紙税

印紙税は、印紙税法で定められている課税文書に対し課税される税金です。不動産を売却する際の売買契約書は課税文書に該当し、納税額は売買契約書に記載される金額によって変わります。

印紙税は、定められた金額の収入印紙を契約書へ貼り付けることによって納付します。また契約書を複数作成する場合は、それぞれに印紙を貼り付けなければなりません。

不動産売買にかかる印紙税額は、次のとおりです。なお、印紙税率は2027年(令和9年)の3月31日まで軽減措置が適用されています。

不動産売買にかかる印紙税額
不動産売却価格 本則税率 軽減税率
1万円以下のもの 非課税 非課税
1万円を超え10万円以下のもの 200円 200円
10万円を超え50万円以下のもの 400円 200円
50万円を超え100万円以下のもの 1,000円 500円
100万円を超え500万円以下のもの 2,000円 1,000円
500万円を超え1千万円以下のもの 1万円 5,000円
1千万円を超え5千万円以下のもの 2万円 1万円
5千万円を超え1億円以下のもの 6万円 3万円
1億円を超え5億円以下のもの 10万円 6万円
5億円を超え10億円以下のもの 20万円 16万円
10億円を超え50億円以下のもの 40万円 32万円
50億円を超えるもの 60万円 48万円

印紙税は負担をする人が決められていないため、売主が全額負担するケースや買主と売主が折半するケースがあります。

仲介手数料にかかる消費税

個人で所有する不動産を売却した場合、消費税はかかりません。一方で不動産会社に支払う手数料には消費税がかかります。

仲介手数料は、売買価格に応じて上限が決められています。

不動産売買にかかる印紙税額
売買価格 仲介手数料の上限
200万円以下の部分 取引額の5%
200万円超400万円以下の部分 取引額の4%
400万円超の部分 取引額の3%

たとえば、不動産を2,000万円で売却したケースにおける仲介手数料上限額の計算方法と消費税は、次のとおりです。

200万円以下の部分=200万円×5%=10万円

200万円超400万円以下の部分=200万円×4%=8万円

400万円超の部分=1600万円×3%=48万円

仲介手数料=10万円+8万円+48万円=66万円

仲介手数料の消費税10%=66万円×10%=6万6,000円

仲介手数料と消費税10%の合計=72万6,000円

このケースでの仲介手数料の上限は72万6,000円で、そのうち6万6,000円が消費税です。

共有名義不動産の売却方法は3つ!税金が少なくなるのは?

共有名義の売却手順は、単独名義に比べて手間が多く複雑です。ここでは、共有名義における3つの売却方法とそれぞれの税額を解説します。

自分の持分だけを売却した場合

所有する持分のみ売却するときは、ほかの共有者の同意は不要です。

ほかの共有者からの同意が得られない場合は、自分の持分のみ売却できます。売却先はほかの共有者か不動産会社が一般的です。

自分の持分のみを売却するときは、購入後に多くの制限がかかるため、価格が低くなるうえに買い手が見つかりにくい傾向にあります。一方、売却価格は低いので、課税される税金が抑えられる点はメリットです。

自分の持分のみを売却する方法が、納める税金を少なくするためには有効な手段です。

共有者全員から同意を得て、売却した場合

共有名義の不動産を共有者全員から同意を得て売却するケースです。

不動産を売却したときの代金は、それぞれの共有者の持分割合に応じて配分されます。配分された売却代金について、それぞれで課税対象額を計算し、利益を確定します。

この方法は不動産全体を売却するために共有者全員が同意しなければならないため、手続きが多く手間がかかるケースも多いでしょう。

分筆して売却した場合

不動産を持分に応じて分割し、売却するケースです。共同名義の不動産が土地のみである場合、分筆して売却できます。

土地に家屋が建っているときは建物を解体して土地のみを分筆すれば、土地の活用に制限がかかりません。

共有者は土地を持分に応じて分筆する場合、共有物分割請求の承認が必要です。共有者が請求を承認すれば、土地を分筆して単独で所有できます。

このケースでは、分筆に費用がかかります。

共有名義不動産の所有期間で変わる税金計算

不動産を売却して発生した譲渡所得にかかる税率は、不動産の所有期間によって大きく変わります。

5年を境に短期譲渡所得と長期譲渡所得に分かれるため、ここで計算方法を詳しく説明します。

5年以内の短期譲渡所得の場合

短期譲渡所得は、所有期間が5年以内の不動産を売却した際の所得のことをいいます。短期譲渡所得にかかる税率は所得税は30%、住民税は9%です。

所有期間の終点は売却日ではなく、売却日が属する年の1月1日です。たとえば、2018年7月1日に購入した不動産を2023年の7月2日に売却したケースで考えます。

    実際の所有期間=5年0カ月(2018年7月1日〜2023年の7月2日)

    短期・長期譲渡所得の計算方法における所有期間=4年6カ月

このケースは5年以下となるため、短期譲渡所得が適用されます。譲渡所得が2,000万円のとき、短期譲渡所得が適用されたケースでの税金の計算方法は次のとおりです。

  • 所得税=2,000万円×30%=600万円
  • 復興特別所得税(令和19年まで)=600万円 × 税率2.1%=12万6,000円
  • 住民税=2,000万円 × 9%=180万円
  • 譲渡所得税=600万円+12万6,000円+180万円=792万6,000円

5年超えの長期譲渡所得の場合

長期譲渡所得は、所有期間が5年を超える不動産を譲渡した際の所得のことをいいます。長期譲渡所得にかかる税率は所得税は15%、住民税は5%です。

2018年7月1日に購入した不動産を、2024年の7月2日に売却したケースで考えます。

所有期間=6年0カ月(2018年7月1日〜2024年の7月2日)

短期・長期譲渡所得の計算方法における所有期間=5年6カ月

このケースは5年を超えるため、長期譲渡所得が適用されます。譲渡所得が2,000万円のとき、長期譲渡所得が適用されたケースでの税金の計算方法は次のとおりです。

所得税=譲渡所得2,000万円×15%=300万円

復興特別所得税(令和19年まで)=所得税300万円×税率2.1%=6万3,000円

住民税=譲渡所得2,000万円×5%=100万円

譲渡所得税=300万円+6万3,000円+100万円=406万3,000円

譲渡所得税の計算手順

共有不動産の売却にかかる税金として代表的なものは、譲渡所得税といえるでしょう。

ここでは譲渡所得税の計算方法や特別控除をはじめ、共有者それぞれが支払う税金について解説します。

1.譲渡所得の金額を求める

譲渡所得は次の計算方法で算出します。

譲渡所得=売却価格-(取得費+売却時にかかった費用)

売却価格とは、不動産を売却した際の価格のことです。取得費とは、不動産購入時の費用のことです。

購入当時の領収書や契約書などがあれば問題ありませんが、購入から何十年も経過していたり、相続や贈与によって取得していたりした場合は取得費がわからないことがあります。

取得費がわからないケースでは、売却価格の5%を取得費として計算します。また、取得費が売却価格の5%を下回る際も、同様に取得費用を売却価格の5%として計算します。

なお、売却価格とは、不動産売却時にかかった費用のことです。具体的には次のような費用が含まれます。

  • 不動産会社への仲介手数料
  • 印紙税
  • 測量の費用や解体費用など

2.控除の適用可否を確認

不動産の売却時、一定の基準を満たす場合には譲渡所得の控除や特例が適用可能です。

主な控除や特例を、以下の表にまとめました。

不動産売却時に利用できる可能性のある主な控除や特例
控除および特例 適用条件
居住用財産の3,000万円特別控除
  • マイホームを売却した
  • ここ3年以内に同じ特例を適用されていないなど
10年超の居住用財産を譲渡した場合の軽減税率の特例
  • 売却年の1月1日時点における所有期間が10年を超えるマイホームを売却した
  • 住まなくなって3年以内に売却したなど
特定の居住用財産の買換え特例
  • マイホームの買換えをした
  • 買い替える前のマイホームに住まなくなって3年以内に売却した など
相続空き家の3,000万円特別控除
  • 故人(亡くなった人)が住んでいた自宅を相続し売却した
  • 相続から売却まで相続人が住んでいたり貸し出されたりしていないこと など

たとえば夫婦2人でマイホームを所有しているケースでは、共有者である夫婦それぞれが居住用財産の3,000万円特別控除を適用できます。つまり、合計すると6,000万円まで譲渡所得の控除が可能なのです。

控除や特例は、適用条件が細かく定められています。売却時の状況次第では希望していた控除が適用できないおそれがあるため、専門家へ事前に相談されることをおすすめします。

別荘や投資用など居住用でなかった場合は3000万円特別控除の適用外

マイホームが居住用ではなく別荘や投資用の物件であった場合には、居住用財産の3,000万円特別控除は適用できません。

3.持分に応じて配分する(特別控除を差し引く前の譲渡所得の金額)

算出された譲渡所得は、共有者の持分に応じて配分します。

たとえば、譲渡所得が4,000万円で共有者が4名、それぞれの持分割合が同じだった場合、譲渡所得は1人1,000万円です。

4.税率をかけて求める

共有者それぞれに配分された譲渡所得から、各種控除を差し引いて所得税の対象となる「課税譲渡所得」を算出します。その金額に不動産の所有期間によって定められた税率を乗じた金額が、譲渡所得税です。

たとえば、次のようなケースは以下の計算で譲渡所得税が求められます。

  • 譲渡所得1億6,000万円
  • 共有者4名(持分割合はそれぞれ25%)
  • 不動産の所有期間8年

共有者1名あたりの譲渡所得=1億6,000万円 ÷ 4=4,000万円

居住用財産の3,000万円特別控除後の課税譲渡所得=4,000万円-3,000万円=1,000万円

所得税=1,000万円 × 長期譲渡所得の税率15%=150万円

住民税=1,000万円 × 長期譲渡所得の税率5%=50万円

復興特別税=150万円 × 2.1%=3万1,500円

共有者1名あたりの譲渡所得税=150万円+50万円+3万1,500円=203万1,500円

この記事の編集者

リビンマッチ編集部 リビンマッチ編集部

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