土地売買のトラブルを防ぐ!売主が知っておきたい揉め事7選とその対策
「隣地との境界線のトラブル」「土壌汚染の問題」「予期せぬ法的制限」…
土地売買のトラブルは長期化し、多額の損失を招くこともあります。しかし、適切な知識と準備があれば、これらの問題の多くは未然に防げます。
本記事では、土地売買において売主が陥りやすい7つの主要なトラブルと、それらを回避するための具体的な対策を紹介します。
もくじ
【売主目線】土地売買でよくあるトラブル(揉め事)7選とその対策
土地を売却するとき、しばしばトラブルが発生することがあります。よくある例は、以下の7つです。
- 土地が汚染されていた
- 隣地との境界が確定していなかった
- 想定よりも土地面積が狭かった
- 地中埋設物の存在が判明した
- 環境的瑕疵があった
- 心理的瑕疵があった
- 購入目的を達成できなかった
これらのトラブルを解決できなければ、契約解除や損害賠償請求などの事態に発展するおそれがあります。ここでは、土地売買におけるトラブルとその解決策を紹介します。
土地が汚染されていた
土地の汚染があとから判明するトラブルです。多くの場合、汚染の事実が明らかになるのは売却後に実施した土壌調査によるものです。とくに有害物質による土地の汚染は、人体への健康被害や農作物の発育不良などを引き起こす重大な問題とみなされます。
土地の汚染に関するトラブルは、過去に裁判例があります。判例では、売主に対して旧民法570条の瑕疵担保責任が認められました。
現在、瑕疵担保責任は改正され、民法562条第1項の「契約不適合責任」が同内容に当たります。同様に責任を問われるリスクがあるでしょう。
また、売主が土地汚染を認識していなくても、土地汚染を引き起こすおそれのある用途で土地を使用していた場合、その用途について説明義務があります。これを怠ったとして、損害賠償責任を命じられた判例も存在します。
土壌汚染調査で対策
土地汚染のトラブルを避けるには、売却前の土壌汚染調査が有効です。調査を実施すれば、土地の信頼性が向上して売却の可能性が上がるでしょう。
居住中に土壌汚染対策法で定められている特定有害物質を一度でも使用したことがあるならば、土壌汚染調査を推奨します。もし汚染が確認できたら、調査結果を都道府県知事に報告後に対策工事を行うのがおすすめです。
特に工場やクリーニング店として使用されていた土地は、高濃度の特定有害物質で汚染されているリスクがあります。専門機関に土壌調査を依頼すれば、土地の汚染トラブルを防げるでしょう。
境界杭や境界標はある?境界があいまい
境界がわからないまま土地を売却すると、近隣住民とトラブルが発生することがあります。土地には隣地との境界があり、法務局に登記の届出がされています。しかし長い年月がたって建物や土地の環境が変化していると、境界の判定は困難です。
境界がわからないときは、確定測量を実施しましょう。確定測量は土地家屋調査士に依頼し、隣地の所有者も立ち会ったうえで実施します。確定した境界の明示図と併せて境界杭や境界標などの目印を設置しておけば、次に境界を確認するときにも便利です。
境界を明確にしないまま土地を売却しトラブルが発生すると、買主から契約不適合責任を問われるおそれがあります。
不動産会社に相談して対策
境界確定に困っているときは、不動産会社に相談して解決を図りましょう。
個人で確定測量の業務を依頼する際は、土地家屋調査士が所属する事務所を探します。良心的な土地家屋調査士を見つけるには、複数の事務所に相見積もりを取り、見積もりの内容を比較して事務所を選ぶ必要があります。
不動産会社では土地家屋調査士を紹介してもらえるため、土地の状態確認や隣地所有者とのやりとりなど境界に関する関連業務の依頼が可能です。
境界確定は報酬費用がかかりますが、土地の売却後にトラブルが発生するリスクを防ぐために必要な出費と捉えましょう。
土地面積が狭い!聞いていた話と違う
土地の売買では、仲介担当の不動産会社から買主に対して面積の説明義務があります。そこでの説明不足や認識の違いが、土地の面積をめぐるトラブルに発展する原因です。
とくに登記簿に記載された面積と実面積が異なるケースでは、トラブルが生じやすい傾向があります。
土地の面積が想定よりも狭いと希望と違うからという理由で、買主が契約の解除を申し出るおそれがあります。また契約時に認識していた面積と実面積との差があるとの理由で、取引金額の差額を請求されるリスクもあるでしょう。
実測売買と公簿売買の違いは、入念な説明で対策
売却前に不動産会社が買主に入念な説明をし、土地面積のトラブルを予防しましょう。
土地売買の形式は、実測売買と公簿売買の2つに分かれます。実測売買は、土地家屋調査士による実測の結果をもとに契約金額を決める方法です。
公簿売買は、土地の登記簿に記載されている面積をもとに契約金額を決めます。公簿売買では契約後に面積の相違が判明しても、買主による差額請求は不可能です。
買主が公簿売買の特徴を理解しないまま契約していたり、登記簿に記載された面積と実際の面積の差が許容できる範囲内ではなかったりなどが原因で、公簿売買のほうがトラブルになるリスクが高いとされています。
契約時には土地売買の方法に関わらず、土地面積について買主の理解が得られる説明をしてもらいましょう。
地中埋設物(地中障害物)があった!追加費用を払って
売却後の土地から地中埋設物が見つかり、売主が追加費用を請求される事例があります。地中埋設物とは土地の地中に埋められたもののことで、工事で出た廃棄物やコンクリート片などが主な例です。
建物を建てるには、地中埋設物を撤去する必要があります。
地中埋設物が残った土地を売却すると、買主は新たな建設を進められず売主に対して契約不適合責任を問うおそれがあります。売主は撤去にかかる工事費用や、土地の補修費用を請求されることがあるでしょう。
事前調査で対策
地中埋設物のトラブルを避けるには売却前に地中埋設物調査を依頼し、埋設物の存在を確認しましょう。必要に応じて撤去工事を行います。
なお、地中埋設物の有無は基本的に解体工事後に発覚します。その場合は、解体業者が撤去工事を行いますが、追加費用を支払う必要があります。事前に説明があるのが良心的な業者ですが、ない場合もありますので注意しましょう。
すでに更地にして何年もたっていた場合は、地中埋設物調査を依頼するのが確実です。
調査には一定の費用がかかりますが、放置してトラブルに発展した場合は同様の、あるいはそれ以上の費用を支払うことになるかもしれません。リスク対策として、売却前に地中埋設物調査を実施しておきましょう。
隣人が嫌がらせをしてくる?環境的瑕疵を隠していた
騒音や隣人トラブルなど、土地の周辺環境に関して買主からクレームが入る事例があります。このような周辺環境の問題を、環境的瑕疵といいます。
土地の売却時に買主に環境的瑕疵を告知することは、売主の義務です。告知義務を怠って売却後に環境的瑕疵が判明すると、契約不適合責任を問われるおそれがあります。
以下に、環境的瑕疵の具体例を示します。
- 走行車の騒音や振動が発生する
- 周辺の建物に日光を遮られる
- 周辺施設が景観を害している
- 近隣の工場から悪臭や煙が発生する
売却する土地の環境を今一度見直し、考えられる環境的瑕疵を洗い出しましょう。
しっかり確認後に告知で対策
環境的瑕疵には生活や仕事に大きな支障をきたす問題から、人によっては気になる程度の問題までさまざまな種類のものが存在します。その土地に慣れている人の判断だけでは、小さな問題を見落としてしまうかもしれません。
見落としを防ぐには、不動産会社に依頼して中立の視点から環境的瑕疵の判断をしてもらうことが有効です。
取引に不利な情報の告知は、気が引けるかもしれません。ただし告知義務を怠ってトラブルに発展すると、損害賠償や契約解除につながるおそれがあります。
土地の売買では、丁寧な事前調査と誠意ある告知が重要です。
その土地で殺人事件があった?心理的瑕疵が発覚
売却した土地に告知していない過去の事件や事故の発生履歴があることが判明した場合、売主は告知義務違反や契約不適合の責任を問われるおそれがあります。
人が亡くなったり事件現場に使われたりなど、いわゆる事故物件として扱われる事柄を「心理的瑕疵」と呼びます。一般的には住宅やアパートなどの建物が、心理的瑕疵の適用対象です。ただし事件の規模や重大性が大きいケースでは、土地にも心理的瑕疵が適用されます。
環境的瑕疵とは異なり、心理的瑕疵は売主もその事実を知らないまま売却してしまうリスクがあります。
過去の事件履歴を確認し、不動産会社に相談で対策
心理的瑕疵が判明するトラブルを避けるには、まず売却する土地に事件の履歴がないかを確認します。もし事件や事故の履歴があれば、不動産会社に相談しましょう。
事件の履歴を調べるには、物件公示専門のWebサイト「大島てる」が便利です。このサイトを利用すれば、その土地で過去に発生した事件を調べられます。
ただし、大島てるはインターネット上で誰もが投稿できるサービスで、掲載内容にはいたずらや虚偽投稿が含まれています。該当の土地に心理的瑕疵の情報が掲載されていれば、事実確認をしましょう。
不動産会社に相談すると、心理的瑕疵を買主に告知する際のアドバイスを受けられます。
土地の購入目的を達成できなかった
法律の規制によって、買主が土地の購入目的を達成できないことがあります。
買主は住宅の建築や店舗の運営など、目的を持ったうえで土地を購入します。目的が達成できなければ、契約解除されたり損害賠償を請求されたりするでしょう。
土地の使用を制限する主な法令は、都市計画法や建築基準法です。都市計画法は、まちづくりのルールを定めた法令で、各地域を12種類の「用途地域」で区分し、土地の利用方法に制限を設けています。
たとえば、もっとも条件の厳しい第一種低層住居専用地域では、店舗や事務所の設置が不可能です。
建築基準法では建ぺい率(土地の面積に対する建設物の面積)や、高さ制限などの建築に関するルールが設けられています。
土地の利用目的を確認して対策
売却前、買主に土地利用目的を確認しておくと、契約後のトラブルを回避できるでしょう。買主がどのような住宅や施設を建てようとしているのかを把握したうえで、当該の地域に定められた用途制限を確認すれば対策が可能です。
都市計画法や建築基準法の内容は複雑で、個人での対応は難しいでしょう。
仲介担当の不動産会社に相談すると、該当法令の確認をしてくれます。不動産会社に在籍している宅地建物取引士は、法令の知識が豊富です。買主の使用目的と土地の用途制限を照らし合わせて、的確なアドバイスをもらえるでしょう。
土地売買のトラブルを避けるには、不動産会社選びが大切
この記事では、土地の売買において発生しやすいトラブルと対策を7つ紹介しました。売却後に判明するトラブルの多くは、事前の確認漏れや説明不足が原因です。仲介先には信頼できる不動産会社を選び、土地売買に関する幅広い課題をカバーしてもらいましょう。
一方で、多くの不動産会社から1社を選ぶには労力がかかります。そこで、複数の会社を一括で比較できるサービスの利用がおすすめです。
不動産マッチングサイトの「リビンマッチ」では、売却したい土地の情報を送信すると、ニーズに合った複数の不動産会社から見積もりが受け取れます。見積もりを比較すれば、土地売買のトラブル対策に強い不動産会社を見つけられるでしょう。
土地の売却を検討している方は、リビンマッチの利用がおすすめです。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
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