【節税効果順】不動産売却の税金対策13選!税の種類と納税時期早見表も

不動産を売却すると、思わぬ高額の税金に直面することがあります。せっかくの売却益が目減りしてしまうのは誰もが避けたいもの。しかし、適切な対策を講じれば、納税額を抑えることが可能なのです。
本記事では、不動産売却時の税金対策について、その効果が高いものから順に13の方法を紹介します。さらに、どんな種類の税金がかかるのか、いつ納税しなければならないのかを一目で把握できる早見表もご用意しました。
不動産売却を考えている方、すでに売却を決めた方は、ぜひ本記事を参考に節税対策をしてください。
もくじ [非表示]
- 1 【早見表】不動産売却で発生する税金の種類と納税時期
- 2 節税効果順!不動産売却の税金対策1~13位
- 2.1 【1位】取得費をすべて明確にする
- 2.2 【2位】短期譲渡より長期譲渡
- 2.3 【3位】居住用財産の3,000万円特別控除
- 2.4 【4位】マイホームを売ったときの軽減税率の特例
- 2.5 【5位】居住用財産の買換え特例
- 2.6 【6位】相続した空き家の3,000万円特別控除
- 2.7 【7位】相続財産売却の取得費加算特例
- 2.8 【8位】事業用の資産を買い換えたときの特例
- 2.9 【9位】平成21年~平成22年取得の土地売却1,000万円特別控除
- 2.10 【10位】低未利用土地100万円特別控除
- 2.11 【11位】居住用財産買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
- 2.12 【12位】特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
- 2.13 【13位】電子契約やふるさと納税も節税効果あり
【早見表】不動産売却で発生する税金の種類と納税時期
不動産を売却すると各種税金の支払いがあります。税金の種類と納税時期は以下のとおりです。
税金の種類/納税時期 | 契約時 | 決済時 | 売却の翌年 |
---|---|---|---|
印紙税 | 契約の印紙代 | ‐ | ‐ |
登録免許税 | ‐ | 登記申請の登録免許税 | ‐ |
消費税 | 仲介手数料の消費税 | 仲介手数料の消費税、司法書士報酬の消費税 | ‐ |
所得税・住民税 | ‐ | ‐ | 譲渡所得の所得税と住民税 |
契約時に課税される税金
契約時に課税される主な税金は、次のとおりです。
印紙税
売買契約を書面で締結した場合は「印紙税」が課税されます。納付方法は、売買金額に対応する金額の印紙を貼り付け、消印を行うことです。
消費税
不動産会社へ支払う仲介手数料には消費税が課税されます。仲介手数料を契約時と決済時の2回に分けて支払う場合は、契約時に消費税の支払いがあります。
決済時に課税される税金
決済時に課税される主な税金は、次のとおりです。
登録免許税
決済時は売買代金を受け取り買主に引渡しを行います。
所有権移転登記費用は買主負担ですが、抵当権の抹消登記や所有者の住所変更登記が必要な場合は売主負担です。このような登記が必要な場合には、登記申請時に「登録免許税」が必要です。
仲介手数料の消費税、司法書士報酬の消費税
登記申請を司法書士に依頼する場合には、司法書士報酬にも消費税が課税されます。不動産会社への仲介手数料支払いは、一般的に決済時です。仲介手数料にも消費税が課税されます。
売買の翌年に課税される税金は譲渡所得の所得税と住民税
不動産を売却し譲渡所得が生じた場合は、翌年の確定申告の時期に譲渡所得の申告と所得税・住民税の納税を行います。
節税効果順!不動産売却の税金対策1~13位
不動産を売却する場合に課税される税金をできるだけ抑えるには、多種多様な特例や特別措置を十分に理解しておく必要があります。
ここでは節税対策として考えられる13の方法について解説します。誰にでも適用できる方法から、特別な要件を満たした場合にのみ適用される方法があります。
誰にでも適用できる方法や節税効果の高い方法は高順位として、比較的適用できる範囲が狭い方法や節税金額の小さい方法は低順位として表示し解説していきます。
順位 | 税金対策 |
---|---|
1位 | 取得費をすべて明確にする |
2位 | 短期譲渡より長期譲渡 |
3位 | 居住用財産の3,000万円特別控除 |
4位 | マイホームを売ったときの軽減税率の特例 |
5位 | 居住用財産の買換え特例 |
6位 | 相続した空き家の3,000万円特別控除 |
7位 | 相続財産売却の取得費加算特例 |
8位 | 事業用の資産を買い換えたときの特例 |
9位 | 平成21年~平成22年取得の土地売却1,000万円特別控除 |
10位 | 低未利用土地100万円特別控除 |
11位 | 居住用財産買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例 |
12位 | 特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例 |
13位 | 電子契約やふるさと納税も節税効果あり |
【1位】取得費をすべて明確にする
不動産の売却により課税される税金のうち、もっとも大きなものは「譲渡所得税」です。
譲渡所得税は譲渡所得に対し課税されますが、譲渡所得がゼロやマイナスになる場合は課税されません。譲渡所得は次の式にもとづき計算します。
譲渡所得=(売却価格-取得費-譲渡費用)-特別控除
特別控除は「特別」と付くように特例措置にもとづくもので、まず式の前半部分である「売却価格-取得費-譲渡費用」により譲渡所得がいくらになるのかを把握します。
この式の中で売却価格と譲渡費用は明確ですが、問題となるのが「取得費」です。
取得費とは売却する不動産を取得するためにかかった費用のことですが、取得費を少なく計算してしまうと所得が高くなり税金も高くなります。逆に取得費を実際よりも高くしてしまうと税金が低くなり、修正申告が必要になる場合もあります。
取得費は、過去に購入したときの売買契約書や仲介手数料の領収書などで確認が可能です。取得費を証明できる書類などが保管されていない場合は、売却価格の5%を取得費として申告できます。
つまり譲渡所得は売却価格の95%から譲渡費用を差し引いた金額となり、本来の譲渡所得よりも大幅に高い金額になることがあります。
そのため不動産売却にかかる節税対策として、まずもっとも重要なのは本来の「取得費」が明確にできることなのです。
【2位】短期譲渡より長期譲渡
不動産の譲渡所得税は売却する不動産の所有期間により税率が変わります。
所有期間 | 所得税(%) | 住民税(%) |
---|---|---|
5年超え(長期譲渡) | 15 | 5 |
5年以下(短期譲渡) | 30 | 9 |
※なお2037年まで所得税には「復興特別加算税」が加算されます。
長期譲渡は所有期間が5年超えの場合であり、短期譲渡は所有期間が5年以下の場合を指します。また所有期間の計算は、売却する年の1月1日時点で5年超えか5年以下かを判断します。
以上のように所有期間5年を境に税金は約2倍になるので、不動産を売却するなら所有期間5年が経過してからのほうが望ましいでしょう。
【3位】居住用財産の3,000万円特別控除
売却する不動産が「居住用財産」の場合、つまり自宅として使用している「マイホーム」であれば、譲渡所得から3,000万円が控除できます。売却価格が3,000万円以下であれば、課税はされません。
この特別控除は所有期間に条件はなく、マイホームであれば適用されます。ただし特別控除の適用を受けるには必ず「確定申告」が必要です。
譲渡所得を計算し特別控除により所得がゼロになるからといって、申告しないで済ますことはできないので注意が必要です。
【4位】マイホームを売ったときの軽減税率の特例
マイホームを売却したときに、売却価格から3,000万円を控除後に譲渡所得が残った場合、所有期間が10年超えであれば軽減税率が適用できます。
税率は以下のとおりです。
区分 | 所得税(%) | 住民税(%) |
---|---|---|
譲渡所得が6,000万円以下の部分 | 10 | 4 |
譲渡所得が6,000万円超えの部分 | 15 | 5 |
譲渡所得が6,000万円超えの部分の税率は「長期譲渡」の税率と変わりませんが、6,000万円以下の部分については、上記のように軽減されます。
【5位】居住用財産の買換え特例
マイホームを売却した場合には「買換え特例」を適用もできます。【3位】の3,000万円特別控除を行っても譲渡所得が残る場合であって、しかもマイホームを買換えた場合に「選択肢」として検討したい特例です。
適用される条件としては、以下の2つあります。ただし、3,000万円特別控除との併用はできないので注意してください。
- 売却するマイホームの所有期間が10年超えで居住期間が10年以上
- 売却するマイホームの金額よりも買換えるマイホームの金額が大きい
特例の内容は、売却により得た譲渡所得に対する課税が、買換えをしたマイホームを売却するときまで繰延されるものです。つまり、買換えをしたマイホームを将来売却しないなら、売却した以前のマイホームの譲渡所得税はいつまでも課税されないという特例です。
【6位】相続した空き家の3,000万円特別控除
実家を相続した場合に適用できる特別控除です。
実家に居住していた親などから相続を受けた住宅を売却する場合で、マイホームの売却で適用される「3,000万円」特別控除と同様のものです。
ただし、いくつか適用条件があり、売却する時期も相続の開始から3年経過するまでとなっています。
重要な適用要件として以下のようなものがあります。
- 昭和56年5月31日以前に建築された「旧耐震基準」の建物
- 上記の建物でありながら、かつ「耐震補強」などにより一定の耐震基準を満たす建物
- 上記の耐震基準を満たさない場合は、建物を解体して「土地」として売却する
また、区分所有建物(マンション)には適用されませんので、注意してください。
【7位】相続財産売却の取得費加算特例
不動産の相続時に相続税を納めており、その相続した不動産を売却する場合に課税譲渡所得を低減できる方法です。
通常の譲渡所得の計算式と、相続税を納めた場合の特例を適用した計算式を比べてみましょう。(わかりやすくするため「特別控除」は省略しています。)
- 通常の譲渡所得=売却価格-取得費-譲渡費用
- 特例の譲渡所得=売却価格-取得費-相続税額-譲渡費用
このように相続税額が控除されるので、譲渡所得は低減され課税額も少なくなります。
【8位】事業用の資産を買い換えたときの特例
個人が事業に使用している不動産を買換えたときに、売却による譲渡所得の一部を将来に繰延できます。
この特例が適用されるのは、所有期間が10年超えの国内にある事業用の土地や建物などを売却し、国内にある一定の土地や建物などを購入する場合です。
一定の土地や建物とは、次のような条件を満たすものです。
- 土地は300m2以上
- 土地の用途は事務所、工場、作業場、研究所、営業所、店舗、倉庫、住宅など
この特例により譲渡所得金額は通常の場合の20~30%となり、税負担が大幅に軽減されます。
【9位】平成21年~平成22年取得の土地売却1,000万円特別控除
平成21(2009)年1月1日から平成22(2010)年12月31日の期間に取得した土地を売却した場合には、譲渡所得から1,000万円が控除できます。
この特例は、平成20(2008)年のリーマンショック後の景気対策として行われた特別措置です。そのため上記の2年間に取得時期を限定しています。
適用要件としてまず、ほかの特別控除は併用できないことに加え、親子や夫婦などの特別な関係者からの取得ではなく、取得の原因が、相続・遺贈・贈与・交換・代物弁済・所有権移転外リース取引ではない場合に適用されます。
つまり一般的な売買により取得した土地ですが、売却時期が平成28(2016)年以降とされていますので、すでに売却時期の制限もなくなっています。
控除の対象が「土地または土地のうえに存する権利」とされており、マンションの敷地権が該当するため控除の対象になる可能性があります。
投資用に取得したマンションなどは、居住用財産売却の3,000万円特別控除は適用できませんが、この1,000万円控除が適用でき、さらに指定期間中に購入した複数の土地などにも適用できる点がこの特例の特徴です。
【10位】低未利用土地100万円特別控除
空き家や空き地の増加を防止する目的で設けられた税制の特例措置が、「低未利用土地100万円特別控除」です。
市街化区域や用途地域設定区域内にある低未利用土地の場合は、土地とそのうえの建物を含み800万円以下での売却、そのほかの都市計画区域内の低未利用土地は500万円以下での売却で100万円が譲渡所得から控除されます。
そのほかの要件としては、以下のとおりです。
- 所有期間が5年超えの長期譲渡である
- 市区町村長が低未利用土地として確認する
控除の金額は小さいですが、空き地や空き家防止策として有効な特例です。
【11位】居住用財産買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
不動産を売却したときに課税される税金の節税対策ではなく、不動産の売却により損失が生じたため、給与などほかの所得に課税されている税金が還付される特例です。
マイホームの買換えでは、これまでの住んでいた住宅を売却し買換えのマイホームを取得しますが、希望どおりの金額で住宅が売れず損失が生まれることもあります。
このときに買換えるマイホームを、住宅ローンを利用して購入する場合に適用できます。
会社員の場合は給与から所得税が源泉徴収されていますので、売却による損失分を申告することにより所得税が還付されます。
さらに、源泉徴収された所得税よりも還付される税額が多い場合は、最大3年間にわたり繰り越しが可能です。(ただし、合計所得金額が3,000万円を超える場合は繰り越しできません。)
【12位】特定居住用財産の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例
上記の特例は「買換え」の場合の特例ですが、この特例は買換えしない場合でも適用できる特例です。
住宅ローン整理のため「任意売却」などで、住宅ローン残高を下回る金額でマイホームを売却するケースで適用できる特例です。
11位の「居住用財産買換え等の場合の譲渡損失の損益通算及び繰越控除の特例」と同じように、給与所得から売却による損失分の金額か、住宅ローン残高から売却価格を差し引いた金額のどちらか低い金額が、所得税還付の対象となる所得です。
【13位】電子契約やふるさと納税も節税効果あり
不動産の売買契約は「電子契約」でも可能です。電子契約では契約のための「書面」がありませんので、不動産売買契約に関わる印紙税はかかりません。
不動産の譲渡所得には住民税も課税されます。売却する年に希望する地方公共団体(自治体)に寄付を行い、翌年の確定申告時期にふるさと納税の申告を行うことで住民税の一部が控除されます。
節税額としては大きなものではありませんが、少しでも税負担を軽減したい場合には有効な方法といえるでしょう。
この記事の編集者
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