シロアリがでた家は売却できる?売る方法3つと避けるべきNG行動
シロアリの存在は住宅の価値を大きく下げかねません。しかし、適切な対処方法を取れば売却は可能です。
本記事ではシロアリがでた家を売却する3つの方法と、避けるべきNGな行動について解説します。シロアリ駆除の専門業者への依頼の是非、買主に正直に事実を伝える重要性、価格設定の留意点など、売主として知っておくべき情報が満載です。
シロアリ被害の家を抱えた方は、この機会に適切な売却方法を学び、トラブルを避けましょう。本記事で具体的なノウハウを押さえ、万全の状態で売却活動に臨んでください。
シロアリ被害の実態
シロアリに食われてしまって家が倒壊しそうになっていたり、床下が腐って傾いてしまっていたりする家の映像をテレビやネットで見たことがあるでしょう。
実際、シロアリの被害にあった家はどのくらい存在するのでしょうか。また、どのような家がシロアリの被害にあっているのでしょうか。
調査を受けた5棟に1棟はシロアリ被害を受けている
国土交通省の「シロアリ被害実態調査報告書」によれば、調査対象となった5,322棟のうち、約19%(1,004棟)が床下にシロアリ被害を受けていることがわかりました。
つまり、5棟に1棟がシロアリの被害を受けているといえます。
昭和30(1955)〜40(1965)年代に比べて被害発生率は低くなっていますが、シロアリ被害はごくまれに発生するものではありません。
シロアリは寒さに弱いため、九州・四国・中国地方でより多くの被害が報告されていますが、気温の低い東北地方でもシロアリ被害は発生しており、全国どこでも注意が必要です。
被害を受けないためには5年ごとのメンテナンスが必要
建物の工法や基礎構造によってシロアリ被害の発生率は異なりますが、多くの建物では防除処理の保証期限(一般的には5年間)が切れてから数年で再被害を受けてしまうことがあります。
さらに、経過年数が増えるほど発生率が急増する傾向にあります。
シロアリ被害を防ぐには、専門家による定期的な床下点検と再処理を含めたメンテナンスが重要です。
シロアリ被害がある家に住むと、どんな影響がある?
シロアリは実はゴキブリの一種で、湿度・温度が高い場所に生息しています。巣を作り繁殖をする際に、シロアリにとって最高の餌になる木造戸建ての建材を食べ荒らします。
基本的には床下や屋根裏など、目につかない部分を食べていくため、被害に気づかないことも多々あります。
シロアリ被害を受けると家の耐久性が低下し、被害が大きい場合は倒壊リスクも高まります。
また、シロアリ被害を受けている家に住むことで、人体への健康被害も懸念されます。
倒壊リスクが高まる
シロアリは木材を食べ、柱や壁を傷つけます。その結果、木造住宅の柱や壁が傷み、建物の耐久性が低下します。
さらに、シロアリによって食べられた外壁の傷などから雨水が浸入し、柱や壁が腐ることで耐久性がさらに低下します。
つまり、シロアリ被害を受けた建物は、大きな地震や台風などの自然災害で倒壊するリスクが高まるのです。
健康被害が懸念される
シロアリの発生それ自体が人間の健康に直接、被害を与えることはありません。しかし、シロアリによって床や柱が腐食によって建物が傾いてしまっている場合は、注意が必要です。
その傾きによって耳の三半規管が弱ったり、自律神経が乱れたりなどして、頭痛や吐き気などの体調不良を引き起こすことがあります。
また、シロアリ駆除の際に使用された薬剤を散布した場合、十分な換気ができていないと中毒症状が生じるリスクもあります。
シロアリがでた家の売却方法3つ!有効な選択肢は?
シロアリがでた家を売却することは可能です。しかし、シロアリ被害を受けていない家を売るよりも売りにくく、必要な対策も異なります。
シロアリ被害を受けた家を売却する際は、不動産会社と相談しながら状況に合わせた売却方法を選択しましょう。
補修・駆除工事後に個人へ売却
シロアリ被害の箇所が特定されている場合で補修が可能な場合は、傷んだ箇所を補修して売却ができます。
シロアリ被害の箇所や範囲によって工事費用はさまざまですが、参考までにおおよその補修費用は次のとおりです。
- 床下の補修:床下のシロアリ被害を補修する場合、床材や柱の交換、防腐処理などが必要です。費用は50〜200万円になることがあります
- 壁や柱の補修:壁や柱のシロアリ被害を補修する場合、壁材や柱の一部を交換する必要があります。費用は30〜100万円程度です。
- 外壁の補修:外壁のシロアリ被害を補修する場合、外壁材の一部を交換する必要があります。費用は30〜100万円になることがあります。
シロアリが発生している場合は、シロアリ駆除を専門業者に依頼する必要があります。シロアリの駆除費用は、1㎡あたり1,300〜2,500円が相場です。
100㎡の戸建ての場合で、10〜30万円のシロアリ駆除代が必要です。
基本的に補修代やシロアリ駆除代は売主が負担しますが、被害状況を特定したうえで買主が了承すれば、現況のまま売却して補修や駆除は買主が行うという契約も可能です。
古家付き土地として個人へ売却
シロアリ被害が大きく補修をできない場合や補修費用を出せない場合は、補修を行わずに古家付きの土地として売却ができます。
築年数が30年以上の家や、シロアリの被害が柱や
土地として売却した場合、建物は使用できないものとして売却されるため、引渡し後に契約不適合責任を負うことはありません。
ただし、シロアリの被害を受けたことは、買主に告知する必要があります
不動産会社へ売却
個人ではなく、不動産会社への売却もできます。
不動産会社は建物の補修を行い戸建てとして再販売したり、建物を取り壊して土地として再販売したりを目的に購入します。
不動産会社が購入する場合は、基本的に売主が補修やシロアリ駆除を行う必要はなく、現況のまま売却ができます。
また、引渡し後の契約適合責任を免責にしてもらえるケースも多いので、売却後のリスクも負わずに済みますし、短期間で売却が可能です。
ただし、不動産の仲介による売却相場の7~8割が、売却(不動産会社の買取)価格の相場です。
シロアリがでた家を売るなら、やってはいけないNG行動
シロアリ被害にあった家を売却する際、いくつか選択肢がありますが、共通して避けるべきNG行動があります。
まず、シロアリ被害を隠して売却はできません。建物や健康に甚大な被害を及ぼすリスクがあるため、正確な情報提供が求められます。
また、売却方法や価格にも影響があるため、価格設定や不動産会社の選定にも注意が必要です。
シロアリ被害が遭ったことを売主に告知しない
不動産の取引の際に、売主には対象不動産の状況で知っていることを告げなければならない、物件状況の「告知義務」があります。
シロアリの被害も告知義務のひとつで、シロアリ被害は現在の被害だけでなく過去の被害についても告知しなければなりません。
もし告知を怠った場合は契約違反となり、契約解除や損害賠償の対象になるおそれがあります。
シロアリ被害があったにもかかわらず、その存在を知らずに売却した場合、一般的には引渡しから3カ月以内に発見された場合に補修費用を負担することが求められることもあります。
不動産会社に相談する前にシロアリ駆除の補修をする
シロアリの被害は大小さまざまで、シロアリ被害にあった家を売却するのに、補修が必要な場合と不要な場合があります。
補修に多額の費用をかけても、売却価格が上がらない場合もありますので、シロアリ被害を補修するかどうかは事前に不動産会社に相談することをおすすめします。
また、シロアリ駆除は、駆除剤を買ってきて自分で駆除もできますが、家を売却するなら専門業者に依頼したほうがよいでしょう。
専門業者のシロアリ駆除は5年間の保証が付きますので、購入者にとっても購入しやすい安心材料になります。
シロアリ被害を売り出し価格に反映しない
シロアリの被害があった場合、物件価格は相場よりも安くなるのが一般的です。補修や駆除代が必要な場合は、かかる費用分は安くしなければなりません。
また、購入する方の立場になると、シロアリ被害にあった物件は「補修が十分だろうか?」「またシロアリの被害を受けるのではないだろうか?」などという不安が残るため、物件価格を安くしないと売りにくくなります。
売却実績を考慮せずに不動産会社を選ぶ
シロアリ被害を受けた住宅の売却は、不動産会社の選定に注意が必要です。特に売却実績が乏しい不動産会社は、シロアリ被害の補修方法や売却方法のノウハウが不足しているおそれがあります。
このような不動産会社に依頼すると、不当に安く売られたり、販売期間が長くなったり、売却後にトラブルが発生するリスクがあります。
シロアリ被害を抱えた家を売る際は、売却実績の豊富な不動産会社を選ぶことをおすすめします。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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