家の買い替えを成功させるコツとは?買い替え方法の違いや費用について解説!
家の買い替えを考えている人に向けて、押さえておきたい需要ポイントを解説します。
「売り先行」と「買い先行」の比較、必要な費用の詳細まで幅広くわかるので、具体的に買い換えの流れをイメージできるようになるでしょう。家の買い替えを成功させるためにぜひチェックしてください。
もくじ
家の買い替えを始める前に知っておくべきこと
家の買い替えにおける重要な、5つのポイントを紹介します。家を買い替えるにあたっては、買い替えの目的、タイミング、方法をあらかじめ整理してから始めることが理想です。
家を買い替える理由・目的を明確にする
家を買い替える理由や目的を明確にしましょう。そもそも、なぜ家を買い替えたいのか、いまの環境に何が不足しているかを考えると、必要な条件がわかります。
たとえば、いまの住居が狭いと感じるのであれば、買い替えの目的は広い家に住むことです。また、いまの住居の立地に不満があるのなら、新居の周辺に何が必要なのかを考えられるでしょう。
家の買い替えには多額の費用がかかるため、買い替えの必要性を確認してから進めることが大切です。
買い替えの期限を決める
買い替えの期限を決めておくことが大切です。いつまでに家を売却し、いつから新居に住み始めたいのかを明確にしたら、逆算して行動しましょう。
期限を決める判断材料は、買い替えの理由や資金の状況などが適切です。子どもの成長に合わせて住み替えをしたいのであれば、進学のタイミングが期限として考えられます。教育費や生活費などの必要経費を洗い出し、余裕ができる時期を期限に設定する方法もあります。
住宅ローンを完済する
先に住宅ローンを完済してから、家の売却を検討するのもよいでしょう。住宅ローンを完済していれば、借入先の金融機関が持つ抵当権を抹消でき、権利関係を気にすることなく自分や家族の意思どおりに売却が可能です。
基本的に物件を売却する前には、住宅ローンを完済して抵当権を抹消します。住宅ローンの債務がある状態でも、家を売却することは可能です。詳しくは、記事の後半で解説します。
買い替えのタイミングを見極める
スムーズな住み替えには、買い替えのタイミングを見極めて適切な時期での売却と購入が大切です。売主と買主の需要と供給が活性化するタイミングを狙えば、より有利な条件で取引ができるでしょう。
家の売買が活発になる時期は、2〜4月と9〜11月です。春には進学や転勤などのライフイベントがあり、秋にも2学期の始まりや転勤があります。この時期には家を手放したい方や新居を探す方が増え、買い替えに適した時期といえます。
状況に合った買い替え方法を選ぶ
家の買い替えには、2つの方法があります。
1つはいまの家を先に売却する「売り先行」で、もう1つが新居の購入を先に行う「買い先行」です。どちらの方法を選ぶかで、買い替えの流れが変わります。
「売り先行」と「買い先行」の詳細は、以降で解説します。
「売るのが先」「買うのが先」どちらがよい?
ここでは、売り先行・買い先行のメリットとデメリットを説明します。
売り先行のメリットは納得のいく価格で家を売却できる可能性が高い点と、売却代金を新居の購入資金に回せる点です。じっくりと売却の計画を検討でき、理想に近い条件で売却できる可能性が高まります。
売り先行のデメリットは居住中の家に購入希望者が内覧に訪れる点と、売却後は新居に入居するまで仮住まいになる点です。
買い先行は新居をじっくりと探せ、引越し先をあらかじめ決めたうえで売却に専念できます。一方、デメリットは現住居の住宅ローンに残債があった場合、売却が決まるまで二重で住宅ローンの債務が発生する点です。
それぞれのメリットとデメリットは、次のとおりです。買い替え方法を選ぶ際の参考にしてください。
メリット | デメリット | |
---|---|---|
売り先行 |
|
|
買い先行 |
|
|
「売り先行」の流れ
売り先行で家を買い替えるときの流れは、以下のとおりです。
- 不動産会社に家の査定を依頼
- 売り出し価格を設定
- 売却活動を開始
- 購入希望者の内覧対応
- 買主と価格交渉、売買契約を締結
- 物件の引き渡し、仮住まい先へ引越し
- 新居探し、購入
- 引越し、新居に入居
家の売却価格は、間取りや立地など多くの条件が影響して決まります。個人で判断するのは困難なため、売買のプロである不動産会社へ査定依頼をするのがおすすめです。
売却が決まり無事に売却手続きを終えて家を引き渡すと、新居を購入するプロセスに移ります。
「売り先行」が向いている方
売り先行が向いている方の特徴は、以下のとおりです。
- 住宅ローンの債務が残っている
- 売却代金を新居の購入代金に回したい
- 初めて不動産売買をする
住宅ローンの残債がある場合は、完済するか売り先行で売却を進めるのがおすすめです。住宅ローンに残債があるまま買い先行で進めた場合、二重ローンを抱えてしまい、資金が圧迫されるおそれがあります。
また、売却代金を新居の購入費用にあてたい方や、不動産取引の経験がなく資金計画に自信がない方も売り先行がおすすめです。
売り先行は買い先行よりも、資金面が安定する方法といえます。
「買い先行」の流れ
買い先行で家の買い替えをするときは、以下の流れで進みます。
- 住みたい物件の調査
- 購入物件を決め、売買や住宅ローンの契約締結
- 引越しと入居
- 不動産会社に現住居の査定を依頼
- 売り出し価格を決定
- 売却活動を開始
- 購入希望者の内覧対応
- 買主と価格交渉し、売買契約を締結
- 物件の引き渡し
買い先行のポイントは、現住居の売却価格や新居の購入価格を想定したうえで購入する物件を決めることです。売却価格や相場よりも大きく上回る価格の物件を購入すると、資金がショートするおそれがあります。
買い先行には、新居への引越し後に現住居の売却を行う必要があります。売却が完了するまで慎重に手続きを進め、買い替えを完了させましょう。
「買い先行」が向いている方
買い先行が向いている方の特徴は、以下の3つです。
- 買い替え資金が十分にある
- 住宅ローンを完済している
- 新居をじっくりと探したい
買い先行では旧居の売却前に新居の購入代金の支払いが始まる可能性が高いため、購入の時点でまとまった資金を持っている必要があります。
現住居の住宅ローンを完済しており二重ローンが発生するリスクのない方には、買い先行がおすすめです。完済している場合は、売却を急ぐ必要がなく、仮住まいも不要です。新居をじっくりと探したい方にもおすすめできます。金銭や時間に余裕がある方には、買い先行がおすすめです。
家の買い替えに必要な費用について
ここでは、家の買い替えに必要な費用を解説します。納付義務がある税金や状況に応じてかかる経費など、それぞれの特徴と目安金額を把握しましょう。
家の売却に必要な費用一覧
以下の表は、家の売却時に発生する費用とその目安の一覧です。
名称 | 目安となる金額 |
---|---|
仲介手数料 | 売却額×3%+6万円+消費税(上限額) |
印紙税 | 売却額によって異なる |
登録免許税 | 不動産の数×1,000円 |
司法書士の報酬 | 1万〜2万円 |
繰上返済手数料 | 金融機関による |
譲渡所得の所得税・住民税・復興特別所得税 | 譲渡所得×20.315%もしくは39.63% |
引越し費用 | 会社による |
費用の種類は、税金と諸経費に分かれます。印紙税、登録免許税、譲渡所得税が、売却時にかかる税金です。
印紙税は文書にかかる税金で、収入印紙を文書に貼って納付します。不動産取引では売買契約書が課税対象です。契約額に応じて税額が変わります。契約額が1,000万円を超え5,000万円以下であれば、印紙税は1万円です。なお、この税額は2027年(令和9年)3月31日までの軽減措置を受けた金額であり、本来は2万円の納付が必要です。
登録免許税は、売却時の抵当権抹消手続きに対して発生します。税額は不動産1つにつき1,000円です。土地と建物でそれぞれ登録免許税がかかるほか、土地が複数の筆に分かれている場合は1筆ごとにかかります
所得税、住民税、復興特別所得税は、譲渡所得にかかる税金です。譲渡所得は、売却代金から取得費(不動産購入価格と購入にかかった費用)と売却にかかった費用を引いて計算します。譲渡所得税は、譲渡所得に一定の税率を掛けて算出します。税率は所有期間が5年以下なら合計39.63%、5年超なら合計20.315%です。
仲介手数料、司法書士手数料、繰上返済手数料、引越し費用は、必要に応じて発生する諸経費です。不動産会社に支払う仲介手数料は、上限額が法律で定められています。司法書士に支払う手数料は、抵当権抹消を依頼すると発生します。繰上返済手数料とは、住宅ローンの残債を一括で返済する際にかかる費用です。
家の購入に必要な費用一覧
ここでは、家を購入するときにかかる費用と目安金額を一覧表で紹介します。
名称 | 目安となる金額 |
---|---|
仲介手数料 | 購入額×3%+6万円+消費税(上限額) |
印紙税 | 購入額によって異なる |
登録免許税 | 新築住宅の購入時:評価額×0.15% 中古住宅の購入時:評価額×0.3% 土地の所有権移動時:固定資産税評価額×1.5% |
司法書士費用 | 5万〜10万円 |
固定資産税 | 購入してからの期間分を土地の売主に支払う |
不動産取得税 | 評価額×3% |
住宅ローン費用 | 金融機関による |
保険料 | 会社による |
売却時の費用と同様に、購入時の費用も税金と諸経費に分かれます。
購入時に発生する税金は、印紙税、登録免許税、不動産取得税、固定資産税です。印紙税のルールは売却時と同様です。
登録免許税は土地や建物を購入したとき、法務局で行う所有権の移転登記手続きにかかる税金です。
また、購入した建物が新築か中古かによって税率が異なります。2027年(令和9年)3月31日までに購入した建物には軽減税率が適用されます。新築の税率は0.15%、中古の税率は0.3%です。土地購入時の登録免許税率も1.5%に軽減されていますが、期限は2026年(令和8年)3月31日までです。
不動産取得税は、方法を問わず不動産の取得時に課税されます。こちらも2027年(令和9年)3月31日まで軽減措置があり、通常4%の税率が3%となっています。
固定資産税は、毎年1月1日時点での所有者に課せられる税金です。売主が支払ったその年の固定資産税に対して、買主が使用する期間分を支払います。
登録免許税、不動産取得税、固定資産税額は、すべて固定資産評価額に一定税率を掛けて計算します。
諸経費は、主に仲介手数料、司法書士手数料、住宅ローン費用、保険料です。司法書士の手数料は、所有権移転登記や抵当権設定登記を依頼したときに発生します。住宅ローンを組む際には、事務手数料や保証料が発生します。事務手数料は借入先の金融機関に支払い、保証料は保証会社に支払う費用です。保険料は、住宅の火災保険や地震保険に加入すると発生します。
住宅ローンが残っている場合も買い替えはできる?
家を売却するときは住宅ローンを完済して、金融機関の抵当権を抹消する必要があります。しかし、住宅ローンが残っていても、買い替えは可能です。
住宅ローンを残したまま売却できるケースは、ローンの残債額が家の売却額を下回る「アンダーローン」のときです。この場合は、売却代金で住宅ローンの残債を完済することを条件に、金融機関から家を売却する許可が出ます。
住宅ローン残債が売却額を上回る「オーバーローン」では、抵当権を抹消できません。この場合は、新居の住宅ローンに現住居のローン残債を上乗せして借り入れる、住み替えローンを利用する必要があります。
また、売却代金の受領よりも先に新居の購入代金を支払わなければならない場合は、つなぎ融資で資金不足を補います。ここでいうつなぎ融資とは、住宅の売却代金を得るまでに必要な資金を一時的に立て替えるための融資です。つなぎ融資を利用する際は、住宅ローンを借りた金融機関に相談しましょう。
家の買い替え費用を抑えるポイント
ここでは、家の買い替え費用を抑えるためのポイントを紹介します。
売却時と購入時でそれぞれ多額の費用がかかると、家計が圧迫されるおそれがあります。それには、特例や不動産会社による査定を活用するほか、引越し回数を減らすことが効果的です。
特例・減税措置を活用する
控除の特例や減税措置を活用すると、税金の負担を抑えられます。ここでは、3,000万円の特別控除の特例と軽減税率の特例を紹介します。
3,000万円の特別控除の特例を利用すると、譲渡所得から最高3,000万円の控除ができます。適用の要件は、売却の前年と前々年に同様の特例を受けていないこと、売主と買主が親族や特殊な関係ある法人など特別な関係でないことなどです。
軽減税率の特例は、譲渡所得の6,000万円以下の部分に対して、通常15%の所得税率が10%に軽減される制度です。売却する家の所有期間が10年を超える場合に適用できます。
前述した特例以外にも特例を利用できるケースがあります。それぞれの特例の詳しい内容や適用の条件は、不動産会社にご相談ください。
不動産会社の査定を受ける
売却の際は、不動産会社の査定を受けて住居の適正な価値を知りましょう。
買い先行では新居の購入に時間を取られ、売却の準備に余裕がないことがあります。売却の準備を怠ると、相場より安い価格で売却することになるおそれがあります。買い先行でも、売却の工程をおろそかにしないことが大切です。
査定を受けるときは複数の不動産会社を比較すると、より正確な査定結果を把握できます。インターネットで複数の不動産会社へ一括で査定を依頼できるサービスの利用がおすすめです。「リビンマッチ」なら最大6社の査定を受けられます。
引越し回数を減らす
引越しの回数が減ると、買い替えの費用を節約できます。たとえば、買い先行なら1回の引越しだけで買い替えができます。
売り先行だと売却後の仮住まいを含め、2回の引越しが必要になりますが、売買を同時に進めて現住居の退去日と新居の入居日を合わせられると、1回の引越しのみで済ませられます。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
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