住宅ローンが払えないときは銀行に相談?相談先と対処法を解説
住宅ローンを借り入れたあとは、毎月の返済があります。しかし経済事情によっては、返済が困難になるケースもあるでしょう。もしそのような状況に陥ってしまったときは、どのように対処すればよいのでしょうか。
この記事では、住宅ローンが払えないときの相談先や、対処法を紹介します。
もくじ
住宅ローンが払えないときはすぐに借入先に相談を
不測の事態が起きたときは、住宅ローンの支払いができなくなるおそれがあります。ケガや入院に伴う収入減、教育費の捻出による資金不足、家庭問題などさまざまな事情が考えられます。
住宅ローンの返済が困難なときは、すぐに借入先の金融機関に相談しましょう。返済条件の緩和を提案してもらえることがあります。
金融機関に相談することなく、返済の督促を放置する行為は危険です。一括返済を要求されたり、ブラックリストに入ったりするおそれがあります。
住宅ローンが払えないときまずは、銀行に相談をする
住宅ローンの支払いが困難なときは、まずは借入先である銀行に相談しましょう。相談することで、債務者の経済事情を踏まえて返済条件の見直し(リスケジュール)を提案してもらえます。
返済条件の見直しには、主に次の3つの方法があります。
借入期間を延長してもらう
借入期間を延ばすことで、1回あたりの返済額を減らせます。
5,000万円を20年間借りているケースでは、1年あたりの返済額は250万円です。返済期間を25年間に延長すると、1年の返済額を200万円に減額できます。
ただし、住宅ローンには利息がかかっています。借入期間を延長するとそれだけ利息が発生し、返済総額が増える点に注意しましょう。
月の返済額を減額してもらう
1カ月の返済額を一時的に減額することで、返済負担を軽減することが可能です。返済期間を変更せずに直近の返済額だけを減らし、減らした分を将来の返済額に上乗せします。この方法は、一時的な収入減や資金不足が生じたケースで有効です。
たとえば、ケガや病気による長期入院で仕事ができず、多額の医療費が発生するケースでの利用がおすすめです。復職や退院で収支の改善が見込めるのであれば、効果的な方法といえます。
元本を一定期間据え置きにしてもらう
元金の返済を止めて利息だけを一定期間支払うことで、1カ月の返済額を大幅に減らせます。この方法は、一定期間だけ支出が増えてしまうケースで有効です。
たとえば、子どもの大学の学費を捻出するために4年間は利息だけを支払い、5年目から元金の返済を再開させられます。
住宅ローンが払えないときにやってはいけないこと
住宅ローンが払えないときに、やってはいけないことがあります。それが高金利の新規借り入れと督促の放置です。どちらも問題を先送りにする行為であり、状況をさらに悪化させるおそれがあります。絶対にやらないようにしましょう。
カードローンなど高金利の借り入れを行うこと
カードローンやキャッシングで新たに借り入れるのは避けるべきです。これらは銀行より金利が高いため、一時的に資金が手に入ったとしても、将来的に負担する返済額が非常に高額になります。
住宅ローンの返済を新たなローンで補ったとしても、将来の債務を増やすだけです。追加の借り入れは行わず、金融機関に相談して返済条件を見直したり、家計を見直したりしてください。
金融機関からの催促や督促を放置すること
借入先の金融機関からの催促や督促状の放置は、絶対にやってはいけない行為です。
住宅ローンを返済できずに滞納してしまうと、金融機関から催促の連絡がきたり、督促状が送付されたりします。これらの連絡への対応を怠って放置し続けると、住宅ローンの一括返済を求められる事態を引き起こすおそれがあります。そして、最終的には自宅を競売にかけられてしまいます。
住宅ローンが払えないと具体的にどうなる?
住宅ローンを払えずに滞納を続けると、最終的に物件を手放し、退去を余儀なくされます。住宅ローンの滞納によって起こる、4つの事態を解説します
催促状や催告書が届く
住宅ローン滞納から3カ月ほど経つと、督促状や催告書が金融機関から送付されます。これらの書類送付は、返済を確認できていないことの連絡と入金の催促が目的です。
督促状は返済の滞納後に送付され、その後も複数回にわたって続きます。催告書は債権者(金融機関)が法的手段を採る直前に送付される文書で、督促状よりも厳しい警告の意味を持ちます。
ブラックリストに載って借り入れができなくなる
催告書の到着後も滞納を続けると、ブラックリスト入りして新たな借り入れができなくなります。ブラックリスト入りは信用情報機関が管理する信用情報に事故情報が記載されることを意味します。自己破産や借金の貸倒れなどの金銭トラブルはもちろん、住宅ローンの滞納も事故情報として記載されます。
貸金業者は借り入れの申し込みがあったときに、信用情報機関に照会を行ったうえで審査を行います。そのため、ブラックリストに入っていると、新規の借り入れやクレジットカードの作成ができなくなるのです。さらに、安価な優遇金利で住宅ローンを組んでいた場合、その適用が解除されることもあります。
利益の喪失通知が届く
滞納が3カ月以上続くと、「期限の利益喪失」に関する通知書が届きます。期限の利益とは、借り入れたお金を分割で返済できる債務者の権利のことです。期限の利益を喪失すると分割返済の権利を失い、住宅ローンを一括返済するよう金融機関から要求されます。
住宅ローンを滞納している債務者にとって一括返済は難しく、保証会社が債務者に代わって金融機関へ返済を行います。それ以降、債務者は保証会社へ借入金を返済する義務を負います。
競売決定通知が届く
6カ月以上の滞納を目安に、競売が開始されます。競売とは保証会社へ返済する資金に充てるため、購入希望者を募って債務者の物件を売却する手続きのことです。
競売の開始決定通知が届いたあと、物件の落札者を決定します。保証会社と落札者の契約が成立すると債権者は物件の所有権を失い、強制退去することになります。
競売の落札額で住宅ローンを完済できないときは、残る金額の一括返済を求められます。返済できなければ、自己破産を選択することになるでしょう。
住宅ローンが払えないときの対処法
住宅ローンの返済が難しくなっても、さまざまな対処法があります。返済が苦しいからと焦って新たに借り入れる前に、そのほかの方法を検討しましょう。
ここでは、住宅ローンが払えないときの対処法を7つ紹介します。
返済額や期間を調整する
金融機関に相談して、住宅ローンの返済額や期間を調整する方法があります。一時的な収入減で返済が難しいのであれば、一定期間だけ返済額を減らしたり返済期間を延長したりなどの対応が可能です。具体的な方法は、次のとおりです。
- 元金の返済を止め、利息だけを返済する
- ボーナス払いを停止する
- 返済期間を延長する(上限35年が一般的)
- 金利タイプを変更する(固定型・変動型)
返済額の一時的な減額や返済期間の延長を実施すると、返済総額が増加します。そのため、将来を見据えた資金計画が重要です。
住宅ローンを借り換える
現在借りている住宅ローンと別の金融機関の住宅ローンを比較して、借り換えにメリットがありそうなときは検討をおすすめします。住宅ローンを比較するときは、適用金利や返済期間の内容などを比較しましょう。
ただし、新しく住宅ローンを組むときは、手数料がかかることと、金融機関の審査を受ける手間がかかることに注意が必要です。借り換えで得られる利益とかかる費用の負担、さらに手続きの終了までにかかる時間を比較し、検討しましょう。
また、借り換え時に団体信用生命保険の再審査を受けるため、健康状態に問題があると借り換えができないおそれがあります。
リースバックをする
リースバックとは所有する物件を第三者に売却し、その売却先と賃貸契約を結ぶ方法です。基本的に、住宅ローンの残額が物件の売却価格を下回る場合のみ、リースバックが認められます。メリットとして、早く現金化できる点と、売却後も同じ物件に住み続けられるので引っ越しの手間がかからない点があります。
所有権を手放すことに抵抗がなければ、資金調達の手段として有効です。
リバースモーゲージをする
リバースモーゲージとは、自宅を担保にする借り入れの方法です。毎月の返済は利息分だけでよく、元金は契約者本人が亡くなったときに相続人が返済することになります。
住宅ローンよりも月々の返済額を抑え、自宅に住み続けられるメリットがあります。亡くなったときに元金を返済するため、高齢者に適した方法です。元金の返済方法は、相続人による一括返済か、自宅売却での返済かのどちらかです。
保険を適用する
住宅ローンを借り入れるときに加入した団体信用生命保険(団信)で、返済できることがあります。団信とは債務者が死亡したときに、保険金で住宅ローンを返済できる保険のことです。
団信の特約をつけていると債務者が死亡したとき以外にも、がんや糖尿病などによって働けなくなったときに住宅ローンを返済できることがあります。どのような特約をつけているか、団信の契約内容を確認しましょう。
任意売却をする
任意売却とは売却価格が住宅ローンの残債を下回る物件について、金融機関の了承を得て売却する方法です。通常、物件を売却するには住宅ローンを完済して抵当権(担保)を外す必要があります。任意売却では住宅ローン債務が残っていても、抵当権を外して物件を売却できるのです。
任意売却後の住宅ローンの残債は、金融機関と相談したうえで分割して返済します。なお、任意売却できる期限は、競売の落札者が決定する日の前日までです。
個人再生手続きをする
個人再生手続きとは、再生計画を裁判所に提出し、申し立てが認められると住宅ローン債務の減額や返済期間の延長ができる制度です。個人再生手続きの流れは、次のとおりです。
- 債務者が返済額を減らして、原則3年・最長5年で完済する再生計画を申し立てる
- 受理した裁判所が、債権者の意見を踏まえて再生計画の認否を決定する
- 裁判所に認められ、計画どおりに返済できると残債が免除される
債務を大幅に減額できる一方で、信用機関には事故情報として記録されます。
まとめ
住宅ローンが払えないときの対処法を解説しました。住宅ローンの滞納は信用情報に事故情報が記録されるなど、今後の生活に悪影響をおよぼすおそれがあります。住宅ローンの返済が難しいと感じたら、滞納する前に金融機関へ相談しましょう。どうしても返済が難しいときでも、リースバックや任意売却など、そのほかの方法を採ることが可能です。
住宅ローンの返済が難しくなっても、所有する物件の売却額で返済できるのであれば大きな問題は生じません。所有する家やマンションがいくらで売却できるのか、一括査定サイトの「リビンマッチ」で査定を依頼して価格を調べてみましょう。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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