老後の住まいにワンルームマンションを購入するメリットとデメリット
ひとり暮らしの高齢者にとって、広すぎる家は清掃などの管理の負担が重くのしかかります。そのため、老後はやや狭い家を選択するのもひとつの方法です。老後の住まいとして、ワンルームマンションを購入する場合、どのようなメリットとデメリットがあるでしょうか。
もくじ
老後にワンルームマンションで暮らすメリット
パートナーと死別した方などひとり暮らしの人にとって、コンパクトで利便性の高いワンルームマンションは、体力の衰えがちな老後の住まいとして有力な選択肢です。メリットとしては、次のものが考えられるでしょう。
- 価格が安くて購入しやすく、維持費も小さい
- 駅近など利便性の高い物件が多い
- コンパクトで掃除や移動などの負担が少なく暮らしやすい
老後にワンルームマンションで暮らすメリットを見ていきましょう。
価格が安くて購入しやすく、維持費も小さい
コンパクトなワンルームマンションは、通常のファミリー向け戸建てやマンションに比べ、安く購入できます。老後に準備できる資金は人それぞれですが、年金がメインの収入となる老後に経済的な不安を大きくしたくない人は多いでしょう。
そういったときに購入費用が少なくて済むワンルームマンションは、比較的手が届きやすい物件といえます。特にいま持ち家に住んでいる人は、その家を売却することで予算の捻出が可能です。
さらにワンルームマンションはそのコンパクトさから、光熱水費をはじめ、管理費や固定資産税などのランニングコストも抑えられるため、負担をさらに小さくできます。このように老後の懐事情に優しいのが、ワンルームマンションの大きな特徴のひとつです。
駅近など利便性の高い物件が多い
利便性が高い場所にあることが多いワンルームマンションは、体力が衰えがちな老後のニーズにあった物件といえるでしょう。
年齢を重ねると車を運転することも少なく、外出時のちょっとした移動も面倒になるため、徒歩圏内の利便性、アクセスの重要性が増します。特に病院やスーパーマーケットへの距離など、日常生活を支障なく送れる立地どうかは、老後生活の大切な要素です。
そのため、これから老後の住居を検討する人にとって、比較的立地のよい物件が多いワンルームマンションには大きな魅力があります。
コンパクトで掃除や移動などの負担が少なく暮らしやすい
ワンルームマンションは、コンパクトさが特徴です。コンパクトなため、掃除などの手間や負担を最小限にしてくれます。リビングとキッチンや寝室が一体化した部屋は、掃除も簡単でシンプルな生活にはピッタリです。
もし、ちょっとした移動も負担になる身体になっても、戸建てなどに比べれば、住居内の移動も最小限で済みます。
老後にワンルームマンションで暮らすデメリット
老後の生活にメリットの多いワンルームマンションですが、一方でコンパクトさがもたらすデメリットもあります。
- 部屋が狭くてリラックスできない
- キッチンや浴室の設備やグレードがもの足りない
- 周辺環境が騒々しい場合もある
購入を検討するにあたって、ワンルームマンションのデメリットもチェックしておきましょう。
部屋が狭くてリラックスできない
人によっては、ワンルームマンションのコンパクトさを「窮屈」と感じることがあるでしょう。リビングやダイニング、寝室が同じ空間だと気分転換が難しく、何か味気なく感じてリラックスできないかもしれません。また、仕切りがないため、キッチンで調理すると臭いも充満しがちです。
コンパクトさをメリットと感じるか、デメリットと感じるかは個人差がありますが、「住居は広いほうがいよい」と考える人には、ワンルームマンションはおすすめできません。
キッチンや浴室の設備やグレードがもの足りない
それまで戸建てや広めのマンションに住んでいた方にとっては、キッチンの設備や広さ、浴室などにもの足りなさを感じるかもしれません。
キッチンは広さが十分取れないためひと口コンロになっていたり、安全面への配慮からIHタイプになっていたりして、料理が趣味の人に満足できない設備になるおそれがあります。
また、ユニットバスが浴室に採用されることも多く、大きな湯船につかってゆっくりするといったお風呂の楽しみ方も難しいでしょう。
周辺環境が騒々しい場合もある
利便性が高く立地のよい場所だと、物件によっては周辺環境がやや騒々しいこともあるでしょう。特にそれまで閑静な住宅街などに住んでいれば、駅近や道路沿いの物件で、人混みや列車や車の騒音が気になって、かえって家に閉じこもりがちになるおそれがあります。
同じワンルームマンションでも生活スタイルの好みを考慮して、周辺環境をもとに居住地域を選ぶことが大切です。
ワンルームマンションの特徴
ワンルームマンションの特徴を、改めて整理してみました。主な特徴は次のとおりです。
- コンパクトなひとつの空間に、居室と調理スペース、風呂、トイレなど、生活に必要な機能を備えている
- 広さは20~30㎡程度のものが多い
- 利便性が高く立地条件のよい物件が多い
- 居住対象者は単身者で高齢者専用、女性専用といった物件もある
- キッチンのコンロはひと口、浴室はユニットバスが採用されることが多い
ワンルームマンションはふたりで入居できる場合もありますが、機能や広さを考えるとあくまでも単身者用です。キッチンやお風呂などもコンパクトさが優先されるため、最低限必要な機能に限定されています。
一方で、駅近など利便性の高い場所に立地している物件が多いのも特徴です。多少物件が狭くても、駅や医療機関、スーパー、公共施設などへのアクセスを重視する人には有力な選択肢になるため、多くの需要があります。
ワンルームマンションの費用はどれくらい?
ファミリー向けの物件に比べ、ワンルームマンションが安価なのは間違いありませんが、実際どれくらいの購入費用が必要なのでしょうか。
同じ都市圏であっても築年数や立地、地域によって購入費用は大きく異なりますが、ここでは広さ20~25㎡のワンルームマンションの取引事例を「REINS Market Information」で調べ、実際の購入費用を推察します。
東京都心(千代田区、中央区、港区、新宿区、渋谷区)
東京都心5区のワンルームマンションの成約状況を確認すると、築15~20年程度の物件で2,000万~3,000万円程度と比較的高い金額になっています。
しかし、都心5区という立地を考えると、お手ごろな値段とも考えられます。高齢者にとって中心地での暮らしは騒々しいものの、気軽に都心へ外出できるのは大きなメリットになるでしょう。
横浜市
東京都心と比較すると、横浜市のワンルームマンションの成約事例は決して多くありません。成約事例を見ると築15~20年程度の物件で、1,200万~1,800万円が中心になっています。東京都心の物件に比べると、手が届きやすい価格帯といえるでしょう。
東京都心の価格だと手が届かない人も、横浜市であれば購入を検討できるでしょう。
埼玉県中央部
埼玉県中央部のワンルームマンションの成約状況を確認すると、築15~20年程度の物件で1,500万~1,600万円が中心になっています。
横浜市内の物件と同じように、都心の物件に比べると価格が手ごろで購入しやすくなっています。東京都心ほどではありませんが、交通アクセスのよい地域も多く、ワンルームマンションを検討しているならチェックしておきましょう。
千葉市
千葉市のワンルームマンションの成約状況を見ると、築30年程度の物件で400万~700万円の物件がよく見られます。築30年とやや築古ではありますが、横浜市内や埼玉の物件よりもさらに購入しやすい価格帯と考えられます。
首都圏以外の都市圏
首都圏以外の都市部のワンルームマンション成約価格は以下のとおりです。おおむね首都圏より購入しやすい価格帯となっています。
- 名古屋市 築15~20年で1,000万~1,300万円
- 大阪市 築15~20年で1,000万~1,500万円
- 福岡市 築15~20年で900万~1,100万円
- 札幌市 築30年程度で400万~700万円
ワンルームマンションの価格のまとめ
首都圏と地方都市圏を比較すると、ワンルームマンションは価格的に地方に大きなメリットがありそうです。価格帯によっては自宅を売却した代金だけで、ワンルームマンションの購入費用をまかなえるかも知れません。
地域区分 | 20~25㎡のワンルーム マンション成約価格(円) |
取引の多い 築年数 |
|
---|---|---|---|
首都圏 | 東京都心 5区 |
2,000万~3,000万 | 築15~20年 |
横浜市 | 1,200万~1,800万 | 築15~20年 | |
埼玉県 中央部 |
1,500万~1,600万 | 築15~20年 | |
千葉市 | 400万~700万 | 築30年程度 | |
地方都市 | 名古屋市 | 1,000万~1,300万 | 築15~20年 |
大阪市 | 1,000万~1,500万 | 築15~20年 | |
福岡市 | 900万~1,100万 | 築15~20年 | |
札幌市 | 400万~700万 | 築30年程度 |
自宅を売却すれば購入費用・老後資金になる
ワンルームマンションに居住する場合、分譲されているものを購入するパターンに加え、賃貸で入居するパターンもあります。ただし、高齢者は賃貸だと入居しにくいことが多いため、購入が有力な選択肢となります。
購入費用も地域ごとに差はありますが、ファミリー向けに比べれば、購入しやすい価格帯です。
特に現在、広さを持て余しているような持ち家に住んでいるのであれば、自宅を売却してワンルームマンションの購入費用を捻出することも考えられます。購入資金が残るようであれば、そのまま老後資金に活用できることに加え、ワンルームマンションは比較的売却しやすいため、老後資産のひとつになります。
老後の生活を想像しながら生活スタイルを見直し、いまの家が広すぎるようであれば、売却したうえでワンルームマンションへの住み替えを検討してみてはいかがでしょうか。
【体験談】老後資金としてマンションを売却
老後資金を得るために、賃貸物件として活用していた分譲マンションを売却した体験談です。安定収入になっていたものの、管理の手間がかかるため売却を決断しました。
契約した不動産会社は、行動力やていねいな姿勢などに好感を持ったそうです。大切な資産ですから、信頼できる不動産会社選びの大切さがわかります。
持ち家の価格は一括査定サイトで調べられる
住み替えを検討しているのなら、まずは持ち家の価格を調べてみましょう。不動産会社に査定を依頼すれば、近隣の取引事例や市場の価格相場などをもとにどれくらいの価格で売却できそうか提示してくれます。
不動産会社によって得意な物件が異なるため、複数社に査定を依頼すればより正確な価格がわかります。一括査定サイトの「リビンマッチ」は、一度の入力で複数の不動産会社へ査定を依頼できるサービスです。
持ち家の価格を調べるときは、リビンマッチで査定を依頼してみましょう。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
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