土地売却で確定申告が不要なケース、必要なケース|確認する方法は?
源泉徴収で税金を納めすぎていたり、給料以外で収入を得ていたりするときは、確定申告で税金を確定させる必要があります。確定申告を行うことで、税金の還付を受けたり、税金を納めたりするのです。土地を売却して収入を得たときも、確定申告を行って税金を納めなくてはなりません。
しかし、土地を売却して収入があっても、確定申告を行う必要がないことがあります。どういったケースだと、確定申告が不要になるのでしょうか。
もくじ
土地売却で確定申告が不要になるケース
土地を売却すると収入を得ることになるため、確定申告を行って収入に対する税金を納める必要があります。ところがなかには、土地売却で収入があっても、確定申告をせずに済むケースがあります。どういったケースであれば、土地売却による収入があっても確定申告が不要になるのでしょうか。土地売却における、確定申告が不要になるケースを解説します。
譲渡所得が0円以下なら確定申告は不要
土地を売却したときに譲渡所得が0円以下であれば、確定申告は必要ありません。
譲渡所得とは土地、建物、株式、ゴルフ会員権などの資産を譲渡(他者へ権利を移すこと)することで生じる所得のことをいいます。土地や建物を譲渡して買主から金銭を受け取ったら、その収入はすべて譲渡所得として扱われます。譲渡は売買によるものだけではなく、代物弁済や交換で資産を得た場合を含みます。
譲渡所得の金額は次のように計算します。
この計算を行って譲渡所得が0円以下であれば、確定申告は不要です。
土地売却で確定申告が必要になるケース
土地の売却でわずかな額でも譲渡所得が発生すれば、確定申告を行う必要があります。また、譲渡所得が0円以下でも、確定申告したほうが得をするケースもあるので注意が必要です。ここでは土地を売却して確定申告が必要になるケース、確定申告を行ったほうがよいケースを解説します。
譲渡所得が発生したら確定申告が必要
土地を売却することで譲渡所得が生じたら、確定申告が必要です。譲渡所得にかかる主な税金は、「所得税」と「住民税」です。確定申告を行うタイミングは、売却翌年の2月16日から3月15日までの期間で行う必要があります。
会社員は通常、年末調整を行い、確定申告を行う必要はありません。しかし、土地を売却して譲渡所得が発生したときは、会社員であっても自分で確定申告を行う必要があります。確定申告は、土地を売却した翌年の2月16日から3月15日までの期間内に行います。ただし、譲渡所得が20万円以下であれば、確定申告は不要です。
特別控除を適用するには確定申告が必要
土地売却で譲渡所得が発生したら、確定申告を行わなくてはなりません。確定申告で納める税金が確定するため、義務とはいえ気が進まない人もいるでしょう。しかし、確定申告を行うことで、納税額を減らしたり、納めないで済むようにしたりできることもあります。土地を売却したら、確定申告は忘れずに行いましょう。
確定申告を行うと、特別控除が利用できるようになります。特別控除とは条件に当てはまるケースで受けられる優遇措置で、譲渡所得を削減することが可能です。金額によっては譲渡所得を0円にでき、税金を納めずに済むこともあります。
譲渡所得を削減できる特別控除
土地売却で発生した譲渡所得を削減できる特別控除には、主に次のものがあります。
- マイホームを売ったときの特例
- 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
- 低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除
- 公共事業のために売却したときの5,000万円の特別控除
- 特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の2,000万円控除の特例
- 特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1,500万円控除の特例
- 農地の保有化などのために売却したときの800万円の特別控除
それぞれの特別控除を見ていきましょう。
マイホームを売ったときの特例
これは、マイホーム(居住用財産)が建っていた土地を売却する場合に、適用できる可能性がある特例です。この特例が適用されることで、譲渡所得から3,000万円を控除できます。また、控除によって譲渡所得が0円以下になった場合、譲渡所得にかかる納付義務がなくなります。
特例を適用するには、以下の条件を満たしている必要があります。
- 売却する土地に居住していた家屋があった
- 家屋を解体して1年以内に売却する
- 家屋の解体後の土地を、駐車場や賃貸などで使用していない
- 売り手と買い手が親子や夫婦などの特別関係ではない
- ほかの特例を受けていない など
より詳細な条件は、不動産会社にお尋ねください。
被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
相続または遺贈によって取得した土地・家屋を解体し、土地を売却する場合に適用できる特例です。この特例が適用されることで、譲渡所得から最大で3,000万円を控除できます。ただし、相続あるいは遺贈された相続人が3人以上の場合は、控除額は2,000万円までです。
特例を適用するには、以下の条件を満たしている必要があります。
- 相続もしくは遺贈前に被相続人が1人で家屋に住んでいた
- 解体された家屋が1981年(昭和56年)5月31日以前に建築されている
- 売却価格が1億円以下である
- 相続・遺贈から売却まで賃貸や居住がされていない
- 相続・遺贈から3年以内に売却する など
より詳細な条件は、不動産会社に相談してください。
低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除
住居や事業に利用されていない空き地のことを「低未利用土地」といいます。低未利用土地を売却した場合、売却価格が500万円以下であれば譲渡所得から100万円を控除できます。この特別控除が「低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除」です。
ただし、すべての低未利用土地が対象ではなく、いくつか条件を満たす必要があります。主な条件は次のとおりです。
- 都市区域内にある土地である
- 売却した年の1月1日に5年以上所有している
- 売主と買主の関係が親子、夫婦など特別な関係にない
- 売却価格が500万円以下
また、市街化区域や用途地域が定められている土地などの条件に当てはまれば、売却価格が800万円以下まで対象になります。そのほかにも、細かな条件があるため、この特別控除を利用するときは、不動産会社に相談してください。
公共事業のために売却したときの5,000万円の特別控除
たとえば、国が道路や保健所、公園など公共事業建設の必要が出た場合、一定の手続きを取れば個人の資産を一方的に収用できます。この場合、土地の所有者は対価補償金(土地と引き換えに得る補償金)に対して2つのうちいずれかの特例を適用できます。
ひとつは「対価補償金等で他の土地建物に買い換えたときは譲渡がなかったものとする特例」です。土地が収用されたあと代替資産を取得した際に、代替資産の購入額が対価補償金より上だった場合、対価補償金は譲渡所得とみなされません。逆に対価補償金のほうが代替資産の購入額より上だった場合は、差額が譲渡所得になり税金がかかります。
もうひとつが「譲渡所得から最高5,000万円までの特別控除を差し引く特例の適用」です。対価補償金のうちから、最高5,000万円まで控除できます。この特例を受けるには、以下の条件を満たしている必要があります。
- 売却する土地が自分の固定資産である
- 「対価補償金等で他の土地建物に買い換えたときは譲渡がなかったものとする特例」を利用していない
- 土地収用の申し出から半年以内に売却している
- 収用を申し出られた本人、もしくは相続者本院が土地を売却している
適用申請のために、収用証明書や収用のためにかかった費用の請求書などを保存しておきましょう。
特定土地区画整理事業等のために土地等を譲渡した場合の2,000万円控除の特例
国土交通省が推進する特定土地区画整理事業のために土地を売却した場合、譲渡所得から最大2,000万円まで控除できます。土地の売却理由が特定土地区画整理事業であれば、土地の用法や売主に関する条件はありません。
特定住宅地造成事業等のために土地等を譲渡した場合の1,500万円控除の特例
土地が収用対象事業の事業用地の代替地、または「公有地の拡大の推進に関する法律(公拡法)」に基づいて事業用地または代替地として収用された場合、譲渡所得から最大1,500万円まで控除できます。詳しい適用要件は、所轄の税務署で個別にご相談ください。
農地の保有化などのために売却したときの800万円の特別控除
農地を農用地利用集積計画や農業委員会のあっせんで売却した場合、譲渡所得に対して800万円の控除が適用されます。農地の売却を検討する際は、まず地域の農業委員会に相談することをおすすめします。
必要な確定申告をせずに放置するとどうなる?
確定申告をせずに放置した場合、ペナルティを受けることがあるので注意しましょう。たとえば、譲渡益が出ているにも関わらず確定申告をしない場合、無申告加算税が課せられます。また、意図的に事実を隠ぺいしたり捏造したりしたすると、重加算税が課されるため注意が必要です。
国税庁は、登記の移動記録を把握しているため、土地の売買がいつ行われているかを把握しています。土地の売却で譲渡所得が発生していることを隠し通すことはできないでしょう。土地の相場にも熟知しており、譲渡所得を故意に少なく申告することもできません。
土地売却で確定申告を行う流れ
土地売却の確定申告は、譲渡した日の翌年2月16日から3月15日までの期間に行わなければなりません。なお、譲渡損失があった場合や、ほかの所得から控除して相殺する「繰越控除」を行う場合などは、2月15日以前でも申告が可能です。必要な書類の準備をして確定申告書を作成したら、所轄の税務署に提出してください。
必要な書類を用意する
土地を売却した際の確定申告にあたっては、以下のものが必要です。
- 確定申告書(第一表)、確定申告書第三表(分離課税用)
- 譲渡所得の内訳書(確定申告書付表兼計算明細書)
- 売買契約書のコピー、登記事項証明書
各種確定申告書は税務署のほか、国税庁のWebサイトからダウンロードできます。登記事項証明書は不動産を管轄する法務局のほか、オンライン申請システムを利用して請求することも可能です。
確定申告書を作成する
確定申告書は収入、所得、控除などの大まかな内容をまとめた第一表、内容の根拠や詳細について記入する第二表、分離課税の必要がある収入を記入する第三表からなります。譲渡所得の内訳書を記入する際は、売買契約書と譲渡した登記事項証明書、代金の受け取りがわかる金融機関の通帳などを手元に置いて作成しましょう。
通常の確定申告では、譲渡所得の内訳で計算し、譲渡収入や所得を第三表に転記するという流れで行います。また、土地や建物を売った場合は、第三表に加えて第一と第二表も提出します。取得費の項目にある「諸費用」を記入する際は、土地分と建物分に分ける必要がある点に注意しましょう。
書類を提出する
確定申告の書類作成ができたら、税務署へ提出します。e-taxでの申請には利用者識別番号(半角16桁の番号)が必要で、取得するにはWebや書面での申し込みか、税務署での手続きが必要です。Webから申し込む場合、申し込む方法によってはマイナンバーカードやカードリーダーが必要になることがあります。詳しくはe-taxのサイトをご確認ください。書類を手書きで作成した場合は、管轄の税務署に赴き、窓口に直接提出しましょう。
税務署の通常時間外収受箱へ投函して提出することも可能です。また、郵便あるいは信書便で管轄の税務署に送付することもできます。ただし、確定申告は「信書」にあたり、郵便物・信書便物以外の荷物扱いでは送付できないため、注意してください。
確定申告書の提出期間は2月16日~3月15日の1カ月間です。期限の最終日が土曜・日曜・祝日にあたる場合は、翌日が期限日となります。e-Taxでは送信日が、郵便の場合は郵便局で押された通信日付印の日付けが提出日です。
まとめ
本記事では、土地の売却後に確定申告が不要になる条件、あるいは必要な条件を解説しました。確定申告はややこしいイメージがありますが、一度終えてしまえば、以後は悩む必要がありません。土地を売却しようと考える際は、要点を押さえながら、速やかに手続きを進めていくことが重要です。
ぜひ本記事の内容を参考にして、スムーズに土地売却を行ってください。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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