不動産担保ローンとは?利用できる?審査条件とメリットデメリット
不動産担保ローンは、不動産を担保として銀行からお金を借り入れる商品です。
審査が通れば、より有利な条件で資金調達が可能な一方で、返済に遅れが生じた場合、担保となる不動産の所有権を失うリスクがあります。そのため、利用すべきか慎重に判断する必要があります。
不動産担保ローンの基本的な仕組みと、ほかのローンとの違いや審査条件、メリットとデメリットなどを解説します。
もくじ
不動産担保ローンとは?その仕組み
不動産を担保として差し出す、不動産担保ローン。その担保となる不動産の種類には、以下があります。
- 土地
- 戸建て住宅
- マンション
- アパート
- 駐車場
また、不動産担保ローンには個人向けと事業者向けがあります。
不動産担保ローンの仕組みを理解するために、個人向けと事業者向けの違いを見てみましょう。また、住宅ローンや無担保ローンとの比較により不動産担保ローンの特徴を把握できます。
個人向けと事業者向けの違い
対象 | 利用目的 | 審査判断 |
---|---|---|
個人 | 生活費用、教育費用、リフォーム費用など | 個人の返済能力、不動産担保評価額 |
事業者 | 事業資金、事業にかかる設備資金 | 財務状況、事業計画、不動産担保評価額 |
個人向けの場合は、比較的自由に資金利用が可能です。一方で、事業者向け不動産担保ローンは事業活動に必要な資金として利用するため、生活費用などに充当できません。
事業者向け不動産担保ローンは融資額も大きくなるため、財務状況や事業計画の検証は厳しくなる傾向にあります。
住宅ローンとの違い
住宅ローン | 不動産担保ローン | |
---|---|---|
資金使途 | 住宅の購入 | 事業資金、教育費用、リフォーム費用など |
担保対象 | 購入する住宅 | 既存の所有不動産(所有者は家族でも可) |
不動産担保ローンは住宅ローンと違い、すでに所有している不動産を担保として利用できるため、資金使途の柔軟性が特徴です。
また、家族が所有している不動産も担保対象にできるため、不動産の選択肢が多いという特徴もあります。
無担保ローンとの違い
無担保ローン | 不動産担保ローン | |
---|---|---|
担保 | なし | あり |
金利 | 高い | 低い |
融資額 | 小さい | 大きい |
無担保ローンは担保の提供が不要であり、申込者の返済能力が審査判断に大きく影響する要因です。不動産担保ローンと比較して金利が高く、融資額も小さくなります。
一方で、不動産担保ローンは担保としての不動産があるため、金利が低く融資額も大きくなる特徴があります。銀行は無担保ローンと比較して貸倒れのリスクを軽減でき、好条件の融資内容を提示できます。
不動産担保ローンを利用すれば、不動産担保評価の査定次第で低金利かつ大きな融資額が期待できるでしょう。
不動産担保ローンは利用できる?審査基準
不動産担保ローンを利用するには、ほかのローンと同様に銀行からの融資審査が必要です。ただし、不動産を担保として差し出すだけで審査を通るとは限りません。
審査では以下の内容を重視して判断されます。
- 返済能力は十分か
- 担保となる不動産の価値は十分か
- 借入状況はどのくらいか
それぞれの内容を銀行がどのように判断していくか見てみましょう。
返済能力は十分か
原則、銀行は返済能力があると判断した人に融資します。返済能力を判断すべく、銀行は申込者の収入、勤務形態や支払状況を調査します。
銀行にとっては、不動産を担保に提供されても融資における審査判断の基本は変わりません。
申込者に毎月安定した収入があり、生活費を支払っても余裕がある場合、その余裕分の金額の範囲内で返済が可能であると判断します。
フリーランスや自営業者は、安定した収入を得ているとわかる具体的な資料の用意が必要です。
返済能力に対して、申込金額が大きくなりそうな人は返済能力の改善を含んだ返済計画を立てて提出しましょう。返済計画は実現可能性のある計画にしておくことが重要です。
たとえば、自家用車の売却や家計の見直しによる返済資金の捻出が挙げられます。申込者が主体的に返済計画を立てていることは、銀行にとっても好印象です。
担保となる不動産の価値は十分か
審査判断において、不動産担保評価での査定価格は重要な要素です。不動産担保ローンは返済ができなくなったとき、担保である不動産を売却して借入金を回収することを前提としているからです。
不動産担保評価に影響を与える要因と評価が高くなる例は、以下のとおりです。
要因 | 評価が高くなる例 |
---|---|
立地条件 | 駅から近い、インフラストラクチャーの充実など |
物件の用途 | 住宅地、商業施設など |
建物の状況 | 古すぎない、定期的な保守など |
不動産担保評価が高くなりそうな不動産を所有していれば、審査判断のひとつとして有利になります。資金計画の際に周辺地域の物件価格を調べておくと、担保にする不動産価格の見込み額がわかるでしょう。
銀行の担保額は、不動産評価額に約70~80%の掛け目をかけた額で算出しています。
借入状況はどのくらいか
借入状況は、返済能力の判断に影響します。借入金が多すぎたり、返済を滞納している借入金があったりする状況は審査に落ちやすいでしょう。返済の滞納は、申込時点で返済能力がないと判断されてしまいます。
今回の融資が別の借入金の返済に充当されたり、新たに滞納されたりするリスクになるでしょう。ほかの借入があっても、申込人の返済能力の範囲内になっていれば、銀行は審査しやすくなります。
ほかの借入があり、手元資金に余裕のある人はできるだけ返済しておきましょう。銀行に少しでも返済能力に不安を感じさせないことが重要です。また、返済負担も軽減されるため、収支状況にも好影響を与えます。
ただし、借入金を返済しすぎて生活に支障をきたさないようにしましょう。銀行は融資の審査において、申込者の収支状況や返済能力だけでなく、生活の資金繰りについても確認して総合的に判断します。
不動産担保ローンを利用するメリット
主なメリットは、以下の4点です。
- 低い金利で借り入れが可能
- 融資限度額が大きい
- 融資期間が長い
- 利用目的が比較的自由
それぞれのメリットをみていきましょう。
低い金利で借り入れが可能
不動産担保ローンは、無担保ローンに比べて低い金利で借り入れできます。不動産を担保に設定することで、銀行は貸倒れのリスクが低くなるため低金利で提案可能です。
銀行は不動産を担保とすることで、回収財源を確保しています。極端な例で、担保にした不動産の担保価格の範囲内での融資であれば、返済不能となっても貸倒れがありません。
申込者にとっても金利が低いほど返済総額を抑制できるため、負担が減ります。
融資限度額が大きい
不動産担保ローンは、融資限度額が高く設定されるケースが多いです。担保として提供される不動産の評価額に応じて設定しており、評価額が高くなるほど多くの融資が可能です。
必要金額が多い場合は、担保提供できる不動産があることで希望金額に近づけやすくなります。
融資期間が長い
不動産を担保に提供している堅実性から、返済期間に余裕のあるスケジュール設定が可能です。
不動産担保ローンは銀行によって異なりますが、30年程度までが多く、最長で35年を許容しているケースもあります。無担保ローンの期間は10年程度であることから、融資期間の長さがよくわかるでしょう。
ただし、金利の支払期間は増加していることに注意です。融資期間が長いことで月々の返済金額を抑えられますが、可能な分だけ長く設定するのではなく、自身の状況にあった返済計画にしましょう。
利用目的が比較的自由
不動産担保ローンは、利用目的が比較的自由です。不動産購入など、特定の目的に限定した住宅ローンや不動産投資ローンとは違います。
事業資金やリフォーム資金など、使用目的は多岐にわたり利用できます。さまざまな資金ニーズに応えられる点がメリットです。
不動産担保ローンを利用するデメリット
主なデメリットは以下の3点です。
デメリットの具体的な内容について見ていきましょう。
銀行に返済不能と判断されて住む家を失うリスク
不動産担保ローンを実行したあとに返済不能になると、銀行が担保として設定された不動産を差し押さえ、売却手続きを進めます。
不動産担保ローンを利用する人の多くは自宅を担保にするため、住む家を失うリスクが高いでしょう。
銀行は返済の滞納が続き返済不能と判断すると、担保の自宅を差し押さえ、売却手続きによる回収手続きを進めます。
返済を滞納しそうな状況になったら、すぐに銀行へ返済条件の見直しを相談したり、親族へ返済の支援を依頼したりしましょう。
住む家を失わないためにも借り入れをする際、自身の返済能力に見合った資金の調達と返済計画を立てることが大切です。
申し込みから借り入れまでの期間が長い
担保に提供する不動産の評価、契約準備や登記手続きに時間がかかります。無担保ローンと比べると、契約実行までに多くの時間を要します。
無担保ローンと比べても複雑な手続きが多く、急ぎの資金需要に対しては不向きかもしれません。
また、審査でも時間がかかります。不動産担保ローンは融資額が大きくなる分、審査に必要な提出書類が多く、銀行も厳しい目で調査するからです。
手数料や保証料などが発生するおそれ
不動産担保ローンでは、融資額に応じた手数料や保証料などの費用が発生します。主な手数料は以下のとおり。
手数料の種類 | 内容 |
---|---|
事務手数料 | 各種ローンの借り入れで必要になる事務手続き費用 |
登記手数料 | 不動産の担保設定に必要となる登記手続き費用 |
保証料 | 返済不能になった際、損失を補てんする保証会社へ支払う費用 |
各種費用は、不動産担保ローンで資金調達する際に必要な費用です。銀行ごとに料率が異なるため、銀行選びの際に問い合わせしておきましょう。
また、不動産登記は個人で実行可能なため、登記手数料を抑えられます。不動産登記は銀行ごとに提携する司法書士がおり、司法書士に依頼するケースがほとんどです。
しかし、前提知識なしの個人が登記手続きをおこなうには複雑な手続きです。時間や手間がかかることを考慮しておきましょう。
各種費用は融資金額から清算されるため、別に資金を用意する必要はありません。ただし、資金計画で考慮していなければ、融資実行と同日に振込決済する際、資金不足になってしまうため注意が必要です。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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