不動産投資で節税をするには?節税の仕組みと税金対策の方法を解説
節税と聞いても会社員だと、なじみがないかもしれません。しかし、会社員でも不動産投資を行うことで、節税ができるようになります。この記事では、不動産投資による節税方法や、仕組みをわかりやすく紹介します。
不動産投資でできる節税の方法
「将来のために貯蓄をしたいものの、税金が高くて思うように貯蓄できない」という方も少なくないでしょう。所得の高い人はそれだけ納税額が多いため、節税の効果が高くなるでしょう。そういった人には、不動産投資がおすすめです。ここでは不動産投資で節税する方法を解説します。
不動産投資で節税になるポイントは赤字
不動産投資を始めても1年目は何かと費用がかさむため、赤字になることも少なくありません。もし会社員なら不動産投資で出た損失分を、給与の課税所得から控除できます。これを「損益通算」といいます。所得税は課税所得をもとに計算されるため、損益通算で課税所得を下げれば納税額を減らせるのです。
課税所得が900万円を超えたら節税効果が大きい
年収1,200万円以上(課税所得900万円以上)の会社員は、不動産投資によって大きな節税効果を期待できます。年収1,200万円以上の所得があると、所得税と住民税が33%になります。不動産投資で課税所得を900万円以下に納めることで、所得税と住民税の税率が33%から23%になって税率を10%も引き下げられるのです。
現金より不動産のほうの相続税がお得
相続税とは、故人から財産を相続すると相続人に課せられる税金です。不動産を相続する場合、不動産の価格は相続税評価額に基づいて算出されます。不動産の相続税評価額は、時価よりも20~30%ほど低く見積もられます。現金を相続するとその金額に相続税がかかるのに対して、不動産だと時価より低い相続税評価額に相続税がかかります。つまり、不動産を現金化して相続するより、不動産のまま相続したほうが納税額を抑えられるのです。
所得が多い場合は法人化して税金を抑えられる
所得が多くなったら、保有している不動産の運営を個人から法人に切り替えることで税金を抑えることが可能です。個人だと所得税と住民税を合算した最大税率は55%ですが、法人なら実効税率が20~30%台と大きく引き下げられます。つまり、個人の税率が法人税率を上回った場合は、法人化すると節税につながるのです。また、法人化することで社会的信用が上がり、個人より融資の審査に通過しやすくなるメリットもあります。
不動産所得を赤字にすれば節税できる
不動産投資で節税するポイントは、不動産所得を赤字にすることです。不動産所得を赤字にすることで、どのような節税効果を見込めるのか紹介します。
不動産所得とは
不動産所得とは、所有している物件を誰かに貸したときの利益です。家賃収入から必要経費を引くことで算出できます。不動産収入が1,000万円、必要経費が800万円だったとすると、差額の200万円が不動産所得になります。
確定申告で損益通算できる理由
損益通算とは所得の黒字と赤字を相殺することをいいます。不動産投資では損益通算によって、勤めている会社から得た給与所得の黒字を、不動産投資で生じた赤字で相殺することが可能です。会社員だと給与所得をもとに将来払う税金が算出され、源泉徴収で税金を前払いします。したがって、不動産投資で課税所得が減少した場合、確定申告をすることで税金の還付を受けられるのです。
青色申告でより高い節税効果を得られる
確定申告には、青色申告と白色申告の2種類があります。青色申告は複式簿記で記載する必要がありますが、白色申告は簡易帳簿で問題ありません。また、確定申告では青色申告だと、多くの書類の提出を求められます。青色申告は複式簿記などの複雑な手続きが必要ですが、より多くの控除が受けられたり、赤字を3年間繰り越せたりと税制上のメリットがあるのでおすすめです。なお、青色申告を行う場合は、青色申告の承認申請があらかじめ必要です。
不動産投資で赤字を出すには減価償却費がポイント
前述したように、不動産所得の赤字が節税につながります。不動産所得を赤字にするには、減価償却費を活用することが重要です。以下で減価償却費を活用する方法について解説します。
不動産収入から差し引ける経費
不動産収入から、経費を差し引いた残りが不動産所得です。つまり「不動産所得が赤字になる」とは、「不動産収入を経費が上回る」ことを意味します。不動産所得を赤字にするには、不動産収入を得る過程でかかった費用をできるだけ多く経費として計上することが必要です。
不動産投資で計上できる経費とは
不動産投資において経費の対象となる項目は、以下のとおりです。
- 租税公課(不動産投資にかかる税金)
- 損害保険料
- 減価償却費
- 仲介手数料や宣伝費などの入居に関わる費用
- 通信費
- 管理会社への管理費用や修繕積立金
- 税理士や司法書士への報酬
- 交通費、交際費などの諸経費
確定申告の書類を作成する際には、経費に入れてよいか迷う出費もあるでしょう。経費の処理に迷ったら、税理士に相談すると誤りがなく確実です。
ポイントは「減価償却費」
経費のなかで減価償却費は、実際の支払いを伴わない経費です。つまり、出費がないのに経費にできます。不動産投資における減価償却費とは、不動産を購入したときに支払った金額をその耐用年数に応じて分割して経費計上することです。毎年の確定申告のときに、減価償却費を経費として計上することで納税額を抑えられます。
「減価償却費」の仕組み
建物を減価償却費として計上できる期間は、耐用年数によって異なります。各建物の耐用年数を、次の表にまとめました。
構造 | 耐用年数 |
---|---|
木造 | 22年 |
軽量鉄骨 | 27年 |
重量鉄骨 | 34年 |
鉄筋コンクリート、鉄骨鉄筋コンクリート | 47年 |
購入金額と耐用年数を用いると、減価償却費を算出できます。例として、5,000万円の不動産を購入した場合を見ていきましょう。
5,000万円÷22年=年間 約227万円
5,000万円÷47年=年間 約106万円
購入金額が同じであれば、減価償却費の高い木造住宅のほうが節税効果を期待できます。
税金対策になる節税効果の高い物件とは
税金対策の効果がある物件とはどのような物件でしょうか。以下で節税効果の高い物件の一例を紹介します。
中古マンションのワンルーム
中古不動産を購入する場合、新築よりも減価償却費を計上できる期間が長くなります。減価償却費を計上できる期間は、次の式で算出できます。
耐用年数×20%
築年数が耐用年数を超えていない
(耐用年数-築年数)+築年数×20%
鉄筋コンクリート造のマンションを中古で1部屋購入し、その建物の築年数が25年だった場合、減価償却費を計上できる期間は以下のとおりです。
一方、鉄筋コンクリート造のマンションの1部屋を、新規で購入したときの減価償却期間は47年です。新規購入した物件を25年所有した場合に、減価償却できる残りの期間は次のようになります。
このように、築25年の同じ鉄筋コンクリート造のマンションでも新規購入に比べて中古で購入したほうが減価償却できる期間を5年延長できるのです。
木造アパート
木造建築は鉄筋コンクリートや鉄骨鉄筋コンクリートに比べ、減価償却期間が半分以下に設定されています。つまり、木造アパートと鉄筋コンクリート造アパートの1部屋が同じ価格だった場合、木造アパートのほうが鉄筋コンクリート造アパートの倍以上の額が減価償却されるのです。800万円の部屋を購入した例で考えてみましょう。
800万円÷22年=約36万3,600円
800万円÷47年=約17万円
一方、木造建築の耐用年数である22年を過ぎてしまうと減価償却できる額が0円になるため、減価償却による節税効果はなくなります。
耐用年数が過ぎた木造建築は購入に融資を受けられる可能性が低いため、不動産売却のときに買主を探すことは困難でしょう。耐用年数が近づいた物件をどのように処分するのかは、あらかじめ考えておきましょう。
まとめ
不動産投資によって節税する方法や、確定申告で節税できる理由について解説しました。税金や確定申告は難しい部分もありますが、基本は簡単なのでぜひ覚えておきましょう。
不動産投資は賃貸収入だけでなく、売却でも収入を得ることが可能です。つまり、売却計画も含めて考える必要があります。売却するときは少しでも高く売れるよう、投資用物件を得意としている不動産会社を見つけることが大切です。
一括査定サイトの「リビンマッチ」では、一度の入力で複数の不動産会社に査定を依頼できます。そのため、投資用物件が得意な不動産会社を見つけることができるでしょう。所有する不動産の売却を検討しているときは、リビンマッチをぜひ利用してください。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
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