土地を売るには何が必要?書類、手続き、費用をまとめて解説
土地を売るときにはさまざまな手続きがあり、それぞれで必要になる書類があります。売買が成立するまでに多くの書類が必要で、なかには紛失しているものもあります。再発行には時間がかかりますので、土地を売りたいと思ったら早めに確認しておきましょう。土地を売るときに必要な書類、手続き、費用をまとめて紹介します。
土地を売るふたつの方法――買取と仲介
土地を売るときは、大きく分けて買取と仲介のふたつの方法があります。
- 買取
- 不動産会社が売主から直接買い取る
- 仲介
- 不動産会社が買主を見つけて売却する
土地を買取で売る場合、買主を見つける必要がないので早く売却できます。その代わり、仲介と比べて買取は、売却価格が6~8割程度と安くなるのが欠点です。仲介は買主を選んで土地を売れるため、高く売れる可能性があります。
ここからは仲介で売るのに必要な書類、ステップなどを解説していきます。買取で必要になる書類などは、次の記事で解説していますので参考にしてください。
土地を売るときに必要な書類
土地の売却は複数のステップに分かれていて、ステップごとに必要な書類があります。書類によっては発行に時間がかかるため、直前になって慌てないよう、あらかじめ用意しておきましょう。土地の売却を決めたときに、先回りして用意しておくことをおすすめします。
土地を売るのに必要な書類には、次のものがあります。不動産会社によっては、そのほかの書類を求めてくることもあります。査定を依頼するときに、必要書類を確認しておくとよいでしょう。
書類名 | 取得場所 |
---|---|
本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど) | 売主が所有 |
確定測量図 | 売主が所有。所有していない場合は測量会社に依頼して作成する |
登記識別情報通知書(登記済権利証) | 売主が所有 |
印鑑証明書 | 市区町村役場 |
固定資産税・都市計画税の納税通知書 | 売主が所有 |
固定資産評価証明書 | 市区町村役場 |
それぞれの必要書類を解説します。
本人確認書類(運転免許証、マイナンバーカードなど)
本人確認書類は土地を売るときの、さまざまな場面で必要になります。土地の所有者ではない人が所有者を装って土地を売却するなど、土地取引の詐欺を防ぐために本人確認が必要なのです。本人確認書類としては、次の官公庁が発行する顔写真つきの証明書が適切です。
- 運転免許証
- マイナンバーカード
- パスポートなど
いずれも用意できない場合は、ふたつ以上の書類を用意することで本人確認を行うことがあります。どういった書類であれば有効なのか、不動産会社に確認しておきましょう。
本人以外が土地を売る場合(土地の名義人と売主が異なる)
土地の名義人と売主は、同一人物でなくてはなりません。しかし、時間がなくて相続登記が済んでいないなどの事情があれば、重要事項説明書に相続登記を指定した期日までに行うことを明記するなどの対処法があります。また、名義人の代理として土地を売却するのであれば、名義人が作成した委任状を用意してください。
確定測量図
確定測量図とは、土地の境界が確定されている場合に発行される測量図のことです。確定測量図を作成するには、すべての隣接所有者が測量時に立ち会い、境界確認を行う必要があります。確定測量図があるということは、土地の境界に関するトラブルがないという証明でもあります。そのため、購入後にトラブルが発生しないよう、買主から引き渡しの条件に含めることが一般的です。法律的に必要な書類ではありませんが、売買契約では必須の書類と考えてよいでしょう。
登記識別情報通知書(登記済権利証)
登記識別情報通知書は土地の名義を変更したときに、登記情報が新しくなったことを登記所から新しい名義人へ通知する書類のことです。登記識別情報通知書には、英数字による12桁の符号が記載されていて、所有者が土地の名義人であることを証明します。かつては登記済権利証が土地の名義人の証明として扱われていましたが、2005年(平成17年)以降は代わりに登記識別情報通知書が発行されています。
登記識別情報通知書(登記済権利証)を紛失した場合
登記識別情報通知書(登記済権利証)は、紛失しても再発行できません。もし、登記識別情報通知書を紛失した場合は、悪用されることを防ぐために法務局へ申請して失効させられます。登記識別情報を紛失したときは、本人確認の代わりに事前通知を行うほか、司法書士による本人確認などを行います。
印鑑証明書
印鑑証明書は契約書などに捺印した印鑑が、実印であることを証明する書類です。実印はと市区町村に印鑑登録をした印鑑のことで、捺印したときに印鑑証明書と合わせて提出すると第三者に対して本人が捺印したという証明になります。印鑑証明は登記を行うときに必要で、発行から3カ月以内のものが有効です。
印鑑登録をしていない場合
もし、印鑑登録をしていないのであれば、土地の引き渡しの前に手続きを済ませておきましょう。印鑑登録には1週間~10日ほどかかるほか、印鑑の制作にも1週間ほど必要になるため、土地の販売活動をはじめるころに準備をすることをおすすめします。
固定資産税・都市計画税の納税通知書
固定資産税・都市計画税の納税通知書は、土地の所有者に対して固定資産税と都市計画税の税額や納付期限を通知する書類です。1月1日時点で土地を所有している人へ、市区町村役場が4~6月ごろに送付します。土地を売却したときに、固定資産税と都市計画税の負担を売主と買主で日割りするために使用します。
固定資産税・都市計画税の納税通知書を紛失してしまった場合
固定資産税・都市計画税の納税通知書は再発行できません。同じ内容の記載されている、固定資産課税台帳(名寄帳)の写しを市区町村役場で取得して、代わりに使用してください。
固定資産評価証明書
固定資産評価証明書は固定資産税台帳に登録されている固定資産評価額を証明する書類で、土地の名義人を変更する所有権移転登記を行うときに必要になります。所有権移転登記でかかる登録免許税は、土地の評価額をもとに算出するためです。固定資産評価証明書は土地の所有者または委任状のある代理人が、市区町村役場で取得できます。
土地を売るときに必要な手続き
土地を売るときには、いくつかの手続きを経て進めていく必要があります。ここでは、査定の依頼から契約、引き渡し、確定申告までの流れをわかりやすく解説します。
査定の依頼
土地を売るには、まず不動産会社に査定を依頼する必要があります。査定とは土地を売り出したときに、どれくらいの価格で売買が成立するのかを見積もることです。査定を依頼することで、土地の市場価値を知るだけでなく、依頼した不動産会社が信頼できるかどうかも確かめられます。安心して取引を進めるためにも、複数の不動産会社に査定を依頼し、価格や対応を比較することをおすすめします。査定を依頼するには、次の書類が必要です。
- 登記簿謄本(登記事項証明書)
- 固定資産税納税通知書
- 土地測量図や境界確認書(あれば)
査定を依頼するには不動産会社へ電話をするほか、インターネットのWebサイトからも申し込めます。複数社へまとめて査定を依頼できる、一括査定サイトの「リビンマッチ」もご利用ください。
査定方法は机上査定と訪問査定のふたつ
査定方法には、机上査定と訪問査定のふたつがあります。机上査定は不動産会社が公表されているデータや過去の取引情報をもとに、現地調査をせずに価格を算出する方法です。比較的早く結果が出るのが特徴ですが、詳細な情報が反映されないこともあります。
訪問査定は不動産会社の担当者が実際に現地を訪れ、土地の状態や周辺環境を確認したうえで価格を決定する方法です。より正確な査定結果を得られるのがメリットです。机上査定を経て訪問査定を依頼することが一般的ですが、土地だけを売るのであれば、最初から訪問査定を依頼してもよいでしょう。
媒介契約の締結
不動産会社に土地の売却を仲介してもらうには、「媒介契約」を締結する必要があります。媒介契約を結ぶことで、不動産会社が売却活動を正式に開始し、土地の広告や宣伝、購入希望者との交渉、契約手続きなどを代行してくれます。媒介契約を結ぶと、売却活動の進捗状況を報告してもらえたり、法的なアドバイスも受けられたりするため、安心して土地の売却を進められます。
3種類ある媒介契約を選ぶ
媒介契約には「専属専任媒介契約」「専任媒介契約」「一般媒介契約」の3種類があります。それぞれの媒介契約は、ほかの不動産会社と同時に契約できるかどうか、報告義務の有無や頻度などに違いがあります。自分の売却スタイルや希望に合わせて、最適な契約を選びましょう。媒介契約の違いは、次の表のとおりです。
契約の種類 | 専属専任媒介契約 | 専任媒介契約 | 般媒介契約 |
---|---|---|---|
他社との契約 | 不可 | 不可 | 可 |
買主を自分で見つける | 不可 | 可 | 可 |
売却活動の報告義務 | 1週間に1回以上 | 2週間に1回以上 | 報告義務なし |
売買契約の締結
買主が見つかったら、売主と買主との間で「売買契約」を締結します。売買契約は不動産会社が手続きをサポートするため、売主がやるべきことは多くありません。売買契約を締結するときに、買主から売主へ手付金が支払われます。ただし、契約後に住宅ローンの融資が受けられないなどの理由で解約されたら、手付金を返金する必要があるため、そのまま保管しておきましょう。もし、契約が問題なく進めば、手付金は最終的に売却代金の一部として扱われます。
土地の引き渡し
引き渡しとは、土地の所有権を買主に正式に移転する最終的な手続きです。引き渡し日までに、売主は土地を買主に明け渡せる状態にしておく必要があります。引き渡し当日は、不動産会社や司法書士が手続きを進めてくれるため、売主は必要書類をそろえて臨むだけで大丈夫です。
所有権移転登記で完了
引き渡しを完了させるには、所有権移転登記が必要です。所有権移転登記は土地の所有者が売主から買主に正式に変更される手続きのことで、完了すると土地の名義が買主に移り、土地の売買が正式に完了します。手続きは司法書士が代行して行うことが一般的で、売主は必要な書類だけ用意しておきましょう。
売却益があれば確定申告が必要
土地の売却で利益が生じたら、確定申告を行う必要があります。土地売却の利益とは土地の購入価格より高く売却できたときの差額で、この金額が課税の対象になります。確定申告は売却益に対して、税金を正しく納めるための手続きです。売却後に利益が出た場合は、翌年に忘れずに確定申告を行いましょう。
土地を売るのにかかる費用・税金
土地を売るときには、さまざまな費用・税金がかかります。最終的には売買が成立してお金が振り込まれるものの、入金前に負担する費用もあるため、あらかじめ把握しておくことが大切です。
費用・税金 | 内容 |
---|---|
仲介手数料 | 不動産会社への報酬 |
書類発行手数料 | 必要書類の発行にかかる費用 |
測量費用 | 土地の境界確定のための費用 |
土地調査費用 | 土地の状態や用途に応じた調査のための費用 |
印紙税 | 売買契約書に貼る印紙代 |
登録免許税 | 抵当権抹消などの登記にかかる税金 |
譲渡所得税 | 売却益がある場合に課税される税金 |
仲介手数料は不動産会社への報酬
仲介手数料は、不動産会社が土地の売却をサポートしたことに対する「成果報酬」です。不動産会社は、買主を見つけたり、契約交渉や手続きをサポートしたりと、売主に代わって多くの業務を行います。この報酬は、売却が成立した時点で支払われるため、売却が成功しない限り発生しません。
仲介手数料には法律で定められた上限があり、売却価格によって計算方法が変わります。仲介手数料の上限の計算方法は次のとおりです。また、仲介手数料には、別途消費税がかかります。
売却価格 | 仲介手数料の計算式 |
---|---|
200万円以下 | 売却価格×5% |
200万円超~400万円以下 | 売却価格 × 4% + 2万円 |
400万円超 | 売却価格 × 3% + 6万円 |
不動産買取では仲介手数料が不要
仲介ではなく不動産会社に買い取りを依頼したときは、仲介手数料がかかりません。不動産会社が直接土地を買い取るため、仲介の役割が不要になるためです。
必要書類を発行する手数料
土地を売るときは登記事項証明書や印鑑証明など、さまざまな書類が必要になります。そういった書類を発行するときは、基本的に手数料がかかります。地方公共団体(自治体)によって金額は異なますが、1通あたり数百円程度です。
測量費用・土地調査費用
土地を売り出すにあたって、測量や土地調査の費用がかかることがあります。境界が不明確だったり、土地の正確な広さを把握したりするには測量が必要です。測量を行うことで土地の正確な情報を買主に提示できて、トラブルの予防になります。また、買主にとっても、境界が明確で安心して購入できる要素となります。
そのほかにも、地盤や土壌の調査などの調査が行われることがあり、これも買主に対する安心材料となります。費用は数十万円にもなることが多いものの、円滑な取引を進めるには費用な投資です。
土地を売るときにかかる税金
土地を売却するときは、さまざまな税金がかかります。主なものとして、売買契約書にかかる印紙税、抵当権抹消にともなう登録免許税、土地の売却益に対してかかる譲渡所得税があります。これらの税金を事前に把握しておくことが大切です。
印紙税
印紙税は売買契約書を作成するときにかかり、印紙を貼って消印をすると納付したことになります。印紙税の額は契約金額によって異なります。
契約金額 | 本則税率 | 軽減措置適用後 |
---|---|---|
50万円超~100万円以下 | 1,000円 | 500円 |
100万円超~500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円超~1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
1,000万円超~5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
印紙税には軽減措置があり、2024年4月1日~2027年3月31日までに作成された契約書は、通常より税額が下がります。
登録免許税
登録免許税は登記の手続きを行うときにかかる税金で、土地の売買では所有権移転登記や抵当権抹消登記を行うときにかかります。通常、売主が負担するのは抵当権抹消の手続きで、1件あたり1,000円です。
譲渡所得税
譲渡所得税は、土地を売却して得た利益(譲渡所得)に対してかかる税金です。譲渡所得を算出するには、次の式を用います。
- 取得費
- 土地の購入価格、購入時にかかった仲介手数料、登記費用などが含まれる
- 譲渡費用
- 土地の売却にかかった仲介手数料、測量費用、登記手数料など、売却に直接関連する費用が含まれる
譲渡所得にかかる税率は、土地の所有期間によって異なり、5年以上の長期保有の場合は税率が低くなります。
- 短期譲渡所得(所有期間が5年以下)
- 税率:約39.63%(所得税30%+住民税9%+復興特別所得税)
- 長期譲渡所得(所有期間が5年超)
- 税率:約20.315%(所得税15%+住民税5%+復興特別所得税)
譲渡所得税を支払う必要があるかどうかを確認し、必要であれば確定申告を行いましょう。
まとめ
土地を売却するときは、査定・売買契約・確定申告など、さまざまなタイミングで書類の提出を求められます。早めに書類を取得し過ぎると有効期限が切れてしまうことがあるため、提出時期の確認が必要です。土地の売却を検討している人は、必要書類を適切なタイミングで用意できるよう計画的に準備しておきましょう。
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この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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運営会社:リビン・テクノロジーズ株式会社(東京証券取引所グロース市場)
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