100万円で土地を売却したら税金はいくら?特例を利用すれば節税に!
土地を売却すると、さまざまな税金がかかります。100万円で土地を売却すると、税金はどれくらいの金額になるのでしょうか。この記事では、100万円で土地を売ったときにかかる税金を解説します。土地の売却を検討されている人は、ぜひ参考にしてください。
もくじ
100万円で土地を売却したときの税金
100万円で土地を売却するとケースにもよりますが、次の税金がかります。
- 登録免許税
- 相続登記(相続で取得した土地の場合)
- 抵当権抹消登記(ローンを組んで取得した土地の場合)
- 印紙税
- 所得税(+復興特別所得税)
- 住民税
100万円で土地を売却したときの税額
土地が100万円で売却できたとすると、税額は次のようになります。これは売却した価格に対して最高額の税金がかかったと想定したケースの税額で、実際にはもっと安くなることがほとんどです。
登録免許税 | 相続登記 | 2,800円 |
---|---|---|
抵当権抹消登記 | 1,000円 | |
印紙税 | 1,000円 | |
所得税 | 所有期間が5年超 | 15万3,150円 |
所有期間が5年以下 | 30万6,300円 | |
住民税 | 所有期間が5年超 | 5万円 |
所有期間が5年以下 | 9万円 |
100万円で土地を売却したときの税額は、合計すると最大で40万2,100円、約40万円になります。しかし、土地を売却するときはさまざまな費用がかかり、その費用を差し引くことが可能です。ちなみに、最少額は印紙税のみの1,000円です(軽減措置を適用)。
所有している土地の売却でかかる税金は、1,000円~約40万円のいくらになるのでしょうか。100万円で土地を売却したときにかかる税金の種類、税金の計算方法を詳しく見ていきましょう。
100万円で土地を売却するとかかる税金
所有している100万円の土地を売却すると、主に次の4つの税金が課されます。
- 登録免許税
- 印紙税
- 所得税
- 住民税
100万円の土地を売却したときにかかる、それぞれの税金を詳しく解説します。
登録免許税
登録免許税は、不動産に関するさまざまな登記※手続きを行うときにかかる税金です。例えば、所有権の移転や抵当権の設定など、不動産に関する権利を登記する際に必要となります。この税金は法務局で登記申請を行うときに支払うもので、登記手続きの種類によって税額が異なります。
相続登記(所有権移転登記)
相続登記とは相続した不動産の名義を、被相続人(故人)から変更する手続きのことです。相続登記をすることで正式に自分の不動産と認められ、売却や貸し出しなど自由に扱えるようになります。相続登記には登録免許税がかかります。税額は不動産の固定資産税評価額に基づいて計算し、相続の場合は不動産評価額の0.4%が税額です。
抵当権抹消登記
抵当権抹消登記は住宅ローンなどの借入金を完済したあとに、不動産に設定されている抵当権※を解除する手続きのことです。ローンを完済したあとに抵当権抹消登記を行うことで、正式に抵当権が解除され、不動産を自由に売却できるようになります。抵当権抹消登記にも登録免許税がかかり、通常1件あたり1,000円です。
印紙税
印紙税とは、不動産の売買契約書を作成したときにかかる税金です。不動産の売買契約書を作成したら、契約金額に応じた印紙税を支払う必要があります。例えば、100万円以上500万円未満の売買契約書には、1,000円の印紙税がかかります(軽減措置を適用)。契約書に印紙を貼り、消印することで印紙税を納付したことになります。
契約金額 | 本則税率 | 軽減措置適用後 |
---|---|---|
1万円超~10万円以下 | 200円 | 0円 |
10万円超~50万円以下 | 400円 | 200円 |
50万円超~100万円以下 | 1,000円 | 500円 |
100万円超~500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
500万円超~1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
1,000万円超~5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
5,000万円超~1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
参考:国税庁「No.7108 不動産の譲渡、建設工事の請負に関する契約書に係る印紙税の軽減措置」
印紙税の軽減措置とは
所得税
土地を売却したときは、売却益に対して所得税がかかります。所得税は売却価格から取得費用(購入時の費用)や譲渡費用(仲介手数料など)を差し引いた「譲渡所得」をもとに計算します。税率は土地の所有期間によって異なり、所有期間が5年を超える場合は長期譲渡所得として15%、5年以下の場合は短期譲渡所得として30%の税率が適用されます。
所有期間 | 税率 | |
---|---|---|
長期譲渡所得 | 5年超 | 15% |
短期譲渡所得 | 5年以下 | 30% |
相続で土地を取得した場合の所有期間は、被相続人(故人)がその土地を取得した日から計算されます。
復興特別所得税
復興特別所得税は2011年の東日本大震災の復興支援を目的に導入された税金で、譲渡所得に対して2.1%が追加でかかります。これにより、長期譲渡所得の場合は通常の15%に加え、0.315%(15%×2.1%)、短期譲渡所得では30%に加えて0.63%(30%×2.1%)が復興特別所得税として課されます。この特別税は2037年まで適用される予定です。
復興特別所得税を加えた所得税は次のとおりです。
所得税+復興特別所得税の税率 | |
---|---|
長期譲渡所得 | 15.315% |
短期譲渡所得 | 30.63% |
住民税
住民税は土地を売却したときの譲渡所得にかかる税金で、所得税と同じように所有期間によって税率が異なります。長期譲渡所得(所有期間が5年超)は5%、短期譲渡所得(所有期間が5年以下)は9%の税率が適用されます。住民税も所得税と同じように、売却益から経費を差し引いた譲渡所得をもとに計算します。
所有期間 | 税率 | |
---|---|---|
長期譲渡所得 | 5年超 | 5% |
短期譲渡所得 | 5年以下 | 9% |
譲渡所得に対してかかる所得税と住民税を合わせて、譲渡所得税とも呼びます。
100万円で土地を売却したときの所得税と住民税の計算方法
100万円で土地を売却したときの、所得税と住民税を計算する方法を解説します。
譲渡所得の計算方法
所得税と住民税を計算するには、まず譲渡所得を算出する必要があります。譲渡所得は、次の式で導き出せます。
それぞれの言葉の意味は、次のとおりです。
- 譲渡価格
- 不動産を売却したときの金額
- 取得費
- 不動産の購入価格、購入にかかった仲介手数料などの経費
- 譲渡費用
- 不動産の売却にかかった仲介手数料、土地の測量費用などの経費
取得費や譲渡費用が高額になるとそれだけ譲渡所得が低くなるため、税金を安く抑えられるようになります。そのため、取得費と譲渡費用を適切に把握しておくと、それだけ節税につながります。また、取得費と譲渡費用の合計が譲渡価格を上回って譲渡所得が0円以下になると、所得税と住民税は生じません。
取得費用がわからないときは
相続で取得したり、土地を購入してから期間が経つと、取得費がわからないことがあります。そういった場合は、譲渡価格の5%を取得にできます。
実際の取得費が譲渡価格の5%を下回る場合も、譲渡価格の5%を取得費にできます。土地を100万円で売却した場合は、次のようになります。
取得費が低いと、それだけ税金が高くなるおそれがあります。よく調べて取得費はできるだけ計上できるように務めてください。取得費として計上できる費用には、次のものがあります。
- 土地、建物の購入代金、建築代金
- 土地、建物を購入したときの登録免許税、不動産取得税、特別土地保有税、印紙税
- 借主のいた土地を購入するときの立ち退き料
- 土地の埋め立て、土盛り、地ならしなどの造成費用
- 土地を購入するときに支払った測量費
長期譲渡所得の所得税と住民税の計算方法
売却する土地を5年を超えて所有している場合、譲渡所得は長期譲渡所得になって税率が下がります。長期譲渡所得にかかる、所得税と住民税の税率は次のとおりです。
- 所得税(+復興特別所得税):15.315%
- 住民税:5%
- 合計税率:20.315%
次の例を参考にして、実際に計算をしてみましょう。
- 譲渡価格:100万円
- 取得費:55万円(購入価格:50万円、経費:5万円)
- 譲渡費用:20万円
以上の金額を式にあてはめてみましょう。
= 25万円[譲渡所得]
100万円で売却した土地から、取得費と譲渡費用を差し引くことで、譲渡所得として25万円を算出できました。この25万円に所得税と住民税がかかります。
=5万787円(小数点以下切り捨て)
所得税と住民税の税額が、5万787円と計算できました。
短期譲渡所得の所得税と住民税の計算方法
売却する土地を取得してから5年以下の場合、譲渡所得は短期譲渡所得になります。相続で土地を取得した場合は、被相続人(故人)が所有していた期間も含まれます。短期譲渡所得にかかる所得税と住民税の税率は次のとおりです。
- 所得税(+復興特別所得税):30.63%
- 住民税:9%
- 合計税率:39.63%
次の例をもとに、100万円で土地を売却したときの所得税と住民税を計算してみましょう。
- 譲渡価格:100万円
- 取得費:55万円(購入価格:50万円、経費:5万円)
- 譲渡費用:20万円
譲渡価格などを式にあてはめると、次のようになります。
= 25万円[譲渡所得]
100万円で売却した土地から、取得費と譲渡費用を差し引くことで、譲渡所得として25万円を算出できました。この25万円に所得税と住民税がかかります。
=9万9,075円
所得税と住民税の税額は、9万9,075円です。長期譲渡所得と短期譲渡所得では、税金に4万8,288円もの差が生じます。比較的安く土地を売却していることを考えると、5万円近い金額差は決して小さくありません。長期譲渡所得になるまで土地を所有し続けるのもひとつの方法でしょう。
100万円の土地を売却するときに利用できる特例
不動産を売却するときは、特例が利用できないか確認することが大切です。特例によっては税金の負担を抑えられるため、手もとに残る売却益を増やせます。たとえば、100万円で土地を売却して、譲渡所得が25万円だとしましょう。そして、特例で譲渡所得から10万円を控除できると、次のようになります。
譲渡所得を15万円になるため、次のように税額を抑えられます。
- 長期譲渡所得
- 5万787円⇒3万4,725円 1万6,062円の減額
- 短期譲渡所得
- 9万9,075円⇒5万9,445円 3万9,630円の減額
もし、特例で譲渡所得を0円にできると、所得税と住民税がかかりません。ここでは、土地を売却するときに利用でき特例を紹介します。
低未利用土地等を譲渡した場合の長期譲渡所得の特別控除
都市計画区域※内の低未利用土地※を500万円以下(市街化区域や用途地域設定区域内等の場合は800万円以下)で売却すると、譲渡所得から100万円を控除できる制度です。100万円で土地を売却するケースでは、譲渡所得が0円以下になるので所得税と住民税がかからなくなります。
- 特例の期間
- 2020年7月1日~2025年12月31日に対象の土地を売却する
- 主な利用条件
-
- 売却した土地が都市計画内の低未利用土地等である
- 売却した年の1月1日の時点で所有期間が5年を超える
- 売り手と買い手が親子や夫婦など特別な関係でない
- 売却価格が建物も含めて500万円以下
- 売却後に土地の利用がされている など
相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
相続で取得した土地を売却したときに、相続から3年以内であれば相続税の一定金額を取得費に加算できる制度です。取得費が増えただけ譲渡所得を減らせるため、所得税と住民税を抑えられます。取得費に加算できる相続税額は、次の計算式で算出します。
引用:国税庁「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」
- 特例が適用される期限
- 相続開始の翌日から相続税の申告期限の翌日以後3年を経過する日までに売却する
- 特例の適用を受けるための要件
-
- 相続や遺贈で財産を取得した
- 財産を取得した人に相続税が課税されている
被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
ひとり暮らしの被相続人(故人)から空き家を取得して、死亡した日から3年を経過した日の属する年の12月31日までに売却すると、譲渡所得から3,000万円を控除できる制度です。空き家を解体して、更地で売却したときも対象になります。譲渡所得から3,000万円が控除されるため、100万円で売却した土地であれば、所得税と住民税がかからなくなります。
- 特例の期間
- 2016年4月1日~2027年12月31日に土地を売却する
- 主な利用条件
-
- 建物が昭和56年5月31日以前に建築されており、被相続人以外に居住していない
- 売主が相続または遺贈で空き家を取得している
- ほかの特例を利用していない
- 同じ被相続人から取得したほかの不動産がこの特例を利用していない
- 売り手と買い手が親子や夫婦など特別な関係でない など
居住用財産を譲渡した場合の3,000万円の特別控除の特例
土地を売却して条件を満たしていると、譲渡所得から3,000万円までを控除できる特例です。居住用財産という名称になっていますが、建物を解体して土地だけで売却したときも特例を適用できます。特例を利用するには、売却する土地に立っていた建物が売主が居住していたことなどの条件があるため、よく確認しておきましょう。土地を100万円で売却したときは、譲渡所得から3,000万円まで控除できるため所得税と住民税がかかりません。
- 特例が適用される期限
-
- 建物を解体してから1年以内に売買契約を締結する
- 住まなくなった日から3年を経過する年の12月31日までに売却する
- 主な利用条件
-
- 自分が住んでいる家屋を売るか、家屋とともにその敷地や借地権を売却する
- 売却した年の前年、前々年にこの特例の適用を受けていない
- 災害で失った家屋の場合は、住まなくなった日から3年を経過する日の属する年の12月31日までに売却する
- 売り手と買い手が親子や夫婦など特別な関係でない など
売れにくい土地を売却する5つの方法
土地を売却したくても、なかなか買主が見つからないこともあるでしょう。土地を売却するには、買主が土地を見つけやすいように工夫することが重要です。ここからは、売れにくい土地を売却するときに覚えておきたいポイントを5つ紹介します。
隣家の人に売却を持ちかける
土地がなかなか売れないときは、隣地に買取を打診してみるとよいでしょう。すでに隣地に打診している場合は、もう少し範囲を広げて周辺の人にも声をかけます。周辺で商売をしている場合は土地需要が高く、売れる確率を高められます。特に診療所や飲食店などは店舗の近くに駐車場にする土地を求めている場合が多いため、買い取ってもらえる可能性は十分にあります。
不動産会社へ買取を依頼する
不動産会社に土地を買い取ってもらう方法もあります。不動産会社に買い取ってもらった場合の売却価格は、仲介によって売却した場合の80%ほどになることが一般的です。売却価格は安くなるものの、査定に訪れた不動産会社に直接購入してもらえるため、すぐに売却できるという利点があります。
利益が少なくなっても早く不動産を手放したいと考えている方は、不動産会社への買取依頼も選択肢に入れましょう。
地域に強い不動産会社へ仲介を依頼する
不動産会社による買取を利用せず、仲介で売却したい場合は、不動産会社を見直すことも重要です。売却したい地域に強い不動産会社で対応してもらえそうなところがある場合は、変更を検討してみてもよいでしょう。地域に強い不動産会社であれば、売却する土地のある地域で長期間営業しており買主に心当たりがある、売却したい土地のニーズを理解しており的確な広告が打てる、地元ならではのネットワークがあるなど大手不動産会社と異なる売却活動を期待できます。
周辺相場を調査して値下げする
土地が売れないときは、設定価格が適切ではない可能性があります。土地の売却価格が周辺の土地に比べて高くなっていないかを調査し、必要であれば値下げをしましょう。相場に合わせて価格を下げると、買主が見つかりやすくなります。
ただし、一度値下げすると再び値上げすることは難しくなるため、売れないからといって必要以上に値下げすることは避けましょう。売却価格を変更する際には、周辺の事情に詳しい不動産会社の担当者に相談してください。
売れやすいように土地の状況を改善する
土地の状況が悪いと、立地がよくても買主がつかないことがあります。その場合は、土地の状況を改善することが重要です。たとえば、売却したい土地に土壌汚染のおそれがある場合、土壌汚染調査を行って土壌汚染の心配がないことを証明してから売却しましょう。汚染が見つかったときは、汚染土を除去してから売る必要があります。
地中障害物の有無も調査し、必要であれば除去したり、条件に合った価格に変更したりすることが必要です。
まとめ
不動産売却には、さまざまな税金がかかります。あらかじめ税金を把握しておくと手もとに残せる金額がわかるため、売り出し価格の調整がしやすく、効率よく土地売却を進められるでしょう。もし、土地の売却でわからないこと、悩んでいることがあれば、一括査定サイトの「リビンマッチ」をご利用ください。売りたい土地にぴったりの不動産会社が見つかります。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
誤字脱字や事実誤認などございましたら、ぜひともご指摘ください。
運営会社:リビン・テクノロジーズ株式会社(東京証券取引所グロース市場)
人気ワード
離婚で家を財産分与 (27) 老後の住まい (24) 売れないマンション (16) 一括査定サイト (15) 離婚と住宅ローン (13) 海外移住 (11) 訳あり物件 (11) 家の売却 (11) 家の後悔 (10) 不動産高く売る (9) 実家売却 (9) マンション価格推移 (8) マンションの相続 (8) 移住 (7) アパート売却 (7) 不動産会社の選び方 (6) マンション売却の内覧 (6) 家の価値 (6) 離婚と家 (6) 売れない家 (5) お金がない (5) 空き家売却 (5) 離婚準備 (5) 離婚と家売却 (5) 農地売却 (4) 近隣トラブル (4) マンション買取 (4) 家の解体費用 (4) 売れない土地 (3) マンションか戸建てか (3) サブリース (3) イエウール (3) 不動産価格推移 (3) リビンマッチ評判 (2) シンガポール移住 (2)リビンマッチコラムを引用される際のルール
当サイトのコンテンツはどなたでも引用できます。 引用にあたって事前連絡などは不要です。 コンテンツを引用される際は、引用元が「リビンマッチ」であることを必ず明記してください。
引用ルールについて