オール電化のマンションは売れない?電気代の値上げに負けない売却術
オール電化マンションのデメリットのひとつが、電気代の値上げに伴う家計の圧迫です。昨今は値上げ傾向にありますから、「売却するとき売れにくいのではないか」と心配になることでしょう。
本記事では、オール電化マンションを売却するために知っておきたいことを、わかりやすく解説します。
もくじ
オール電化のマンションが売れないといわれる理由
オール電化マンションの普及が始まったのは2000年頃からでした。
火を使わない安全性や、光熱費を一本化できる利便性、さらにマンションで電力を一括購入することで電気代を下げられるなどのメリットから、多くのマンションデベロッパーがオール電化マンションの販売を加速させました。
しかし、2011年の東日本大震災で多くの地域が停電になり、電気が止まったことでオール電化マンションに住んでいる人たちの生活に大きな影響を与えました。
また、東日本大震災後から電気代の値上がりが始まり、さまざまな要因から電気代の値上がりは止まっていません。
そのような背景からオール電化マンションは、災害に弱く、光熱費が高いというイメージがつくようになり、売りにくいマンションと認識されつつあります。
停電するとすべての器具が使えなくなってしまうから
電気とガスが併用されているマンションであれば、停電になってもすべての器具が使えなくなる事態は避けられます。
しかし、オール電化マンションはすべての熱源を電力でまかなっているため、停電で電気が使えなくなると、給湯・暖房・調理器具のすべてが使えなくなってしまいます。
今後も災害や、電気供給不足などにより停電が起きるおそれがあるため、オール電化マンションはそのたびに熱源が使えなくなる懸念があります。
電気代の値上がりを心配する必要があるから
電気代は2011年以降上昇傾向にあり、今後も続くことが予測されています。
発電燃料の高騰、国内の電力供給不足、新電力による電気料金の値上げなど、電気代の値上がり要因は複数あり、今後も電気代が安定するかどうかの見通しは立っていません。
電気代がいま以上に値上がりした場合、心配になるのが生活費の圧迫です。
給湯、暖房、調理などの熱源をすべて電力でまかなっているオール電化マンションでは、電気代の値上げが光熱費全体の値上がりに直結します。そのため、オール電化マンションは売りにくくなるといわれています。
オール電化器具がガス器具よりも高額だから
オール電化器具は主にIHクッキングヒーター、エコキュート、温水床暖房のことを指し、ガス器具に比べると高額なのが一般的です。
特に、定期的な交換が必要になるエコキュートは、購入に28〜60万円ほどかかるため、ガス給湯器の10〜25万円と比較すると、2〜3倍高くなります。
どちらの器具も耐用年数が10〜15年といわれていますので、オール電化マンションの場合、エコキュートが壊れてしまったときのメンテナンス費用は、高額になるでしょう。
オール電化だからこそ!売却時、アピールしたいポイント
これまではオール電化マンションが売れない理由・デメリットを解説してきました。
しかし、オール電化マンションはもともと、一般的なガス器具併用のマンションよりもメリットがあるために、普及してきたマンションです。
環境が変わっても、オール電化マンションのメリットはあります。現にいまでもオール電化マンションの供給が終わってしまったわけではありません。
オール電化マンションを売却するときにアピールしたい、オール電化マンションだからこそのメリットを紹介します。
火災が発生しにくい
オール電化マンションはIHクッキングヒーターを利用し、火を使わないので火災が発生しにくいのが特長です。
IHクッキングヒーターは熱線の電気を使って鍋やフライパンを熱するため、火を使いません。そのため、調理中の失火で衣服などへの引火がないので火災が発生しにくくなります。
また、オール電化マンションにはガス管がありません。地震災害で怖いのは二次災害です。
阪神淡路大震災のときは、ガス漏れから火災が発生した二次災害から大きな災害へと広がってしまいました。オール電化マンションの場合はガス漏れの心配はありませんので、地震災害での二次災害が防げます。
また、火災だけではなく、小さい子どもや高齢者のいる家庭では、やけどなどの心配が少ないのもIHクッキングヒーターのメリットです。
停電時の電気復旧はガスの復旧よりも早い
地震などで停電になった際、復旧が早いのはガスよりも電気だといわれています。阪神淡路大震災の際は電気が復旧するのに7日間、水道が90日間、ガスが85日間かかっています。
電気の復旧が早い理由は、電気の設備や電線のほとんどが地上にあるためです。対して、水道・ガスは地中に設備があるため、復旧に時間がかかります。
また、オール電化マンションのエコキュートは貯水機能があるので、タンクに水が入っていれば断水時に非常用水として利用ができます。
IHの手入れが楽
ガスコンロは構造上、五徳があり凸凹しているため、掃除が大変です。しかし、IHクッキングヒーターは五徳がないため、平面部分のみの掃除で済みます。
日々のお掃除が楽でキッチンを清潔に保てるのは、IHクッキングヒーターのメリットです。
また、個人差はあるかもしれませんが、火加減がボタンで簡単に調節できるので、料理で失敗しなくなった、という声もあります。
オール電化のデメリットはこう伝える!売るための戦略
マンションを探している方で「オール電化マンションは大丈夫なの?」と不安に思っている人に、どのようにオール電化マンションのデメリットを伝えればよいのでしょうか。
オール電化マンションのデメリットも、伝え方によってはメリットに変わります。
オール電化マンションは、メンテナンス費用・光熱費・火災保険料などのトータルコストで考えると、実際はガス併用マンションよりも安く抑えられます。
また、災害時においても、すべての生活器具が絶たれるデメリットよりも、エコキュートの貯水機能が役に立つこともあります。
オール電化マンションのデメリットが、必ずしもデメリットでないことを伝える方法を解説します。
- うまく使えば光熱費を安くできる
- 火災保険の割引率は高い可能性がある
- 停電時は水道も止まる
うまく使えば光熱費を安くできる
ガス給湯器に比べ光熱費が安いのが、オール電化マンションのエコキュートです。
給湯にかかる費用はガス給湯器が月平均6,100円ですが、エコキュートは月平均3,100円と、50%以上も安くなります。(参考:Panasonic「低ランニングコスト」)
さらに、エコキュートは昼間よりも安い夜間電力でお湯を沸かせるため、夜間電力をうまく使えばガス給湯器よりも、さらに光熱費が安くなります。
電気に一本化することで、ガスの契約も必要ないので基本料金もかかりません。そのため、光熱費の節約が期待できるのです。
火災保険の割引率は高い可能性がある
マンション購入時に、ほとんどの方が加入される火災保険ですが、オール電化マンションの場合、火災リスクが低減されるため、保険料が大きく割引される場合があります。
オール電化住宅で家のなかで火を使わない環境であることが条件で、火災保険料が割引されます。
割引率は保険会社や建物の構造にもよりますが、セコム損保の場合3〜11%割引される可能性があります。
ただし、すべての保険会社で割引が適用されるわけではありませんので、事前確認が必要です。
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停電時は水道も止まる
オール電化マンションは、停電時に生活手段が絶たれてしまうというデメリットがあります。
ガス併用マンションは給湯器もコンロも使えるといいますが、実際は停電になると水道も止まってしまいます。
地域の給水ポンプもマンションの給水装置も電気で動いているので、停電になると水道も一緒に止まります。
水道が止まってしまえばお湯も沸かせませんし、洗い物もできないので、キッチンで調理もできません。
停電時はオール電化マンションでもガス併用マンションでも、実際はほとんどの生活器具は使えなくなります。
逆にエコキュートには「貯水」機能があり、その水を非常用水として使えるので、停電時に便利なのはオール電化マンションともいえます。
また、どうしても心配という方は、停電時に防災用としてペットボトルやカセット式コンロを備えておけばよいでしょう。
オール電化など、特殊なマンション売却は不動産会社選びが大切
電気に関する環境やイメージが変わるなか、オール電化マンションのメリットやイメージも変わりつつあります。
オール電化マンションにはメリット・デメリット双方ありますが、オール電化マンションだから売れない、というほどの大きなデメリットはありません。
買主によってはオール電化マンションであることを原因に検討を避ける人もいるでしょうが、反対にオール電化マンションであることに魅力を感じる買主も少なくありません。
むしろ、オール電化マンションはメリットが多くあり、そのメリットをしっかりとアピールできれば、競合するマンションより売りやすくなるでしょう。
もし、オール電化マンションが売れないのであれば、その理由は価格や販売戦略が間違っている危険性があります。
オール電化マンションなどの特殊なマンション売却の場合、オール電化マンションの売却に慣れている不動産会社に依頼することが大前提です。今回紹介したようなオール電化マンションのメリットを営業担当者がしっかりとアピールできれば、早期売却に近づけるでしょう。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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