なぜコンパクトマンションは売れない?原因と対策
不動産市場が大きく変化するなか、かつて人気を博したコンパクトマンションの売れ行きに陰りが見えはじめています。コンパクトマンションが売れなくて悩んでいるのなら、まずはその理由を解明しましょう。
売れない理由がわかれば、具体的な販売戦略を立てることが可能になります。この記事を参考にして、コンパクトマンションの売却を成功させるきっかけを見つけてください。
コンパクトマンションが売れにくい理由
コンパクトマンションの広さは20〜40㎡程度と、一般的なマンションに比べてかなり小さいのが特徴です。そのため、所有するコンパクトマンションがなかなか売却できないとき、次のような理由が考えられます。
- ターゲットが限られているためアピールが難しい
- 売り出し価格が適していない
- 住宅ローン減税を利用できない
- 立地などの条件がよくない
それぞれの理由を詳しく解説します。
ターゲットが限られているためアピールが難しい
コンパクトマンションのターゲットは主に単身者やDINKs※(Double Income, No Kids)といった、限られた人たちです。こういった人たちは都心部の利便性を重視する傾向が共通しているものの、広さや設備のよさなど住まいへのニーズはさまざまです。
そのため、ひとつのコンパクトマンションで、すべてのニーズを満たすのは難しいでしょう。加えて、ターゲットとなる人たちは流行に敏感で、古さを感じさせるものを敬遠することが多いのです。こういった人たちに、中古のコンパクトマンションの魅力をアピールするのは簡単ではありません。
売り出し価格が適していない
売り出し価格が適していないことも、コンパクトマンションが売れない理由に考えられます。コンパクトマンションはワンルームマンションより広いものの、スペースに余裕があるとはいえません。そのため、コンパクトマンションに対して、広さの割に価格が高いと感じる購入希望者は少なくないでしょう。購入希望者の印象と不動産市場の状況を反映した、適正な価格の見極めが重要になります。
住宅ローン減税を利用できない
住宅ローン減税とは、住宅ローンを組んで住宅を購入した人に適用される税制優遇措置のことです。ただし、誰もが適用されるのではなく、一定条件を満たす必要があります。コンパクトマンションの購入だと住宅ローン減税の要件を満たさず、利用できないおそれがあるため、購入を躊躇する人がいると考えられます。
住宅ローン減税を受けるための、主な要件は次のとおりです。
- 自分が居住するための住宅である
- 床面積が50㎡以上ある
- 1982(昭和57年)以降に建築されている
- 同一生計にある家族から購入していない
- 住宅ローンの借入期間が10年以上
- 購入から6カ月以内に入居する
- 合計所得が2,000万円以下
このうち、「床面積が50㎡以上ある」を、コンパクトマンションだと満たさないおそれがあります。住宅ローン減税が利用できないと、税制の優遇措置が受けられなくため、住宅ローンの負担を軽減できなくなってしまいます。
立地などの条件がよくない
立地条件の悪さも、コンパクトマンションが売れない理由として考えられます。ファミリーマンションであれば、立地が多少悪くても、家族が暮らしやすければ売れる可能性は十分にあります。しかし、コンパクトマンションのターゲットとなる人たちが重視するのは、通勤や利便性です。
交通の不便な場所や商業施設の少ないエリアだと、コンパクトマンションは、需要が低くなりがちです。騒音や治安の問題、緑地の少なさもマイナス要因になるでしょう。こうした条件の悪さは住みにくさに直結し、マンションの魅力と価値を下げてしまうのです。
コンパクトマンションとはどういう物件のこと?
コンパクトマンションに明確な定義はないものの、次のような特徴を持つマンションのことをいいます。
- 一般的に床面積が40㎡前後
- 1LDK~2LDKなどの間取りが中心
- 都心部の限られたスペースを最大限に活用
- 単身者やDINKsなど少人数の世帯がターゲット
コンパクトマンションは、都市部の地価高騰と、ライフスタイルの変化を背景に誕生しました。土地の有効活用と、若者を中心とした単身世帯の増加により、利便性が高く、手ごろな価格の住宅需要が高まったのです。
このようなコンパクトマンションは、都心に近い立地で利便性を求める若者や、仕事に集中したいキャリア志向の人、ミニマルなライフスタイルを好む人などに支持されています。また、投資用物件としても人気があります。
ワンルームマンションにはない、ファミリー向けの充実した共用設備を備えていることも多く、快適な生活を求める人にも適しているでしょう。
コンパクトマンションのメリット
いくつもの売れない理由はあるものの、コンパクトマンションには次のようなメリットがあります。
- ファミリーマンションより価格が安い
- 1~2人暮らしに適した広さ、間取り
- 設備や共用施設が充実している物件が多い
- 立地のよい物件が多い
コンパクトマンションを売却するには、こういったメリットを正しく理解していることが大切です。それぞれのメリットを見ていきましょう。
ファミリーマンションより価格が安い
小規模な間取りと維持費を抑える設計により、ファミリーマンションと比べるとコンパクトマンションは価格が安く設定されます。この価格の安さは、都市部のマンションの価格が高騰するなか、不動産投資や一人暮らしを検討している購入希望者にとって魅力的な選択肢となるでしょう。
また、住宅ローンの負担も少ないため、比較的若い人でも利便性の高いマンションを購入できます。
1~2人暮らしに適した広さ、間取り
住まいにある程度の広さを求める単身者、子どもを持たない共働きの夫婦(DINKs)にとって、コンパクトマンションはちょうどよい広さ、間取りになっています。コンパクトマンションは30~50㎡の1LDK~2LDKの間取りが多いため、1~2人暮らしであれば、快適に暮らせるでしょう。
このサイズ感は、単身者や夫婦の生活にぴったり合致し、清掃やメンテナンスの手間も軽減します。
設備や共用施設が充実している物件が多い
ワンルームマンションは単身者を前提にしており、多くはそれほど設備が充実していません。しかし、コンパクトマンションのなかはファミリーマンションのように、充実した設備や共用施設を備えているものがあります。
たとえば、セキュリティ強化のためのオートロックや宅配ボックスの設置、快適なフィットネスジム、洗練されたラウンジなどです。小さな空間でも生活の質を落とさず、便利で心地よい暮らしを実現できるでしょう。
立地のよい物件が多い
コンパクトマンションは、都市中心部や交通の便がよい場所に建設されることが多く、利便性の高さがメリットです。通勤の負担を軽減できるだけでなく、日常的な買い物や遊びに出かけるのも容易で、気軽に外出できるようになるでしょう。特に単身者やDINKs世帯にとって魅力的といえます。
売れないコンパクトマンションを売却する方法
コンパクトマンションが売れ残ってしまう理由はさまざまですが、適切な売却方法を実践することで、売却できる可能性を高められます。
ここでは、売れないコンパクトマンションを売却する方法を紹介します。
- 売却するターゲットを再検討する
- 売り出し価格の再検討を行う
- 空き部屋にする、ホームステージングを行う
- 契約している不動産会社を変更する
それぞれの方法について、詳しく解説します。
売却するターゲットを再検討する
コンパクトマンションをうまく売却できなかったのであれば、ターゲットをあらためて検討してみましょう。コンパクトマンションの購入希望者の多くは、若い世代の割合が多いものの、なかにはシニア世代もいます。子どもが独立して広い家を必要としないため、ダウンサイジングとしてコンパクトマンションを検討しているのです。
シニア世代もターゲットにして、販売戦略を見直してみましょう。
売り出し価格の再検討を行う
コンパクトマンションはファミリーマンションほどの広さはないため、広さに対して価格が高いと感じられがちです。そのため、売れ残りを防ぐには、売り出し価格の再検討が必要になるでしょう。
不動産会社と相談し、近隣のマンションの販売価格などを参考にしながら、購入希望者の目にとまりやすい適正な価格を設定しましょう。
空き部屋にする、ホームステージングを行う
人が住んだままの状態だと家具や荷物が置かれているため、実際の広さよりも狭く感じられてしまうことがあります。また、生活感のある部屋を内覧しても、購入意欲は高まりにくいでしょう。
そのため、空き部屋の状態にして、広さがわかりやすいようにすると売れやすくなります。また、可能であればホームステージング※で家具や装飾を配置することで、購入希望者が生活をイメージしやすくなり、購入意欲を高められるでしょう。
契約している不動産会社を変更する
なかなか購入希望者があらわれないのであれば、不動産会社がコンパクトマンションの売却を苦手としているのかもしれません。値下げ以外に対策がないようであれば、媒介契約の期間が切れるタイミングで、別の不動産会社と契約することをおすすめします。
複数の不動産会社へ査定を依頼し、コンパクトマンションの売却を得意としている会社と契約しましょう。
まとめ
購入する人が限られているほか、住宅ローン減税を受けられないなど、さまざまな理由からコンパクトマンションは、なかなか売れないことがあります。しかし、コンパクトマンションならではの魅力もあるため、しっかりとアピールすることで売却することは可能です。
売れないコンパクトマンションを売却する方法を確かめ、販売戦略をしっかりと立てましょう。もし、不動産会社が合わないと感じたら、別の会社と媒介契約を結ぶのもおすすめです。
一括査定サイトの「リビンマッチ」を利用すれば、簡単に複数の不動産会社から査定を受けられるため、コンパクトマンションの売却を得意としている会社を見つけられるでしょう。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
誤字脱字や事実誤認などございましたら、ぜひともご指摘ください。
運営会社:リビン・テクノロジーズ株式会社(東京証券取引所グロース市場)
人気ワード
離婚で家を財産分与 (27) 老後の住まい (24) 売れないマンション (16) 一括査定サイト (15) 離婚と住宅ローン (13) 海外移住 (11) 訳あり物件 (11) 家の売却 (11) 家の後悔 (10) 不動産高く売る (9) 実家売却 (9) マンション価格推移 (8) マンションの相続 (8) 移住 (7) アパート売却 (7) 不動産会社の選び方 (6) マンション売却の内覧 (6) 家の価値 (6) 離婚と家 (6) 売れない家 (5) お金がない (5) 空き家売却 (5) 離婚準備 (5) 離婚と家売却 (5) 農地売却 (4) 近隣トラブル (4) マンション買取 (4) 家の解体費用 (4) 売れない土地 (3) マンションか戸建てか (3) サブリース (3) イエウール (3) 不動産価格推移 (3) リビンマッチ評判 (2) シンガポール移住 (2)リビンマッチコラムを引用される際のルール
当サイトのコンテンツはどなたでも引用できます。 引用にあたって事前連絡などは不要です。 コンテンツを引用される際は、引用元が「リビンマッチ」であることを必ず明記してください。
引用ルールについて