築50年のマンションは売れない?築古でも売却できる5つのコツ
いまマンションが高額で売買されていますが、築50年にもなるとなかなか購入希望者はあらわれません。そんな築古のマンションを、スムーズに売却するにはどうすればよいのでしょうか。
築50年のマンションが売れにくい背景を解説しつつ、売却を成功させるコツを解説します。
築50年のマンションが売れない5つの理由
築50年のマンションは、売却が難しいといわれています。売却するには売れない理由を把握し、対策を立てることが大切です。築50年のマンションが売れないといわれる理由には、次の5つがあります。
- マンションの資産価値がほとんどない
- 住宅ローン減税が受けられない
- 住宅ローンの融資が受けられない
- 修繕積立金が高額である
- 管理組合が機能していない
それぞれの理由を詳しく見ていきましょう。
マンションの資産価値がほとんどない
不動産の価値は、土地と建物の価値によって決まります。建物の価値は築年数が経つにつれて減っていき、一定期間後にゼロになります。鉄筋コンクリートの建物の法定耐用年数は47年であるため、築50年はほとんど価値がないといえるでしょう。
ただし、土地の価値は年数によって減らないため、たとえ築50年でもマンション全体の価値がゼロになることはありません。とはいえ、購入しても資産としての価値が低いため、築50年のマンションは売却できないか、売却するまで時間がかかるでしょう。
住宅ローン減税が受けられない
住宅ローンを利用してマンションを購入する場合、要件に当てはまれば住宅ローン減税を適用できて、所得税や住民税を安く抑えられます。しかし、住宅ローン減税は旧耐震基準の建物には利用できません。
旧耐震基準とは、1981(昭和56)年に法改正する前の建築基準のことです。築50年のマンションは1981年より前に建てられており、旧耐震基準で建築されています。そのため、住宅ローン減税を受けられないのです。そういった事情から、古いマンションが敬遠されるケースは少なくありません。
築50年のマンションが住宅ローン減税の対象になるには、地震に対する安全性について、次のいずれかで証明されている必要があります。
- 耐震基準適合証明書
- 建設住宅性能評価書の写し※
- 既存住宅売買瑕疵保険付保証明書
※建築日付が1981年12月31日以前の場合、耐震等級に係る評価が1、等級2または等級3であるものに限る
住宅ローン減税の対象となる耐震等級は、次のようになっています。
等級 | 性能 |
---|---|
等級1 | 数百年に1回発生する地震に力に対して、建物が倒壊、崩壊等しない。建築基準法がすべての建物に求めている最低基準 |
等級2 | 等級1の1.25倍の力に対して建物が倒壊、崩壊等しない |
等級3 | 等級1の1.5倍の力に対して建物が倒壊、崩壊等しない |
住宅ローンの融資が受けられない
金融機関によっては、旧耐震基準の建物だと住宅ローンを利用できないことがあります。旧耐震基準の建物は建物の価値がほとんどないため、住宅ローンの担保にならないおそれがあるためです。
そのため、住宅ローンを利用してマンションを購入しようとしている場合、築50年のマンションは敬遠されてしまうでしょう。
修繕積立金が高額である
マンションの管理組合は、大規模修繕や建物の補修などの費用に備えるため、入居者から「修繕積立金」を徴収し、積み立てています。築年数が経過すると、建物の劣化や設備の故障が増加するため、修理や保全に必要な金額も大きくなるのが一般的です。そのため、築50年のマンションは、築浅の建物と比べて修繕積立金が高額になる傾向があります。
修繕積立金が高額だと入居者の経済的な負担が重いため、購入を敬遠されてしまうでしょう。
管理組合が機能していない
築年数が経つと居住者が高齢になったり、相続で所有者が変わったりするため、理事や役員など管理組合を運営する人材が不足してしまうことがあります。国土交通省の政策の検討会でも高経年マンションについて「区分所有者の高齢化・非居住化(賃貸・空き住戸化)が進行し、管理組合の役員の担い手不足や、総会運営や集会の議決が困難等の課題を抱えているものが多い」と指摘しています。また、相続によって所在不明の所有者が増加し、決議が困難になることも示唆されています(国土交通省「今後のマンション政策のあり方に関する検討会」)。
管理組合が機能しないと、マンションの管理に支障が生じます。たとえば、建物の修繕が滞ったり、管理費の滞納に対応できなかったりするおそれがあります。管理組合の機能不全は、購入希望者の不安材料となって売却が難しくなるでしょう。
築50年でも人気の高いマンションの特徴3選
売れにくいマンションが多いものの、なかには築50年でも人気の高いマンションもあります。築年数が経っていても売れるマンションの特徴は、建物そのものの価値がなくても、別の価値を付加できているマンションです。たとえば、次のようなマンションが当てはまります。
- 駅近など立地に優れている
- リフォーム歴がある
- 管理組合が機能している
項目ごとに詳しく見ていきましょう。
駅近など立地に優れている
駅近など立地に優れているマンションは、築年数が経っていても人気があります。都心や駅近などは土地の価値が高いため、建物の資産価値がほとんどなくても、高額で売却できる可能性があるためです。
また、駅近は周辺に商業施設や教育施設などが揃っている地域が多く、生活の利便性が高いことも人気の理由のひとつです。
リフォーム歴がある
築50年のマンションでも、室内をリフォームしていれば売れる可能性があります。築年数が経っている部屋のリフォームは費用が高額になることが多く、マンションを買ったうえにリフォームをするのは経済的に難しい場合もあります。すでにリフォームしているマンションであれば、購入者が自分でリフォームする必要がないため、経済的な負担が少ないと感じてもらえるでしょう。
管理組合が機能している
管理組合がしっかり機能しているマンションは、建物の維持・管理が問題なく行われるため、住みやすさをアピールできます。購入後も安心して住めるとわかれば、売れやすくなるでしょう。築50年のマンションは、設備の劣化や故障が増えるリスクがあるため、管理組合が正常に機能していることは強いアピールポイントです。
築古のマンションを売るときの3つの注意点
築年数が経ったマンションを売るときは、注意すべきポイントがあります。この注意点を理解していないと、長期間売却できずに売れ残ってしまうリスクがあるため、気をつけなければなりません。
古いマンションを売るときに知っておきたい、3つの注意点を解説します。
新たなリフォームをしない
古いマンションを売るために、新たにリフォームをする必要はありません。費用をかけてリフォームをすると、それだけ売却価格を引き上げなければ利益を得られなくなります。築年数が経っているマンションは高額になると売れないリスクがあるため、結果として損をしたり、売れ残ってしまったりするおそれがあります。できる限り費用はかけずに、売却することをおすすめします。
売り出し価格の設定を高額にしない
売り出し価格を、相場より高めに設定しているマンションは珍しくありません。しかし、築年数の経ったマンションの場合、販売価格が高額だと反響が少なくなるため、注意が必要です。
売り出してから一定期間が経っても売れ残っていると、たとえ値下げしても、よくない印象が残ってしまいます。結果として、相場より低い金額まで価格を下げないと売れなくなることも少なくありません。相場を把握したうえで、強気になり過ぎず、相場に合った金額で売り出しましょう。
空室で放置しない
築年数が古く売却しにくいからといって、空室のまま放置するのは避けましょう。放置している間にも建物は老朽化し、価値が減少します。しかも、人が住んでいないと建物の痛みが進むため、清潔感がなくなるうえに、設備が早く劣化してしまうでしょう。
決して空室のまま放置せず、住み続けるか転居後も定期的に換気や清掃を行い、室内の管理を行わなければなりません。
築50年超えのマンションを売却する5つのコツ
築50年のマンションが売れない理由を見てきましたが、築年数が経っているからといって売却をあきらめる必要はありません。コツを押さえれば、スムーズに売却することも可能です。
築年数が古いマンションを売却するコツを紹介します。
ホームインスペクションを実施する
築古のマンションを購入するときは、建物の安全性が気になる方が多いでしょう。購入希望者の不安を解消するために、ホームインスペクションを実施するのもひとつの方法です。ホームインスペクションは専門家による住宅診断のことで、建物の損傷や欠陥、耐震性など、安全に住める建物であることを証明できます。
特に築50年の建物は、耐用年数を超えているうえに旧耐震基準で建てられているため、安全性に不安を感じる方は少なくありません。しかし、問題なく住めるマンションだと証明されたら、購入希望者の背中を押す効果が期待できます。
ハウスクリーニングを行う
築50年のマンションは、古くて汚いというイメージを持たれがちです。よくないイメージを払拭して早期に売却するには、購入希望者へよい第一印象を与える必要があります。効果的な方法のひとつがハウスクリーニングです。専門業者に依頼してハウスクリーニングを行い、室内をきれいにしておくことにより、内覧でよい印象を与えられるでしょう。
掃除は自分でもできますが、水回りの汚れなどをきれいに落とすなら専門のハウスクリーニング業者がおすすめです。見違えるほどきれいになり、購入希望者によい第一印象を与えられるでしょう。
価格を抑えて安く売る
マンションを売りやすくするには、販売価格を安くするのが効果的です。高額で売ろうとすると築浅の物件との差別化が図れず、売れ残ってしまうおそれがあります。リフォーム歴があったり駅近だったりなど付加価値があったとしても、築浅の物件と同等の価格で売却するのは難しいでしょう。
販売価格を決めるときは相場を把握したうえで、相場より安く売ることも検討してください。
賃貸に出して投資物件として売る
居住用の物件として売却できなくても、投資用物件としてなら売却できるケースもあります。投資家は自身で住むわけではないので、相応の利回りがあれば魅力的な物件と考えて購入を検討するでしょう。
特に、賃貸の需要がある駅近や学校周辺などの立地条件のよい物件は、投資用としてアピールすることが可能です。空室より賃借人がいる状態で売却するほうが、早期売却を見込めます。
不動産買取での売却も検討する
一般向けの売却が難しい物件は、買取専門の不動産会社に買い取ってもらうのもひとつの選択肢です。買取業者は購入したあと、リフォームをして一般向けに再販売します。そのため、築年数が古くても、買い取ってくれるでしょう。
ただし、リフォーム代や利益を見積もって買い取るため、売却価格が相場より低くなります。一般的に、買取価格は相場の6~7割程度といわれています。相場より安くても早く確実に売却したい場合は、買取業者を検討するとよいでしょう。
まとめ
マンションの売買が活発になっているものの、築50年も経っていると旧耐震基準で建てられているなど不安要素もあってスムーズには売却できません。そのため、購入希望者の不安要素を減らし、マンションの印象をよくすることが大切です。
スムーズに売るのであれば、中古マンションの売却を得意としている不動産会社へ相談するのが近道です。築古のマンションを売却するノウハウを持っているため、築50年でも売ってくれる可能性が高まります。
不動産会社への相談は「リビンマッチ」で査定を依頼するところからはじめましょう。いくらぐらいで売れるかを確かめ、売却を依頼する不動産会社を選んでください。複数の不動産会社に査定してもらうのであれば、売却希望時期を半年以内に設定するのがおすすめです。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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