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離婚時、生命保険が財産分与の対象になる場合は?分け方や注意点も解説

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離婚時、生命保険が財産分与の対象になる場合は?分け方や注意点も解説

離婚するとき、生命保険は財産分与の対象になる可能性があります。ただし、生命保険の種類や契約内容、離婚の理由や時期などによって分け方や注意点が異なります。

この記事では、離婚時の生命保険の扱いについて、具体的な例を挙げながら解説します。

【基本】婚姻から別居前に築いた資産はすべて財産分与の対象

財産分与は、夫婦が共有する資産を離婚するときに公平に分け合う制度です。

財産分与の対象となる共有した資産とは、名義を問わず、同居中に夫婦の協力によって形成したものを指します。資産に該当するものは以下のとおりです。

  • 預貯金
  • 不動産
  • 保険
  • 有価証券
  • 貴金属
  • 家財家具
  • 年金
  • 退職金
  • 住宅ローン

財産分与の対象となるのは、夫婦となった婚姻後から別居前までの期間に協力して築き、共有してきた資産です。結婚前や別居後は協力して築いていないため、対象外です。

解約返戻金が発生する生命保険は財産分与の対象!

財産分与の対象となる資産のなかには、生命保険も含まれます。ただし、財産分与の対象となるのは、解約した際に返戻金が発生する生命保険に限られます。

解約返戻金とは、保険契約を解約した際に支払われる金銭を指します。解約返戻金が1円でもあれば、財産分与の対象です。

解約返戻金が発生する生命保険の種類一覧

解約返戻金が発生する生命保険の種類
保険の種類 解約返戻金の種類

解約返戻金例(万円)

※終身保険を基準に比率をかけて算出

終身保険 従来型 300
低解約返戻金型定期保険 低解約返戻金型 210
定期保険特約付終身保険 低解約返戻金型 60
養老保険 従来型 300
個人年金保険 低解約返戻金型 210

生命保険の解約返戻金は2種類です。

  • 従来型
  • 低解約返戻金型

従来型は、保険料の支払額に応じて解約返戻金額が増えます。保険料の払込期間中に解約すると元本割れのおそれがありますが、解約返戻金をまとまった金額で受け取り可能です。

低解約返戻金型は、保険料の払込期間中の返戻金が従来型の解約返戻金より低く設定されています。保険料の水準が安く、払込期間中に解約すると解約返戻金は少ないです。

なお、解約返戻金がない生命保険は、無解約返戻金型といいます。基本的には掛け捨てをイメージしてください。

生命保険の解約返戻金が発生する生命保険の種類一覧で提示した保険について、それぞれ以下で解説します。

終身保険

終身保険は保険期間が一生涯続き、被保険者の死亡または高度障害の際に保険金が支払われる保険です。必ず人は死亡するため、いつか保険金を受け取れます

低解約返戻金型定期保険

低解約返戻金型定期保険は、終身保険と基本的には同じです。保険料払込期間中の解約返戻金が低く、保険料払込期間満了後に解約返戻率が上昇するに伴い解約返戻金が増加する特徴があります。

保険料払込期間内で解約すると、支払った保険料を大幅に下回る解約返戻金しか得られません。離婚のタイミングが保険料払込期間内であれば、保険契約を継続できるようにしたほうがよいでしょう。

定期保険特約付終身保険

定期保険特約付終身保険は、終身保険に定期保険が特約で付帯している保険です。定期保険部分を掛け捨てとし、終身保険部分は解約返戻金としているのが一般的です。

掛け捨て部分の影響で、支払った保険料に対して受け取る解約返戻金は低くなります

養老保険

養老保険は、保険期間内に死亡または高度障害になった際に保険金が支払われます。また、満期まで健在だった際は、死亡保険金と同額の満期保険金が支払われる保険です。

終身保険と似ていますが、違いは満期に亡くなっていなくても保険金が支払われる点です。

個人年金保険

個人年金保険は、一定の年齢になると年金が支払われる保険です。年金受け取り開始前に保険者が死亡した際、払い込んだ保険料の相当額である死亡給付金が支払われます。

財産分与の分け方と注意点

財産分与する生命保険は次の2パターンです。

  • 婚姻前に加入した生命保険
  • 婚姻後に加入した生命保険

それぞれの状況に応じた財産分与の分け方と注意点を確認します。

婚姻前に加入した生命保険の場合

婚姻前に加入した生命保険は、原則として契約者個人の資産になります。しかし、婚姻後に夫婦で協力して稼いだ家計から保険料を支払った分の解約返戻金は、財産分与の対象です。

財産分与の分け方の流れは以下のとおりです。

  1. 契約内容と状況を確認
  2. 財産分与の対象を確定
  3. 分配比率の決定
  4. 契約を継続するか解約するかの判断
  5. 解約返戻金の受取

1.契約内容と状況を確認

婚姻期間中の保険料が家計から支払われたかどうかの状況確認をします。併せて、生命保険の契約内容と解約返戻金を確認しましょう。

2.財産分与の対象を確定

婚姻期間中に家計から支払った保険料が、契約期間中に支払った保険料に占める割合を算出します。算出された婚姻期間中に支払った保険料の割合にもとづき、解約返戻金のうち財産分与の対象となる金額が確定します。

3.分配比率の決定

財産分与における分配比率は原則1:1です。しかし、共有する資産形成への貢献度に応じて割合変更できるため、実情に応じた分配比率を決めます。

具体的には配偶者が家事・育児を一切しなかったり、浪費が激しすぎたりする場合です。

注意点は、協議して合意した内容を可能な限り法的文書にまとめることです。夫婦間によっては離婚後に連絡を取りたくない場合もあるので、将来的な誤解や争いの防止につながります。

4.契約を継続するか解約するかの判断

分配比率が決定すれば、契約者ではない配偶者が受け取る解約返戻金を把握できます。

契約者は、配偶者が受け取る解約返戻金相当額を配偶者へ支払うことで契約の継続が可能です。支払い方法は代償金で支払うか、ほかの財産分与対象の財産を取得させる方法の二択です。

支払いが不可能であれば、保険契約を解約して合意にもとづいた解約返戻金の分配を行いましょう。

年齢が若いときの保険契約は支払保険料を少なくできていますが、一度解約して同じ内容の保険契約をしても支払保険料は高くなる点には注意しましょう。契約を継続することが離婚後の生活において支払い負担軽減になるため、可能な限り保険解約を回避できる方法を探すのがおすすめです。

5.解約返戻金の受取

保険契約の解約になった場合、生命保険会社へ解約することを通知し、必要書類を提出して解約返戻金を受け取ります。保険契約にもとづいた解約返戻金を決定した分配比率に応じて、分配してください、

解約返戻金の金額が大きい場合、税金の支払いが関わってきます。税理士へ相談して税金についての検証を行っておきましょう。

婚姻後に加入した生命保険の場合

婚姻後に加入した生命保険は、基本的に共用の資産であり財産分与の対象です。保険解約により発生する解約返戻金全額が対象です。

財産分与の分け方の流れは以下のとおりです。

  1. 契約内容と状況を確認
  2. 分配比率の決定
  3. 契約を継続するか解約するかの判断
  4. 解約返戻金の受取

1.契約内容と状況を確認

財産分与の対象を確認するために、保険料が家計から支払われたかを確認します。併せて、生命保険の契約内容と解約返戻金を確認しましょう。

2.分配比率の決定

財産分与における分配比率は原則1:1ですが、婚姻生活での実情に応じて変更できるため、分配比率を決めましょう。解約返戻金全額が財産分与の対象となるため、婚姻前に加入した生命保険の場合と比較して柔軟に調整しやすいです。

注意点としては、合意した内容を可能な限り法的文書にまとめることです。夫婦間によっては離婚後に連絡を取りたくない場合もあるので、将来的な誤解や争いの防止につながります。

3.契約を継続するか解約するかの判断

分配比率が決定すれば、契約者ではない配偶者が受け取る解約返戻金を把握できます。

契約者は、配偶者が受け取る解約返戻金相当額を支払うことで契約の継続が可能です。支払い方法は代償金で支払うか、ほか財産分与対象の財産を取得させる方法の二択です。

支払いが不可能であれば、保険契約を解約して合意にもとづいた解約返戻金の分配を行いましょう。

支払いが可能であれば、契約者や保険受取人を変更するなどの保険契約の更新を行い、自身が代償金やほかの財産を取得できます。

繰り返しになりますが、年齢の若いときの保険契約は支払保険料が少なくてすみます。離婚後の生活において支払い負担軽減につながるため、可能な限り保険解約を回避できる方法を探しましょう。

4.解約返戻金の受取

保険契約の解約になった場合、生命保険会社へ解約することを通知し、必要書類を提出して解約返戻金を受け取ります。決定した分配比率に応じて解約返戻金を分配しましょう。

解約返戻金の金額が大きい場合、税金の支払いが関わってきます。たとえば、以下のようなケースです。

  • 契約期間中に支払った保険料<解約返戻金として受け取った金額が大きい場合:解約返戻金として受け取った金額−契約期間中に支払った保険料=一時所得に対して税金がかかる
  • 保険契約者以外が保険料を負担し解約返戻金を受け取る場合:110万円の基礎控除を超えた分に贈与税がかかる

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