【築年数別】家の売却相場!築20年以上で売れなくなるって本当?!
住宅の中でも木造住宅は築20年以上で価値ゼロという認識が広まっていますが、売却が不可能というわけではありません。
近年はリノベーション需要も高まっており、また新築価格の上昇に伴い中古住宅を購入する層も増えています。そのため、古い家でも工夫次第で売却が可能です。
本記事では一戸建て住宅とマンションの築年数別売却相場や、古い家でも売却できる理由を詳しく解説します。
もくじ
家の売却相場は築年数に左右されやすい
家を売却する際の相場は、基本的に築年数によって左右されます。日本の場合、建物の価値は新築時をピークに経年によって下落し、法定耐用年数を過ぎるとほぼ価値ゼロとみなされるからです。
法定耐用年数とは、税法上で定められた固定資産が使用できる期間のことで、建物の場合、構造によって耐用年数が異なります。
以下は国土交通省がまとめた、中古戸建て住宅の価格査定の例です。
画像引用:国土交通省「中古住宅流通、リフォーム市場の現状」
以下では、建物の構造別で法定耐用年数ごとに、売却相場がどう変化するのか解説します。
木造・合成樹脂造は22年で価値ゼロ
木造・合成樹脂造の法定耐用年数は、22年です。そのため、築22年がたつと税務上の建物価値はゼロになり、ほとんど土地分の価格で査定されることもあります。
築年数ごとの建物価値は築5年で約8割、築10年で約5割、15年で約3割、20年で約1割になり、それに土地分を足した金額が一般的な住宅としての相場です。
木骨モルタルは20年で価値ゼロ
築年数の古い戸建て住宅のなかには、純粋な木材を使用していない木骨モルタル造の物件もあります。イメージ的には、昔の家でよくある土壁のような外壁をした構造であり、耐震性の問題で現在では基本的に使用されていません。
そのため、木造戸建てで一般的な木造・合成樹脂造より耐用年数も短く定められており、20年で価値がゼロになってしまいます。
現在、残っている木骨モルタル造の住宅は、ほとんどすべての物件で耐用年数が過ぎているため、土地分のみの価値で売却となる可能性が高いです。
耐震性に優れない理由から中古戸建てとして売却するにはハードルが高いため、古家付き土地として売却されるケースも多くあります。
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造は47年で価値ゼロ
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造の住宅は、戸建てだけでなくマンションも含まれますが、法定耐用年数は47年と木造より長く価値が続きます。
建物が頑丈であり耐震性や耐火性、防音性などに優れているため、築年数がたっても需要があり築20年程度までは、高値で取引できる可能性が高いです。
その分、新築時の価格が高額であるため、マンションであれば中古物件になってから築10年までの期間に2~3割近く、相場が下がるケースもあります。
築10~20年は価値の下落が緩やかであり、築20年以降も木造住宅と比較して相場が下がりにくく、価値が長続きしやすい点が特徴です。
【戸建て】築年数ごとの売却相場
東日本不動産流通機構の「首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況【2023年10~12月】」をもとに、築年数別の首都圏における戸建て売却(成約)価格相場を算出しました。
結果は次のとおりです。
築年数(年) | 価格(万円) |
---|---|
~築5 | 5,310 |
~築10 | 4,849 |
~築15 | 4,643 |
~築20 | 4,329 |
~築25 | 4,199 |
~築30 | 3,423 |
築30~ | 2,533 |
参考:東日本不動産流通機構「首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況【2023年10~12月】」
木造物件が多い戸建て住宅は、法定耐用年数が22年ということもあり、築25年を超えたあたりから相場が一気に落ちるという特徴が見て取れます。
すべて建物価値の下落が相場に影響していますが、戸建ての場合、土地分の価値があるため、一定以上は相場が下がりにくい強みがあります。
以下では、建物の価値にフォーカスして築年数別の売却相場を詳しく解説するので、参考にしてください。
築10年以内は建物の価値が8~6割程度に
築10年以内の戸建て住宅は、新築同様とまではいかないものの、経年による劣化が少なく、きれいな状態である場合が多いので、建物の価値は2~4割程度の下落に収まります。
たとえば、新築時に6,000万円(建物2,000万円+土地4,000万円)で購入した戸建て住宅を10年後に売却した場合を考えてみましょう。
建物の価値が新築時の6割程度になったと想定すると、5,200万円(建物1,200万円+土地4,000万円)が売却時の相場です。
築10年以内の戸建てであれば、設備の交換やリフォームが必要なく、ハウスクリーニングだけで十分快適に住めることが多いため、売却のためのメンテナンス費用が安く済む点もメリットです。
都市部をはじめ開発が進んでいるエリアであれば、土地価格が上昇したことで新築時よりも高く売却できるケースもあります。
築20年以内は建物の価値が5~3割程度に
築11~20年の戸建ては、ところどころ経年劣化が目立つようになり、水回りをはじめ設備交換が必要になるケースも多いため、建物の価値は5~3割程度まで下がります。
たとえば、新築時に6,000万円(建物2,000万円+土地4,000万円)で購入した戸建て住宅を20年後に売却した場合を考えてみます。
建物の価値が新築時の3割程度になったと想定すると、4,600万円(建物600万円+土地4,000万円)が売却時の相場です。
築10~20年は、経年による建物の変化が大きいタイミングであり、劣化の状態によって売却相場に大きく影響します。
劣化の状態が激しい場合、購入後に設備の交換やリフォームを施す必要もあるため、売却相場が下がってしまうケースも多いです。
築30年以内は建物の価値が2~1割程度に
築21~30年の戸建ては、設備の交換やリフォームをする前提で購入する必要があるため、建物の価値は2~1割程度まで下がります。
法定耐用年数の関係で、一般的に木造は22年を超えると価値がなくなるイメージもありますが、住める状態であれば、基本的に価値がゼロになることはありません。
たとえば、新築時に6,000万円(建物2,000万円+土地4,000万円)で購入した戸建て住宅を30年後に売却した場合を考えてみます。
建物の価値が新築時の1割程度になったと想定すると、4,200万円(建物200万円+土地4,000万円)が売却時の相場です。
築20年越えの戸建ては過去にリフォーム履歴がない限り、劣化が激しい部分が多く、購入後に、ある程度のリフォーム費用がかかります。
なかには、自分好みにリフォームしたいからと築20年越えの戸建てを狙って購入する人もいますが、リフォーム費用を見越した価格になるため、どうしても相場は低くなります。
築31年以上は土地分の価値に
築年数31年以上の戸建ては、建物の価値がなくなり、基本的に中古戸建てでなく、古家付きの土地として販売するのが一般的です。
リフォームを重ねて、まだまだ住める状態であれば問題ありませんが、物件によっては躯体部分の劣化によって、住むことにリスクが生じる場合もあります。
土地分の価値があることは戸建て住宅の大きな強みであり、土地として売ったほうがむしろ高値で売却できる場合もあるため、築31年超えの戸建ては土地での売却がおすすめです。
【マンション】築年数ごとの売却相場
築年数別の首都圏マンション売却(成約)価格相場は、次のとおりです。
築年数(年) | 価格(万円) |
---|---|
~築5 | 7,532 |
~築10 | 6,911 |
~築15 | 6,341 |
~築20 | 5,724 |
~築25 | 5,222 |
~築30 | 3,696 |
築30~ | 2,398 |
参考:東日本不動産流通機構「首都圏中古マンション・中古戸建住宅 地域別・築年帯別成約状況【2023年10~12月】」
鉄骨鉄筋コンクリート造・鉄筋コンクリート造である分譲マンションは、耐用年数が47年である分、新築から20年間は戸建てより高く推移していることがわかります。
一方、土地分の評価がほとんどないマンションは、築年数が20年を超えると建物の価値が下がるにつれ、次第に戸建てよりも相場の下がり幅が大きい点が特徴です。
以下では、分譲マンションにおける築年数別の売却相場を詳しく解説するので、参考にしてください。
築10年以内は売却相場が9~8割程度に
築10年以内の分譲マンションは設備が充実しており、きれいな状態でニーズこそ高いものの、新築でなくなったタイミングから、9~8割程度に下落します。
たとえば、新築時に7,000万円で購入した分譲マンションを10年後に売却した場合、新築時の8割程度と想定すると、5,600万円ほどが売却時の相場です。
戸建て同様に、開発が進んでいて需要が高い都心部のエリアであれば、新築時よりも高く売却できるケースもあります。
築20年以内は売却相場が7~6割程度に
築11~20年の分譲マンションは、建物の状態に問題はないものの、住んでいる期間に設備の交換やリフォームが必要になる危険性があり、新築時から7~6割程度に下落します。
たとえば、新築時に7,000万円で購入した分譲マンションを20年後に売却した場合、新築時の6割程度と想定すると、約4,200万円が売却時の相場です。
建物の状態は、まだまだ良好であり、相場を考えるともっともお買い得なタイミングにあたるため、需要が集中する可能性が高いです。
築30年以内は売却相場が5~4割程度に
築21~30年の分譲マンションは、設備の交換やリフォームを前提に購入する人も多く、新築時から、5~4割程度の売却相場になります。
たとえば、新築時に7,000万円で購入した分譲マンションを30年後に売却した場合、新築時の4割程度と想定すると、約2,800万円が売却時の相場です。
木造戸建ての場合、同じ築年数であれば建物の価値は、ほとんどなくなりますが、分譲マンションの場合、築20年を超えると価値が緩やかに下落するのが特徴です。
築31年以上は売却相場が3割以下に
築31年以上の分譲マンションは、大規模修繕の状況にもよりますが、新築時から3割程度の相場になるケースもあります。
新築時に7,000万円で購入した分譲マンションを35年ほどで売却した場合、新築時の3割と想定すると、2,100万円ほどが売却時の相場です。
住宅ローンの期間が基本的に35年であるため、残債がほぼないことを考えると売却して利益は出しやすいため、資産の組み換えを考えるタイミングでもあるでしょう。
築22年以上でも売れる家は売れる!
築22年を超えると住宅は売れなくなるといわれることもありますが、結論、築22年以上の家でも売れる物件は問題なく売ることが可能です。
ここでは、その実態や築年数が経過しても売れやすい物件の特徴について解説します。
【戸建て】築21年以上の物件を購入する人は4割
不動産流通経営協会の「中古住宅購入における住宅ローン利用等実態調査」によると、戸建てを購入する人の約4割が築21年以上の物件を購入しています。
画像引用:不動産流通経営協会「中古住宅購入における住宅ローン利用等実態調査」
リフォームやリノベーション、DIYに注目が集まる昨今、新築と比較して圧倒的に割安感がある中古物件を購入して自分好みに改装したいというニーズが高まっています。
【マンション】築26年以上はリフォームありで4割、なしで2割
マンションは、購入者の約6割が築26年以上の物件を購入しており、リフォームして住む人が約4割、そのままの状態で住む人が約2割を占めます。
マンションは戸建てより建物が頑丈であり、内装の劣化も遅いため、築年数がたった物件でも、問題なくそのまま住み続けられるケースが多いです。
高値で売れやすい物件の特徴
築年数がたっても高値で売れやすい物件の特徴は、次のとおりです。
- 立地がよい
- 定期的に修繕やリフォームがされている
- 室内や設備の使用状況がよい
築年数がたっても立地が良い物件はマンション、戸建て、ともに人気があり高値で売れやすい傾向にあります。
そのほか、建物や内装、設備などが定期的に修繕、リフォーム、交換されており、使用状況が良好な物件は、購入後の費用が安く済むため、高値で売れる可能性が高いでしょう。
家の正確な売却価格を知りたい方は、不動産の一括査定サイトへ
一戸建てやマンションの売却価格を左右する要素は、築年数だけではありません。リフォームの有無や駅からの距離、土地の広さや形、近隣住民との関係や売却理由、売却タイミングなど、多岐にわたります。
そのため、同じ築年数でも売却価格がまったく同じになることはありません。そのため、より正確に家の売却相場を確認するには、不動産会社に個別に査定してもらう必要があります。
不動産の一括査定サイト「リビンマッチ」では、相場を知りたい物件情報を入力すると、複数の優良会社に査定依頼が可能です。不動産会社によっても「いくらで売れるか」の予想は異なりますので、複数社の査定価格をもとに売却相場を導き出すのがおすすめです。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
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