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不動産所得の確定申告が不要なケースは?不動産所得の基礎知識も解説

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不動産所得の確定申告が不要なケースは?不動産所得の基礎知識も解説

不動産所得で確定申告が必要なケースは、前年の1月1日~12月31日までに不動産の貸し付けなどによって得られた不動産所得が20万円を超えた場合です。

不動産所得が20万円を超えているにも関わらず確定申告をしないと、ペナルティを課せられるおそれがあるため、期限内に申請できるよう確定申告に必要な知識を確認しておきましょう。


【前提】不動産所得は貸し付けによる所得が対象

まず、そもそもの話として「不動産所得とは?」という点について解説します。国税庁のホームページでは、不動産所得を以下のように定義しています。

不動産所得とは、次の(1)から(3)までの所得(事業所得または譲渡所得に該当するものを除きます。)をいいます。

(1) 土地や建物などの不動産の貸付け

(2) 借地権など不動産の上に存する権利の設定および貸付け

(3) 船舶や航空機の貸付け

引用:国税庁「No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)

基本的に「不動産の貸し付けにより発生する収入」が、不動産所得に該当します。不動産は、民法第86条で以下のように定義されています。

(不動産及び動産)

第八十六条 土地及びその定着物は、不動産とする。

2 不動産以外の物は、すべて動産とする。

引用:民法「第八十六条

定着物は物理的に動かすのが困難なものを指し、建物はもちろん樹木や石垣、塀、庭石などが該当します。樹木などは土地から切り離さないで、土地とセットであるほうが好ましい性質と考えられているためです。

一方で動産は動かすことが可能なものを指し、自動車などが該当します。そのなかで、船や飛行機、建設機械なども動産ですが、物体が大きく移動に時間や手間がかかるため、不動産に準ずるものとして扱われます。

そのため、船や飛行機、建設機械などを購入した場合は、不動産所得と見なされます。

なお、不動産所得の確定申告においては、以下の出費を経費として差し引くことが可能です。

(1) 固定資産税

(2) 損害保険料

(3) 減価償却費

(4) 修繕費

引用:国税庁「No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)

船舶や航空機の貸し付けによる所得も不動産所得

前述のとおり、不動産所得には「船舶」や「航空機」を所有し、これを貸し付けたことによる賃料の収入も含まれます。

一般的なイメージだと、不動産収入というと「建物や土地を貸したことで得られる賃料収入」というイメージがあり、船舶や航空機はこれに含まれないでしょう。

しかし、実際には船舶や航空機の貸し付けは実在しており、この貸し付けによる収入も発生しているので、これも不動産所得として含まれているのです。

事業的規模で得た家賃収入の所得でも不動産所得

不動産の貸し付けにより得られる所得のなかには、事業的「規模」に該当するケースもあります。

事業的規模に該当するのは、以下のようなケースです。

  • 賃貸物件が5件以上
  • 貸しているアパートが10室以上
  • 貸している駐車場が50台以上

5棟10室基準により、アパートや貸間は10室以上、独立家屋は約5棟以上で事業的規模という扱いです。

ただし、事業的規模で貸し付けを行っていたからといって、事業所得にはなりません。所得区分は、あくまで「不動産所得」であることに注意してください。

事業所得に該当するのは、以下のようなケースです。

  • 下宿など食事の提供を伴う不動産の貸し付けで、かつその規模が事業的規模である場合(※事業的規模でない場合は、雑所得です)
  • 不動産会社が販売の目的で取得した不動産を一時的に貸し付けた場合
  • 自社の寮や社宅を自社の使用人が利用した場合
  • 自己の責任で他人のものを保管する時間貸駐車場や自転車置き場を提供した場合で、かつ事業的規模の場合(※事業的規模でない場合は、雑所得です)

不動産所得でも事業的規模なら最高65万円の控除を受けられる

不動産の貸し付けが事業的規模の場合でも、食事の提供などをしていない限りは不動産所得であり、事業所得にはなりません

しかし、不動産の貸し付けが事業的規模の場合、つまり以下のいずれか場合で期限内に申請するなどの要件を満たせば、青色申告特別控除の適用を受けられます。

  • 賃貸物件が5件以上
  • 賃貸しているアパートが10室以上
  • 貸している駐車場が50台以上

青色申告特別控除の最高控除額は、65万円です。

なお、不動産所得と事業所得がある場合、不動産所得から控除します。不動産所得で控除しきれなかった分は、事業所得から控除されます。また、事業所得のみの場合も、要件を満たせば最高65万円の控除を受けられます。

さらに、最高65万円の控除要件を事業所得で満たしている場合、不動産所得が事業的規模かどうかに関わらず、事業所得でのマイナス分を不動産所得から最高65万円控除できます。

【要注意】不動産の売買で得た所得は譲渡所得

不動産で得られる収入には、賃料のほかにも「売却益」がありますが、これは不動産所得に含まれません。

不動産の売却によって得られる収入は、不動産所得ではなく「譲渡所得」という所得区分に該当します。

確定申告では収入の内容ごとに所得区分が分かれていますので、売却益はきちんと譲渡所得として計上し、別途に計算して混同しないよう注意してください。


不動産所得の確定申告が不要なケース

不動産所得がある場合でも、確定申告が必要ないケースもあります。具体的な条件としては、不動産所得が20万円以下の場合です。

給与所得以外の所得がある場合だと、確定申告が必要になる可能性があるのですが、国税庁のホームページでは「給与の収入金額の合計額から、雑損控除、医療費控除、寄附金控除、基礎控除以外の各所得控除の合計額を差し引いた金額が150万円以下で、かつ、給与所得および退職所得以外の所得金額が20万円以下の人は、申告の必要はありません。」とあります。

不動産所得は上記の「給与所得および退職所得以外」に含まれますので、賃料などの不動産所得が20万円以下であれば、確定申告をする必要がないのです。

ただし、不動産所得以外にも申告すべき所得がある場合は話が別です。

確定申告は申告すべきすべての所得が対象になるため、たとえば「原稿料」のように源泉徴収されない所得はすべて確定申告の対象です。

そのため、不動産所得は20万円以下であっても、それ以外に申告すべき所得との合計が20万円を超える場合は、確定申告の必要があるのです。

確定申告のルールはわかりにくい部分もありますので、不明な点があれば税務署などの窓口に相談して、トラブルにならないように確定申告を済ませることをおすすめします。

不動産所得の確定申告が必要なケース

不動産所得がある場合は、確定申告の必要性が出てくるケースも多いです。

不動産所得が20万円を超える場合

前述のとおり、不動産所得が20万円以下の場合であれば確定申告は必要ありませんが、不動産所得が20万円を超える場合は確定申告が必要です。

とくにアパートやマンションのような集合住宅を賃貸に出している場合だと、数室の家賃収入で20万円を超えるケースは少なくありません。ただし、家賃収入の合計金額=申告すべき所得というわけではありません。

不動産所得に限らず、確定申告で申告すべき「所得」とは、基本的に収入から必要経費を差し引いた利益の部分だけです。

前述のとおり、不動産所得においては一般的に以下の内容が必要経費として認められるケースが多いです。

(1) 固定資産税

(2) 損害保険料

(3) 減価償却費

(4) 修繕費

引用:国税庁「No.1370 不動産収入を受け取ったとき(不動産所得)

ただし、上記に該当する支出の場合でも実際には必要経費として認められない場合もありますし、上記以外の支出でも必要経費として認められる可能性がゼロではありません。

それだけ確定申告に関わる金額の計算は複雑であり、意外な落とし穴があるのも事実です。

複数の不動産を賃貸に出しているなど、確定申告が複雑化するケースでは、税務の専門家に相談するなどして、問題なく確定申告を終わらせることも必要になるでしょう。

確定申告が遅れたり、修正申告の必要性が出てきたりすると厄介ですので、スムーズにできるように、期限内に余裕をもって確定申告に関する相談をしておきましょう。

申告すべき所得控除・税額控除がある場合

不動産所得に関する話ではありませんが、何か「申告すべき所得控除・税額控除」がある場合は、必ず確定申告をしておきましょう。

たとえば前年1月1日から12月31日までの医療費が10万円を超えた場合、医療費控除の対象となります。所得金額から一定の医療費を差し引くことが可能となり、税金の対象となる額を減らせます(所得控除)。

また、合計所得金額2,000万円以下の人が住宅ローンを利用し、新築住宅を取得したり増改築したりした場合、その年の1年目は確定申告しないと税金の対象となる「課税所得」から所得税や住民税を控除できません(税額控除)。

これらの所得控除や税額控除は確定申告をしないと適用されず、たとえば医療費控除であれば既定の金額以上の医療費を支払っていても、自動的に医療費控除が適用されるわけではありません。

また、給与所得があって源泉徴収されている場合でも、これらは自動的に適用されないため、節税のためには手間をかけてでも確定申告をする必要があるのです。

どういった所得控除、税額控除を適用できるかはその人ごとに異なりますので、特殊な支出をした場合はそれが該当するかどうかを確認しておき、必要に応じて確定申告をしましょう。

まとめ

建物などの貸し付けによる不動産所得があると、多くの場合で確定申告が必要になります。

不動産所得が一定金額以上あるにも関わらず確定申告をしないとトラブルになるリスクが高いため、不動産所得がある方は確定申告の準備を怠らないようにしましょう。

確定申告は難しい部分も多いため、不明点があれば税務署の窓口に問い合わせるなどして、問題なく確定申告を済ませられるようにするのがおすすめです。

所有する賃貸用不動産が多い場合などは、税理士などの専門家に依頼しておくと、トラブルなく不動産運営ができるでしょう。

この記事の編集者

リビンマッチ編集部 リビンマッチ編集部

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