不動産評価額って?調べ方や意味を初心者向けにわかりやすく解説
不動産評価額は、売却価格ではありません。簡単にいうと、この価格で売れば買い手がつくだろうと予測される価格です。固定資産税や不動産取得税といった税金は、不動産の価値を参考にする必要があるため、基準として不動産評価額が利用されます。
この記事では、不動産評価額の基本的な概念や評価額の調べ方を初心者の方でも理解できるよう、詳しく解説します。自分で評価額を調べて、より賢い不動産取引をしましょう。
もくじ
【前提】不動産評価額=不動産「価格」ではない
不動産価格は取引の際に生じる具体的な金額を指し、不動産評価額は不動産が持つ本質的な価値や値打ちを表します。
たとえば、ある家具メーカーがテーブルを10万円で販売しているとします。これが、そのテーブルの価格です。しかし、そのテーブルが有名な建築家の手作りで高品質な素材でつくられ、デザインも美しい場合、その価額は10万円より高くなるかもしれません。なぜなら、購入者にとってそのテーブルはそれ以上の価値を持つからです。
不動産の例を挙げると、価格(不動産価格)は物件が市場で売買される際の金額です。あるマンションが5,000万円で売り出されている場合、その5,000万円が価格です。
一方、価額(不動産評価額)は物件の「value(ヴァリュー)」、つまりその物件が持つ価値を示します。この価値は物件の立地、築年数、設備、周辺環境など、さまざまな要素によって決まります。たとえば、同じマンションでも駅から近い物件と遠い物件では、「価額」が異なるでしょう。
不動産評価額は固定資産税評価額が基本
不動産を所有していると、固定資産税が毎年かかります。その課税額のもとになるのが、固定資産税評価額です。(※正式な名称は固定資産評価額ですが、ここでは一般に使われている「固定資産税評価額」という言葉に統一して紹介します。)
固定資産税評価額は、不動産の所在地の市区町村長が算定します。東京23区の場合は都知事都です。(以下、「市町村」とします。)この価額は3年に1度見直されます。これによって算出される固定資産税は、マイホームを持つときのランニングコストのようなものです。
土地でも山林でも不動産を所有していると、必ず課税されます。実際に住んでいるかどうかは関係ありません。そして不動産の取得や売却時に、その価値を把握するためにも知っておきたいのが固定資産税評価額です。
つまり、マイホームの取得時だけでなく、財産形成のための不動産投資や相続の際にも、固定資産税評価額の確認が役立ちます。
固定資産税評価額の調べ方
固定資産税評価額の調べ方を紹介しましょう。大きく分けて3つの方法があります。
- 固定資産課税明細書で確認する
- 固定資産課税台帳を閲覧する
- 固定資産評価証明書を入手する
固定資産課税明細書で確認する
不動産を所有していると、毎年市町村から固定資産税の納税通知書が届きますが、そこに課税明細書が添付されています。そちらを見るとすぐにわかります。
固定資産課税明細書を見てみましょう。
画像引用:東京都主税局「固定資産 証明・閲覧とは」
「価格」という欄に固定資産税評価額が記載されています。赤枠で示された部分です。
土地部分と住居部分
上部4行が土地部分、下部4行が住居部分を示しています。
固定資産課税台帳を閲覧する
固定資産課税台帳は、市区町村役場(東京23区の場合は区の都税事務所)で閲覧できます。課税する対象となっている不動産の所有者の名前、所在地などの情報とともに、固定資産評価基準にもとづく固定資産の評価額が記載されています。
画像引用:東京都主税局「固定資産 証明・閲覧とは」
上に示した課税証明書の見本は、東京都主税局のホームページで公開されています。
「価格」という欄に固定資産税評価額が記載されています。
固定資産評価証明書を入手する
固定資産課税台帳の内容を証明する書類で、市町村役場(東京23区の場合は区の都税事務所)で入手できます。
以下、東京23区の例で、具体的な入手方法を見てみましょう。
(1)窓口申請
役場の担当課で直接申請する場合、まず申請書を準備します。各自治体のホームページでダウンロードできます。詳しくは、不動産がある市町村役場のホームページなどで確認してください。
画像引用:東京都主税局「納税義務者(個人)」
上に示した申請書記入例の見本は、東京都主税局のホームページで公開されているものです。グレーで塗りつぶされている部分と下部の記入は不要です。
次に本人確認書類を準備します。運転免許証、パスポート、住民基本台帳カードなど、官公署が発行した顔写真付きの書類ならば1種類でOKです。ない場合は、国民健康保険証と国民年金手帳など2種類必要ですので、事前にホームページで確認しておきましょう。
なお、手数料は都税事務所の場合1件400円、2件目以降1件100円です。
(2)郵送申請
申請書をダウンロードするのは同じですが、東京23区の場合、郵送による申請書は窓口申請用とは種類が異なるため注意してください。記入内容はほぼ同じです。
本人確認書類は、送付先の住所を確認できる官公署が発行した書類(コピーでも構いません)です。あとは手数料(未記名の定額小為替。郵便局で入手できます)を支払い、宛名を記入し、必要な金額の切手を貼付した返信用封筒が必要です。
返信先の住所は東京23区の場合には、原則として都税の納税通知書の送付先か、都税事務所に届けている住所のいずれかになります。申請書の記載内容が課税台帳と同じ場合、本人確認書類は不要です。
詳細は、各市町村役場のホームページで確認してください。
(3)オンライン申請
東京23区の場合、マイナンバーカードとICカードリーダがあれば、Windowsパソコンによるオンライン申請も可能です。
手数料と郵送料はインターネットバンキングか、金融機関のペイジーに対応しているATMから支払います。スマートフォンとマイナンバーカードでも可能です。この場合、支払いはクレジットカードです。
以上、固定資産税評価額の調べ方ですが、個人と法人では必要書類が違います。今回は個人のケースでご案内していますので、その点もあわせて注意してください。また、いずれも詳細は、各市町村のホームページで確認することをおすすめします。
固定資産評価証明書を確認する
画像引用:東京都主税局「固定資産 証明・閲覧とは」
うえに示した固定資産評価証明書の見本は、東京都主税局のホームページで公開されているものです。赤枠で当該箇所を示しました。「価格」という欄に、固定資産税評価額が記載されています。
その不動産は、「いま」いくらで売れる?時価(実勢価格)を知る方法
さて、不動産の売却や相続を考えている場合、一体いくらで売れるのかは気になるところです。土地の価値を示す価格は、この「時価」を含めて4種類あります。
- 実勢価格=時価
- 公示価格
- 固定資産税評価額
- 相続税路線価
公示価格は、国土交通省が毎年公表しているもので、実勢価格はおおむね、その1.1~1.2倍です。
固定資産税評価額は公示価格の70%が目安です。これは平成6年度に「宅地の評価については地価公示価格等の7割を目途に評価を行うこと」とされたことにもとづいています。国、地方公共団体に対して税負担の公平の確保を図りつつ、土地に関し、適正な税制上の措置を講ずることを求めている土地基本法第16条などを根拠に、「公的土地評価の均衡化・適正化」のために定められました。
相続税路線価は公示価格の80%なので、計算上の公示価格を求めることはできるのですが、実勢価格を反映しないこともあります。
それでは、固定資産税評価額から求める方法を具体的に見ていきましょう。
固定資産税評価額に70%をかけて計算する
公示価格と固定資産税評価額により、固定資産税評価額から実勢価格=時価を求める計算式は、このようになります。
たとえば、固定資産税評価額が1,000万円の場合、実勢価格は以下になります。
実勢価格=1,000万÷0.7×1.1=770万円
しかし、現実の実勢価格はあくまでも市場における「時価」(market price)です。ここで算出される金額が、ズバリその不動産の価格というわけではありません。実際の価格はそのほかの要素で上下するので、あくまでも参考にとどめてください。
それでは、実際の取引価格にもっと近い金額を調べることはできないでしょうか。
不動産情報ライブラリを利用する
国土交通省が提供している、不動産情報ライブラリを使ってみましょう。これは、不動産の安全な取引と活性化を目的に公開されているもので、実際に行われた不動産の取引価格、地価公示や都道府県地価調査の価格を検索できます。
取引価格の情報は実際に取引を行った人にアンケート調査を行って、その回答をもとに提供されているため信頼性は高いです。実際に販売している物件を掲載している、いわゆる「不動産ポータルサイト」では、販売価格だけしか調べられません。
不動産情報ライブラリではデータ数は少ないものの、実際に成約した価格を調べられます。しかし、調べたい地域での取引情報がない場合には必要な情報が得られないこともあり、限界があるのも事実です。
不動産の一括査定サイトを利用する
ピンポイントで不動産の価格を知りたい場合には、やはり査定が必要です。不動産会社に依頼すればよいですが、軽く調べたい場合には少し敷居が高いでしょう。簡単に、正確な情報を得たい場合には、不動産の一括査定サイトを使ってみましょう。
不動産の一括査定サイトとは、査定を希望する不動産の情報を入力すると、同時に複数の不動産会社に査定をしてもらえるサイトです。
メリットは多くあります。まず、ピンポイントで査定価格が出ることです。また一度に複数の会社から査定結果が出るため比較をすることで、確実な売り出し価格を把握できます。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
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