離婚で住宅ローンが払えない!事例や対策を紹介します
離婚で発生しやすいのが、住宅ローンの問題です。
残っている住宅ローンの支払いを続けられればよいですが、別れた元夫(元妻)が払えない・払ってくれない状況になるケースもあります。
具体的な事例や対策を紹介します。
離婚が原因で住宅ローンの支払いが不安なら……
もくじ
離婚によって住宅ローンが払えない原因
厚生労働省の「令和4年(2022)人口動態統計(確定数)の概況」によると、離婚した夫婦は2022年には17万9,099組も存在しています。
これは約30分に1組のペースで離婚している計算であり、決して離婚が珍しいものではないことがわかります。
離婚する原因で一番多いのは「性格の不一致」ですが、それ以外にも以下のような片方の行動によるものがあります。
- 精神・肉体的な暴力(DV)
- 不倫
- 浪費
円満な離婚は決して多くはありません。どれだけ情熱的な恋愛のうえで結婚したとしても、夫婦関係を解消するときにもめるケースはよくあります。
その結果、離婚による財産分与で家を所有することになっても、養育費などの支払いが滞り資金繰りに困り、住宅ローンが支払えない状況に陥るケースが増えています。
離婚時にリスクがある住宅ローンの例
一般的に離婚する際は、婚姻中に夫婦で築いた財産を公平に分ける財産分与が行われます。
車は夫、家は妻、預金は慰謝料としてなど、話し合いのもとで資産を分けます。その中でも金額が高く、離婚時に住宅ローンが残っていることが多い家は、住宅ローンを支払う人と住む人を分けて考えなければなりません。
離婚時によくあるケースとリスクなどを説明します。
ペアローンを組んでいた
不況による低賃金化と共働きの増加により、マイホームの購入時に夫婦それぞれが住宅ローンを契約するペアローンを採用する世帯も増えています。
ペアローンを利用するメリットは、家の選択肢が広がる点です。たとえば、一方の年収では最大で2,500万円の借入しかできない場合でも、もう一方の年収により2,500万円 × 2人で5,000万円の借入が可能になるケースもあります。
しかし、ペアローンの利用は夫婦が円満であれば問題はありませんが、離婚時には複雑な問題を引き起こします。
離婚時は、家を売却してそれぞれが新しい住まいを探すケースが少なくありませんが、家の売却には双方の合意が必要です。
また、売却するとしても、夫婦2人の年収を合わせた金額で購入しているため、多額の借入をしていることも多いでしょう。そのため、ローン残債を売却価格が下回るオーバーローンが発生しやすい傾向にあります。
こうした状況下では、住宅ローンの名義を一本化しようとしても、ひとりの年収では返済が不可能と金融機関が判断する可能性が高いでしょう。ペアローンを継続せざるを得なく、夫婦両方が支払いを続けることになります。
離婚後に名義人以外が家に住む
家を購入する際は、家の名義と住宅ローンの名義を同じにするのが一般的です。しかし、離婚により財産分与をする際、この2つを分離して考える必要があります。
たとえば、夫の不貞が原因で離婚する際に、家の名義は妻、そして住宅ローンの名義は夫とするケースがあります。元夫が養育費と住宅ローン、不倫相手との生活費などを支払い続けるとすると、資金繰りが難しくなったとき、まずは養育費などが滞るかもしれません。
そこで慌てて住宅ローンの名義を元妻に変更しようと相談しても、ひとりでは収入が不足しており金融機関の許可が下りないおそれがあります。
離婚後に住宅ローンが払えない状況に陥ることも
離婚により住宅ローンが支払えないケースは年々増加しています。離婚して家を退去した元夫や元妻が「わざと住宅ローンを支払わない」のもよくあるケースです。
また、住宅ローンは基本的に契約者が居住することが条件です。金融機関はそれを理由に、未払いの発生や督促の稼働リスクを回避するため、一括返済を求めるケースもあります。
住宅ローンの滞納や未払いが判明したあとは、速やかに対応しなければ競売に向けた立ち退き命令が行われるおそれがあります。
夫(妻)が住宅ローンを払わない
離婚後に家を失う理由として、元夫や元妻が住宅ローンを支払わないことによる差し押さえがあります。
離婚時に不仲になった相手に家を明け渡す時点で、その先の住宅ローンや養育費などの支払いを無視するケースは多いのが現状です。
住宅ローンを支払わないことで、ブラックリストに載るリスクを背負いますが、それ以上に支払わないことによる金銭的な利点を選ぶためです。正確には、生活を維持するために選ぶしかないのかもしれません。
感情的に離婚を決めた場合、支払いに関する書面などを残しておらず、法的対処が実施できないこともあるようです。
住宅ローン滞納が判明したら
離婚後の元夫・元妻による住宅ローン滞納を把握するのは難しいものです。金融機関からの最終通告や裁判所からの競売による立ち退き命令が届いて初めて気づくケースも少なくありません。
離婚した相手が、住宅ローンを払わないことにより立ち退きの可能性が発生した場合、それに従って退去するか、住み続けるかの判断をします。
金銭的に問題がなく、また連帯保証人でもない場合は退去して引っ越すほうが心理的には楽ですが、そう簡単にはいかないものです。
そのため、まずは金融機関に対して情報の開示を求めつつ、滞納分を支払うことで立ち退きのリスクを解消するのが先決です。その後は離婚相手への訴訟、任意売却などの選択肢を検討します。
離婚で住宅ローンが払えないことが不安なら早めの対応が必要
離婚により住宅ローンが支払えない、また元夫・元妻が住宅ローンを支払わないリスクがあるなら、早めに対応が必要です。
金融機関に相談する
離婚により住宅ローンが支払えないリスクがあったり、借り換えを検討したりする場合は、必ず最初に債権者である金融機関へ相談しましょう。
前述したとおり、夫婦の収入を合算して借り入れたペアローンなどの場合は、借り換えが難しいかもしれません。
しかし、金融機関に相談すれば、個別の事情を考慮して返済計画の見直しを行ってくれる可能性があります。
特にどちらかが家に住み続ける場合は、滞納による立ち退きなど最悪の事態を免れるためにも、あらかじめ相談しておくのがよいでしょう。
離婚時に家を手放す
どちらかが家に住み続けたいと考えるかもしれませんし、住み慣れた家を手放すのは労力が必要です。しかし、住宅ローンの問題やトラブルを回避するには、離婚時に家を手放しておくのが賢い選択でしょう。
売却価格が住宅ローン残債を上回っている場合
売却価格が住宅ローンの残債を上回っている状態をアンダーローンといいます。
具体的には、3,000万円の住宅ローン残債に対して、売却価格が4,000万円だとします。不動産会社への仲介手数料や新居への引っ越し代がかかるため、正確には違いますが、住宅ローンを完済したうえで1,000万円が手元に残る計算です。
家は問題なく売却できますし、別れた相手が住宅ローンを払ってくれないのでは、と不安になることもありません。
住宅ローン残債が売却価格を上回っている場合
売却価格が住宅ローンの残債を下回っている状態をオーバーローンといいます。
たとえば、3,000万円の住宅ローン残債に対して、売却価格が2,000万円だとします。住宅ローンを完済するには1,000万円足りません。
家は住宅ローンを完済しなければ基本的に売却が難しいため、任意売却を検討するのがよいでしょう。任意売却は、金融機関の許可を得て住宅ローンが残っている家を売却できる方法です。
不動産会社に相談する
離婚時に財産分与として家を譲り受けた場合でも、支払い放棄による滞納など不測の事態に備えて、あらかじめ不動産会社に相談するのがおすすめです。
離婚が珍しいものではなくなった現代では、不動産会社も離婚による家を取り扱う機会が増えています。ノウハウがあるため、さまざまな角度から提案を受けられるでしょう。
また、離婚時は感情的になり、冷静な判断ができなかったり、精神的にも疲弊していたりする人も多いと考えられます。そういうときに不動産を通じて第三者に話を聞いてもらえれば、気持ちが楽になるかもしれません。
家がいくらで売れるかを簡単に確認する
離婚時に住宅ローンの支払いが不安なら、まずは家がいくらで売れるかを確認しましょう。想定より高く売れて、住宅ローンを完済できる可能性もあります。
不動産の一括査定サイト「リビンマッチ」は、インターネットで簡単に複数社から査定結果を受け取れる無料のサービスです。
高い金額を示してくれる不動産会社や対応が親切な不動産会社などを探すのにも役立ちます。自分と相性がぴったりの担当者が見つかるかもしれません。
離婚時に売却するかどうか迷った場合や、住宅ローンの滞納が不安な場合は、選択肢を広げるためにもリビンマッチを利用しましょう。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
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