土地と家で名義が違うとき、離婚時に直面する課題と3つの選択肢
マイホームを建てるときに、親の土地を利用することは珍しくありません。土地と家の名義が違っていても夫婦関係や親子関係に問題がなければ、権利関係でもめる心配もないでしょう。
しかし、夫婦が離婚する場合、妻の親の土地に夫名義の家があると、どのように財産分与をすべきか頭を悩ませることになります。
土地と家とで名義が違う場合の財産分与について解説します。離婚後の不動産や住宅ローンでお悩みの方は、ぜひ参考にしてください。
この記事でわかること
- さまざまなパターンの財産分与
- 住宅ローンが残っているときの対応
- 家に住み続けられる方法
もくじ
親の土地に建てた家は、離婚のときにどうやって分ける?
離婚をする際には、夫婦の協力で形成した財産について財産分与を行います。親の土地に家を建てた場合は、家と土地それぞれについて財産分与の対象となるのかを検討する必要があります。
財産分与の対象となるのは、婚姻期間中に夫婦の協力によって形成された財産です。そのため、夫婦の婚姻期間中にマイホームを建てた場合は、家の名義人が共有かどちらか一方かにかかわらず、財産分与の対象となります。
ところが親の土地は、夫婦の協力によって形成された財産とはいえません。親の土地に家を建てた場合、土地は財産分与の対象外です。
親の土地に家を建てた場合の財産分与は、土地は親の財産であることを前提に、家についてのみ財産分与を行うことになります。
配偶者の親名義の土地に建てた家は離婚のときにどうやって分ける?
土地の名義が妻の親、家の名義が夫といったように、土地と家の名義が違う場合の財産分与の方法としては、次の3つのパターンが考えられます。
- 夫が家に住み続ける
- 妻が家に住み続ける
- 家を売却する
以下、それぞれのパターンに分けて、財産分与の方法を詳しく解説します。
夫が家に住み続ける
夫が家に住み続ける場合、妻との関係では、家の財産分与が必要です。財産分与の方法としては、夫が家を取得する代わりに家の評価額の2分の1を妻に支払う方法が考えられます。
家の名義が夫であったとしても、家は財産分与の対象となります。そのため、夫が家を取得するには、財産分与の割合に応じた代償金を妻に支払う必要があるのです。
たとえば、家の評価額が2,000万円であった場合、夫は妻に評価額の2分の1にあたる1,000万円を支払って、家の財産分与を受ける方法があります。
この場合、夫が妻の親名義の土地を利用するには、土地の賃貸借契約(借地契約)を締結しなくてはなりません。
しかし、借地権の存続期間は最低でも30年間とされており、その間は妻の親が土地を利用することはできなくなってしまいます。夫婦の離婚によって夫との義理の親子関係がなくなった以上は、借地契約を締結することは、妻の親にとってデメリットが大きいでしょう。
そのため、妻の親が協力的である場合を除いては、夫が家に住み続けるのは難しいでしょう。
妻が家に住み続ける
妻が家に住み続ける場合についても、夫との関係では、家の財産分与が必要です。財産分与の方法としては、夫が家に住み続けるパターンとは逆で、家の評価額の2分の1を妻が夫に支払い、家を取得する方法が考えられます。
妻が財産分与で家を取得した場合、土地の利用権は問題とならないことが多いです。妻の親としては、実子である妻が引き続き土地を利用することになるため、借地料を請求することもないでしょう。
この場合、法律上は土地の「使用貸借」が成立し、妻は無償で土地を利用し続けられます。
家を売却する
共有財産である家を売るときは、家だけを売却するパターンと、家と土地を同時に売却するパターンの2通りが考えられます。
家だけを売却する場合は、借地権付きの建物として売却する必要があります。借地権付きの建物を購入した人は、妻の親との間で賃貸借契約(借地契約)を締結して借地料を支払わなくてはなりません。そのため、家のみを売却する場合は、土地と同時に売却するより価格が低くなります。この場合には、家の売却代金を夫婦で財産分与します。
家と土地を同時に売却する場合は、土地の名義人である親の同意が必要です。親が売却に同意するのであれば、家と土地を同時に売却するほうが価格も高くなるでしょう。また、家の購入者と親とが借地権の関係でもめる心配もありません。
この場合は、家の売却代金は夫婦で財産分与を行い、土地の売却代金は親が取得します。
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住宅ローンが残っている土地と家の分け方
土地と家の名義が違う不動産について、住宅ローンが残っているとしたら財産分与にはどのような影響があるでしょうか。
ここでは、次の3つの段階に分けて、住宅ローンと財産分与の問題を解説します。
- 住宅ローンの支払いはどうなる?
- 住宅ローンの名義を妻に変更できる?
- 住宅ローンの残っている家の財産分与
住宅ローンの支払いはどうなる?
住宅ローンの支払いは、財産分与の内容にかかわらず住宅ローンの名義人が支払い続けることになります。
たとえば、夫が住宅ローンの名義人であれば財産分与で妻が家を取得したとしても、夫は住宅ローンの支払いを続けなくてはなりません。
金融機関は住宅ローンを融資するときに審査を行って、契約条件を決定しています。融資後に夫婦が離婚したとしても、それは夫婦の問題であって金融機関に関係ありません。そのため、住宅ローンの名義人は金融機関に認められない限り変更はできないのです。
住宅ローンの名義を妻に変更できる?
住宅ローンの名義は、金融機関の同意があれば変更できます。
夫名義の住宅ローンを組んでいる場合、金融機関は夫の勤務先や収入などの信用情報をもとに融資を決定しています。そのため、住宅ローンの名義を変更するのであれば、妻が夫と同等か夫より上の返済能力を持っている必要があるでしょう。
また、名義変更の際、妻の収入で借りられる範囲まで残債を減らしてから審査を受ける方法であれば、融資を受けられる可能性があります。
妻が専業主婦をしていて収入がまったくない場合は、金融機関が名義変更に応じる可能性はほぼないでしょう。
住宅ローンの残っている家の財産分与
財産分与を住宅ローンの残っている家で行うには、住宅ローンをどちらが負担するのかと、どのように財産分与をするのかの2つの問題があります。
住宅ローンの残っている家の財産分与、どちらかが家に住み続ける場合、家を売却する場合に分けて解説します。
どちらかが家に住み続ける
夫婦のどちらかが離婚したあとも家に住み続ける場合、住宅ローンは住み続けるほうが負担するのが通常です。住み続ける人と住宅ローンの名義人が違う場合は、住宅ローンの名義を変更するか、住宅ローンの金額を相手方に支払うかのどちらかになるでしょう。
たとえば、住宅ローンの名義人は夫で妻が家に住み続ける場合、妻は住宅ローンの金額を夫に支払い、夫は妻から受け取ったお金を金融機関に支払います。
財産分与は、家に住み続ける人がもう一方に対して、代償金を支払うケースが多いです。
たとえば、家の価値が3,000万円で、住宅ローンの残額が2,000万円とします。この場合、3,000万円から2,000万円を引いた1,000万円を財産分与の対象として、代償金を支払うことになります。
財産分与の割合が2分の1ずつの場合には、家に住み続ける人がもう一方に対して500万円を支払います。
なお、オーバーローン※の場合は、住み続ける人が代償金を支払う必要はありません。ただし、住宅ローンをどちらが支払い続けるのかは、よく話し合う必要があるでしょう。
家を売却する
売却価格が住宅ローンの残債を上回るアンダーローンであれば、家の売却は可能です。売却代金で住宅ローンを完済し、残ったお金を分与します。
このとき親の土地の扱いをどうするか、よく話し合う必要があります。親の土地ごと売却するのか、借地権付きの戸建てとして売却するのかで、売却価格は大きく変わるでしょう。土地ごと売却した場合、土地の売却代金は親が受け取ります。
ちなみに、オーバーローンの場合は抵当権の抹消ができないため、通常の方法だと売却できません。不足分を自己資金で補うか、任意売却という方法を採る必要があります。任意売却については、こちらの記事を参考にしてください。
難しい不動産売却は不動産会社へ相談を
親の土地に建てた家を売却するなど、権利関係のややこしくなっている問題は、夫婦だけの話し合いで解決するのは困難です。特に離婚では人によって事情が異なるため、ほかの人のケースと同じように話が進むとは限らないのです。
少しでも負担なく財産分与の問題を解決するのであれば、不動産売却のプロである不動産会社に相談しましょう。不動産会社に相談すれば、家の査定をしてもらえるため、どういった選択肢があるのかもわかります。
離婚の話し合いを進めていくにあたって、不動産会社へぜひ相談してください。
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この記事の編集者
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