遺言執行者の役割と不動産を売却する流れ
被相続人が遺言書を残していた場合、そのなかに遺言執行者が指定されていることがあります。遺言執行者に指定された人は、遺言書の内容に従って相続を進めなければいけません。
ただし、相続しにくい遺産については、売却をしてから相続をするケースもあります。正しい手順で進めないと、トラブルの原因になるため注意が必要です。
ここでは、遺言執行者の役割と不動産を売却して相続をする流れについて説明します。
もくじ
遺言執行者の役割
被相続人が遺言を残していた場合、その内容どおりに相続を進めるのが原則です。
しかし、遺言書の内容によっては、複雑な手続きが必要だったり解釈が難しかったりして、相続人だけで相続を進めるのは難しい場合があります。
また、相続人が複数人いた場合、誰が代表で手続きを進めるのかトラブルになることも少なくありません。
その問題を解決するために必要なのが、遺言執行者です。
遺言執行者は、遺言の内容を実現するために必要な手続きをする人のことを指します。遺産の管理や執行する権利を持ち、遺言の内容に沿って相続を進める役割があるのです。
遺言執行者に与えられる権限
遺言執行者の権限について、民法第1012条では、以下のように明記されています。
遺言執行者は、遺言の内容を実現するため、相続財産の管理その他遺言の執行に必要な一切の行為をする権利義務を有する
つまり、遺言執行者は、遺言書に記載された事項を実行するために必要な権限が与えられています。具体的な権限は以下のとおりです。
- 相続人への通知
- 遺産の保管
- 遺産の収益の管理
- 遺産の処分
- 遺贈の履行※
- その他の遺言の執行に必要な手続き
遺言執行者の権限が利用できるのは、遺言書の内容が正式であると認められた場合のみです。不当な内容が含まれている場合は実行できません。
また、遺言書に定められていない事項については、遺言執行者の権限は及ばないため、相続人たちの協力の元、進めていく必要があります。
遺言執行者を選任する方法
遺言執行者は、年齢が18歳以上であれば就任が可能です。そのほかに制限はないため、相続人でない第三者が指名されていれば、その人が遺言執行者となります。
ただし、相続は専門的な知識が求められるため、遺言執行者に相応の負担がかかります。そのため、相続の遂行が難しいと判断された場合は、遺言執行者を解任して新たに選任できます。
なお、遺言執行者の解任は、家庭裁判所に申し立てをして認められた場合のみ可能です。
遺言執行者が不動産を売却する流れ
遺産を相続する場合、相続人に対して特定の財産を直接譲渡するのではなく、その財産を売却した代金を相続する「清算型遺贈」を行う場合があります。
とくに不動産は、複数の相続人で分け合うのが難しいため、清算型遺贈となるケースが少なくありません。
遺言執行者が清算型遺贈のために不動産を売却する場合、以下の流れで進めていきます。
- 就任通知書が発送される
- 相続財産の確定
- 相続人の確定
- 遺産分割と不動産売却(清算型遺贈の場合)
- 完了報告
相続を円滑に進められるようにそれぞれの流れを確認しておきましょう。
1.就任通知書が発送される
遺言執行者に選任された者が就任を承諾した場合、相続人宛てに就任通知書を発送します。
2.相続財産の確定
不動産や預貯金のほか、借金・負債など、財産についての調査を実施して、遺産を確定します。
3.相続人の確定
相続人の詳細について調査が行われ、相続財産の目録の作成をおこなった後、その目録が相続人へ交付されます。
4.遺産分割と不動産売却(清算型遺贈の場合)
遺言書の内容が実行されます。対象の不動産売却が行われ、売却後の代金は相続人に分割されます(清算型遺贈を行った場合)。
5.完了報告
遺言執行の任務が完了したことが記載された書面を発行して相続人に発送します。
遺言執行者についてよくある質問【Q&A】
遺言執行者についてよくある質問を3つまとめました。ぜひ参考にしてください。
遺言執行者が決まっている場合でも、相続人は自分で不動産を売却できる?
遺言執行者が決定している場合、相続人は相続財産を処分する権限を失います。つまり、相続人は相続財産を自由に扱えません。
たとえば、以下のような制限が考えられます。
- 不動産の売却や、賃貸借契約や抵当権の設定などの処分行為
- 相続対象の建物の改装
一方、査定の申し込み程度であれば、相続財産を処分したとはいえないため、許容範囲とされており、近隣の不動産会社に相場を確認することはできます。
また、相続人が相続財産を処分することを妨害する行為は、遺言執行者から訴訟提起されるおそれもあるので、注意が必要です。
相続不動産を占有したり、登記に必要な書類を引き渡さないなどの行為は、遺言の執行を妨害する行為と判断されてしまうため避けましょう。
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結局、売却価格は誰が決める?
遺言執行者が相続財産の売却条件を決定するため、相続人は売却価格や引き渡し時期などを自ら決定できません。また、相続人自身がその不動産会社と媒介契約を直接締結して売却を依頼することも不可能です。遺言執行者が不動産会社に売却の依頼をし、妥当な条件で買主を見つけてもらうことになります。
つまり、売却価格は不動産会社の営業力に左右されるのです。
遺言執行者が不当に低い金額で不動産売却をしたらどうなる?
遺言執行者は、相続人が遺言を実現するために必要な権限があります。しかし、その権限を不当に行使する場合もあるでしょう。そんな時、相続人が実行できる対処方法は次の3つです。
相続人は、遺言執行者が適切に遺言を実行しているかどうかを照会できる
相続人から請求があった場合、遺言執行者は、いつでも執行状況の報告をする必要があります。適切な時期に照会権と報告義務を活用すれば、適正な遺言執行が期待できるでしょう。
相続人は家庭裁判所に遺言執行者を解任してもらえる
遺言書で指名された場合であっても、家庭裁判所に選ばれた場合でも、正当な理由があれば遺言執行者を解任できます。正当な理由には、遺言執行者の職務怠慢や不公平な扱いなどが含まれます。
相続人は遺言執行者に対して損害賠償請求ができる
不動産が著しく不当な低額で売却された場合、本来売れるはずであった価格との差額が損害になります。その場合は、裁判所に申立てをして損害賠償を請求できます。
ただし、損害賠償を請求するには、相場よりも安く売った証拠が必要です。不動産鑑定事務所などに依頼して、不動産鑑定評価書などを用意しましょう。
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遺言執行者として選任された人は、不動産の売却をどこに依頼すべきか悩むでしょう。
不動産会社はコンビニエンスストアの数よりも多いといわれるほどたくさんあります。そのため、その中から信頼できる会社を見つけることは簡単ではありません。
できる限り多くの会社を比較し、自分が信頼できる不動産パートナーを見つける必要があります。
そこでおすすめなのが、一括査定サイトの利用です。一括査定サイトであれば、物件情報などを入力するだけで、一度に複数の不動産会社に査定を依頼できます。
たくさんの会社から査定結果を取得し、おおよその相場を理解したうえで、各不動産会社の提案を聞いてみましょう。その中から信頼できる不動産会社を選定することをおすすめします。
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2022年からリビンマッチのコラム記事の執筆・編集を担当しています。不動産の財産分与に関する記事執筆が得意です。住宅設備機器の専門商社に6年間従事した知識と経験を活かして、不動産に関する知りたかったこと、知っておいた方がいいことをわかりやすく伝えられるように心がけています。
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