相続登記しないで不動産の売却はできる?必要な手続きを解説
相続した不動産を売却するには、相続登記が必要です。手続きは面倒で時間もかかるため、できるだけ早く売却するため、相続登記を省きたいと考える人も多いでしょう。
しかし、相続登記をせずに、第三者へ不動産を売却することはできません。
どうして相続登記が必要なのでしょうか。相続登記の基本から手続きなどをわかりやすく解説します。
この記事でわかること
- 相続登記が必要な理由
- 法律で相続登記が義務化される
- 相続登記の必要書類と手続き
もくじ
相続登記をしていない不動産は売却できる?
相続登記をしていない不動産を、第三者に売却することはできません。
不動産登記法では、所有権の取得や移転の経緯を、登記で正確に記録する必要があると決められています。所有権移転の登記申請をするには、権利変動の原因を証明する情報を添付しなければならないとしており、実体と反する登記申請は受けつけてもらえません。
相続した不動産を第三者に売却するには、相続人が被相続人(亡くなった人)から相続によって不動産を取得し、それを第三者に売却するという流れになります。そのため、被相続人から相続人への相続登記と、相続人から第三者への売買に基づく所有権移転登記が必要です。
第三者へ所有権移転登記をするためには、前提として相続登記が必要なため、相続登記をしていない不動産を第三者へ売却できないのです。
なお、相続登記をしていなくても、不動産の売買契約を締結すること自体は可能です。
しかし、相続登記の役割は、不動産の所有権を第三者に主張(対抗)することにあります。相続登記がされていない不動産を購入しても、買主は不動産の所有権を主張できません。この点からも、相続登記なしに不動産は売却できないといえるでしょう。
相続登記とは
相続登記とは、不動産の名義を被相続人(亡くなった人)から相続人に変更する手続きのことです。相続した不動産を第三者に売却する予定がなくても、相続登記をしなければなりません。
ここでは、相続登記をしないとどうなるのかに触れたうえで、相続登記の義務化について解説します。
相続登記をしないとどうなる?
相続登記をしないで放置しておくと、手続きがより複雑になったり、ほかの相続人の協力が得られなくなったりして、必要なときに手続きを行えなくなるおそれがあります。
相続登記を行うには、遺言書もしくは相続人全員が同意した遺産分割協議書※が必要です。
手続きをしないまま時間が経つと、相続人が亡くなってさらに相続が発生して相続人の数が増えていくことがあります。認知症によって、遺産分割協議の同意手続きができなくなる相続人が出てくることもあるでしょう。
相続人の数が増えると、新しい相続人を含めての話し合いが必要になりますし、認知症の相続人がいると、成年後見人※を選任しなければならなくなります。
手続きが複雑にならないように、相続人の話し合いが終わって遺産分割協議書を作成できるようになったら、すぐに相続登記をしておくべきです。
相続登記が義務化される
実はこれまで、相続登記は義務ではありませんでした。しかし、令和3年4月に相続登記を義務化する法律が制定され、この法律は令和6年4月1日からの施行が決定しています。
相続登記の義務化以降は、不動産の相続を知ってから3年以内に相続登記の申請を行わなくてはならなくなります。また、正当な理由なく申請を怠った場合は10万円以下の過料が科されるおそれもあるため、注意が必要です。
相続登記の義務化は、令和6年4月1日以前に発生した過去の相続についても適用されます。過去の相続について相続登記の申請をしていない場合は、施行日である令和6年4月1日から3年以内に相続登記の申請が必要です。
第七十六条の二 所有権の登記名義人について相続の開始があったときは、当該相続により所有権を取得した者は、自己のために相続の開始があったことを知り、かつ、当該所有権を取得したことを知った日から三年以内に、所有権の移転の登記を申請しなければならない。(略) 不動産登記法 第七十六条の二
(略)第七十六条の二第一項若しくは第二項又は第七十六条の三第四項の規定による申請をすべき義務がある者が正当な理由がないのにその申請を怠ったときは、十万円以下の過料に処する。 不動産登記法 第百六十四条
相続登記が義務化された背景
相続登記の義務化には、相続登記の放置により「所有者不明土地」が大量に発生している背景があります。所有者不明土地とは、登記簿から所有者が判明しない土地や、所有者との連絡が取れなくなっている土地のことです。
所有者不明土地が発生すると、土地を活用した公共事業を進められなくなったり、管理者不在による隣地への悪影響を与えたりするおそれがあります。
所有者不明土地の増加は、少子高齢化の影響によりさらに深刻となる可能性も高いため、相続登記の義務化が行われたのです。
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相続登記の必要書類と手続きの方法
相続登記に必要な書類を紹介したうえで、費用(登録免許税)と具体的な手続き方法を解説します。
必要な書類
相続登記に必要な書類は、遺言書がある場合とない場合とで異なります。
遺言書がある場合
- 遺言書
- 相続関係説明図
- 固定資産税納税通知書(被相続人が保管していれば)
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍
- 被相続人の住民票の除票
- 相続人それぞれの戸籍謄本
- 相続登記する相続人それぞれの住民票
- 不動産の登記事項証明書
- 登記済権利証もしくは登記識別情報
- 所有権移転登記申請書
遺言書がない場合
- 遺産分割協議書
- 相続関係説明図
- 固定資産税納税通知書(被相続人が保管していれば)
- 被相続人の出生から死亡までの戸籍
- 被相続人の住民票の除票
- 相続人それぞれの戸籍謄本
- 相続登記する相続人それぞれの住民票
- 不動産の登記事項証明書
- 登記済権利証もしくは登記識別情報
- 所有権移転登記申請書
戸籍は、被相続人や相続人それぞれの本籍地で取得する必要があります。被相続人の本籍地が移動している場合は、すべての本籍地で戸籍を取得しなければなりません。
固定資産税納税通知書が見つからない場合は、市役所の市税課にお問い合わせください。
登録免許税の納付
相続登記を行うには、法務局で登録免許税を納付する必要があります。
登録免許税の額は、不動産評価額の1000分の4の金額です。たとえば、評価額が1,000万円の不動産では、登録免許税として4万円がかかります。
相続登記の手続き
相続登記の手続きは、登記申請書に必要書類と登録免許税を添えて、不動産の所在地にある法務局で行います。
相続登記の申請には、役所から書類を集めるだけでなく、登記申請書や相続関係説明図の作成が必要です。遺言書がない場合は、遺産分割協議書も作成します。
書類の作成や収集、申請手続きを自分で行うのが難しい場合には、司法書士にすべての手続きを依頼することもできます。司法書士に依頼する場合の費用相場は、書類の取得費や登録免許税を除いて約5万~10万円です。
不動産の相続について相続人の意見がまとまらない場合には、遺産分割協議書を作成できません。そういった場合は、調停や訴訟で解決します。
手続きが完了するまでかかる期間
相続登記を行うには、相続人の範囲を確定させて、戸籍謄本や住民票などを収集する必要があります。相続人の数が多い場合や、被相続人が本籍地を移転している場合は、複数の役所とやり取りをして戸籍を取り寄せなくてはなりません。
そのため、戸籍謄本や住民票を集める作業として、早くても約1カ月、作業が多いと数カ月かかることもあるでしょう。
遺言書がある場合には、裁判所での遺言書の検認手続きが必要です。検認手続きには、約1~2カ月の期間がかかります。
遺言書がない場合は、遺産分割協議書の作成が必要です。相続人間での話し合いがまとまれば作成に時間はかかりませんが、相続争いが発生すると、数年かかるケースも珍しくありません。
相続登記の申請に必要な書類がそろっている場合は、申請から約10日で手続きが完了します。
相続登記が完了すれば売却できる
相続登記の手続きを終えたら、晴れて相続した不動産の売却が可能になります。相続登記で登録免許税を支払うときに不動産評価額をもとにしますが、実はこの価格で不動産を売却できるとは限りません。実際に売買される市場価格と、不動産評価額は異なるのです。
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この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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