やってはいけない空室対策【アパート経営の基本】
アパート経営をしていると、なかなか空室を埋められないことがあります。空室があるとそれだけ家賃収入が減るため、早急に対策すべき課題です。
しかし、空室を埋めることに焦るあまり、やってはいけない空室対策をしてしまうおそれがあります。
その場しのぎの空室対策は、のちのちのアパート経営によくない影響をおよぼします。やってはいけない空室対策を知り、適切な空室対策に取り組みましょう。
空室は早急に取り組むべき課題
所有している賃貸物件に空室が出たら、早急に空室対策を行いましょう。なぜなら、空室が増えれば、オーナーの家賃収入が減ってしまうためです。
正しい空室対策を行わず徐々に空室が増えていき、アパート経営がうまくいかないオーナーも少なくありません。いま賃貸物件の空室率が深刻化しており、今後も人口減少とともに空室は増えていく一方です。
しかし、賃貸物件に住む人がいなくなったわけではないため、正しい空室対策を行うことで満室を保てるかもしれません。正しい空室対策に取り組み、健全なアパート経営を取り戻しましょう。
やってはいけない!空室対策 4選
空室対策自体は重要ですが、なかにはやってはいけない空室対策があります。
どの対策も一時的には効果が出るかも知れませんが、ときを経るにつれ悪影響を受けるかもしれません。
やってはいけない空室対策の代表例には、次のものがあります。
- 周辺相場より家賃を安く設定する
- ペット可物件にする
- きれいにリノベーションをする
- 審査基準を下げて入居者の幅を広げる
これらの空室対策の問題点をチェックしてください。
周辺相場より家賃を安く設定する
周辺相場よりも安い家賃で募集をすることで、賃貸サイトの検索で物件情報を閲覧されたり、入居の申し込みが増えたりする可能性が高くなります。空室対策として安い家賃設定は効果的です。ほとんど手間がかからないのもメリットです。
ただし、入居率が上がるものの小さくないデメリットがあるため、安易に選んでよい方法ではありません。
【NG!】利回りが悪化する
空室の期間が長引くと、どうしても相場よりも安い家賃を設定してしまいがちです。しかし、相場より家賃を安くすることで、利回りが悪くなるというデメリットがあります。
ただし、築年数が経ったにもかかわらず、家賃を上げるには急激なインフレや周辺相場の変動などの理由が必要です。家賃を一度下げると、簡単に上げることはできないと思っておきましょう。
現状の利回りを把握したうえで、どれくらいなら下げても問題ないのかをしっかり計算することが大切です。
ペット可物件にする
アパートなどの賃貸物件にはペットの飼育ができる物件が少ないため、ペット可にするだけでも空室対策になります。ペットの需要が高まっているいま、ペット可物件の需要はどんどん高まっていくことでしょう。
【NG!】室内にペットの臭いが染みつく
ペットを飼育されることで、室内にペットの臭いが染みついたり、床や建具を傷つけられたりすることがあります。そのため、ペット可の物件は原状回復にお金がかかることが多く、オーナーのデメリットは少なくありません。
アパートをペット可に変更することで、これまで住んでいた入居者が退去してしまうおそれもあります。そういったデメリットをよく考えたうえで、ペット可物件への変更を検討しましょう。
きれいにリノベーションをする
室内がきれいなほうが、入居の決まる確率が上がります。資金に余裕があるなら、古い設備を交換し、壁紙や床も新しく貼り替えて募集すると効果的です。
築年数が古くても室内がきれいであれば問題ない、という人が多いため、効果的な空室対策といえるでしょう。
ただし、実際に行うのであれば、慎重に検討を重ねる必要のある方法です。
【NG!】大幅な家賃アップが見込めない
リフォームやリノベーションには、多額の費用がかかるという問題があります。
正直なところ、リノベーションをしても築年数が新しくなるわけではないため、大幅な家賃アップは見込めないでしょう。空室が早く埋まる可能性はあるものの、かけた費用ほど家賃が上がらないのです。
リフォームにかかった費用を回収するまで、相当な期間がかかるかもしれません。最低限のリフォームは必要ですが、思い切ったリノベーションをする前に、ほかにできる空室対策を試してみましょう。
審査基準を下げて入居者の幅を広げる
空室期間が長くなってしまったときは、通常より審査基準をゆるめて入居者を募集する方法があります。家賃保証会社を利用すれば、滞納されるリスクを抑えることも可能です。
オーナーにとって空室が続くことが、もっともよくない状態です。入居の申し込みが少ないのであれば、審査基準を下げてでも入居してもらうことが空室解消の近道といえるでしょう。
【NG!】入居者の属性が悪くなる
審査基準を下げると空室は埋まりやすくなりますが、同時に入居者の属性が下がります。通常であれば断るような人でも入居させてしまうと、部屋の使い方が悪かったり、入居者間でトラブルが発生したりする原因になりかねません。
いまはアパートの評判が、インターネットで共有されています。トラブルが発生すると悪い評判がインターネットに広がり、入居希望者の減少につながるおそれがあります。一時的な空室解消にはなっても、物件の将来に影響するリスクがあると考えておきましょう。
空室対策を行うときはリサーチが重要
やみくもに空室対策をしたところで、賃貸物件を探している人のニーズに合っているとは限りません。正しく空室対策を行うには、事前のリサーチが重要です。空室対策を行うにあたって、どのようなリサーチを行う必要があるのか解説します。
- 周辺のアパートの設備などを調べる
- 周辺地域の特性を調べる
- いま人気の設備がなにかを知る
- 競合物件の広告や写真の撮り方をリサーチする
- 近隣の家賃相場を調べる
それぞれのリサーチについて解説します。
周辺のアパートの設備などを調べる
賃貸サイトをチェックして、周辺のアパートの設備を確かめてください。周辺のアパートにあって所有する物件にはない設備があれば、それが原因で入居者が集まらないのかもしれません。
オートロックをあとから導入することは難しいですが、次の設備はあとから設置できます。
- 宅配ボックス
- 温水洗浄便座
- TVモニターつきインターフォン
- 2口以上のコンロ など
周辺物件の設備をチェックしたうえで必要な設備を充実させることで、入居率を高められるかもしれません。
周辺地域の特性を調べる
周辺地域の特性を調べてファミリー層が多いのか、単身世帯が多いのかなど、どういった人が賃貸物件を探しているのかをチェックしましょう。単身世帯でも社会人や学生によってアピールの仕方、導入を検討する設備も変わります。
適切な空室対策を行うために、アパート周辺の特性をあらためて調べておきましょう。以前に調べて把握していたとしても、アパート経営をしているうちに周辺施設のオープン、クローズなどの影響で地域特性が変わっていることもあります。
いま人気の設備がなにかを知る
いま人気の設備はなにかを知ることで、ニーズに合った空室対策ができます。
たとえば、新型コロナウイルス流行の影響で非対面での荷物受け取りが増えたため、宅配ボックスの需要が高まりました。単身世帯には宅配ボックスがあれば、不在でも荷物が受け取れるメリットがあります。
間取りを変えることは簡単ではありませんが、いま人気の設備を取り入れて付加価値をつければ、入居率アップにつながるでしょう。
競合物件の広告や写真の撮り方をリサーチする
空室が出てもすぐに埋まるアパートは、どのように広告を出しているか徹底的にリサーチしましょう。
賃貸サイトで室内写真の撮り方やキャッチコピーの書き方など、賃貸物件を探している人の目を留めるために、どういった工夫をしているのかチェックしてください。逆に情報不足や不親切さを感じたら、その理由を考えてみるのもよいでしょう。
ほとんどの人は、賃貸サイトを見て物件探しをします。問い合わせを獲得するために、競合物件よりよい広告を掲載し、興味を持ってもらいましょう。
近隣の家賃相場を調べる
なかなか問い合わせがないのであれば、家賃が高いと感じられている可能性があります。基本中の基本ですが、近隣の類似物件の家賃を調べてみましょう。賃貸物件はそれぞれ立地や設備、築年数などが異なるため、相場に見合った家賃を決めるのは困難です。
まずは賃貸サイトで同じ価格帯の物件と比較してみましょう。そして、ほかの物件の優れているポイントをリストアップしてください。リストをもとにして相場に見合うように家賃を下げるのか、もしくは付加価値をつけるのかなどを検討しましょう。
試しておきたい空室対策のアイデア
空室対策の方法はいくつもあるうえに、すべての物件に共通して効果があるとは限りません。ここでは、すぐに試せる空室対策のアイデアを紹介します。
- インターネット無料サービスを導入する
- 宅配ボックスを設置する
- フリーレントをつける
- 共用部分の清掃を強化する
- 簡易的なモデルルームをつくる
- 賃貸管理会社のサポートを受ける
比較的すぐに採り入れられる対策ばかりなので、空室に困っていたらまず試してみましょう。
インターネット無料サービスを導入する
スマートフォンのプランによっては通信量に制限があり、一日中モバイル通信を利用していると1カ月も持たないこともあります。そのため、大学生や新社会人が多い単身向けの物件であれば、インターネットを無料にすることで注目を集められる可能性があります。
アパートではインターネットを使い放題にできる、インターネット無料サービスの導入を検討してください。
宅配ボックスを設置する
設置スペースが必要ですが、宅配ボックスは需要の高い設備です。
新型コロナウイルスの流行によって非対面での受け取りが当たり前になっていること、不在時でも荷物の受け取りができることなどの理由から、宅配ボックスがあるだけで興味を持ってもらえる可能性があります。
不在にしていることが多い単身者向けのアパートだと、宅配ボックスは効果的でしょう。
フリーレントをつける
フリーレントとは家賃の無料期間を特典として提供することです。契約日から一定期間の家賃を無料にすることで、引っ越しにかかる初期費用を抑えられます。複数の物件を検討している人には、最後のひと押しとして効果的です。
フリーレントの期間分だけ家賃収入が減ってしまうものの、空室期間が長引くとそれだけ収入が減ってしまいます。フリーレントをつけて、1日でも早く空室を埋めたほうが結果的に収入増につながるでしょう。
共用部分の清掃を強化する
入居希望者が内覧するときは、共用部分の清掃が行き届いているか、建物自体に清潔感はあるかなど、外見的な要素を中心に見られています。
そのため、共用部分を清掃する頻度を増やしたり、ゴミ捨て場を片づけたりと清潔感を保つように努めることで入居率のアップが見込めます。
簡易的なモデルルームをつくる
空室をモデルルームのように演出するのも、内覧で好印象を持ってもらうのに効果的です。
分譲住宅のようなモデルルームをつくる必要はありません。小さなラグ・マットを敷いたり、ローテーブルを設置したりする程度でも、入居したときのイメージがしやすくなります。賃貸サイトへ掲載する写真の見栄えもよくなるでしょう。
賃貸管理会社のサポートを受ける
もし所有するアパートを自主管理しているのであれば、賃貸管理を専門の会社へ委託するのもひとつの方法です。客づけや物件清掃などを任せられるため、賃貸管理の負担を大きく減らせるでしょう。
賃貸管理会社にはさまざまな会社があるため、複数社を比較、検討することが基本です。「リビンマッチ賃貸管理」で物件情報や連絡先を入力すれば、複数の賃貸管理会社へ資料を一括請求できるうえに、家賃の査定を受けられます。
空室対策、賃貸管理で悩んでいるのでしたら、賃貸管理会社への委託も検討してみましょう。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
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