一戸建てからマンションに住み替える利点と後悔しないためのポイント
快適な住まいは、ライフスタイルに合わせて常に変化します。そのための選択肢として考えられるのが、現在住んでいる一戸建てからマンションへの住み替えです。
- 子どもが独立して広い家が不要になった
- 立地のよい場所に住みたい
- バリアフリーで安全に暮らしたい
といった住まいに関する悩みは、マンションに住み替えることで解決できるかもしれません。
しかし、マンションではひとつの建物で複数の世帯が生活を営んでいます。一戸建てとは生活環境が異なるため、実際に住み替えたあとに後悔するケースが少なくありません。
では、一戸建てからマンションに住み替えた人は、どのようなところで後悔をしているのでしょうか。
ここでは、一戸建てからマンションへ住み替えたときに後悔しやすいポイントと、後悔を避ける方法を解説します。
もくじ
一戸建てからマンションへの住み替えで後悔するポイント
一戸建てからマンションに住み替えた場合、後悔するおそれのあるポイントは以下のとおりです。
- 近隣の騒音
- 修繕積立金・管理費の支払い
- 管理組合のルールが厳しい
- 理事会への参加がある
住み替えを失敗したからといって、簡単に引っ越せません。後悔をしたまま住み続けないためにも、それぞれのポイントを確認しておきましょう。
近隣の騒音
集合住宅に慣れていない人がマンションに住んだ際に後悔するのが、近隣の騒音です。マンションやアパートなどの集合住宅は、上下左右の住居が隣接しています。そのため、生活音や振動が、一戸建てと比べて伝わりやすくなります。
騒音問題になりやすいのは、下記のような音です。
- 生活音
- 子どもが走り回る音や大声・泣き声
- 話し声
- ペットの鳴き声
- テレビの音
- 楽器や音楽を聴く音
- 車やバイクのエンジン音
マンションの掲示板によく「生活音に注意してお住まいください」と張り紙が出されているように、近隣の騒音はマンションに住むうえで、常に気にしなければいけない問題です。
近隣の騒音が気になるときは、双方で話し合いをして解決をします。ただし、対応を間違うと大きなトラブルにつながるおそれがあるため、慎重に進めましょう。
近隣住民から音に関して苦情を受けることもある
一戸建てに住んでいた人がマンションに住み替えた場合、騒音をだす側になることがあるかもしれません。一戸建ては近隣と離れているため、マンションと比べると生活音を気にする機会が少ないためです。たとえば、足音や物を床に落としたときの音、声のボリュームは隣接する部屋に響きやすく、一戸建てと同じ感覚で生活をすると近隣から苦情がくるおそれがあります。
近隣トラブルに発展すると、住みにくさを抱えながら過ごすことになります。とくに早朝や深夜の生活音は一戸建てに住んでいるときより注意しましょう。
修繕積立金・管理費の支払い
マンションに住むと、管理費・修繕積立金がかかります。
管理費は、エントランスやエレベーターなどの共有部分の管理に使われる費用となり、修繕積立金は、マンションを維持管理するための修繕に使われる費用です。管理費・修繕積立金は、マンションによって異なるため、一律ではありません。また、同じマンションであっても入居状況や建物の築年数によって変動し、一般的には築年数が古くなるほど金額が高くなる傾向があります。
住み替え先のマンションによっては、一戸建てよりも毎月の負担が大きくなり、後悔するおそれがあります。住み替える前に修繕積立金・管理費がどれくらいかかるのか確認しておきましょう。
駐車場の利用に費用がかかる
一戸建てからマンションに住み替えると、駐車場の利用料金が別途かかる場合があります。
一戸建てであれば、敷地内に自動車や自転車を停めても費用はかかりません。しかし、マンションによっては別途契約をして、毎月の利用料金を支払うことになります。
また、マンションの駐車場は、台数に制限があることがほとんどです。空きがない場合は、近隣の月極駐車場などを契約する必要があります。駐車場の利用料金は、マンションによってことなります。金額が高いと金銭的な負担が増えるため、住み替え前に確認しておきましょう。
管理組合のルールが厳しい
マンションには、ひとつの建物に複数の世帯が暮らしているため、安心安全な日々を送れるように、管理組合が「管理規約」を制定しています。管理組合は、分譲マンションの所有者全員で構成される組織です。管理規約は共用部分の使用方法、理事会の権限や義務といったマンションを維持・管理に必要なルールだけでなく、組合員の賛成が4分の3以上あれば、新しく制定できます。そのため、マンション独自のルールが定められていることも珍しくありません。
制定されるルールにはたとえば、下記のようなものがあります。
- 楽器を演奏できる時間
- 飼育できるペットの数
- 民泊の可否
- 駐車場の利用可能台数
など
そのため、厳しいルールが制定されているマンションに住み替えると、自由度が下がるため後悔することがあります。一戸建てからマンションに住み替える場合、事前にマンションの管理規約を確認しておくとリスクを回避できます。
理事会への参加がある
マンションを所有すると、管理組合に加入することになります。管理組合への加入は法律で定められているため、町内会のように未加入や途中で抜けるということができません。
さらに管理組合には、管理業務を行う理事会という組織があり、組合員のなかから役員が選定されます。理事会の役員には「理事長」、「副理事長」、「会計」などの役職があり、数年に一度回ってくるおそれがあります。
理事会の役員に選ばれると、月に一回開催される理事会に参加します。理事会では、管理会社からの報告や、マンションで起きているトラブル、改善点などについて話し合います。
一戸建てからマンションに住み替えた際、理事会への参加に時間を割く必要があるため、後悔することがあります。
しかし、最近ではマンションの管理や理事会をすべて管理会社に依頼するマンションも出てきています。理事会役員をやりたくないという場合は、そのようなマンションを選ぶのも有効な手段です。
一戸建てからマンションに住み替える利点
一戸建てからマンションに住み替えると下記の利点があります。
- セキュリティ性が高く安心して住める
- 設備が充実している
- バリアフリーで老後も安全に暮らせる
- 資産価値が落ちにくい
マンションに住み替えることは悪いことばかりではなく、よいことも多くあります。それぞれの利点を確認しておきましょう。
セキュリティ性が高く安心して住める
築年数の浅いマンションであれば、ほとんどがオートロックのため、不審者の侵入を防げます。ほかにもテレビモニター付イヤホンや、防犯カメラ、複製のしにくい鍵などを採用しているため、一戸建てと比較するとセキュリティ性が高くなっています。
また、マンションは管理人がいるというのも心強い点です。出入りする人の監視や、建物内の巡回をしてくれるため、防犯対策につながります。
設備が充実している
住み替え先のマンションによっては、一戸建てにない設備が用意されている場合があります。代表的な設備では、不在時でも宅配便を受け取れる宅配ボックスや、24時間いつでもゴミが捨てられる24時間ゴミステーションが挙げられます。
さらに、グレードの高いマンションであれば敷地内に公園やマンション内にプールやトレーニングジムがある場合もあります。
ただし、設備が充実している分、毎月の管理費が高額になる傾向があります。使わない設備が充実していても、金銭的な負担が大きくなるだけなので注意が必要です。
バリアフリーで老後も安全に暮らせる
マンションは、基本的にはワンフロアで生活が完結します。朝起きたら階段を下りてリビングに行くことも、洗濯物を干しに階段を上ることもありません。
高齢になると階段の上り下りが辛くなります。また階段や段差があると、つまずいてケガをする危険性があります。しかし、フラット設計のマンションであれば、段差も比較的少なくケガをするリスクが低いため、老後の生活も安心です。
また、室内の廊下幅にゆとりがあり、車イスで旋回できるようになっているマンションもあります。ほとんどのマンションの入り口にスロープがついているので、移動がしやすくなるでしょう。
資産価値が落ちにくい
マンションは、一戸建てと比較して資産価値が落ちにくいといわれています。理由のひとつが耐用年数です。建物の価値は耐用年数が長いほど落ちにくく、マンションの多くで使われる鉄筋コンクリート造(RC造)の法定耐用年数は47年です。
一方、一戸建てで使われる鉄骨造(S造)は37年、木造(W造)は22年と、鉄筋コンクリート造(RC造)よりも耐用年数が短くなっています。
また、マンションは毎月の修繕積立金があるため、定期的にメンテナンスを行い価値を保てます。そのため、一戸建てよりもマンションを所有していたほうが、将来的な出口戦略が立てやすいでしょう。
マンションの住み替えで後悔しないポイント
マンションの住み替えで後悔をしないためには、下記の点を確認しておきましょう。
- 綿密な情報収集を行う
- 築浅を選ぶ
- 無理のない資金計画を立てる
長く住むことが想定されるなら、現在の希望を満たせるだけでなく、10年、20年と住んだときにどのような暮らしをしたいかを考えておくことも大切です。
綿密な情報収集を行う
マンションに住み替えて後悔をしないためには、入念な下調べが不可欠です。
まず確認してほしいのが立地です。車を手放してしまうと、バスや電車での移動がメインになるので、いざ使用するのに不便だと生活の質が落ちてしまいます。
また、マンションを内覧するときは、室内だけでなく、ゴミ置き場や駐輪場、郵便ポストなども確認しておきましょう。ゴミが散乱していたり放置自転車が多かったりすると、管理会社がしっかりと機能しておらず、住み替えたあとに快適な生活を送れないかもしれません。管理されていないマンションは買い手が見つかりにくいため、売却するときに価値が下がりやすい傾向があります。
マンションの購入価格については、周辺の相場価格を調べて適正かどうかを判断します。もし、相場価格との差が大きければ、その理由を確認します。相場価格よりも安い場合は瑕疵物件の場合があるため、しっかりと不動産会社に確認することが大切です。
築浅を選ぶ
マンションは、築年数が浅いほど設備も新しいため、快適に住める可能性が高くなります。室内もバリアフリーで設計されていることも多く、老後も住みやすいでしょう。
また、室内の配管も築浅のマンションを選ぶとメリットがあり。廊下などの共用部の配管取り換えは修繕積立金などでまかなえますが、室内の配管関係は居住者の負担となります。配管の耐用年数は使われている材質によっても異なりますが、20~30年といわれています。住み替えの際に配管が老朽化していれば、追加工事が必要になるためその分高額な費用がかかるかもしれません。
マンションは築年数が古くなるほど、入居してから高額な修繕費などがかかることがあります。そのため、住み替え先はなるべく築浅のマンションを選ぶようにしましょう。
無理のない資金計画を立てる
一戸建てからマンションに住み替えると、住宅ローン、管理費、修繕積立金、駐車場などさまざまな費用がかかります。マンションによっては、一戸建て住宅よりも毎月の支出が増えるかもしれません。
そのため、住み替え前に毎月の支出と収入のバランスをしっかりと確認しておくことが大切です。住み替え後の収支について自身で判断できる自信がないという場合は、不動産会社やファイナンシャルプランナーに相談してみましょう。
また、一戸建てを売却するときは、少しでも高い金額で売ることで住み替え後の負担を減らせます。一戸建てを高く売るなら、複数の不動産会社に依頼して比較をすることが大切です。
ただし、不動産会社を1社ずつ確認するのは手間や時間がかかるため、不動産の一括サイトの利用がおすすめです。不動産の一括査定サイト「リビンマッチ」では、複数の優良会社に家の価値を無料査定してもらえます。一度の入力で最大6社の査定価格を確認できるため、一戸建てからマンションへの住み替えの際はぜひご活用ください。
2022年からリビンマッチのコラム記事の執筆・編集を担当しています。不動産の財産分与に関する記事執筆が得意です。住宅設備機器の専門商社に6年間従事した知識と経験を活かして、不動産に関する知りたかったこと、知っておいた方がいいことをわかりやすく伝えられるように心がけています。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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