不動産の査定依頼時に必要な書類を紹介|書類なしでも依頼できる?
不動産査定を依頼するときの、必要な書類について解説します。書類の有無は査定結果に影響するのでしょうか。また、査定時には不要でも売買契約時までには用意しなければいけない書類についても紹介します。
この記事でわかること・できること
もくじ
書類がなくても査定依頼は可能
基本的に、売主側が書類を用意しなくても査定依頼は可能です。必要な書類や不動産・土地に関係する情報は、査定を行う不動産会社でも取得できるためです。
しかし、査定の種類や査定を行う不動産会社によっては、書類提出を求められる場合もあります。まずは査定の種類の違いと、必要な書類について解説します。
不動産査定の種類
不動産査定の方法は「机上査定(簡易査定)」と「訪問査定」に大別されます。それぞれの特徴を紹介します。
机上査定(簡易査定)
不動産の条件(立地、間取り、築年数など)を市場データと照合して査定価格を算出する方法です。
データだけで算出できるため、すぐに査定価格がわかります。目安としては1〜3日程度、不動産会社によっては当日に結果が出ることもあります。一括査定サイトを利用して複数社へ同時に査定依頼することも可能で、不動産会社を選定する基準にもなります。
しかし、あくまで簡易的な査定のため、正確な価格とはいえません。算出された査定価格はあくまで参考程度と考えておきましょう。
訪問査定
不動産会社の担当者が現地に行って不動産の状態や周辺状況を確認し、査定価格を算出する方法です。
実際に不動産を細かくチェックするため、精度の高い査定が可能です。また、不動産会社から査定書がもらえ、価格の根拠を示しやすくなります。また、不動産会社の担当者と直接コミュニケーションが取れることから、不動産会社との相性を見極めるのにも役立ちます。
しかし、訪問査定には所有者の立会いが必要になり、不動産会社とスケジュールのすり合わせをする必要があります。また、査定価格が出るまでに1週間程度待たなくてはなりません。
机上査定と訪問査定の活用法
机上査定・訪問査定は活用できる段階が異なります。机上査定は検討段階、訪問査定は実際に売却を考えている際に向いている方法です。両方を適切に組み合わせることで、効率のよい売却活動が可能になります。
たとえば、以下のような活用が望ましいでしょう。
- 机上査定(簡易査定)で大まかな価格の把握と不動産会社の絞り込みを行う
- 訪問査定で正確な査定価格を出し、査定書をもらって売却活動を始める
机上査定に必要な書類
机上査定の場合、基本的に書類は不要です。一括査定サイトであれば、物件の種類、所在地、専有面積、間取り、築年数といった基本データを入力するだけで査定が完了します。できるだけ適正な査定価格が算出できるよう、正確なデータを調べておきましょう。
訪問査定に必要な書類
訪問査定の場合も、売主が書類を準備する必要はほとんどありません。必要であれば不動産会社が取得します。
査定を円滑に進めるためにあるとよい書類
訪問査定は家の状態や周辺環境についても細かくチェックされ、査定価格が算出されます。その際、それらの情報がよりよくわかる書類があると、査定が円滑に進み、正確な価格算出に役立ちます。とくにあると役立つ書類と、紛失してしまっている場合の対応について解説します。
周辺地域の様子がわかる書類
鳥瞰図・俯瞰図など、周辺地域の様子がわかる書類があると便利です。なければ無理に準備する必要はありません。
土地や建物の詳細がわかる書類
法務局で取得できる以下の書類は、土地や建物の正確な情報がつかみやすく、査定に役立ちます。
- 公図:土地の位置や形状を確定した図面で地番や接道状況がわかる
- 土地所在図、地積測量図:土地の所在や測量結果を表した図面
- 建物図面、各階平面図:建物の位置や各階の部屋の形状を表示した図面
上記の書類は法務局で取得できますが、インターネットでの取得も可能です。
法務局で取得できる建物図面や各階平面図は、部屋の形や広さといった大まかな情報しかわかりません。正確な間取りを把握するためには、家やマンションを購入したときのパンフレットや、契約時に添付されている設計図などが役立ちます。
紛失してしまった場合は、不動産会社や建築会社に相談しましょう。
家の性能や状態がわかる書類
家の性能や状態がわかる書類があると、より正確な査定価格が算出できます。
住宅性能評価書
国土交通大臣に登録した第三者機関が住宅性能を公平に評価し、その結果を表示した書類です。地震や火災に対する安全性や耐久性、維持管理のしやすさなどが評価基準となります。
紛失してしまった場合は、評価書を発行した評価機関に申請することで再発行が可能です。
耐震診断報告書
耐震診断を行った際に発行される書類です。紛失してしまった場合は、診断を行った自治体に相談しましょう(再発行を行っていない自治体もあります)。
アスベスト使用調査報告書
アスベスト使用調査を行った際に発行される書類です。マンションの場合、アスベスト使用調査を行っている場合があるため、管理組合もしくは管理会社に相談しましょう。
また、2006年9月1日以降に着工・建設されている建物はアスベストが含まれている可能性がないため、アスベスト使用調査報告書は不要です。
ホームインスペクション報告書
ホームインスペクションとは、住宅診断士が住宅の劣化状況や不具合の有無、回収すべき箇所や時期、おおよその費用といった、いわゆる「建物のコンディション」を明らかにし、アドバイスを行うことを指します。
物件の状況がわかりやすくなるため、ホームインスペクションを行うことで、不動産売却の際にも有利に働きます。紛失してしまった場合は、ホームインスペクションを依頼した会社に相談してみましょう。
売買契約時や引き渡しまでに必要となる書類
査定時にはさほど書類を準備する必要はありませんが、売却活動を進めるに当たり、さまざまな書類が必要になります。とくに重要な書類と、紛失した場合の対応法を紹介します。
登記識別情報または登記済証(権利証)
登記識別情報や登記済証(権利証)は、不動産を購入して所有者となった際に、法務局から渡される書類です。売主しか持っていないため、所有者であることの証明になります。
2005年3月に、法改正により登記済証から登記識別情報に順次変更になりました。登記済証や登記識別情報は、原則として再発行ができません。所有権移転時にこれらの書類が提出できない場合は「事前通知」や資格者代理人による本人確認などほかの方法も利用できますが、時間や費用がかかります。非常に重要な書類ですので、厳重に保管しましょう。
抵当権抹消書類
抵当権抹消書類とは、住宅ローンを完済し、金融機関による抵当権を抹消したことを証明する書類です。原則として、不動産は抵当権を外してから売却する必要があります。
売却益でローン残債を支払う場合は、決済日に抵当権抹消手続きを行い、書類をもらいます。紛失してしまったときは、金融機関に再発行を依頼しましょう。
本人確認書類
運転免許証やパスポート、マイナンバーカードといった本人確認書類を準備します。提示するだけでよく、コピーを取る必要はありません。
印鑑証明書
印鑑証明書と実印を準備します。印鑑証明書は市役所で発行できるほか、自治体によってはコンビニ発行も可能です。
土地測量図・境界確認書
戸建住宅の場合は、土地の面積が記された「土地測量図」や、隣の土地との境界が明確に記載された「境界確認書」が必要です。書類を紛失してしまった場合は、法務局に写しを請求できます。
固定資産税、都市計画税納税通知書のコピー
売主と買主の間で固定資産税・都市計画税を清算するために必要です。再発行は行っていませんが、物件ごとの評価額や税額の明細が記載された「名寄帳」を発行できます。発行方法は自治体によって異なるため、市役所の税務窓口に相談しましょう。
固定資産評価証明書
所有権移転登記のための登録免許税を計算するために必要です。必ず、売却時期と同年度のものを準備しましょう。市役所で取得可能です。
マンションの関係書類
マンションを売却する場合は、マンションの関係書類も準備しておきましょう。とくに重要性の高い書類としては以下のようなものがあります。
- マンションの管理規約
- 長期修繕計画
- 総会議事録
- 管理に係る重要事項調査報告書
手元にない場合は、管理会社に依頼して発行してもらいます。また、不動産管理会社が準備してくれることもあります。
不動産会社に確認を
査定や売買契約時に必要な書類は、不動産会社や物件の種類によって異なります。必ず仲介を依頼する不動産会社に確認してください。
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大手住宅メーカーの注文住宅販売や不動産テック企業の仲介業務に4年間携わり、不動産取引にかかわった件数は350件以上にわたります。2021年よりリビンマッチコラムの執筆・編集を担しています。皆さんが安心して不動産取引を行えるよう、わかりやすくリアルな情報を発信します。
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リビンマッチ編集部
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