【誰でもわかる】不動産の時価ってなに?4つの調べ方を実戦形式で解説
不動産の時価とは、その不動産がその時点で売れる価格のことです。本記事では、不動産の時価の概念をはじめ、時価の調べ方や計算方法をわかりやすく解説します。
もくじ
時価って、いつの価格?
回らないお寿司屋さんで、「大トロ」「イクラ」「ウニ」などの高級ネタの価格に「時価」と記載されていることがあります。
値段は不明というわけではなく、仕入れ値に左右されるので、その日、その時の値段ということです。英語ではこれをmarket price「市場価格」といい、アメリカのレストランでも、高級な魚介類などのメニューに「market price」と表示されていることがあります。
また、時価は経済用語でも「市場価格」と表現されます。同じモノであれば、販売価格は原価より高いほど利益が増えるので、売りたい人は増えます。反対に、買いたい人は販売価格が高いほど少なくなり、低いほど多くなります。この需要曲線と供給曲線が交わる点で決定されるのが市場価格、すなわち時価です。
もちろん、価格決定要素はほかにもあるため、必ずしも需給バランスがとれた点が「時価」になるわけではありませんが、理論的には時価と定義されます。
整理すると、時価という言葉の意味は「市場が決定したその時点での価格」ということです。
不動産の時価は相対価格!市場価格ではない
国税庁の「財産評価基準通達」(令和5年8月6日改正)によると、財産の価額を決めるのは時価であり、時価とは「課税時期において、それぞれの財産の現況に応じ、不特定多数の当事者間で自由な取引が行われる場合に通常成立すると認められる価額」と定義されています。
つまり、「その財産がその時点で売れる価格」ということになるでしょう。しかし、売れる価格というのはあいまいです。
お寿司屋さんの大トロは、その日の仕入れ値によって時価が変動しても、その明確に示されていない価格は、お客さんによって変わるわけではありません。いわば、その日の価格=時価は固定されています。しかし、土地の時価は少し話が違います。
たとえば、地主さんが1,000万円で売りに出した土地について、900万円なら買うという人もいれば、1,100万円を出してでも買いたいという人がいるかもしれません。また地主さんが売却を急いでいるような場合、買い手が即金で850万円というような指値(値引き交渉)をするケースもあるでしょう。
そのため、土地の時価というのは、絶対的なものではなく、相対的なものだといえます。
そもそも不動産ってなに?
民法第86条第1項によると、不動産は以下のように定義されています。
(不動産及び動産)
第八十六条 土地及びその定着物は、不動産とする。
引用:民法「第八十六条(不動産及び動産)」
文字通り、動かない財産ということです。土地は動きません。家はトレーラーハウスのように、物理的に動かせるものを除き、建物も「定着物」ということで、不動産です。
定着物とは簡単に移動させられないもので、建物以外にも、石垣、敷地の中にある樹木、大きな庭石、池に架けられた橋などがそれに当たります。
ちなみに、土地の所有権に関しては、民法第207条に「法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ」とあり、上空や地下にも所有権の範囲が及びます。
不動産の時価を調べる方法は?
不動産の時価というのは買い手に左右されるため、ピンポイントで価格が出ることはありません。
しかし、以下のような方法で簡単におおよその時価を把握できます。
- 資料をもとに自分で計算する
- インターネットで調べる
- 不動産鑑定士に依頼する
ただし、不動産鑑定士に依頼する方法は費用がかかります。条件によって異なりますが、一般的な住宅の場合20~30万円が相場です。また対象となる物件の評価額によって、鑑定費用は変動します。
ここでは、無料でできる資料をもとに自分で計算する方法2つと、インターネットで調べる方法2つの合計4つの調べ方について解説します。
資料をもとに自分で計算する方法
まず、人やシステムの力を借りないで、自分で調べる方法です。
固定資産税納税通知書をチェックする
固定資産税は、毎年1月1日時点の不動産所有者が地方公共団体(自治体)に納める税です。その納めるべき税金を知らせるために、固定資産税納税通知書が4~5月ごろに郵送されます。
通知書に記載されているのは納付額、支払期限だけではなく、固定資産税を算出する基準となった不動産の評価額(固定資産税評価額)です。
土地の固定資産税評価額は、地価公示法にもとづいて、土地鑑定委員会が毎年公示する「公示価格」の70%を目安として算出されます。つまり、その金額を0.7で割れば、時価の目安がわかります。
時価の目安=固定資産税評価額÷0.7
固定資産評価証明書を申請する
固定資産税納税通知書が手元にない場合、紛失した場合などは、その不動産の所有者であれば、固定資産評価証明書を市町村役場で発行してもらえます。
発行手数料は地方公共団体によって異なりますが、約300〜400円です。そこには、以下のような内容が記載されています。これをもとに、時価を算出できます。
項目 | 内容 |
---|---|
所有者 | 固定資産の所有者の名前 |
所在地 | 固定資産の所在地 |
(土地の場合) | 面積、地目、持分 |
(建物の場合) | 家屋番号、建物番号、床面積、構造など |
固定資産税評価額 | 税額を決める基準となる評価額 |
課税標準額 | 特例等適用後の金額 |
宅地の場合、「固定資産税評価額÷0.7」が時価の目安です。
住宅用の土地の時価の目安=固定資産税評価額÷0.7
なお、固定資産評価証明書には固定資産税額は記載されませんが、課税標準額に税率(標準税率は1.4%ですが、地方公共団体によって異なります)をかけることで算出できます。
インターネットで調べる方法
紙の書類を前に計算をしなくても、インターネットで不動産の時価を知る方法が2つあります。
不動産情報ライブラリで類似物件の取引価格をチェックする
不動産情報ライブラリは、不動産取引の透明性を確保するために「不動産の取引価格情報提供制度」にもとづいて、国土交通省が運営するWeb(ウェブ)サイトです。このサイトでは、国土交通省のデータベースをもとに、「不動産取引価格情報検索」、「地価公示・都道府県地価調査」、「不動産取引価格アンケート回答」の3つを行うことができます。
このうち、「不動産取引価格情報検索」の機能を使って、不動産の時価を調べてみましょう。ただし、ピンポイントで自分の土地の時価がわかるということではありません。公示されるポイントの中から、類似物件の情報を検索し、参考にしてください。
それでは、順を追って見てみましょう。
- 「不動産情報ライブラリ」のホームページから「データの検索・ダウンロード」をクリックします。
- 調べたい地域と物件の種類を選択します。
- ダウンロード(Excelでのダウンロードです)または一覧表示をクリックします。
次の画面に移ります。
そして検索結果は、以下のように表示されます。(一覧表示の場合)
実際に表示される項目はさらに多岐にわたり、以下のような項目が表示されます。
- 不動産の種類
- 所在地(町名まで)
- 地域、最寄駅とそこからの距離
- 取引価格
- 土地の坪単価
- 面積
- 1平方メートルあたりの単価
- 形状
- 建物の延床面積
- 建築年
- 構造
- 用途
- 今後の利用目的
- 前面道路の幅員(種類、方位、都市計画)
- 建ぺい率
- 容積率
- 取引時期
- 取引の事情等
確認すべき情報は、取引価格と坪単価(または1平方メートルあたりの単価)です。そのほかの情報も参考にしながら、自分の不動産のおおまかな時価相場を把握してみてください。
なお、短絡的に数字だけをチェックする前に、気をつけてほしいことがあります。
たとえば、都市郊外の新興住宅地などでは同じような数字が並ぶので、その地域の相場を把握することは簡単でしょう。
しかし、同じ町内やその周辺の地域で、事例が1件しかないケースもあります。また、複数の事例があっても坪単価に開きがあるようなケースもあります。そのような地域の土地の価格については、検索結果は参考程度にとどめておきましょう。
不動産一括査定サイトで査定価格をチェックする
不動産情報ライブラリは気軽に不動産の価格を調べられますが、ピンポイントというわけではなく、地域によっては少し物足りないかもしれません。
自分の持っている不動産の時価相場をもう少し正確に知りたい場合は、不動産の一括査定サイトを使ってみましょう。
不動産の一括査定サイトは、価格を調べたい不動産と所有者の情報を入力することで、そのサイトと提携している複数の不動産会社に、一括して査定を依頼できる無料サービスです。
納得がいくオファーを出した不動産会社があれば、契約にまで駒を進められますが、あくまでも査定サイトなので、いずれかの会社と必ず契約をしなければならない決まりはありません。価格に納得がいかない、契約したいと思える会社がない場合は、遠慮なく断りましょう。
サイトを使った一括査定の流れは、下の図のとおりです。
不動産の一括査定サイトは簡単・正確に時価を把握できる
不動産情報ライブラリでは同じ町内で、よく似た条件の不動産が見つからなかったような場合に時価の把握が困難です。また、固定資産評価証明書を使った場合は、ピンポイントですが、あくまでも金額は計算上の目安です。
不動産一括査定サイトは金額の正確さという点では、実際の不動産会社が対応してくれるわけですから、間違いありません。複数の会社による一括査定なので、各社を比較して相場を確認することも容易にできます。
また、不動産の情報さえ入力すれば、たった数分で簡単に査定を依頼できるという手軽さもメリットです。忙しくて不動産会社に出向く時間がない、対面で相談したくないという人にもぴったりです。
ただし、不動産の一括査定サイトにもデメリットはあります。それは、査定をした不動産会社から営業の電話がかかってくることです。査定を依頼した会社が増えれば、当然電話の数も多くなります。不動産会社にとっては新規顧客ということで、不動産を売却してもらうことを期待しているからです。
そのため売却意思がないのであれば、早めにお断りするほうが得策です。なぜなら、電話を1、2回無視しても、熱心な相手はビジネスチャンスを逃したくないと思って、アタックするからです。逆にいえば、それだけ魅力的で不動産会社も売りたいと思える物件ともいえます。
一言、営業電話は必要ない、電話ではなくメールにしてくださいなどと言ってください。優良会社であれば、お客さんの要望を無視することはないはずです。
あまり売れなそうな物件であれば、熱心に電話やメールで連絡がくることはないでしょう。どれだけ不動産会社から連絡がくるかは、その不動産の需要を確認する目安にもなります。
不動産の時価を正確に調べるために必要な情報
不動産一括査定サイトを利用する場合に、必要な情報を挙げておきましょう。正確な情報を得るためには、詳しい情報が必要です。
土地面積・延べ床面積
土地や建物の広さは、不動産価格の基本です。最低でもおおよその面積は把握しておく必要があります。たとえば、「田舎の土地を相続したけれど、確かおじいちゃんは100坪ほどとかいっていたよなぁ」というような、あいまいな数字でもまずは構いません。オンラインでの簡易査定の場合には、それをもとに金額が弾き出されます。
より正確に把握したい場合は、登記簿に記載された正確な面積をもとに、オンラインを通じて出張査定を依頼しましょう。
間取りと築年数
建物の場合には、これらも重要な要素です。間取りの良し悪しや築年数は価格に反映されます。
同じ床面積のマンションでも、使いやすい現代的な間取りであるとか、リビングが広いとか、ロフトがあるとか、さまざまな条件で価格は変わります。また、築年数は耐震設計の有無などを見極める目安にもなります。
所有者(物件の名義人)の情報
査定依頼をしたのが所有者本人であれば、名前、住所、連絡先(電話番号、メールアドレス)などを入力します。所有者でない場合には、所有者に確認したうえで、情報入力する必要があります。
おすすめは、大手不動産会社だけでなく、中小規模の会社にも同時に査定依頼できるリビンマッチのようなサイトです。上記のようなおおよその情報を入力すると、中小から大手までプロによる事前審査を突破した優良会社のみから、査定を受けられます。
そのほか、匿名で検索できるサイトや、農地や倉庫なども査定できるサイト、マンションに特化したサイトなど、不動産一括査定サイトは、さまざまです。特性を見極めながら、自分に合ったサイトを見つけてください。
不動産の時価は買い手によって差が出るのが普通ですが、不当に安い金額で手放すことにならないよう、不動産一括査定サイトをうまく利用して、不動産の時価相場を正確に把握してください。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
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運営会社:リビン・テクノロジーズ株式会社(東京証券取引所グロース市場)
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