不動産の名義人以外が売却する方法は?共有の場合や相続での注意点
家族が高齢になったり亡くなったり、または離婚によって自分以外が名義人となっている不動産の売却をしたい場合があるでしょう。ここでは名義の異なる不動産を売却する際に、押さえておきたい基本的な知識をご紹介します。
もくじ
他人名義の不動産を売却する方法はある?
原則として、自分以外が名義人の不動産を勝手に売却することはできません。
というのも、不動産の売却では買主のことも考えなくてはいけません。もし売主の側でしっかりと合意されていない不動産を売却されてしまうと、後にいろいろなトラブルを招きかねません。従って、売主と買主の双方が安心して売買できるよう、ルールが決められているのです。
売却の際には名義人との合意か、名義の変更手続きをとる必要があります。もう少し詳しく見ていきましょう。
名義の異なる不動産を売却する方法
- 代理人として売却する
- 名義変更をしてから売却する
名義人の代理人として売却する場合
名義人が不動産を売却することに同意している場合には、代理人が手続きを行うことができます。ただし、代理人となった場合はどのような権限を持っているのかが明確でなければトラブルとなる危険があるので、正式な委任状が必要です。委任状には、不動産売却に関する契約や代金の授受、登記など、どんな権限が与えられているのかが書かれます。
なお、名義人と代理人との関係は、血縁者など客観的に納得できる関係であるのが一般的です。
また、名義人が認知症などであり、法的に契約を締結する能力がない場合などには「成年後見人制度」によって法定代理人として売却を進めることができます。内容に問題がないかを家庭裁判所で判断されるため、必ずしも親族が選任されるとは限らないので注意が必要です。
名義変更してから売却する場合
不動産の名義変更を行い、ご自身が名義人となることでも売却ができます。手続きは、例えば親子間での名義変更であれば一緒に法務局に行き、登記情報を変更することで、比較的容易に済ませられます。
一方で、名義変さらにかかる税金には注意が必要です。名義変更の登記(所有権移転登記)には不動産の評価額の2%となる登録免許税がかかります。また、贈与を受けた側には贈与税がかかります。
このように名義変更は単に持ち主を変えるだけではないので、いろいろなことを考える必要があります。わからないことがある場合は、まずは不動産会社に相談をしてみましょう。
共有名義の不動産を売却するには?
夫婦や兄弟、親子で所有している不動産を共有名義の不動産(共有不動産)といいます。※共有名義とは、夫婦で住宅ローンを組んだり、親からの相続として兄弟に渡った場合など名義人が複数いる不動産を指します。
共有名義の不動産を売却する方法は3つあるので、ご紹介します。
名義人全員の合意を得て売却する
共有名義の不動産のすべてを売却するためには、名義人全員の合意が必要です。名義人が10人いた場合、10人全員の合意がなければ売却をすることはできません。名義人の人数が少なく、全員が不動産の売却にも前向きな場合、共有不動産の売却はスムーズに行うことが可能ですが、名義人が大勢いた場合などは全員から合意を得ることは難しいかもしれません。
ちなみに、共有名義の不動産を売却するためには以下の書類を用意しなくてはいけません。これらの事前準備や手続きにもいろいろと手間がかかります。
- 名義人全員の実印、印鑑証明
- 名義人全員の登記済権利証 or 登記識別情報
- 名義人全員が直筆で書類にサインをする
また名義人の人数が少なくても、例えば共有名義の土地に、名義人の1人が建物を建てて居住している、といったケースも考えられます。そういった場合は、その土地を売却するための合意を得ることは不可能だと考えるべきかもしれません。
自分の持ち分だけ売却する
共有名義の不動産は、自分の持ち分(権利)だけを売却することが可能です。不動産業界では「持ち分」といいますが、「この家のこの部屋は自分のもの」といった意味ではありません。
自分の持ち分を売却する場合は、「共有物の分割協議」という手続きを行い、その結果分割された権利部分を売却します。しかし、この「共有物の分割協議」も、名義人全員の合意がなければ手続きをすることができません。
仮に、名義人全員の合意を得ることができ、持ち分を売却できたとしても、価格は相場よりもかなり低価格になってしまうことが一般的です。
なぜなら、共有名義の不動産を購入したとしても
土地の場合:建築、形態・形質の変更
建物の場合:家屋の取り壊し、改造、建て替え
を勝手に行うことができないためです。こういった不動産を高い価格で購入する人は、まずいないと考えるのが普通でしょう。
共有名義人に持分を買い取ってもらう
自分の持ち分を他の名義人に自分の持ち分を買い取ってもらうという方法があります。具体的には「共有物の分割協議」の手続き後、自分の持ち分を他の名義人に売却するというものです。
この方法も名義人の合意が必要ですが、「不動産を手放したくない」と考えられている他の名義人にとっては一番の妥協点であると考えられます。
不動産会社に相談を
共有名義の不動産の売却はいずれの場合も他の名義人との合意形成がしっかりとなされているか、という部分が重要です。なかには親戚間の不仲といった、利害を無視したことが原因の場合もあります。そのような場合には不動産会社が他の名義人に上手く働きかけることで、全員の合意のもとに不動産を売却することも可能になります。
共有不動産を勝手に売却された場合について、詳しくはこちらを参考にしてみてください。
相続不動産を売却する場合の名義は?
相続した不動産は名義変更をせずにそのまま売却したいところですが、名義変更は法律で義務付けられており、手続きを省略することができません。
全員の名義で行う相続登記を省く方法「換価分割」
換価分割とは、遺産分割協議書に分配することを明記した上で、代表者が不動産を現金化することを指します。通常は相続人全員の名義で相続登記を行う必要があります。しかし手続きの面倒さ故に相続が進まないこともあるため、換価分割によって簡易化を図ることが多いです。
遺産分割協議書に明記をしなければ、登記が認められなかったり贈与税が発生することもあるので気をつけましょう。
相続登記せずに放置していた不動産は売却できる?
相続登記をせずにしばらく放置していた不動産を売却したい場合もあるでしょう。2019年12月現在、相続登記は義務となっておらず、同時に期限もありません。従って、しばらく放置した不動産を売却することが可能となります。
ただし、経過年数によっては相続後すぐに売却をした場合では適用できた特例が使えない、ということがありますので売却のタイミングで確認するようにしましょう。
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