空き家を売りたい人へのアドバイス!損をしない売却の基礎知識と注意点
活用する予定の空き家は、所有しているだけでさまざまなリスクがあります。そのため、早く空き家を売りたいという人も多いでしょう。しかし、古い空き家はなかなか売れないのが実情です。そして、早く売ろうとして失敗し、損をしてしまうこともあります。
空き家を早く売りたいという人のために、空き家売却の基礎知識と注意点を紹介します。
この記事でわかること
- 空き家を早く売るにはどうすればよいか
- 損をしてしまう空き家の売却方法
- なかなか売れない空き家の対処方法
もくじ
空き家を売却する5つの方法
空き家を売却するには、さまざまな方法があります。それぞれの方法ごとに特徴や注意点があるので、空き家の状態や売却の目的に合わせて、最適な方法を選択することが大切です。
空き家をそのままの状態で売却する
空き家に対して特に何もせず、不動産会社の仲介で売り出す方法です。手間がかからないメリットがあるものの、空き家の状態がよく、リフォームをせずに住めるような場合にだけ適しています。空き家の状態がよくなければ、売却価格が低くなったり、買主が見つからなくて売却に時間がかかったりするでしょう。
こんな空き家に向いています
- 空き家の状態がよく、すぐに住める
- 大きなリフォームが必要な
注意点
- 古い設備や汚れなどがあると買主が見つかりにくい
- 空き家の状態によっては売却価格が低くなる
そのままの状態で空き家を売り出す場合は、物件の状態を客観的に評価することが大切です。何年か放置した空き家だと、価格を下げて売り出すことになるでしょう。不動産会社に査定を依頼して、そのまま売り出せるか相談してみるのが近道です。
空き家をリフォームして売却する
空き家の状態を改善して売り出すので、そのままの状態で売るよりは買主の関心を集められる可能性があります。空き家の売却価格も、少し高くできるかも知れません。
リフォームを実施するときは、買主のニーズに合わせて決めることが大切です。ニーズに合わないリフォームは、逆効果になるかもしれません。
こんな空き家に向いています
- 空き家の状態が悪くて、そのままだと売却が難しい
- 立地がよく、状態のよい空き家なら売却できる
注意点
- リフォームにかけただけ高く売れるとは限らない
- 買主のニーズに合わないと売れにくくなる
リフォームを行ったとしても、かけた費用だけ高く空き家を売却できるとは限りません。そのため、費用をかけすぎてしまうと、空き家が売れても利益が出せないおそれがあります。
また、リフォームの内容も重要です。費用をかけてリフォームを行ったとしても買主のニーズに合わなければ、思うように売れないかもしれません。市場動向に精通した、不動産会社のアドバイスが参考になるでしょう。
空き家を解体して売却する
空き家を取り壊して更地にし、土地を不動産会社の仲介で売り出す方法です。空き家の状態が非常に悪くてリフォームでは対応できない場合や、土地そのものの価値が高い場合に適しています。
更地なら買主がさまざまな用途で活用できるため、需要が高くなるかもしれません。
こんな空き家に向いています
- 空き家の状態が悪くリフォームで対応できない
- 立地がよく、土地の価値が高い
注意点
- 空き家の解体に費用がかかる
- 固定資産税・都市計画税の軽減措置が受けられなくなる
空き家の解体には、費用がかかることに注意が必要です。価値の低い土地だと、更地で売却しても費用を回収できないおそれがあります。
また、固定資産税や都市計画税の軽減措置を、更地になると受けられなくなることにも注意しましょう。
不動産会社へ買取で売却する
空き家を不動産仲介で売り出すのではなく、不動産会社に直接買い取ってもらうことも可能です。この方法は、早期に売却したい場合や、空き家の状態が悪くて仲介で売れそうにない場合に適しています。
不動産会社へ買い取ってもらう方法は、売却までの時間を短縮できることがメリットです。ただし、仲介と比べて売却価格が安くなることに、注意が必要です。
こんな空き家に向いています
- 早く売却したい
- 空き家の状態が悪くて仲介で売れそうにない
注意点
- 買取価格が市場価格より低い
- 買取に対応していない不動産会社が多い
- 買い取ってもらえないこともある
不動産会社に買い取ってもらうときは、買取価格が市場価格より低くなることに注意しましょう。市場価格の6~8程度が目安です。また、買取に対応していない不動産会社が多いため、買取のできる不動産会社を見つける必要があります。
状態が悪い、立地が悪いなど、再販売しても売れそうにない空き家だと、不動産会社は買い取ってくれません。
空き家バンクを利用して売却する
空き家バンクとは、自治体が運営する空き家情報の紹介サイトです。空き家バンクに情報を登録すると、空き家を探している人たちと交渉して売却できることがあります。
小規模なリフォームで住めるようになる、趣のある古民家などであれば、注目してもらえるかもしれません。
こんな空き家に向いています
- 移住のニーズが高い地域に空き家がある
- 小規模なリフォームで住めるようになる
- 活用したくなる魅力的な古民家
注意点
- 登録から売却までに時間がかかる
- 個人間の取り引きのためトラブルのリスクがある
空き家バンクを利用して売却するには、登録から売却までに時間がかかることがあります。そのため、魅力を感じてもらえるよう、工夫する必要があるでしょう。
また、空き家バンクでの売買は個人間取り引きとなるため、トラブルが起こるリスクがあります。トラブルなく取り引きを終えなら、不動産会社などに間に入ってもらう必要があるでしょう。
空き家を早く売却するには
空き家の多くは人が住まないままに放置され、建物としての魅力に欠けることが多いです。そのため、なかなか売却できず、悩んでいる人も多いでしょう。
しかし、売れなさそうな空き家でも、売れる可能性はあります。空き家を売るにあたって、押さえておきたいポイントを紹介します。
所有する空き家の価値を見極める
空き家の多くは老朽化していたり、手入れがされず荒れていたり、無価値に見えるかもしれません。しかし、意外な価値が隠されていることがあります。まずは自分の目で、空き家にどのような価値があるのかを見極めておきましょう。
空き家の価値は、場所や建物の状態、周辺環境などに左右されます。人気のある場所にあり、良好な状態の建物は価値が高くなるのです。一方で不便な場所にあって、老朽化した建物は価値が低くなります。しかし、再開発を予定されている地域にあると、建物の状態によらず、高値を期待できるでしょう。
空き家の価値を左右する大きなポイントには、次の3つがあります。
- 立地・交通アクセス
- 築年数・建物の状態
- 土地の形状・法的制限や制約
以上のポイントから空き家の価値を見極めてください。
立地・交通アクセス
交通アクセスに優れていたり、近隣施設が充実していたりする空き家は価値が高いといえるでしょう。
また、高齢者には医療機関が徒歩圏内にある、子育て世帯には評判のよい学校が近くにあるなどが魅力になります。
築年数・建物の状態
築年数の浅い空き家は、価値が高い傾向にあります。
一方で築年数が古い空き家でも、リフォーム済みだったり、設備が充実していたりすれば価値が高いでしょう。建物の状態がわかるように、ホームインスペクション※を実施すると、安心して買ってもらえる可能性があります。
土地の形状・法的制限や制約
空き家を解体して土地を利用したい人も少なくないため、土地の形状の土地や法律による制限も重要なポイントです。三角形や台形の変形地、建築制限のある土地は評価が下がります。逆に日当たりがよく、接する道路が利用しやすいと評価が上がるでしょう。
売り出し価格を安めに設定する
多くの人の注目を集める手っ取り早い方法は、売り出し価格を安く設定することです。ほかの物件と比べて低価格でお得感があれば、多くの人が興味を持ち、ほかの人が興味を持つ前に早く購入しようという気分にさせます。
時間をかけても売却できず、少しずつ価格を下げていくと「売れ残り」というマイナスイメージを与えるおそれがあります。しかし、最初から価格を下げることで、マイナスイメージを抱かれることなく、早く売却できる可能性を高められるでしょう。
空き家に残る不用品を廃棄し、見栄えをよくする
古い家具や電化製品などが家のなかや庭に置かれたままだと、放置されている家という印象を購入希望者に抱かせてしまいます。こういった状態では、なかなか購入意欲を高められないでしょう。
少しでも空き家の見栄えをよくするため、不用品などがあれば積極的に処分しましょう。費用を抑えたい場合は自分で粗大ゴミに出し、急いでいるのなら費用をかけて不用品の回収業者に依頼することをおすすめします。
また、不用品を処分することで、家のなかや庭を広く見せる効果も期待できます。
空き家の売却が得意な不動産会社に依頼する
空き家をスムーズに売却するには、さまざまなノウハウが必要です。あまり経験のない不動産会社だと物件の魅力をうまくアピールできず、売却に時間がかかるかもしれません。
不動産会社は不動産のプロではあるものの、得意・不得意があります。そのため、空き家に強い不動産会社を見つけ出すことが、空き家売却をスムーズに進めるポイントです。空き家を得意としている不動産会社を見つけたら、積極的に相談してみましょう。
もし不動産会社の得意・不得意がわからなければ、一括査定サイトを利用しましょう。一括査定サイトは、売りたい空き家の情報をもとに、対応できる不動産会社を紹介してくれるサービスです。「リビンマッチ」なら最大6社の不動産会社から査定を受けられます。
空き家の情報と連絡先などを入力したら、あとは不動産会社の連絡を待つだけです。まずは所有する空き家が売れるかどうか、不動産会社に相談してください。
要注意!損をする空き家の売り方
空き家は売れにくい不動産です。そのため、何とかして売却しようと工夫をしてしまうのですが、かえって逆効果になってしまうことがあります。
せっかく売却できたのにほとんど利益が出ない、それどころか赤字になってしまう空き家の売り方には注意しましょう。
空き家のリノベーションをしてから売り出す
リノベーションとは古くなった建物や部屋を改修し、新たなデザインや機能を採り入れることを指します。空き家のリノベーションをしてから売り出すことは、よくある不動産投資の手法のひとつです。リノベーションを行うことで空き家の魅力を高め、市場価値の向上を期待できます。
しかし、リノベーションをしたからといって、空き家が高く売れるとは限りません。周辺地域の需要や競合物件の価格を把握し、市場動向を分析する必要があります。ニーズに合わないリノベーションを行っても、見向きもされないかもしれません。
また、空き家を売却できたとしても、リノベーションに費用をかけただけ高く売れる保証がないことに注意しましょう。
リノベーションを行う前に、不動産のプロである不動産会社へ相談してください。意外な価値を空き家に見出し、リノベーションを行わなくてもスムーズに売れることがあります。
誰にも相談せず空き家を解体する
古い空き家は、買主探しに苦労するおそれがあります。住むにはリノベーションが必要ですし、見つかっていない破損があるおそれもあります。そもそも古い家を買うよりは、新築で家を建てたい人のほうが多いでしょう。このように空き家がない更地のほうが、売れやすいのは間違いありません。
しかし、不動産会社へ相談することなく、解体して更地にするのは注意してください。そのままでも売却できる、魅力のある空き家の可能性があります。自分たちで好みのリノベーションを行って住みたい、というこだわりの強い人たちがいるのです。
しかも、家の解体には100万円以上の費用がかかります。さらに固定資産税の特例が受けられなくなり、支払う税金も増えます。家を解体する前に、不動産会社へ相談しましょう。
1社の不動産会社にしか査定を依頼していない
空き家を売るときは、不動産会社に査定を受ける必要があります。査定を受けることで空き家の価値が明らかになり、売り出し価格を決められます。
しかし、査定をした不動産会社が1社だけだと、査定価格が適切かどうか判断できません。少なくとも3社は査定を受けて、空き家の市場価格を知りましょう。
また、査定を依頼した不動産会社が1社だけだと、空き家の売却を得意としている会社かどうかわかりません。複数の不動産会社へ査定を依頼することで、空き家に強い会社を見つけられる可能性もあります。
複数の不動産会社へ査定を依頼するときは、一括査定サイトを利用してください。売却する空き家の情報と連絡先などを入力すれば、対応できる不動産会社が査定を行います。
リビンマッチだと最大6社の不動産会社が査定に対応しますので、きっと信頼できる不動産会社を見つけられるでしょう。
どうやっても売れない空き家を売却する方法
不動産会社と契約して空き家を売り出してみたものの、どうやっても売れないことがあります。たまたま空き家を購入したい人がいなかっただけ、宣伝の仕方がよくなかったなど、さまざまな原因が考えられます。
そもそも空き家は売れにくい不動産なので、気にせず再び売り出すのもよいでしょう。しかし、これ以上時間をかけられない、空き家を早く売りたいという場合は、別の売却方法を検討してください。
家を解体して更地にする
売却するうえで空き家が足を引っ張っているのなら、解体して更地にすることで売却できる可能性が高まります。
そもそも、空き家を探している人より土地を探している人のほうが多いので、更地にすることで購入してくれる人が増えるでしょう。また、更地になれば個人だけでなく、企業が買ってくれる可能性もあります。
不動産会社と相談して、更地にするかどうかを決めましょう。
隣に住んでいる人に売却する
空き家は隣人に売れる可能性があります。所有する土地が広くなることで、駐車場をつくったり、家族の家を建てたり、さまざまな用途が考えられます。市場のニーズはなくても、隣人のニーズはあるのです。
ただし、不動産の個人間取り引きは、トラブルの起こるリスクがあります。仲介手数料がかかるものの、不動産会社にあいだに入ってもらうとよいでしょう。
不動産会社に売却する
不動産会社によっては、空き家を買い取ることがあります。不動産会社は買い取った空き家にリノベーションをしたり、解体したりして再販売して利益を出します。そういった費用が売却価格から引かれているため、仲介で売却するときより安くなることが多いです。市場価格の約6~8割の価格になるのが一般的です。
売却価格が安くなってしまうのは大きなデメリットですが、再び売り出すよりは早く売却できるため、急いで空き家を手放したい人におすすめします。
しかし、空き家の買取に対応できる不動産会社は、決して多くありません。買取に対応できる一括査定サイトを利用して、不動産会社へ査定を依頼してください。
一括査定サイトの「リビンマッチ」では、空き家の買取に対応できる不動産会社に査定を依頼できます。敷地や建物の面積といった空き家の情報と連絡先などを入力すれば、不動産会社から査定の連絡が入ります。申し込みは簡単ですので、ぜひ利用してください。
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空き家の売却にかかる費用
空き家を売却するときにかかる費用は、主に次の3つに分類されます。
- 不動産売買にかかる費用
- 空き家の状態によってはかかる費用
- 空き家売却でかかる税金
一般的な不動産売買とは、空き家売却にかかる費用や税金で違いがあります。それぞれの費用について解説しますので、実際に売却をする前にポイントを押さえておきましょう。
不動産売買にかかる費用
不動産売買にかかる代表的な費用としては、次のものがあります。
- 印紙税
- 仲介手数料
それぞれについて解説します。
印紙税
印紙税は契約書に収入印紙を貼り、消印を押すことで納税したことになります。不動産売買では売買契約書で使用します。売買契約書は売主と買主の保管する2部が作成されますが、それぞれ各自が印紙税を負担することが一般的です。
売買契約書で支払う印紙税の金額は、記載されている金額によって異なり、次の表のようになります。令和6年3月31日までに作成された契約書だと、軽減措置の対象です。
記載金額 | 印紙税額(円) |
---|---|
1万円未満 | 非課税 |
1万円~10万円以下 | 200 |
10万円超~50万円以下 | 200 |
50万円超~100万円以下 | 500 |
100万円超~500万円以下 | 1,000 |
500万円超~1,000万円以下 | 5,000 |
1,000万円超~5,000万円以下 | 10,000 |
5,000万円超~1億円以下 | 30,000 |
1億円超~5億円以下 | 60,000 |
なお、売買契約書を2部作成するとそれぞれに印紙税がかかりますが、売買契約書を1部だけ作成してコピーすれば、印紙税は1部の分だけで済みます。
仲介手数料
仲介手数料とは、空き家の売買を成約した不動産会社に支払う報酬のことです。成功報酬なので不動産会社がどんなに売却活動を熱心に行ったとしても、成約できなければ支払う必要はありません。
仲介手数料は宅地建物取引業法(宅建業法)で上限が定められており、売却価格によって次の式で算出できます。仲介手数料には、さらに消費税がかかります。
売却価格(税抜) | 仲介手数料の上限 |
---|---|
400万円超 | 売却価格×3%+6万円 |
200万円超~400万円 | 売却価格×4%+2万円 |
200万円以下 | 売却価格×5% |
売却価格が1,000万円の場合、「仲介手数料=1,000万円×3%+6万円=36万円」となり、36万円に消費税を足した金額が実際に支払う仲介手数料です。
仲介手数料は法律で上限が定められていますが、売主が依頼した広告の料金、遠隔地の現地調査にかかる交通費などは別途請求されることがあります。
空き家の状態によってはかかる費用
空き家の売却では購入希望者があらわれやすいように、さまざまな費用をかけて準備する必要があります。たとえば、建物内にある家具や電化製品の処分、隣地との境界を確定させる土地の測量、長年の汚れを落とすハウスクリーニングなど、さまざまなことに費用がかかります。
空き家をそのまま売却できる場合はかからない費用ですが、少しでも売れやすくするにはなんらかの負担が生じるでしょう。
空き家の売却にかかる費用には、次のものがあります。費用の目安をあわせて紹介しているので参考にしてください。
費用項目 | 費用目安 |
---|---|
建物内の不用品の処分費用 (一軒家の場合) |
20万~30万円 |
確定測量費用 | 35万~80万円 |
ハウスクリーニング費用 | 4万~10万円 |
解体費用 (木造住宅の場合) |
150万~200万円 |
リノベーション費用 | 300万~1,000万円超 |
空き家売却でかかる税金
空き家を売却して得た代金に対して、税金がかかります。空き家を売却して得た収入は譲渡所得になり、収入に応じて譲渡所得税がかかるのです。
譲渡所得の金額は、次の式で算出します。
- 譲渡所得の計算方法
- 譲渡所得=売却価格※-(取得費※+譲渡費用※)
譲渡所得は特別控除などを差し引くことで、課税対象となる金額を下げることが可能です。空き家に適用できる控除には次のものがあります。
- 被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例
- 一定の耐震基準を満たす、相続した土地・建物を譲渡すると譲渡所得から3,000万円を控除できる
- 相続財産を譲渡した場合の取得費の特例
- 相続して一定期間内に譲渡すると支払った相続税を取得費に加算できる。それにより譲渡所得を下げられる
それぞれの特例を利用するときは、細かい条件まで確認しましょう。条件に合っていないと、特例を利用できないことがあります。たとえば、「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」と「相続財産を譲渡した場合の取得費の特例」は併用できません。
特例などで差し引いて課税対象となる譲渡所得金額が算出できたら、譲渡所得税の計算を行います。譲渡所得税は所得税、住民税、復興特別所得税からなります。また、空き家を所有していた期間によって税率が異なるため注意してください。空き家を相続で所有した場合は、被相続人が所有していた期間も含みます。
所得税※(%) | 住民税(%) | 合計(%) | |
---|---|---|---|
短期譲渡所得 (所有期間が5年以下) |
30.63 | 9 | 39.63 |
長期譲渡所得 (所有期間が5年超) |
15.315 | 5 | 20.315 |
※復興特別所得税を含む
たとえば、所有期間が5年を超える空き家を売った場合、課税譲渡所得が1,500万円だと、譲渡所得税は以下のように計算できます。
空き家の放置は禁物!早く売るべき理由
遠方にあったり、忙しかったりして管理できないからといって、空き家を放置するのは禁物です。管理されることなく放置された建物は、さまざまな悪影響を自身や近隣へと及ぼします。
空き家を早く売るべき理由には、次の4つがあります。
- 所有しているだけで固定資産税がかかり続ける
- 空き家の放置は近所迷惑の原因になる
- 空き家の資産価値が下がって売れなくなる
- 田舎の放置した空き家はハイリスク
空き家を所有することになったら、放置せず、できるだけ早く売却しましょう。
所有しているだけで固定資産税がかかり続ける
誰も住んでいなかったとしても、土地・家屋には毎年固定資産税がかかります。1月1日の課税基準日に空き家の名義人である限り、固定資産税を払い続けなくてはならないのです。
固定資産税を算出するには、次の計算式を用います。
- 固定資産税の計算方法
- 固定資産税=課税標準額×1.4%(標準税率)
課税標準額とは課税対象となる建物や土地の金額のことで、価値に合った金額になるように調整されています。そのため、築年数の古い空き家だと、固定資産税はそれほど高額にはならないでしょう。
なお、固定資産税は特例によって、敷地面積が200㎡以下の住宅だと6分の1に軽減されています。ところが、管理が不十分な空き家として、地方公共団体(自治体)から「管理不全空き家」または「特定空き家」に指定されると特例の対象外となります。
つまり、いま支払っている固定資産税が、6倍に跳ね上がるおそれがあるのです。
空き家の放置は近所迷惑の原因になる
空き家を手入れせずに放置していると、庭の草木が伸び放題になって周囲に枯れ葉をまき散らしたり、雑草が野生動物や虫の住み処になったりします。周辺の住人はそれによってさまざまな迷惑を被るのですが、空き家は他人の家なので勝手に対処できません。
さらに放置された空き家は、ゴミを不法投棄されることもあります。それにより悪臭がただよい、周辺環境を悪化させます。
空き家が犯罪に利用されるリスクにも注意が必要です。住所を違法なものの受け取り先に利用されたり、誰かが勝手に住んでしまったりするだけでなく、遊び半分に放火されることもあります。ここまでの事態になると、周囲への影響は決して小さくありません。被害の程度によっては、損害賠償を請求されるおそれもあります。
空き家の資産価値が下がって売れなくなる
空き家の放置は、次の2点から資産価値を下げる行動といえます。
- 築年数が経過する
- 建物が劣化する
空き家を放置しているあいだは、まだよいのですが「手放したい」と思ったときに、この資産価値を下げる行動が影響します。資産価値が低いため、なかなか売れないのです。
購入しても修繕の手間や費用がかかる、転売しようとしても売れない、放置することによって空き家が「負動産※」になってしまうわけです。
活用する予定がないのに空き家を売却せずに放置することは、問題を先送りにするだけでなく、かえって売れにくくしてしまいます。
また、空き家を放置しているうちに、資産価値に影響するできごとが生じることもあります。大型店舗の閉店、医療機関の閉鎖、バス路線の廃止など周辺環境の変化が生じると、大きく資産価値が減少してしまうでしょう。
活用する予定がないのであれば、早めに空き家を売却することをおすすめします。
田舎の放置した空き家はハイリスク
実家の相続などで所有することになった、田舎の空き家はリスクが高いため注意が必要です。空き家から遠く離れて住んでいると、日常的なチェックができないため、なんらかのトラブルや事故が起こっても対応が遅れてしまいます。
もし屋根や壁が崩れるようなことがあっても気づけず、そのまま放置されてしまうのです。イタズラや犯罪目的の侵入者がいたとしてもわからず、何の対策もできません。
遠方の空き家は所有するリスクが非常に高いです。管理責任を負わないために、できるだけ早めに手放しましょう。
空き家を売却する流れ
空き家を不動産会社に仲介を依頼して売却するときは、次のような流れになります。
それぞれの手順について解説します。
① 空き家の査定
空き家の売却では、まず空き家がいくらで売れるのかを査定する必要があります。不動産会社に空き家の物件情報と売却したい旨を伝え、査定を依頼してください。
査定には机上査定と訪問査定の2種類があり、まずは机上査定を依頼します。机上査定は物件情報をもとに市場価格、立地などをもとにして査定価格を決める方法です。それに対して訪問査定は、実際に物件へ訪問して査定を行います。
建物を実際に見ていない机上査定は精度が劣るものの、査定価格の提示が数時間から数日程度で済むのがメリットです。まずは複数の不動産会社に机上査定を依頼し、査定価格や対応などから数社に厳選して訪問査定を依頼しましょう。
不動産会社を選ぶポイントは、査定価格だけで決めないことです。空き家の売却実績や担当者との相性など、さまざまな点を考慮して自分に合った不動産会社を選びましょう。
② 媒介契約の締結
複数社から不動産査定書をもらったら査定価格などを比較して、選んだ不動産会社と媒介契約を締結します。不動産会社と媒介契約を締結することで、空き家の売却活動がはじまります。
媒介契約には一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約があり、それぞれに一長一短があるのでよく比較して選びましょう。複数の不動産会社へ依頼したいときは一般媒介契約、1社にしっかりと売却活動をしてもらいたいときには専任媒介契約か専属専任媒介契約を選びます。
媒介契約の違いは、次の記事を参考にしてください。
媒介契約を締結したあとは不動産会社に売却活動を行ってもらい、買主を探してもらうことになります。
③ 売却活動の開始
媒介契約を締結したら、不動産会社は空き家の売却活動を開始します。不動産会社が行う売却活動としては、不動産ポータルサイトへの掲載、現地看板の設置、折り込みチラシの投函などの宣伝が中心です。購入希望者があらわれたら内見を行い、物件のよさをアピールします。
大手の不動産会社であれば自社のネットワークを活用した活動をしてくれます。一方、地域密着型の中小の不動産会社であれば地域の特性を理解した売却活動が期待できるでしょう。
購入希望者があらわれたあとは買付申込書をもらい、売買価格や引き渡しに関する条件などに問題がなければ契約へと進みます。買付申込書には、購入における買主の希望条件が記載されているので、細かいところまでしっかりと確認しましょう。
④ 売買契約の締結
買主が見つかったあとは条件のすり合わせを行い、売買契約を締結します。金額以外の面で買主との条件が折り合わないこともありますが、自分の意志をはっきり伝えて、不動産会社の担当者に交渉してもらいましょう。
契約日当日には、契約書の内容を売主・買主の双方であらためて確認し、問題なければ、買主から手付金の支払いを受けます。手付金の着金が確認できた時点で、正式に売買契約を締結したことになります。
⑤ 空き家の引き渡し
契約時に定めた引き渡し日になったら、売主と買主の立ち会いのもと、売買代金の決済と物件の引き渡しを行います。
買主が住宅ローンを利用する場合は、住宅ローンを借りる銀行で行うことが一般的です。引き渡しには司法書士も立ち会い、登記の手続きも同時に進めます。
すべての準備が整ったあとは買主から決済金が振り込まれ、入金の確認ができたと同時に空き家の所有権が買主に移転します。所有権移転登記を終えたら、買主への引き渡しは正式に完了です。
空き家の売買には実績とノウハウが必要
長く放置されてきた空き家や、老朽化した空き家は、立地に優れているなどの魅力がなければ売却するまで時間がかかります。
こういった物件の売買を成立させるには、空き家の取り引きの実績を持つ不動産会社と契約することが大切です。実績が豊富な不動産会社であれば、空き家を売却するノウハウや空き家を求める顧客など、ほかの不動産会社にはない手法を期待できます。
そういった不動産会社を見つけるため、一括査定サイトを利用しましょう。
一括査定サイトの「リビンマッチ」では、所有する空き家の情報と連絡先などの情報を入力すれば、物件に対応できる不動産会社から査定を受けられます。各不動産会社の査定価格や提案を比較して、信頼できる会社と契約を交わしましょう。
空き家の買取は一括査定で価格を比較
空き家を早く手放すのなら、不動産会社に買い取ってもらいましょう。空き家の修繕や不用品の処分などの手間をかけることなく、現状のまま手放せます。空き家の売買に時間をかけられない方は、買取を検討してください。
空き家の買取でも、リビンマッチの一括査定を利用できます。
空き家の情報や連絡先などを入力すれば、買取に対応する不動産会社の査定を受けられます。査定を受けたら査定価格や契約条件などをよく比較して、売却する不動産会社を選びましょう。
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