50年後のタワーマンションの資産価値はどうなる?住み続けるか売却するのか気になるポイントを解説
人気が高く需要が大きいように見えるタワーマンションであっても、売却するには長期的な視点を持ち、タイミングの見極めが必要です。
本記事では50年後のタワーマンションについて、住み続けられるのかということや、資産価値に関する不安要素などについて解説します。タワーマンションを売却するおすすめのタイミングやその理由、売却時の注意点などもあわせて紹介するので、ぜひ参考にしてください。
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もくじ
50年後のタワーマンションに住めるのか
マンションには法定耐用年数が決められていますが、たとえ年数をすぎても住み続けるのは可能です。法定耐用年数とは建物の減価償却を計算するために税法で規定された年数を指します。減価償却とはマンションなどの固定資産について取得のコストを購入した年の費用として全額計上せず、耐用年数に応じて配分する会計処理のことです。
ただし、マンションには物理的な耐用年数もあります。物理的な耐用年数とは法律ではなく、工学の面から判断される建物の寿命のことです。マンションでは物理的な寿命を考慮し、建設から約60年で解体される傾向にあります。
なお、マンションの法定耐用年数や物理耐用年数は、建物の造りによっても異なります。たとえば鉄筋コンクリート造のマンションなら、法定耐用年数は47年です。(※)
※出典:国税庁「耐用年数(建物/建物附属設備)」
50年後におけるタワーマンションの資産価値
住むことが一種の社会的なステータスでもあるタワーマンションは、比較的需要が高いことが多いです。しかし、たとえ人気が高いタワーマンションであっても、50年後には値下がりしてしまう可能性もあります。
マンションが値下がりしやすいかどうかは、そのマンションの条件にも左右されます。たとえば、立地がよいタワーマンションなら年数が経っていても需要は高く、値崩れしにくいでしょう。一方で、立地が悪いタワーマンションの場合、年数が経つにつれて資産価値が大きく下がりやすいです。
駅から徒歩10分以上かかるタワーマンションも珍しくありません。タワーマンションの建設には広大な土地が必要であり、駅から遠くなってしまいやすいからです。家から駅までの距離はシニア世代が重視する要素のひとつといわれています。駅から遠ざかるほどシニア世代からの需要が下がりやすく、売れにくくなる要因になるでしょう。
50年後のタワーマンションの資産価値に関しては、立地以外にも不安要素がいくつかあるので、次項で解説します。
50年後におけるタワーマンションの資産価値に影響する不安要素
50年後のタワーマンションに関して、資産価値に影響すると考えられる主な不安要素は下記のとおりです。
- 修繕費が高騰する可能性がある
- 大規模修繕が行われにくい
- 災害発生時に不安・不便を感じる可能性がある
- 周辺環境・棟数増加による希少価値の低下
それぞれについて解説します。
修繕費が高騰する可能性がある
タワーマンションは従来のマンションと比べて修繕費や管理費がかかりやすい特徴があります。
またタワーマンションの歴史は浅く、施工技術が確立されていません。タワーマンションの高さに合わせた給水ポンプについても通常のものではない特注品が必要です。タワーマンションは従来のマンションと比べて高さがあり、外壁の塗装にゴンドラを使わなければなりません。そのため大きなコストが必要となります。ゴンドラを使った外壁の再塗装や、特注品の交換や修理は費用が高くなるので、その分のコストがタワーマンションの修繕費や管理費に反映されます。
修繕費や管理費については、新築時から高く設定していると購入者が見つかりにくいので築年数に伴って段階的に値上げされるのが一般的です。たとえ新築時には大きな金額でなくても、50年後には大きく値上がる可能性が高いといえるでしょう。
大規模修繕が行われにくい
他の建設物と比べて大規模修繕が行われにくい点もタワーマンションの不安要素のひとつです。タワーマンションを含むマンションの大規模修繕を行うには、一定数の区分所有者の賛成が必要です。必要な賛成の割合は修繕の規模によって異なり、共用施設の軽微な変更なら過半数、重大な変更だと4分の3の賛成を得なければなりません。
特に資産価値が高い人気のタワーマンションでは、居住目的ではなく投資目的で購入している人もいます。所有目的が異なる人が集まっていると修繕に関する考え方も異なるので、必要な賛成数を得られないこともあるでしょう。賛成数を得られなければ、大規模修繕を実施できません。
またタワーマンションは上層階ほど高額になり、高層階は資金に余裕がある世帯が所有している傾向にあります。その一方で、低層階になると住宅ローンを支払いながら生活している世帯も多いです。上層階と低層階では修繕のために支払える金額や修繕の優先度に違いがあるので、意見が割れてしまうかもしれません。その結果、タワーマンションでは大規模修繕に必要な賛成数を集めにくく、メンテナンスをしづらいといえるでしょう。
災害発生時に不安・不便を感じる可能性がある
築年数が古いタワーマンションの高層階に住む場合、火災や地震などの災害発生時に不安や不便を感じる可能性があります。低層階に住んでいれば、災害時にエレベーターが停止していても階段で問題なく移動できるでしょう。しかし高層階では階段移動に限界があり、エレベーターが止まってしまえば避難が難しくなります。また地震の際にはタワーマンションの構造上、特に高層階では大きな揺れを感じやすいでしょう。
とはいえ、タワーマンションでは上記のような懸念を踏まえて、火災や地震の対策を行っています。多くのタワーマンションではしっかりとした耐震構造を採用しているだけでなく、ヘリポートを経由した救助が可能であったり、自動発電の装置を備えていたりしているケースが多いでしょう。またドアや壁には防火素材を使用し、建物内にはスプリンクラーや防火シャッターを設置するなど、火災が燃え広がりにくい工夫がされているので、過度に不安に感じる必要はありません。
周辺環境・棟数増加による希少価値の低下
一口にタワーマンションといっても、その資産価値は条件によって大きく異なります。タワーマンションの資産価値は、以下に挙げるようなさまざまな要素によって決まります。
- 周辺環境
- 立地の希少性
- 規模
- 眺望
- 共用施設の充実度
- 管理体制
たとえば、タワーマンションの築年数が増えるにつれて周辺環境が変化していけば、状況によっては資産価値が大きく下がってしまう可能性もあるでしょう。
また、タワーマンションはその人気とともに建設が進み、棟数は増加している傾向にあります。今後希少価値が低下すると、売却する際の価格競争が激しくなり、50年後にはタワーマンションが高値では売れにくくなる可能性があるのも懸念といえるでしょう。タワーマンションの購入や売却の検討時には、現状の周辺環境だけを見るのではなく、将来を見越した上で検討する必要があります。
タワーマンションの建て替えは可能なのか
タワーマンションが老朽化した場合は、建て替えればよいと考える人もいるかもしれません。しかし、タワーマンションの建て替え自体は可能であるものの、実際に建て替えた事例はあまりありません。タワーマンションの建て替えには、多額の費用と長い年月が必要です。その上、区分所有者の5分の4以上による賛成が必要なので、建て替えの同意を得るのは難しいといえるでしょう。
タワーマンションの建て替えに関しては、計画から建設完了までに多くの工程が必要です。新しく建て替えたタワーマンションに住めるまでには長い年月が必要なので、建て替えに賛成する人は少ないと考えられます。タワーマンションの建て替えに多額の費用を負担するくらいなら新しい住まいへの転居を選び、古くなったタワーマンションの売却を検討する人もいるでしょう。
50年後のタワーマンションの耐震性は問題ないのか
50年後のタワーマンションの耐震性は問題ないのか、不安を覚える人もいるでしょう。そこで旧耐震基準・新耐震基準の考え方とともに解説します。
旧耐震基準に注意が必要
古いタワーマンションは、旧耐震基準で建てられている場合があります。旧耐震基準とは、たとえば震度5強でも建物が倒壊せず、破損しても補修によって生活が可能となる構造基準です。
大規模地震の際に被害を減らすには、新耐震基準を満たしていることが望ましいでしょう。新耐震基準は1981年6月に定められたもので、震度6強~7でも建物が倒壊しないことを条件としています。
これから新築のタワーマンションを購入するなら、新耐震基準が適用されているので、50年後でも耐震基準を気にする必要はないでしょう。しかし、旧耐震基準で建てられているタワーマンションの場合、震度6以上の地震の際にどのくらいの被害が生じるのか予想がしにくいです。東京都が発表した「マンション実態調査結果」によると、タワーマンションを含めて耐震改修をしていないマンションは94.1%におよびます。(※)
※出典:東京都マンションポータルサイト「マンション実態調査結果」
旧耐震基準でも問題ないケースもある
1981年における新耐震基準の施行より前に建てられたタワーマンションは、前述したとおり旧耐震基準に基づいて建設されています。とはいえ、旧耐震基準のタワーマンションが必ずしも危険というわけではありません。たとえ旧耐震基準で建てられていても、耐震診断によって新耐震基準をクリアしていると認められたタワーマンションもあります。また、タワーマンションによっては耐震改修や耐震補強を実施し、耐震性を新耐震基準にまで高めている場合もあります。
1981年以前に建てられたタワーマンションでも、新耐震基準を満たすケースがあるので築年数だけで判断するのではなく、耐震性能についての具体的な確認が重要です。またタワーマンションにおける地震被害の状況は、地盤の強さにも左右されるので、あわせて確認しておきましょう。
築50年のマンションは今後増加していく
タワーマンションだけでなくマンション全体で、築50年のマンションの数は今後増えていくと考えられます。法務省が発表している「区分所有法制の見直し」によると、2021年末で築50年以上のマンションは21.1万戸です。そして5年後、10年後、20年後もマンションの数は増え続けると予想されています。(※)
現在と比較して、市場に出回るマンションの数が将来的には増えるとすれば、供給過多によって売れにくくなるケースが考えられます。また、たとえタワーマンションが売れても、期待したほどの売却価格にならない可能性も高いでしょう。もしもタワーマンションを所有していて売却を考えているなら、供給量が増えてしまう前に、早めのタイミングで決断するほうがよいでしょう。
※出典:法務省民事局「区分所有法制の見直し」
築50年になる前にタワーマンションを売却するほうがよい理由
築50年になる前にタワーマンションを売却するほうがよい主な理由は、下記のとおりです。
- 坪単価が高く築年数が経過するほど売れにくくなる
- 修繕積立の増額・自己負担金が発生する可能性がある
それぞれについて解説します。
坪単価が高く築年数が経過するほど売れにくくなる
タワーマンションは一般的なマンションと比べて、坪単価が高く購入価格も高くなりやすいです。高額になるほど、物件を選ぶ際の購入希望者の目は厳しくなるでしょう。
築50年のタワーマンションの場合、築年数を基準に購入を控える人の割合が、一般的なマンションと比較して多いことが考えられます。そのためタワーマンションに関しては、築50年に達する以前に売却するのが得策といえるでしょう。
修繕積立の増額・自己負担金が発生する可能性がある
築50年のタワーマンションでは、修繕積立金が増額したり、自己負担金の支払いが発生したりする可能性もあります。建設から50年も経っていると、経年劣化によって外壁や共用施設が傷み、大規模修繕が必要となるケースも多いでしょう。修繕の規模が大きいほど、かかる費用も高くなります。前述したように、タワーマンションの修繕にかかる費用は、他の建設物と比べても高額になるケースが一般的です。
近年では資材費の高騰により工事費用が高くなっており、タワーマンションの修繕にかかる費用も上がりつつあります。修繕積立金が足りていないと、工事に必要な資金調達が別途必要となり、臨時的な自己負担金の支払いを求められるかもしれません。また、その後の修繕積立金が増額される可能性もあります。
また修繕積立金の金額の見直しは、5年ごとに実施されるのが一般的です。タワーマンションに関しては、修繕積立金や自己負担金の支払いが大きくなる前に売却するのがおすすめです。
タワーマンションを売却するタイミング
前述したようにタワーマンションは建て替えが難しく、大規模修繕の際は多額の自己負担金を支払わなければならないケースもあるでしょう。一般的なマンションと比べてタワーマンションは区分所有者が多く、意見調整が難しいので建て替えは現実的ではありません。また修繕積立金や自己負担金、解体時の工事費用なども、一般的なマンションより高くなる傾向にあります。
もしも50年後も長く住み続ける予定なら、修繕積立金や自己負担金にコストをかける意味もあります。しかし資産価値の観点から考えると、早いタイミングでの売却がおすすめです。もしも投資用にタワーマンションを所有しているなら、なおさら早めに売却しておくのがよいでしょう。
50年後のタワーマンションを売却する場合の注意点
50年後のタワーマンションを売却する場合の、主な注意点は下記のとおりです。
- 長期修繕計画が作成されているかを確認する
- マンションの配管構造を確認する
- 周辺環境を確認する
それぞれについて解説します。
長期修繕計画が作成されているかを確認する
築50年以上のタワーマンションを売却したい場合、まずは長期修繕計画が作成されているか確認しておきましょう。中古マンションを探している購入希望者は、マンションの管理状況も購入の決め手のひとつとして見ています。適切に管理されていないマンションだと、区分所有者が管理費を滞納していたり、老朽化の対策が進まなかったり、耐震性が足りていなかったりと、さまざまなトラブルが起こりやすくなるからです。
長期修繕計画があれば大規模修繕の履歴や、今後の修繕積立の増額予定なども確認できることで購入検討の情報源となります。メンテナンスについても、きちんと管理されているタワーマンションであることをアピールしやすいでしょう。一方、長期修繕計画がない場合、売却時には少し不利になってしまうかもしれません。なお、長期修繕計画を作成している管理組合の割合は増加傾向で、約9割のマンションで作られています。(※)
※出典:国土交通省「マンション総合調査」
マンションの配管構造を確認する
築50年のタワーマンションを売却する際は、配管構造を確認しておきましょう。築年数が古いマンションでは、排水管の取替工事が難しい構造になっているケースが多いです。たとえば、排水管が階下の天井裏を通っている場合もあるでしょう。排水管の工事には階下の住民の同意や協力が必要となるので、メンテナンスのハードルが高くなります。
また古いマンションの中には、排水管がコンクリートに埋め込まれている構造のものもあります。排水管の取替ができない構造だと、排水管の寿命がそのままマンションそのものの寿命となってしまいます。国土交通省の調査によると、築30年越えのマンションが建て替えを検討する理由として最も多いのが「排水や給水設備が劣化」です。(※)
たとえ他の部分や設備がまだ使える状態でも、配管構造の問題によってマンションを建て替えなくてはならなくなるケースがあります。タワーマンションの売却時には配管構造についてもしっかりと確認しておきましょう。
※出典:国土交通省「マンション建替え等・改修について」
周辺環境を確認する
50年後のタワーマンションを売却するには、多くの人が住みたいと感じる条件を備えているかを考慮する必要があります。資産価値が低いタワーマンションの場合、将来的に空室が増加して管理費や修繕積立金が集まらなくなり、メンテナンスが行き詰まる可能性が高まるからです。タワーマンションの資産価値を決める、大きな要素のひとつが周辺環境といえるでしょう。築50年でも資産価値が落ちにくく、売却しやすい周辺環境の条件は下記のとおりです。
売却しやすい周辺環境の条件 | 特徴 |
---|---|
交通利便性が高い |
|
治安がよい |
|
人気のある学区 |
|
再開発が予定されている |
|
築50年のタワーマンションを売却する際は、周辺環境についても確認しておきましょう。
まとめ
タワーマンションの売却を予定しているなら、早めのタイミングがおすすめです。50年後のタワーマンションは資産価値が落ちている可能性もあるでしょう。築50年に達する前に売却を考えておくと安心です。また売却をする際には長期修繕計画や配管構造、周辺環境などの確認を行いましょう。
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- 複数の不動産会社で査定したい
- 早く売却して、ローンに充てたい
- 遠方にある物件なので地元の不動産会社に依頼したい
- いまの物件価値を知りたい
- どの不動産会社に相談していいのかわからない
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
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