マンションの寿命はどれくらい?何年住める?耐用年数との違い
マンションは築何十年まで売買が可能なのでしょうか。マンションの寿命がわかれば、売買が可能なマンションの築年数がわかるかもしれません。
マンションの寿命と、長く住み続けられるマンションの特徴をわかりやすく解説します。マンション売却、購入を検討している人は、ぜひチェックしてください。
この記事でわかること
- マンションの本当の寿命
- 寿命の長いマンションの特徴
- 築40年でも人気のヴィンテージマンション
もくじ
マンションの寿命は100年以上!?
国土交通省がまとめた資料「RC造(鉄筋コンクリート)の寿命に関わる既往の研究例」によると、RC造(鉄筋コンクリート)のマンションは寿命100年以上といわれています。
近年は、マンションの売買にあたって「100年マンション」や「100年コンクリート」というキャッチフレーズを頻繁に見かけるようになっています。しかし、マンションの寿命は本当に100年以上もあるのでしょうか。ここでは「マンションの寿命100年」の真相について解説します。
参考:国土交通省「『中古住宅流通促進・活用に関する研究会』報告書」
「100年コンクリート」とは
「100年コンクリート」は、設計基準強度に優れた高強度コンクリートのことです。大規模修繕をしなくても、100年は維持できると予想されているため、100年コンクリートと呼ばれています。
一般的なコンクリートは、設計基準強度が24N/㎟※ですが、100年コンクリートは30N/㎟に定められており、強い負荷に耐えられます。
期間 | 計画供用期間 | 耐久設計基準 |
---|---|---|
短期 | 約30年 | 18 N/㎟ |
標準 | 約65年 | 24 N/㎟ |
長期 | 約100年 | 30 N/㎟ |
「100年マンション」とは
「100年マンション」は、先述した100年コンクリートを使用した、高い強度を誇るマンションの名称です。これまで老朽化したマンションは解体して更地にするか、新たにマンションを建て替える「スクラップアンドビルド」という方法が一般的でした。
しかし、環境問題がより注視されるにつれて、スクラップアンドビルドが見直されるようになりました。このような背景から100年マンションという新たな選択肢が生まれ、資産を守りながら住み続けられる、新しい住まいのかたちとして100年マンションが注目を集めています。
耐用年数が過ぎてもマンションは寿命じゃない
マンションには「耐用年数」と「寿命」があります。よく間違われがちですが、耐用年数=寿命ではありません。では一体、耐用年数と寿命はどのように違うのでしょうか。ここからは、マンションの耐用年数と寿命のそれぞれの意味などを解説します。
マンションの耐用年数とは
マンションの耐用年数は「減価償却※ができる期間」を意味し、税務上の減価償却を算出するための数値です。国税庁によって鉄筋コンクリート造は47年、重量鉄骨造は34年と定められています。耐用年数が経過したマンションは、税務上の資産価値がなくなります。
しかし、耐用年数が過ぎたら住めなくなる、というわけではありません。また、耐用年数が過ぎてしまっても、マンションの構造に問題がなく、人が住める状況であれば十分に売却は可能です。
マンションの寿命とは
マンションの寿命は「人が住めなくなるまでの期間」を指します。耐用年数と異なり、法律で明確に定められているわけではありません。また日本では1954年の高度経済成長期以降、老朽化したマンションは寿命を迎える前に壊して立て直すという、スクラップアンドビルドが主流でした。
そのため、日本では寿命を迎えたマンションの前例が少なく、マンション寿命の実態を正確に把握するのは難しいと考えられます。
長く住める、寿命の長いマンションの特徴
マンションの購入を検討するとき、多くの人が「できるだけ長く住みたい」と考えます。しかし、マンションの内覧や外観だけで寿命を見きわめるのは大変困難です。
では、一体何を基準に選べばよいのでしょうか。寿命を見きわめるのは難しいですが、いくつかのポイントを押さえることで、マンション選びの助けになるでしょう。寿命の長いマンションの特徴は、次のとおりです。
- 耐震基準が新耐震基準で建てられている
- 適切に大規模修繕が計画されている
- マンションの立地環境がよい
それぞれの寿命の長いマンションの特徴を詳しく解説します。
耐震基準が新耐震基準で建てられている
マンションや戸建てには、建築基準法で耐震強度が定められています。耐震強度とは、地震の揺れに耐えられる強度を示したもので、日本で建物を建てる場合は、耐震強度の基準を満たす必要があります。
耐震強度には「旧耐震基準」と「新耐震基準」があり、1981年6月1日以降に建築確認をした建物は新耐震基準をクリアしなければなりません。旧耐震基準に比べ、新耐震基準は規制が強化されているため、1981年以降に建てられたマンションの方が、寿命が長い=長く住めると考えられます。
そのため、マンションを選ぶ際のポイントとして、築年数に着目するとよいでしょう。旧耐震基準と新耐震基準の概要は次のとおりです。
旧耐震基準とは
1950年から1981年5月31日までは、旧耐震基準が設けられていました。旧耐震基準は、震度5強の地震でも建物が倒壊せず耐えられるレベルです。しかし、1978年に宮城県で起きた大地震(1978年宮城県沖地震)で甚大な被害を受け、旧耐震基準の見直しが行われました。
新耐震基準とは
新耐震基準では「中地震でほとんど損傷しない程度」に引き上げられました。これは震度6強から震度7程度の大地震でも崩壊、倒壊しないレベルです。この法改正により、マンションの耐用年数や寿命が長くなったと考えられます。
旧耐震基準と新耐震基準の比較
旧耐震基準と新耐震基準の違いを比較すると、次のようになります。
旧耐震基準 | 新耐震基準 | |
---|---|---|
建築確認を受けた日 | 1981年5月31日まで | 1981年6月1日以降 |
震度5強程度 | 変形・倒壊しない | 損傷しない |
震度6強程度 | ― | 倒壊・崩壊しない |
耐震基準は建築確認※を受けた日で、新旧どちらの耐震基準に適合しているのかを判断できます。築40年以上経っているマンションは、旧耐震基準をもとに建てられていることがあるため注意が必要です。
適切に大規模修繕が計画されている
マンションの寿命は、管理状態によって大きく変化します。どれだけ頑丈な鉄筋コンクリート造のマンションでも、雨風や日差しに晒されることで劣化します。そのため、マンションの状態を維持するには、定期的なメンテナンスや大規模修繕が欠かせません。
一般的に大規模修繕は12年に1度、コンクリート補修、給排水管の補修、屋上の防水塗装などを行います。検討中のマンションがあれば、大規模修繕の実施有無や、今後の実施予定、修繕資金について調べてみましょう。
なかには修繕経計画のない、管理体制のずさんなマンションもあるため注意が必要です。
マンションの立地環境がよい
マンションが建っている環境も、寿命に影響する重要なポイントです。自然や気候の厳しい場所にあるマンションだと、周辺環境の影響を受けて劣化しているおそれがあります。
たとえば、海沿いにあるマンションは眺望がよく、自然を感じられるため需要が高そうです。しかし、海沿いにあると潮風による塩害の影響を受けるため、適切な管理がされていないとサビや汚れなどで劣化が進んでいることがあります。
マンション選びでは価格、間取り、利便性なども重要ですが、マンションが長持ちする立地、環境にあるか、という観点から確認することも大切です。
築40年でも人気!都市部のヴィンテージマンション
築年数が経過しているマンションのなかには「ヴィンテージマンション」と呼ばれ、人気の高い物件があります。立地のよさや歴史を感じるデザインが希少価値を高め、都心部では高値で取引されています。
ここでは築40年を超えるにもかかわらず、高い人気を誇るマンションを紹介します。築年数を経ても高額で取り引きされる、マンションの特徴をチェックしてください。
秀和代官山レジデンス(東京都渋谷区猿楽町)
秀和代官山レジデンスは、総戸数190戸、11階建てのSRC造の大規模マンションです。代官山駅から徒歩5分と便利な立地にあるため、築年数が50年経過しても大変人気があります。
住所 | 東京都渋谷区猿楽町 |
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最寄駅 |
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築年月 | 1972年4月 |
取引事例 | 1DK 約37㎡ 4,850万円ほか |
広尾ガーデンヒルズ(東京都渋谷区広尾)
広尾ガーデンヒルズは、総戸数1181戸、9階建て、SRC造のファミリー向け大型マンションです。都心にありながら緑が豊かで静かな住環境のため、竣工以来人気の絶えないマンションです。ペットが飼育可なのも嬉しいポイントです。
住所 | 東京都渋谷区広尾 |
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最寄駅 |
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築年月 | 1983年8月 |
取引事例 | 3LDK 約99㎡ 2億9,000万円ほか |
リビエラ逗子マリーナ(神奈川県逗子市)
神奈川県内屈指のリゾート地にある逗子マリーナは、築年数が50年経ったいまでも大人気です。東京都心から1時間の距離にありながら、広大な敷地に計9棟のマンションが広がります。
さらに、結婚式場、ヨットハーバー、ホテル、サウナ、カフェなどがあり、海外のリゾート地にいるような気分を味わえるでしょう。
住所 | 神奈川県逗子市 |
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最寄駅 |
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築年月 | 1971年5月(本館)~ |
取引事例 | 約64㎡ 3,980万円ほか |
不動産価格の影響で中古マンションが人気に
低金利の住宅ローン、建築資材や人件費の高騰、円安による海外投資家の動きなどさまざまな背景があって、マンションをはじめとする不動産の価格が著しく上昇しています。
新築マンションはとても購入できない価格になっていることもあって、価格が手ごろな中古マンションに注目が集まっています。需要の高まりもあって中古マンションも価格が上昇しており、購入時と変わらない価格で売却できた人もいます。
築年数を経た古いマンションでも、思わぬ高値を期待できるのがいまの不動産市場です。
マンションを売却するときは、複数の不動産会社に査定を依頼するのがコツです。刻々と変わる不動産市場でマンションを適正価格で売却するには、正確に市場価格を把握できる不動産会社の協力が欠かせません。
一括査定サイトの「リビンマッチ」から申し込めば、売却するマンションに対応できる複数の不動産会社が査定をします。大手や中小の不動産会社を比較し、信頼して任せられる会社を見つけましょう。
不動産買取ならスピーディに売却できる
中古マンションが高値になったことで購入希望者が慎重になり、売却できるまで時間がかかることがあります。高額で売却できるのは喜ばしいことですが、時間がかかるのは難点です。
所有するマンションを早く手放すなら、不動産買取という取引方法もあります。不動産買取は不動産会社がマンションを買い取るため、仲介で買主を探すよりも早く売却できるのが特徴です。
リビンマッチでは不動産買取の申し込みも可能です。売却したい物件情報などを入力すれば、買取に対応できる不動産会社を紹介します。
各社の買取価格を比較して、高額売却できる不動産会社を見つけましょう。
この記事の編集者
リビンマッチ編集部
リビンマッチコラムでは、むずかしい不動産の事をできる限りわかりやすく、噛み砕いて解説しています。不動産に対するハードルの高いイメージ、とっつきにくい苦手意識を少しでも取り除いて、よりよい不動産取引のお手伝いをさせていただきます。
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